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ご注意) このサイトの文章には物語のネタバレが含まれます。
まだ作品をご覧になっていない方は作品を見終わってからお読みください。


                 

濱口國雄「便所掃除」松村達雄さんここにあり!(2010年8月20日)

第39作『寅次郎物語』 超簡単 ダイジェスト版(2010年8月10日)

第18作「純情詩集」オープニングの駅舎判明!(2010年7月30日)

マイケルが見下ろす江戸川、そして去りし夢(2010年7月21日)

「春の夢」ラストの天神社のこと(2010年7月11日)

岐阜県瑞浪市を走る黄色いペプシのトラック!(2010年7月1日)

すみれちゃんの高校と満男の高校は違う学校だった!(2010年6月28日)

兄と弟 二十億光年の孤独(2010年6月20日)

さくらとお千代さんが演じる蝶々夫人(2010年6月14日)

寅さん世界の柴又周辺マップ .柴又住民たちの家(2010年6月4日)

ご近所だった!さくらの家と京子さんのアパート(2010年6月2日)

第37作「幸福の青い鳥」 今回はちょっと長めのダイジェスト版(2010年5月27日)

ついに発見!健吾の働く看板屋とらくだ公園(2010年5月22日)

発見!リリーの母親の住む街(2010年5月12日)

山田監督の『ヨーイはい(2010年4月30日)

外国旅行に行った準レギュラー2人 (2010年4月25日

白木蓮と青春の輝き(2010年4月18日)
[
「メロン騒動」と「寅さんの子守唄」 『おとうと』からの副産物(2010年4月8日)

第36作『柴又より愛をこめて』 超簡単 ダイジェスト版(2010年3月31日)

第35作『寅次郎恋愛塾』 超簡単 ダイジェスト版(2010年3月19日)

第34作『寅次郎真実一路』 超簡単 ダイジェスト版(2010 年2月27日))

お兄ちゃんとの再会 長山藍子さん(2010年2月15日)

ついに発見! 神田神保町『大雅堂』(2010年2月5日)

もう一人の『さくら』 長山藍子さんの感覚 前編(2010年2月1日)

なぜか江戸幕末に詳しい寅(2010年1月28日

長旅から帰って来た人には…。(2010年1月21日)

新年のご挨拶  寅次郎と雪のバス停(2010年1月2日)

寅とさくら 兄妹の青春(2009年1228日)

男はつらいよの中の雪景色(2009年12月18日)

義母も使っていた「脳天ファイラー」(2009年12月10日)

新郎の名前を呼び間違えた夏子さん(200912月4日)

『男はつらいよ』と干し柿を作る日々(2009年11月14日)

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濱口國雄「便所掃除」 松村達雄さんここにあり


2010年8月20日 寅次郎な日々 その451

この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。


いよいよ『越中八尾おわら風の盆』の前夜祭が始まった。
数日前からの準備。そして今日も忙しかった。
で、第26作「かもめ歌」の本編完全版がほとんど手付かず…(TT)

なんとか8月中に前篇を更新しようと思っていたのだが案の定全くダメ。。。
ここから9月3日までの『おわら風の盆』期間中は作業はほとんどできないと思う。前篇アップは9月になりそう…。

実は密かに第41作「心の旅路」のダイジェスト版も進めているが、
こちらの方も8月末にアップできるかどうか微妙。

ということで、今日は、第26作「かもめ歌」の中で私が最も気に入っているシーンのひとつを紹介します。


そえはすみれちゃんと寅とが会話で絡んだシーンではない。
あ、もちろんすみれちゃんの入浴シーンでもない(^^;)


それは、葛飾高校定時制(実際は南葛飾高校)の国語の授業で松村達雄さんが
国鉄職員の濱口國雄さんが作られた「便所掃除」という長い詩を全文朗読する場面だ。

なんとも美しい詩。

そしてこの時の松村さんはまさに当たり役。
松村達雄ここにあり!という感じで光輝いていた。



濱口國雄「便所掃除」。

扉をあけます
頭のしんまでくさくなります
まともに見ることが出来ません
神経までしびれる悲しいよごしかたです
澄んだ夜明けの空気もくさくします
掃除がいっぺんにいやになります

むかつくようなババ糞がかけてあります。
どうして落ち着いてしてくれないのでしょうか
尻の穴でも曲がっているのでしょう
それともよっぽど慌てたのでしょう


唇をかみしめ戸のサンに足をかけます

静かに水を流します
ババ糞におそるおそる箒をあてます
ボトンボトン便坪に落ちます
乾いた糞はなかなか取れません
タワシに砂をつけます
手をつき入れて磨きます
汚水が顔にかかります
唇にもつきます
そんなことにかまっていられません
ゴシゴシ美しくするのが目的です

朝風が壷から顔をなであげます
心も糞に慣れてきます
水を流します
雑巾で拭きます
金隠しのうらまで丁寧に拭きます
もう一度水をかけます
クレゾール液を撒きます
白い乳液から新鮮な一瞬が流れます

便所を美しくする娘は美しい子を産むと言っていた母を思い出します
僕は男です
美しい妻に会えるかもしれません




こんな美しい詩は世界中探したってそうそうはない。


これが、私にとっての第26作のもうひとつのメイン。



     




♪蛍こいこい 八尾の盆に 夜の流しの オワラ 道照らせ





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 たぶん…一週間に一度くらいアップかな…






第39作『寅次郎物語』 超簡単 ダイジェスト版


2010年8月10日 寅次郎な日々 その450

この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。








第39作「寅次郎物語    超簡単ダイジェスト版

寅次郎の面目躍如  ゴッドファーザー寅のロードムービー 


仏様が寅の姿を借りて子供を助けられた物語    



私がこの物語の中で忘れられないシーンがある。

それはマドンナとの絡みでもなく、秀吉との絡みでもない。
安ホテルのお膳の上で般若の政の位牌に向かってつぶやくあのシーンだ。

女房を殴り、家庭を顧みず破壊的な人生を送った般若の政…。

寅「釈善政か…、フン、何が『善』だい、フフフ…、悪いことばっかりしやがって、
  どーせ今頃は地獄の針の山かなんかでもってケツかなんか刺されて『イテテテテ』
  なんて言ってんだろう。フ…。

  どんな人間でも取り得がある。悲しまれ惜しまれ死ぬんだよ。
  おまえが死んだって、悲しんだのはおめえ...サラ金の取立て人だけだったっていうじゃねえか、
  ったくもう…情けねえな…。
  たった一度の人生を、どうしてそう粗末にしちまうんだ。え?
  おまえは何のために生きてきたんだ?

  なに?てめえのこと棚にあげてる?? あたりめえじゃないか、そうしなきゃ、こんなこと言えるかい」
  

         


般若の政の人生は、そっくりそのまま実は寅の人生でもあるのだ。寅は自分に向かってしゃべっている。
そして今これを書いている私自身も寅の言葉を借りて辺境の地に棲む自分のどうしょうもない無為な人生を
吐露しているのかもしれない。

それにしても寅は優しい。秀吉を連れて母親を探す長い旅にでてやるなんて、さくらもおばちゃんもしない。
確かに児童相談所の人がさくらに言っていたように秀吉を行政に任せることは正論だが、
人が人に連れ添ってあげる人の世の情けは何にもまして大切だ。

寅のやったことは間違ってはいない。危なっかしいが、あれで正解だと思う。


        




この子の命が助かるのなら女断ちます。


これは、秀吉の回復を祈って隆子さんが立てた神様仏様への誓い。

寅の願いと隆子さんお願掛け、そして松村おいちゃん医者(耳鼻科(^^;))
の奮闘もあって秀吉の高熱は下がる。
そのことをきっかけに隆子さんは心に泉が湧き、蘇生していく。
隆子さん自分の人生を見つめなおし始める。

隆子「あーよかった、助かった…。そう思った時に、あの子の命だけじゃのうて、自分の命まで
   取り返したような…。胸の奥から冷たくて、きれえな水が、音をたてて溢れてくるような…、
   そんな幸せな気持ちがしてね…、フフ…」


淡路島で生まれ、各地を転々とセールスをして生きてきた隆子さん。
小さな車に乗って八木、五条、橋本…そんな旅がずっと続く…。
今までの旅から旅の孤独な人生を嘆き悲しむ。

「私粗末にしてしまったのね、大事な人生なのに…」
と泣きくずれる隆子さん。

寅は「大丈夫だよ、まだ若いんだし、な、これからいいこといっぱい待ってるよ、な…」

「そうね、…生きててよかった…。そう思えるようなことがね」
と泣き続ける隆子さん。

ほんとうは、秀吉くらいの子供がいたはずなのに…、
独りで子供を産むことを覚悟できなかった隆子さんの深い悲しみは寅に理解できたのだろうか…。


        


このように、彼女にはこのシリーズのどのマドンナにもない、取り返しのつかない
悲しい過去があるのだ。そして、それを聞く寅にも、そして秀吉の父親般若の政にも
同じように取り返しのつかない過去と人生がある。
そしてこれを書いている私の無為な絵描き人生にも…。

ともあれ、あの徹夜の看病の翌朝、隆子さんは人生の中で秀吉と共にもう一度蘇生したのは間違いない。




人間は何のために生きるのか


隆子さんの言葉

…生きててよかった…。』

は、ラストでもう一度満男に対する寅の言葉として出てくる。
隆子さんから寅へ、そして寅から満男へ、最後は私たちへと言葉は受け継がれていく。


ちなみに寅は、伊勢二見ヶ浦でお気楽ポンシュウに同じ質問をしてみる。
ポンシュウ「なんのためかなあ???」
寅「ダメだダメだダメだ。いいいい、おまえの頭だから考えなくていい」…だね(^^;)


しかし、それもつかの間、やはり別れの日は来る。

寅や秀吉と別れたあとの大和上市駅ホームに残る隆子さんの表情には孤独の陰が色濃く宿っていた。
あの顔は寅がマドンナとホームで別れた直後に見せる正にあの孤独だ。これはほんとうに辛いものだ。

旅人の辛さは独りでいる時の孤独にあるのではない。そんなものは慣れる。やはり人との別れの直後の
辛さこそが耐え難い試練なのだ。私も旅人の端くれ、この辛さがただものでないことは熟知している。
しかし、この耐え難い辛い別れだけが旅を奥深くし、人間を鍛え、焼きを入れることも自明である。
そして旅人は次の新たな出会いに向かってまた歩み始めるしかない。



この「寅次郎物語」は、御前様がいみじくもおっしゃったように
仏様が寅の姿を借りて淋しい秀吉を助けられた物語である。

御前様は、こうも言う。

「仏様は愚者を愛しておられます。もしかしたら、私のような中途半端な
坊主よりも寅の方をお好きじゃないかと、そう思うことがありますよ、さくらさん」

ひたすら愛を与えることだけを生きがいとして、愚かだが無欲に生涯を貫いていく
孤独な寅の真骨頂がこの言葉に集約されていた。
さすが御前様は人間を見ている。

その言葉ををさくらから聞いた寅は
「冗談じゃねえや、仏に好かれたっていい迷惑だい」

いいねえ〜、寅って。ポーンと弾けてるんだよな。
これだからこの映画は止められないんだ。


ちなみに御前様は源ちゃんのことを『あれは愚者以前です、困ったァ〜』っとギャグで嘆いていたが、
しかしそうは言っても御前様は源ちゃんこそ仏様にとても愛されている人間だと見ぬいてもいるのである。








それでは第39作「寅次郎物語」ダイジェスト版をどうぞ。


       




まずは夢から。

寅の少年期の柴又。雪の夜

寅のナレーション

寅の声「
さくら、どういうもんかなあ…、近頃オレは子供のころの夢を見るんだ。
     それも決まって、あのさむーい雪の夜のことさ…。


おそらく昭和30年くらいの柴又かな。。。

とらやの横の立花屋さんの看板が見える。
     

       


なんとこの夢には一度も動画で出演したことがないさくらのお母さん、
つまり寅の育ての母親が登場する。

寅の中学生の頃、雪の夜、
万引きか何かで父親に殴られているのを母親が身を呈して
止めているのである。


       


寅のナレーション

寅「
オレを育ててくれた優しいおふくろが必死に叫ぶ。
  『寅次郎謝んな、おまえが悪いんだよ』



最初は障子の影が映っているだけなんだが、
その後、少年寅次郎が表で木に縛られているのを
見かねて母親が助けようと障子を開ける、
その一瞬、彼女の顔が見える。



       


私は前々から、このさくらの母親こそが
寅の人格形成に大きく影響したと思っているので
動画で見れたのはなんだかちょっと嬉しかった。


             




父親との関係が最悪になり、
寅は家を出ていくことを決意。



寅のナレーション「
考えてみりゃ、あれが最初の家出さ



雪が積もった江戸川土手 早朝


無声映画風に スクリーン上にセリフが出る。

セーラー服を来た幼いさくらが泣いて追いかけてくる。


      


さくらの字幕「
お兄ちゃーん
さくらの字幕「
お兄ちゃん、行っちゃいや


      


寅の字幕「
さくら泣くんじゃねえ


      


寅の字幕「
お兄ちゃんは今にきっと偉い人間になって帰ってくるからな

と、江戸川土手を去っていく寅。



寅のナレーション

寅「
情けねえ話しよ。考えてみりゃ、今でもあの時と同じようなことをやってるんだ

さくらの声「
お兄ちゃーん!!


        


幼少期の寅や家族たちを映像で
垣間見ることができる数少ない貴重なシーン。





ここから現実↓


場面変わって田舎の小さな駅の待合室で寝ている寅。



茨城県 常総市 中妻駅

茨城県常総市中妻町にある関東鉄道常総線の駅




        


小さな女の子の声(声は幼少期のさくらのまま)

女の子「
お兄ちゃーん!!お兄ちゃーん!!お母ちゃんが呼んでるよー!!


        


これは、第18作「純情詩集」のオープニングと同じパターン。

伸びをして女の子の頭をなぜる寅。

電車が入ってくる。



        





タイトル  イン


はつらいよ 寅次郎物語


        



関東鉄道常総線に乗り、水海道駅で下車して
板橋のお不動さんまでゆっくり歩いている寅。


        


途中小貝川を渡っていく。


        


ポンシュウたちの車に拾われて板橋不動尊へ。


        




清安山願成寺不動院

大同三年(八〇八)に弘法大師空海が開山


           


いやあこのお寺の本堂、楼門、三重塔は関東でも随一。
一日も早く国の重要文化財の引認定をうけるべきもの。



そんな立派な不動尊の縁日の日


寅たちはバイもそこそこに楼門の横で酒盛り((^^;)

この一連のシーン、お寺の立派さとテキヤたちのイキイキした姿が印象的で
いつまでも印象に残ったものだ。

          



「山田洋次」のクレジットは三重塔をバックに!


        





ここから東京葛飾です(^^)


葛飾区 東京都立 葛飾高校 校庭


満男の通う「葛飾高校」が映る。

しかし、実は「葛飾高校」というのは現在葛飾区にない。
満男の高校のロケは
葛飾区亀有にある「葛飾野高校」だった。

このロケ地探しは

すみれちゃんの高校と満男の高校は違う学校だった!
2010年6月28日 寅次郎な日々 その445


に詳しく書いてある。


そして第26作のすみれちゃんが通う「葛飾高校」もロケ地は定時制を持つ
「南葛飾高校(なんかつ)」だったのだ。(これは寅友の寅福さんが発見された)




第39作では正門を出た後、
さくらは満男と別れてお花茶屋駅から京成電鉄に乗り柴又へ帰ったのだろう。


どうやら三者面談で満男が大学を行かないかもしれないと先生に告げたのだ。
さくらびっくりで、悩んでしまう。

さくら「
どうして黙ってんのよこんな大事なこと。母さん恥ずかしかったわ先生の前で

満男「



       


おまけに満男はさくらと一緒に帰ることを嫌がるお年頃(^^;)
さくら寂しそうに一人で京成線で帰っていく。


       





とらや 店


あけみが手伝ってくれている。
今回も結構あけみが出てくる。


       


さくらが満男のことでぼやくと、おばちゃんは優しい満男を
そんな受験戦争に巻き込むなんて酷いことしなくていいって適当なことを言い出す。


      




柴又駅前

一方あとから柴又に戻ってきた満男は
大洋ホエールズ』のキャップを被った少年と知り合う。

缶ジュースを開けてやった満男に少年がいきなり

少年「
兄ちゃん、寅さん知ってる?


       


満男飲んでいたジュースをブハッ!!と顔にかけてしまう(((^^;)

満男「
びっくりした〜〜〜!!

満男「
寅さんて車寅次郎か?


少年は昔「佐藤政吉」あてに寅から来た年賀ハガキを見せる。

満男「
あー!このキタネエ字!」すぐわかる(^^;)


       


〒963-01 福島県郡山市安積町午庭(本当は牛庭)


とらや 店

満男と一緒にとらやに来た少年はさくらの質問に

お母さんはいない。

お父さんは死んだと言うのだった。



      



死んだお父さんが亡くなる前に「オレが死んだら寅さんのところへ行け」
と常々言っていたらしい。

あけみ、ハガキを見ながら

あけみ「
君、佐藤君って言うの?

頷く少年。

あけみ「
佐藤なんっていうの?


      


少年「
ひでよし

あけみ「
え、どんな字書くの?

少年「
豊臣秀吉の秀吉

あけみ、ついつい吹いてしまう。

あけみ「
すっごい名前!フフ」タブーをはねのけて付けたんだね。


      


秀吉は疲れているらしいのでみんなで居間の方へ案内する。


満男、あけみに

満男「
あんな時笑うもんじゃないよ

あけみ「
わかってるわよ、なに偉そうな口聞いて


      


家に帰ろうとする満男を源ちゃんたちのグループが呼び止め、
裏ビデオを観ようと誘う。

満男は自分の人生&進路で頭がいっぱいなのか無視して歩いていく。
自我の目覚めの時期だからねえ

源ちゃん「
満男、…なんやあいつすかしやがって
出川さん「
まだ早いって…ハハハ」。

みんな「ハハハ」


       


秋深き西日が背中に当たって孤独な満男だった。

源ちゃんグループの一人
「抱かれたくない男N0・1」の出川哲朗さんもこのあたりの作品では
チョイ役で連続出演。


出川哲朗さんは、第37作、38作、第39作、第40作、第41作と5作品連続出演。

またこのころ「キネマの天地」にもチョイ役で出演。

露出が最も高かったのはこの第39作で秀吉の出発のシーン。
かなり長い間出ていた。
全ての作品で鉢巻しているから分かりやすい。
当時はまだよろっと痩せていた。





とらや 茶の間

夕飯のハンバーグを食べている秀吉。


     


タコ社長やって来て秀吉に興味津々。

さくらのミニギャグ

さくら、タコの煮物秀吉に持ってきて

さくら「タコ食べる?嫌い?ちょうどタコ社長が横に映っている。


     


大筋を掴みみんなに分かりやすく伝える博。

つまり、母親は逃げてしまって、父子家庭だったが、その父親も病気で
死んでしまった。死ぬ前にオレが死んだら寅さんを頼れ、と言い残していた。
博の推測では郡山の施設に入っていて黙って東京に来てしまったのではないか。


おばちゃんは自分の考えをおそるおそるさくらに言う

おばちゃん「さくらちゃん、今まで黙ってたんだけど、
     
とっても気になることがあるんだよ

さくら「
なに?

おばちゃん「あの子…ほんとうは…寅ちゃんの息子じゃないかしら…」  願望願望ゞ(^^;)


     


みんな拍子抜けて「ハハハ」

おいちゃん「そんな甲斐性があるか、あの男にそのとおり(^^)

これは、同じくおいちゃんが第29作「あじさいの恋」でも言っていた(^^;)

ちなみに、おばちゃんの『寅の子供願望』は
第14作「子守唄」、第16作「葛飾立志編」でも
ふつふつと湧き出ていた。子どもが欲しいというか孫が欲しいというか、
おばちゃんにはついに子どもが出来なかったからね…。
まあでもおばちゃんに子どもができなかったからこそ
この物語のバランス均衡がとれているんだけどね。



社長「
ありうるよ!そういうことは

みんな「?」

社長「
見てご覧よ、目のあたりとか、顎の張り具合とか

みんな秀吉を見る。

社長「
そうかー!ついにとらやさんにも跡継ぎができたか!よかったじゃないか!なぜそうなる…(^^;)

博「
そんなこと、決まっちゃいませんよ決まってないって言うより間違い ゞ(^^;)

社長「
似てるよ

おいちゃん「
似てりゃ親子か

社長「
そりゃそーだろ

おいちゃん「
じゃあおまえはタコそっくりだから、このタコおまえの倅か??

と、箸で小タコを持ち上げる。

座布団2枚(^^;)



      


で、警察に知らせることはおばちゃんが猛反対したので
警察や児童福祉関係への連絡は数日様子を見ようということに。

秀吉のリュックには父親の位牌が入っていておばちゃんの涙を誘っていた。
位牌を抱いて冥府魔道の旅を続ける秀吉だったのだ。


      


そして秀吉を捨てた母親の写真も2枚持っていて、意外に優しそうな堅気の美人だった。

「う〜ん」とみんな意外な顔で写真を見ていた。
なにやらいろいろ辛い事情がありそうだ・・・


        


さくら「
お兄ちゃん…会ったことあるのかしらこの人に

博「
どうかね…


     





翌朝、


柴又に戻ってきた寅。

江戸川土手



     


さっそく江戸川土手で
備後屋親子に悪態をつく。

寅「なんだい、これ、おまえの子供か?」

備後屋「そうだよ」

寅「わあ!可哀想に…、将来見えたようなもんだ」

怒った備後屋、自転車下りて石を投げつける。

備後屋「チキショウ!くやしかったら作ってみろってんだ!
     コノヤロー!ふられてばかりいやがって!」


     


息子も一緒に石を投げる。



とらや 店

寅 とらやに戻ってきて


秀吉に会うなりあけみの子供と
勘違いしてしまうが…


寅「
あれ?どっかで見た顔だなあ…

秀吉をまじまじ見て

寅「
坊や、家どこだ…?


     


秀吉、あけみに隠れながら

秀吉「
郡山

寅「
秀吉…か、おまえ

頷く秀吉

寅「
そうかあ、やっぱり秀吉かあ

寅「
おじちゃんのこと覚えてるだろう

首を振る秀吉。

とにかくこの秀吉くん、全篇通してほとんどセリフらしいセリフが
ありません(^^;)ゞ


寅「
あ、オヤジもいっしょか

しかしオヤジが死んでしまい、
母親もその前に蒸発してしまったらしいことを知った寅はショックを受けてうなだれてしまう。



とらや 茶の間


寅があとで言うぶんには

父親というのは背中に般若の刺青を入れている男で「
般若の政」と呼ばれてた男だったらしい。
飲む打つ買うの三道楽で、奥さんのおふでさんはずいぶん苦労し、泣かされ続けたらしい。

寅「子どもが生まれたということで、祝いを持って出かけてったんだ。
  極道者が、それでも嬉しそうな顔して、名付け親になってくれって言うんでな、
  よし、ここは一番バーンって張りこんでやれっていうんで、付けた名前が秀吉よ!


あ〜あ、寅が付けた名前だったんだねえ(ーー;)


     


母親は、気立てが良くて、
苦労しているからよく気が付き、涙もろくて、その上色っぽいそうだ(^^;)

酒を飲んだらおふでさんに暴力をふるってたらしい。今で言うDVだ。
そして、寅の予想通り彼女は意を決して出てしまったということになる。

寅は彼女の写真を手で持ちながら

寅「
寝ても覚めても想うのは息子のことばかり、
  おふでさん、すぐ会わしてやるからな。
  しばらくの辛抱だ




蛇の道は蛇。


さっそく小岩のポンシュウのところへ情報収集をしに駆けていく寅だった。

そして夜。

寅はおふでさんんが
和歌山にいることをつきとめる。

その夜は社長と寅と博で焼き鳥屋で酒を呑む。



さくらのアパート

満男は完全に『青年期』特有の自我の芽生えと苦悩が始まっている。
昔から『疾風怒涛の青年期』とはよく言ったものだ。

大学進学に疑問を投げかけて、親とも意見の合わない満男を観て
父親の博はこう言うのだ。↓


      



博「秀吉くんに比べればうちの満男なんか幸せなんだけどなあ…。
  いや…、なにが幸せかそれが問題か…



このシリーズの大きなテーマをポロリと口にした博だった。



      





翌朝  帝釈天参道

翌朝 みんなに見送られて寅と秀吉は母親を探す旅に出かけるのだった。


有)朝日印刷のライトバン 足立45 ち 20−26
トヨタ カローラ ライトバン


今回の朝日印刷は有限会社。
作品によって株式会社になったり有限会社になったりする。
怖い会社((((^^;)



      



みんな餞別などを渡して、励ましている。
出川哲郎さんも餞別を渡す。


      



千代さんの美容院
アイリスが見える。
ピンク屋根もなくなってシャッターは降りたまま(TT)


      



このシーンベタなギャグ2つ。

■車が出発して秀吉だけが残されるミニギャグ。


      


■源ちゃんがあけみに足を踏まれるミニギャグ。
う〜〜〜痛そう…(/_<。)


      




そのあと児童福祉相談所の人にこってり絞られるさくらだった。(
統一劇場の団員さん
母親探しはこちらでするので勝手にそういうことするな、と言うことらしい。
子供の面倒を見れない母親も多いとのこと。
確かに蒸発したあと違う男と暮らしている母親がいるのはよくあること。

たとえば、第33作「夜霧にむせぶ」で根暗男がいたが、あの逃げた奥さんは、違う男と
一緒にその男の赤ん坊を背負いながら新天地で幸せそうに暮らしていた。


ま、児童福祉相談所の方はガチガチの正論を言うが、
これだけは言える。寅はテキヤ仲間たちに聞いて母親の居場所を
その日のうちにつきとめることができたが、児童福祉相談所のスタッフさんたちには、
そのネットワークはまずないだろう。



      




その夜

大阪 天王寺駅前 派出所


とっくに和歌山に着いていなくてはならない時刻に
大阪天王寺駅の派出所から電話。

どうやら子供の誘拐犯に間違われて足止めをくったようだ。

おまわりさんはご存知、
イッセー尾形さん。
前作第38作で入院したおいちゃんの主治医さんをしていた人。

さくらに電話して裏は取れたみたいで安心していた。

結局この天王寺地区の宿に泊まる羽目に。


      


しかしこの天王寺駅から徒歩圏の「
新世界ホテル」になぜ泊まらないんだろう。
あそこなら第27作「浪花の恋」でも出てきたように、気兼ねなく泊まれるだろう。

寅はおまわりさんに宿を探させるが注文がうるさい(^^;)

おまわりさん「ビジネスでよろしおまんな」

寅「あ、ダメ、オレベッドってダメ、それから小さな風呂、腰掛けうんち、
あれ、全部ダメなんだよ。狭くってもいいから、畳の敷いた宿頼むよー」

おまわりさん「日本旅館ですな」

寅「うん、あ、ひとつだけ贅沢言わせてもらうとね」


      


おまわりさん「なに〜〜」

寅「
女中さんがな、夜の十時頃になると、『うちパートやさかいこれで帰る』
 ああいうところはやめてほしい。
 オレ寝る前に、熱燗でキューっと一杯やりたいの、うん、
 おかずなんか、これはもうイカの塩辛でいい。
 寝衣の上に色っぽい羽織りなんかちょっとひっかけて、
 女中さんが、お盆片手にスーっと入ってくる。
 『お待ちどうさま』『いやいいんだよ。こんな遅く悪いねえ』
 『いいのよ、どうせ私宵っぱりだから、さあ、おひとついかが?』
 『うん、じゃあもらおうか』『おまえもどうだい一杯』
 『あーそう、うれしい、じゃあいただいちゃおうかしら』
 フフフ
 そんなふうな感じで、一泊千円くらいの旅館ないかねおまわりさん



       



おまわりさん「フハハハハハハ」と不気味に高笑い。


       


おまわりさん「
日本の現状把握しとらんのとちゃうかあんた、
     フハハハハハハ!!あーあ



       


背中で分かりづらいが、
一緒になって笑っている渥美さん(^^;)





天王寺 安宿

で、形だけ畳であとは全部裏目のうらぶれた宿に結局泊まる。

パート正司敏江さんが、いい味を出していた。


       



ヤクザもんであった秀吉の父親
『般若の政』の位牌
テーブルの上に置き、カップ酒を供え、



        


寅「
釈善政か…、フン、
  何が『善』だい、フフフ…、
  悪いことばっかりしやがって、
  どーせ今頃は地獄の針の山かなんかでもって
  ケツかなんか刺されて『イテテテテ』
  なんて言ってんだろう。フ…。

  どんな人間でも取り得があって、
  悲しまれ惜しまれ死ぬんだよ。
  おまえが死んだって、悲しんだのはおめえ...
  サラ金の取立て人だけだったっていうじゃねえか、
  ったくなあ…情けねえな…。

  たった一度の人生を、どうしてそう粗末にしちまうんだ。え?

  おまえは何のために生きてきたんだ?



       


  
なに?てめえのこと棚にあげてる?? 
  あたりめえじゃないか、そうしなきゃ、こんなこと言えるかい



        




般若の政へのボヤキは、すなわち、寅自身への懺悔に他ならないのだ。
寅は常に自分の無為な人生に後悔している。
しかし、後悔しない人生など古今東西どこにもないのも自明である。



救急車の音


翌日  和歌山へ  JR 阪和線 電車


この年からJRになった。


熊取 和泉砂川あたりを走っている。

眠っている寅の手からおふでさんの写真がぽとりと落ちて
秀吉が拾って腹巻に入れる。
寅は寝ぼけながら起きて、またその写真手で持ち、そしてまた寝る。



      


このなにげない静かなやりとりにこのシリーズの粋がある。





和歌山駅前に到着



で、さっそく寅は人に聞いて


       





和歌の浦』に行く。



若の浦に 潮満ち来れば 潟をなみ 葦辺をさして 鶴鳴き渡る

山部赤人



          


当時宇宙回転風呂で有名だった『
北村荘グランドホテル』に務めていたらしいが
残念ながらここも辞めてしまって、
今は
奈良県の吉野の旅館で働いているそうだ(ーー;)


      


寅「
お客同士の揉め事があってな、それで居づらくなったらしいや。
  しょうがねえや、おまえの母ちゃん美人だからな



      


なるほどね。


その後、このホテルは倒産し、廃業した。
かつてはこのまるい浴槽がおそらく回転したのだろう…
倒産後長い年月廃墟となっていたようだ。↓



      




今度は『JR和歌山線』に乗って
奈良『吉野』へもうひと踏ん張り!



寅次郎と秀吉の旅は続くのであった。ふう〜〜〜〜


和歌山駅から奈良の吉野口駅まで約2時間。
吉野口で近鉄吉野線に乗り換えて吉野まで約30分、
その後ケーブルカーと徒歩、合計3時間半くらいである。


吉野川橋梁

吉野川流れる吉野町の街中が映る。



      



町の小さな化粧品店でビューティアドバイザーとして廻って、
カウンセリングをしながら商品セールスをしてる隆子さん。


スポンサーは花王ソフィーナ(基礎化粧品(ローション&クリーム))


      



夕方、仕事を終え、吉野の山を隆子さんの軽四が登っていく。
『銅の鳥居』の前を上がっていく。


      


この鳥居は「かねのとりい」と読む。
重要文化財で奈良の大仏の銅の残りでつくったと言われている。
「発心門」ともいわれます。
正平3(1348)年に高師直の兵火で焼失したあと、室町時代に再建された。
山上ヶ岳までの間に発心・修行・等覚・妙覚の四門があり、これが最初の門。
日本三鳥居(大阪四天王寺の石の鳥居、安芸の宮島の朱色の両部鳥居と共に)の1つ



八木屋 翠山荘



正面横の小さなスペースに無理やり車を停める。

おいおい隆子さん、
その玄関横のスペースは車の停めるスペースじゃないだろ。
そんな玄関横の目立つところに車止めるなよ、大きな駐車場がすぐ前の坂下にある。



       



疲れた顔で翠山荘にチェックインする隆子さん。
どうやら恋人と二人で来る約束だったらしいのだが彼は来ないらしい。

二人部屋に一人で泊まるので2割増と旅館のオヤジの笹野高史さんは告げる。



       


オット登場しました
谷よしのさん、
今回はこの後も登場かなりセリフが多い!


      


谷さんの役の名前をスミさん(澄みさん?)と言うらしい。


隆子さんは『梅の間』


谷さん「
いらっしゃいませ」「はい」「どうぞ



その直後  寅がフラフラになって
杖をついて飛び込んでくる。

       



      



なんとオヤジによると、
おふでさんはまたもや辞めてどこかへ行ってしまったらしい。
ああああちゃ〜〜〜またか…<( ̄口 ̄||)>!!!


秀吉がちょっと元気が無い。


      


理由はおふでさんへの嫉妬らしい…。

なんかいろいろ巻き込まれやすい受身的なタチなのかもしれんね(ーー)


ガックリ倒れこむ寅。


      


『萩の間』にとりあえず宿泊

谷さんやってきてちょっと疲れて顔色が悪い秀吉に

谷さん「
おやおや、大丈夫?ん」と2階へ連れていっていた。


      




夜 隆子さんの部屋

隆子さんの部屋には花王ソフィーナの箱が置いてあるので
寅と同じく売れて初めてお金がもらえるのかもしれない。
きびしいね…。




寅は隣の部屋で秀吉の容態が思わしくないのであたふたしている。
どうしたのかと谷よしのさんに聞く隆子さん。

谷さん「
子供さんが具合悪いrしいんですよ。男親やな…」と出て行く。


       




テレビでは吉本新喜劇がかかっていて、
「誰がカバやねん!」の
原哲男さんがでていた。


       





深夜 寅の部屋


夜中になっても容態がよくならない秀吉のことが怖くなりさくらに電話する寅。


       



さくらは、今すぐ医者に見せることを勧める。


       


おろおろする寅。

寅「
だから生き物飼うのいやなんだよオレ」 生き物飼うって…((((^^;)

宿のオヤジにタクシーを呼ばせる。


隣の部屋の隆子さんが廊下に出てきて


隆子さん「
大丈夫私が面倒みるから、お父さんはよ行きなさい

寅、驚きながらも

寅「
そうかい、どうもご親切にありがとう、すいません


      


この時点で、隆子さんは心の優しい気丈夫な人だと分かる。
普通見ず知らずの人に、なかなかここまでしないからね。



タクシー飛ばして病院に駆けつける寅。



菊田病院にたどり着く寅。


ドンドンガラス戸を叩いて、医者を呼ぶ。

中から眠そうな目をして出てきたのは
2代目おいちゃんの松村達雄さんだった。

専門外の耳鼻科医&すでに引退隠居したじいさん医者の松村さん。

寅はとにかく大声で頼み込む。

医者「
わしゃ耳鼻科だぞ

寅「
そんなことかまわねえって!かまうかまう ゞ(^^;)


      


診察室をかき回し、無理やりタクシーに押し込み旅館へ。

松村さん「こらー!」と止めるが寅は聞きやしない。

宿では秀吉が高熱でぜいぜいしている。

思っていたよりひどい状態だったので松村さんは仰天、必死になる。


      



隆子さん寅に

隆子さん「
一緒に暮らしていてどうして気がつかんの、こんな酷くなるまで

寅「
いや、昼間ピンピンしてたんだよ

隆子「
呆れた、それでもなの!

寅「
じゃないんだなこれが…


       



松村さん「
夫婦喧嘩なんかしとる場合か!バカ!!


       


松村さんは今夜が勝負と言い切る。


松村さん「
父さん!あんたもういっぺんわしの家に行ってな、
     この紙をばあさんに見せて薬もろうてきてくれ


と、メモの走り書きを渡す。

寅「


松村さん「
お母さん、部屋暖めなさい

隆子「
はい

松村さん「
それから、ご主人

オヤジ「
へい

松村さん「
コーヒー持ってきてくれ、インスタントでいい

オヤジ「
コーヒーが効くんですか、こういう場合は


      


松村さん「
ヴァカ!!わしが飲むんじゃギャグです(^^)

寅も便乗して「
常識だよ、バカ!寅も思ってたくせに((^^;)


寅はもう一度外に行こうとする。

隆子「
あ、お父さん

寅「
はい

隆子「
帳場に寄ってタオル何枚か届けるように言うて

寅「
うん!母さん!あと、頼んだぜ!母さんじゃないだろが ヾ(^^;)


      


松村さんの言うぶんには

松村さん「
薬が効いて、明日の朝熱が下がれば安心なんじゃが


ストーブを付けている隆子さん。

松村さん「
お母さん、お尻出しなさい

隆子さん「
はい?お尻?と自分のおしりを触る隆子さん。


     


そう聞こえるよね〜、隆子さん(^^;)


松村さん「
あんたのお尻じゃない、子供のお尻じゃい

隆子さん、顔を手で覆う。

これは第25作「ハビスカスの花」の沖縄の病院でのギャグのアレンジ。


松村さん「
なんちゅう母親じゃろうなあ〜あんたの言い方も悪いって ゞ(^^;)


秀吉を横にさせて、自分におしりを向ける隆子さん。

松村さん「
あんたが尻見たってしょうがない

また逆に秀吉を転がす隆子さん。

松村さん「
坊や、がんばれよ!おじいちゃんも一生懸命手当するさかいな

隆子さん「
しっかりするのよ、大丈夫やもんね

荒い息の秀吉。

注射のアンプル液を開けようとして
なかなかうまく行かない松村さんのミニギャグ(^^)



      



そしていろいろ治療があって…

何時間か過ぎ、  夜明け



ストーブが付いている暗い部屋。

秀吉小さな声で

秀吉「
おじさん、おじさん

隆子さんガバッと起きて

隆子さん「
なんか言った?


     


秀吉「
喉乾いた

隆子さん、秀吉の顔のそばまで近づいて

隆子さん「
喉乾いたの?


頷く秀吉。

隆子さん、秀吉のおでこや顔を触って

隆子さん「
いやあ〜。。。熱が下がってる!
    頑張ったね坊や!もう大丈夫よ。助かったのよ


と強く抱きしめる隆子さん。


      



隆子のテーマが流れる


寅を起こす隆子さん。


スタンドのライトをつけて

隆子さん「
お父さん、ねえ起きて!」と手をとって泣笑する隆子さん

寅「
…ダメか…

隆子さん「
違う!フフフ熱が熱が下がったのよ!


     


どうして隆子さんが秀吉にこうまで感情移入してしまうのかは
この夜に分かる。


隆子さんは、飲み物を自販機で買うために
まだ夜が明けきらない外に駆けていく。



     





柴又  とらや


珍しく、工場の中村くんとゆかりちゃんが
博のおごりでお昼ごはんを食べている。


     


さくら店にやってきて、寅からの電話を待っている。
みんな秀吉のことが気になっている。

博に言われて翠山荘に電話するさくら。


寅の部屋に繋いでもらったのだが電話に出たのは隆子さんだった。

隆子さんの声「
もしもし

え?って感じで、びっくりするさくら( ̄ロ ̄|||)?


     


さくら「
あのー…私…車寅次郎の身内の者ですが…

隆子さんの声「
あら、はい。お待ちください。お父さん〜


さくら、ふたたびびっくり煤i( ̄ロ ̄|||)??

混乱し、電話口の博を見る。

寅の声「
はい、はい、なんでしょうか?

さくら「
あの、あ、私、さくらよ」と言いながらも混乱している。


寅は笑いながら、安心した声で秀吉が回復したことを伝える。

秀吉が隆子さんになにか言っている。


寅電話を中断して



寅「
母さん、なんか呼んでるよ


      


さくら、またもやびっくり煤i((( ̄ロ ̄|||)???


簡単に礼を言って切ってしまう寅。

さくらは、秀吉が回復したことは喜ぶのだが…。

そのあと、「父さん&母さん」をずっと考え込んでいる。

博「
どうしたさくら?

さくら混乱してしまっている。

さくら「
でも…お兄ちゃん電話の途中で『母さん』って呼んだわ。
  そしたら女の人の声で「はい」て返事があたけど…



      


博「
それこそ空耳だよ。しっかりしろ


     


さくら「
そうね」と一旦は納得するが…。

さくら「
うそ〜〜〜〜これは倍賞さんの素の言い方(^^;)


     


さくら「
言ったわよ、確かに


この第39作では、とらやの職人さん↓がスクリーン上によく映っている。
そしてこの作品ではとらやはずっと忙しく繁盛していた。
実際はこのような職人さんが一日中いないと、団子屋は出来ないはずなんだ。
おいちゃんとおばちゃんがちょいと朝に作るだけではあれだけの品書きは無理。



     




もう一度確かめるために今度は博が電話かける。


で、もう一度


吉野  八木屋 翠山荘

旅館のオヤジが

暁伸・ミスハワイ師匠の漫才を見ている。


     


浪漫リズム(ロマンリズム)漫才の天才。


      



『これは素敵な チョイといかす。一節聴いたら ドンピシャリ〜♪』で始まるテーマソングで有名だった。

ミスハワイ師匠はど派手なムームーに金髪パーマのカツラで、ヘチマ型のギロをこすり上げ、
「行け!」、「いい声で歌わんかい!」と、
伸をけしかけながら舞台狭しと立ち回り、
甲高い声で「アーイーヤー」(ハワイ語で「さあ、行くぞ」の意味)を連発。
「アーイーヤー」は伸師匠が体調を崩し声が出なくなり間を繋ぐために突発的に生まれたフレーズらしい。

恰幅の良いハワイが腰を振りつつ右往左往すれば、伸がその容姿を
「♪立てばポスト(旧式)で、座ればだるま…」と扱き下ろしながら、
やおら「奥さん、明日も雨でンな」等と客いじりに移る、ペーソス溢れる芸風で一世を風靡。

オチは伸師匠が「寝ぐらへ帰るダンプカー…」で締めた。


電話がかかる

オヤジ「はい、翠山荘です。あ、車さん、ついさっき、買い物に行くとか言うて
出かけられましたけど、奥さんと二人で。…あ、よろしいですか、いえいえ、はいどうも」

電話切ってから。


オヤジ「
あ、…奥さんやなかったか。まあええわ、似たようなもんや

頭をブラシで刺激(TT)


          



呆然としている博。

さくら「そうしたの?いなかったの?」

博、頭がグルグルになりながら


博「
奥さんと出かけてるって…。
  確かそう聞こえたなあ…空耳かな



      


ビヨヨヨ〜〜〜〜〜ン(〜〜;)

博がギャグに参加するのは、この長いシリーズでも極めて珍しい。




隆子のテーマが流れる


すっかり紅葉の吉野



金峯山寺仁王門の前



階段の上で隆子さんの買い物を待っている寅。


門前の和菓子屋『萬松堂』で秀吉のために買い物をする隆子さん。


     


寅も隆子さんもまだ名乗り合っていないことに気づき笑う。


寅「
オレね、東京は葛飾柴又の車寅次郎ってんだ


     


隆子さん「
立派な名前

寅「
そうかねえ

隆子「
私淡路島で生まれて、
   あと四国やら関西やらいろんなところで育ったの。

   
高井隆子と申します


寅「
隆子ちゃんか

寅「
ちょっとなんか呼びにくいなあ

隆子「
フフ

寅「
母さんでいいだろう

隆子「
そうね、寅さんでも父さんでも似たようなもんやしね、フフ

寅「ハハハ」



仁王門をぬけて参道を蔵王堂へとゆっくり歩いてゆく。

山伏の一団とすれ違い驚く寅。




金峯山寺 蔵王堂


修験道の本山。その本堂がここ。

本堂(蔵王堂) 仁王門 ともにもちろん国宝。


お祈りをしている隆子さん。

寅「
長い間何拝んでたんだい?

隆子さん「
お礼言ったのよ、坊やの命が助かったから。
    五百円玉張りこんでしもうた



      



それを聞いて、急に恐縮した寅は

寅「
そういえば礼も言ってなかったな。ありがとう」と頭を下げるのであった。



      



隆子さん「
あ…

寅「
赤の他人のオレ達にこんなにまでしてくれて…

隆子さん「
あ、だって、父さんだって坊やと赤の他人なんでしょ

違うよ隆子さん、
寅は秀吉のゴッドファーザーんだよ。
名付け親であり後見人。知ってる?
赤の他人とはかなり違う関係。




寅「
うん、でもよー…母さんは…たまたま隣の部屋に泊まっただけで
  こんな騒ぎに巻き込まれちまって悪かったな



隆子さんは昨日のことを告白するのだった。
どうやら男の人と二人で泊まる予定が断られたらしい。
それで自暴自棄になって旅館の窓から下に飛び降りてしまおうか…。
なんて思ってたらしい。


隆子さん「
今は本当にあの男が来なくてよかった…。そう思ってるの。
     だって…、もしあいつが来てたら、父さんたちが隣の部屋で何してようと関係なく
     くだらない時間を過ごしてたに違いないもんねえ



       


寅「
そういうもんかねえ…

秀吉がチアノーゼ状態になり一番苦しかった時に、
隆子さんは手を合わせ続けて全ての神様と仏様に願をかけたそうだ。


       



隆子さん「
『この子の命が助かったら、私、酒でもタバコでも
    男でも断ちますから』…そうお祈りしとったの



       



寅、驚いて

寅「
はは〜、偶然だなあ、オレもねえ、
 女断ちますからって、そうお祈りしてたんだよ


隆子さん、吹き出して大笑い。


      


隆子さんの「男断ち」と寅の「女断ち」は一緒じゃない。
寅は最初から女性を断っているからだ。
どんなにその女性のことを思ってもその女性を自分の
恋人や伴侶にしようとしないなんてある意味極めて禁欲的だ。



隆子のテーマが流れる。



ふたりは蔵王堂の縁に腰掛けて、
あらためて秀吉の病気の回復を喜ぶのだった。



隆子さん「
お祈りが通じたかもしれんねえ…

隆子さん「
ほら、明け方、あの子が喉乾いたあ…、っていうたでしょう

頷く寅。

隆子さん「
唇見たら、赤い色が差してて、
    『あー、よかった、助かった…。そうおもうた時、
    あの子の命だけじゃなくて自分の命まで取り返したような…。



        



   
胸の奥から、冷たくて、きれーな水が音を立てて溢れてくるような、
  フフ…そんな幸せな気持ちがしてね


と涙ぐんでしまう。


        



隆子さんの今回のできごとに対するモチベーションは高い。
寅はおそらくこの時点で、隆子さんの人生に多くの悲しみが
あったことを悟っていたに違いない。

その言葉をしっかり受け止め、
般若の政の代わりに丁寧に礼を言う寅だった。


そこへ

宿のオヤジが秀吉がお腹すいたらしいと呼びに来る。

隆子さんは葛湯を作ってあげるらしい。

それと朗報。

オヤジがおふでさんの居場所を突き止めてくれたのだ。

どうやら
三重県の伊勢志摩に今いるらしい。

寅は喜ぶが、隆子さんの顔にほんの一瞬影がよぎる。

縁が遠くなっていくのが淋しいのかもしれない。


        




その夜 寅の部屋


布団を敷いてだべっている寅。

秋の虫が鳴いている


寅はおふでさんが本当に喜んでくれるかどうか自信がなくなっちゃったらしい。

寅「
ひょっとしたら金持ちの後妻になって先妻の子がいて、
  おまけに自分が赤ちゃん産んでたりなんかして
  そうなったらこら、どうするおい…
」と、弱気になる。

妄想がはじまってますよ(( ヾ(^^;)


        



寅「
はるばる訪ねていって迷惑な顔されるんだったらさ、
  いっそのこと、ここから柴又へ引き上げたほうがいいんだよ、なあ。
ええ…(00;)

寅「
もちろん、おまえの母さんも一緒さ」 

あ、あ!…結局はそっちの理由ですか(((^^;) 
ってか、おいおいおい昨晩の女断ちの願はどうした ヾ(^^;)



寅「
おまえ、となりの母さん好きだろ?な」 それはあんたやろ ヾ(^^;)

寅「
な、一晩中寝ないで、おまえのことを看病してくれたんだからあの人は

妄想が始まりますよ〜〜〜

メインテーマが静かに流れる。



寅「
あーあ…、おまえと母さんを連れて柴又へ帰る。
  さくらが聞くな『お兄ちゃん、どうしたの?』
  『うん、オレもいろいろ考えたけれども秀吉はオレの息子にすることにしたよ』
  『ああそう、よかったわね』『でも‥その後ろにいる美しい人は誰?』



         


 
なーんて聞かれたらオレなんて答えたらいいかな?
 え、な、おい、え、おい、よ、ほれ、…。
 なんだよ寝たのか…


一生言ってろよ ヾ(−−;)



その時部屋の襖が開いて隆子さんが入ってくる。



寅「
ん?

ちょっと酔っている。

お銚子とコップ持ってやって来て

隆子さん、秀吉を覗き込んで

隆子さん「
寝たの?坊や

寅「
ん、フフ、なんでい、まだ起きてたのか

隆子さん「
宵っぱりなの私

秀吉の寝相を直す寅

隆子さん「
父さんみたいな人もおるんやねえ…

寅「
え、いやあ、オレみたいなバカもそう滅多にいやあしねえや

隆子さん「
おらんよお、いくら友達とはいえ、
    他人の子供つれて、お母さん捜し歩いたりして…フフ



       


寅「
んー、ま、これは、渡世人の付き合いっていうか、しょうがねえやさらっと言うのがいいねえ。

隆子さん「
でも明日お別れやねえ…淋しそうな隆子さん。

寅「


ちょっと酔っていて

お銚子を倒してしまう隆子さん、寅が拾って、コップに注いでやる。

寅「
母さん、これからどうするんだい

隆子さん「
…小さな車に乗って…、八木、五条、橋本…、
    そんな旅がずーっと続くの…



       


寅「
んん…母さんも旅人(たびにん)なんだなあ…

隆子さん、そっと寅の方にもたれるようにして

隆子さん「
いつか父さんに会いたくなる時が来るやろなあ…


       


別れたくないんだね。

寅「
オレは一年中旅暮らしだから、いつだって会えるよ

隆子さん「
ほんと?


       


寅「
ああ、ほんとうさ

隆子さん「
じゃあ、その時まで男断ちして待ってよ


      


寅「
ああ、オレも女断ちして待ってるよ粋だねえ〜。


      



二人して笑い合うが、


隆子のテーマが柔らかく流れる。


隆子さんの声はやがて嗚咽に変わっていく。



      


寅「
どうした?



隆子さん、泣きながら

隆子さん「
私、粗末にしてしまったのね、
    大事な人生なのに…


と俯せになって泣き続ける。



      


寅、そっとカーディガンをかけてやる。

寅「
大丈夫だよ、まだ若いんだし、な、
 これからいいこといっぱい待ってるよ、な



      


うなずく隆子さん


      


泣きながら

隆子さん「
そうね…、『生きててよかった…』、
    そう思えるようなことがね、ううう…



      


隆子さんはそう言って立ち上がり…

秀吉の布団に入っていく。



隆子さん「
ここに寝てもいいでしょ

秀吉にくっついて

隆子さん「
あ、フフ、ぬくい〜〜、フフ

寅、隆子さんを見ている。

隆子さん「
私にもこれくらいの子供がおったんよォ…。
   可哀想に堕ろしてしもうたけど…



      


そうだったのか…。
それで昨日からの行動が納得できた。



隆子さん、寅の方を振り向いて

隆子さん「
父さん、ここに寝てぇ


      


第15作「相合い傘」のリリー思い出しました(^^;)

寅、ビビる
(((((^^;)

寅「


隆子さん「
ねえ

寅「
あ。そうしましょうか…と、ギクシャクしながら布団に入る。

顔のころに隆子さんの手が。( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∇ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄;)

はっと顔を上げる寅。



      



ちょっと手を横にやって

寅「
はああ、は、はあああ…

とワケの分からない擬音を出して上を向く。


一拍あって―


隆子さん「
あ???あれえ?どうしたどうした。

寅「
は!??

隆子さん起き上がって

秀吉の布団を剥ぎ取る

隆子さん「
なんか温いもんが!

隆子さん「
あ、!!いやあ!!

寅「
やったな!!

秀吉の噴水のようなションベンがもろ寅の口にΣ(|||▽||| )


      


寅「
ぷはあ!!きたねえ!飲んじゃったよゴクッと!ブハ!
  あーしょっぺえ!しょっぺえ〜!
」  ワッ…バカ…(ノ_-;)


      


ご愁傷さま チ〜〜〜ン(TT)


      






翌朝  大和上市駅 ホーム


なぜか 翠山荘の近くにある吉野駅からは出発せず
かなり遠い大和上市駅から出発


いろいろロケの際の事情があるんだろうね…。


電車に乗って窓から別れを惜しんでいる3人。

隆子さん「
さよなら。体に気をつけてね

と秀吉の顔を触っている。


       


寅、秀吉に、

寅「
礼を言え

秀吉「
母さん、どうもありがとう

本当に秀吉くん数少ない台詞の一つです((^^;)


淋しそうにほほえむ隆子さん。

寅「
母さんもよ、今度会う時は、
 もっと幸せになってるんだぞ。な
」 


寅が言うと、嫌味がないね。
寅にしか言えないいい言葉だねえ…。


       



微笑みながらうなずく隆子さん。


      



笛がなって、エンジンが動き出す。


隆子さんに一瞬悲しみの表情が現われる。


       



動き出す電車。『急行 あべの橋」6053


秀吉「
バイバーイ


     


寅「
母さんも元気でな!

隆子さん「
さようならー!!


     


秀吉「
バイバーイ!!

隆子さん「
バイバーイ!!」と大きく手を振り続ける。

電車が遠くに去っても

秀吉の声「
バイバーイ!!

隆子さん「
バイバーイ!!


     



悲しみのBGMが流れる。


一人残される隆子さん。

強烈な孤独が隆子さんを襲う。



     


     



淋しく駅を出て、

一人軽四に乗り込み、去っていく。



     




寅たちを乗せた列車は―


大和上市駅ーかしはら神宮前ー大和八木駅ー鵜方ー志摩神明 約3時間半


『近鉄志摩線』の特急が走っていく。


     



こうして寅と秀吉は志摩神明まで辿りつくのだが、


     




伊勢志摩

登茂山から見た英虞湾


なぜか最後の最後がなんと船!で、英虞湾を入り、賢島まで行くのだ。
ここの湾にはもちろん各島々を結ぶ小さな連絡船で着いたと思われる。

何らかの理由で志摩神明に行かずに、違う島に行ってしまい、
そこから連絡船に乗ったのだろう…。無理があるなあ〜〜〜(^^;)ゞ



船長さんはお馴染み『すまけいさん』

前作「知床慕情」につぎ、2作品連続船の船長役。

同じようにへたな歌をうたう(^^;)

船長「
♪飲み過ぎたのは〜〜〜、あなたのせいよ〜〜〜

『男と女のラブゲーム』


     




賢島に上陸


松井真珠店 

三重県志摩市阿児町神明733の4


寅は、松井真珠店の女将さんである河内桃子さんから
おふでさんが病気で入院し、
今はこの店の別邸で静かに暮らしていることを知らされる。


女将さんはおふでさんが秀吉のことをいつも気にして
それが原因で病気になってしまったことを知っている様子だった。


     


めちゃくちゃな車の運転をするすまけいさんに
運転させて三人はおふでさんが静養する別邸へ。


河内桃子さんの抑えた確かな芝居はよかった〜。


     




海のそばの 松井家の 別邸


うわッ、かなり朽ちているな…。
普段人が住んでいないとこうなるんだね。


寅「
あ〜。これはいいとこだ

すぐにおふでさんを呼びに行く女将さん。

寅「
おふでさんはやつれてるかい?

船長「
手術したあとはこんなにやせとったけど、この頃はもう、すっかり

ちょっと安心する寅。

寅「
そうか、そらよかった…



家の中で女将さんの声「
ほんまや〜、嘘なんか言うわけないでしょ




寅小さな声で秀吉に

寅「
母ちゃんだぞ

入り口のほうを見ている秀吉。


     


半信半疑で走って入り口から出てくるおふでさん。


おふでさん「
…!!寅さん…


     


寅、にこっと微笑む。


寅「
息子を連れてきたよ


     


秀吉を見つめるおふでさん。


     


寅「
さ、行け


     




と、秀吉を送り出すが、秀吉はそこに止まったまま。


おふでさんを見つめる秀吉。


     


寅「
秀、思い出したろ、母ちゃんだぞ

オラ「
行け」とさらに一歩押し出す。

何歩かゆっくり進んでいく秀吉。

緊張感のある音楽

ふでと秀吉のテーマ大きく流れる。


秀吉に駆け寄り、

秀吉を掴み、ひざをつくおふでさん。



     



秀吉を見つめるおふでさん。


秀吉「
お母ちゃん



     


想いが吹き出すように秀吉にしがみつき嗚咽するおふでさん。


おふでさん「
ううううう…ごめんね…
    ごめんね…うううううう



     


次第に泣き崩れていくおふでさんだった。

彼女の後悔も懺悔も全て涙と共に吹き出していくのだった。



     


目をうるませて静かに見守っている寅と船長。

放心状態で見ている女将さん。


     


おふでさん、ハンカチで涙を拭きながら

おふでさん「
寅さん、いったいどういうわけ?…


     


寅「
般若の政はな、‥死んだよ


おふでさん「
え…」と寅の顔を見る。


     


寅「
この子をオレに頼むと言い残して


おふでさん、何かを思い出すような目。

寅「ま、思い出したくもねえような男だろうけれども、
 あいつも仏になっちまったんだ。
 勘弁してやってくんな



     


おふでさん、また嗚咽している。


おふでさん、立ち上がり

おふでさん「
ありがとうございます。
     とんでもない御迷惑かけてしまって


寅「
礼を言われるほどのことはねえよ。
  名付け親としてあたりめえのことをしただけだ。
  なあ秀吉



寅にまとわりついている秀吉。


数時間の後…


寅からの電話

寅は、さくらにことの顛末を電話している。

喜び安心するとらやの面々。



     


寅はこのあとすぐ帰るとさくらに伝える。


     




賢島 松井真珠店及び連絡船乗り場付近


女将さんが今夜おふでさんと夕飯を食べ、
宿泊もしてもらうと決めているのに
寅は振り切る思いで、それらを断り、
この地を去ろうとする。



寅「
奥さん、どうぞ、おふでさんとあの子のことを
 よろしくお願いします。それでは失礼します


とお辞儀をし、船に乗ろうとする。

秀吉は寅と離れたくない。
急いで船まで駆けてくる。

秀吉「
おじさん!おじさんどこ行くの!?

寅「
おじさんはな、これから柴又へ帰って、
  秀吉が母ちゃんと会えたってことを
  みんなに話してやるんだ


秀吉「
オレも一緒に帰る


     


寅しゃがんで

寅「
なに言ってんだ、お前はここに残るんだろ

秀吉「
いやだ!おじさんと一緒に帰る!


     


寅、真剣な目になって、立ち上がる。


     


船長「
どうだい、せめて一晩泊まっていったら…

寅「
頼むから口出さねえでくれ寅の決意は固い。


メインテーマが静かに流れる。


寅「
いいか秀よーく聞くんだぞ、おじさんはな、
  おまえのあのろくでなしのオヤジの仲間なんだ。
  いい年をして、おっかさんの世話もみねえ、
  子供の面倒も見ねえ、
  …そんな粗末な男におまえなりてえか?



秀吉は悲しみで泣き始めている。


     


寅「
なりたくないだろ秀。
 だったらな、このおじちゃんおことなんかとっとと忘れて
 あの母ちゃんと二人で幸せになるんだ。
 わかったな、わかったら早く行け!



秀吉は嗚咽しながら

秀吉「
おじさんと一緒がいい‥ううう


     


寅はきつい目をして


寅「
これだけ言ってもわかんねえのか。おじさん怒るぞ


     


寅「
行け!これで涙拭いてっっさと行けとハンカチを渡す。

泣き泣きよろよろ戻っていく秀吉。

女将さんの胸でエンエン泣いている。


女将さん「
寅さん…それじゃあ…

と、あまりの仕打ちに悲しんでいる。



お辞儀をして、船に乗り込む寅。



     


船の名前 いそぶえ


寅「
船長行こ

船長「
なんちゅうことや…


船が岸を離れていく。


秀吉は、思い切って防波堤の方へ走る。

桟橋を走り寅を追いかけてくる。



船長「
寅さん!ほら!


別れのテーマ曲(ふでと秀吉のテーマ)が流れる


秀吉泣きながら走り続ける。


秀吉「
おじさん!!


言葉とは裏腹に身を乗り出して秀吉を見ている寅。


      


秀吉「
おじさーん、行っちゃダメ!!


      


秀吉「
おじさーん!!おじさーん!!


ハンカチを地面に投げつける秀吉。


遠ざかっていく船



船長「
ええのか行ってしもて

寅「
かまわねえ、どんどん行け


     


船長「
せつないことやなあ」と、うるうる。


     


秀吉、ハンカチを拾って、また泣いている。


     


もう二度と秀吉のもとには戻ってこない寅だった。


     







東京  柴又 題経寺


    


御前様「よかった。本当によかった。
    仏様が寅の姿を借りてその子を助けられたのでしょうなあ



    


さくら「
まあ、もったいない、
  兄のような愚かな人間が仏様だなんて、
  バチが当たりますよ御前様



ちゃうちゃう、さくら。
寅そのものがずっと仏様なのではない。
仏様が秀吉を母親に会わせるために
一時的に寅の姿を借りて旅をしただけ。
よく理解して欲しい。

寅は無欲なので仏様が中に入りやすいということ。




御前様「
いや、そんなことはない


御前様「
仏様は愚者を愛しておられます。
    もしかしたら、私のような中途半端な
    坊主よりも寅の方をお好きじゃないかと、
    そう思うことがありますよ、さくらさん



     


さくら、恐縮して

さくら「
おそれいります


源ちゃん、境内の葉っぱで焼き芋焼いて食べている。

源ちゃん「
コホコホ

ニコッと笑ってさくらにも勧める。


     


ウマそうに食べている源ちゃん。

御前様「
あれは…愚者以前です。困った〜〜


      


笑っているさくら。


ひたすら愛を与えることだけを生きがいとして、
愚かだが無欲に生涯を貫いていく孤独な寅の真骨頂が
この言葉に集約されていた。
無欲という意味では寅はお坊さんたちよりよっぽど無欲。
さすが御前様は人間を見ている。


それにしても、
あのまま児童相談所に秀吉を持って行っていったとしたら
伊勢志摩の母親まで情報をたどっていくことができただろうか…。

行政というのは確かなことを粛々とやってくれるが、
一人の子供の為に何日も何べんも粘り続けて探してはくれない気がする。
決して家族のように一歩も二歩も踏み込むようなことはしないんだよなあ。






とらや  二階


とらやに帰って来たさくらは、寅のお昼ごはんを持って二階に上がる。
御前様が褒めていたことを伝える。

寅は秀吉との別れがこたえたようである。
やや疲れた表情をしている。



      


あけみとおばちゃんが「からみ餅」の話題を一階でしている。

大根おろしに醤油をかけて焼き餅につけてパクリと食べる。

      



さくら「
お兄ちゃんはね、仏様に愛されてるんだって


寅「
フフフ、冗談じゃねえや、
 仏に好かれたっていい迷惑だい。
 今度お参りしたら言っとけ、
 そっちはその気でも、こっちは愛しちゃいねえよーって



      


いいねえ寅のこの感覚って。
仏様ごときでは、シッポ振って喜ばないところが自由人だ。


さくら「フフフ、いいの、そんなこと言って

と、お茶をいれる。


      


この時、二階廊下の開かずの仕切戸が初めて見える。
向こうは荷物部屋。その間に小さな物置部屋。
これはとても貴重な映像。↓



      


さくら「
もう師走よ。早いわねえ、一年経つのって

寅、意を決したように

寅「
さて、ぼちぼち旅に出るか


      


と、立ち上がる。

せっかく持ってきたお昼ごはんも、
今入れたばかりのお茶も飲まないのか…。



漬物用の白菜が干してある。


さくら、びっくりして

さくら「
もう行っちゃうの?

寅「病気でもねえのに、

ハンテンを粋に肘だけでポーンと脱いで―

こういう立ちふるまいがいいねえ、渥美さんは。

     


寅「フラフラ遊んでたんじゃ、
 お天道様に申し訳ねえからな



吊るしてあった背広を着る寅。


さくら「
くたびれてるみたい。働いて大丈夫?


秀吉と無理やり別れたのがきつかったのかも…



寅「
働く?


      


頷くさくら。


寅「
フ…、何言ってんだおめえは。
 働くって言うのはな、博みてえに、女房のため、子供のため、
 額に汗して真っ黒になって働く人達のこと言うんだよ。
 オレたちは口からでまかせ、インチキ臭いものを売ってよ、
 客も承知でそれに金払う、そんなところでおまんまいただいてんだよ



さくら「



かばんを閉じて、廊下に出る。


      



さくら「
お兄ちゃん…、それが分かっていながら…


寅「
それが渡世人のつれえところよ…


     


と、下りていく。


さくら、寅の財布をお膳で見つける。


さくら「
あら」とすぐつかんで渡しにいこうとするが、

ふと立ち止まって…。


寅の財布の中を見て、自分の財布を開け、
一万円札を出して、
寅の財布に入れてあげるのだった。


      


おいちゃんと、おばちゃんに目配せをして出て行く寅。


      


おいちゃんもおばちゃんも止めるが

寅「
また近いうち寄るから」と出て行こうとする寅。


さくら二階から下りて、奥から走ってきて

さくら「
お兄ちゃん、忘れ物」と財布を渡す。


      


寅「
おお!なんでい、
  
命より大切なもの忘れるところだった、ハハハ


      


ちょうど満男が帰って来て、

さくらは満男に駅まで送らせる。



        
     

おいちゃんとおばちゃんに目で別れを交わして、

すっと去っていく寅。

渥美さん、なんてテンポがいいだ。カッコいい。




【このシーンの不具合について】


ところで、このシーン↓で、なんと、
満男が約10秒以上とらやの左横でスタンバイしているのが
この本編でスクリーンに映ってしまっている。






体(腕)とかばん↓が映ったまま10秒以上スタンバイ。


     



その後にさくらが寅に財布を渡すシーンでは、ズームが使われるため、角度が変わり、
最後はスタンバイしている顔まで映ってしまっているのだ。      

「予告編」でスタンバイシーンが映っているのは何度か目にしたが、
本編で、しかもレギュラーの満男が、スタンバイしているのが映っているのは
極めて珍しい。


今までも何度か「予告編」などではこういうスタンバイの
姿がちらっと見えたことがあったが、
「本編」で、それもレギュラーの満男がとらやの横で
立ち止まっているのはえ?なんだろ?って異様だった。


  顔も見えてしまっている↓


     


最初はミスだって思わずに「え?満男そこでなにやってんだ?」
って真剣に悩んでしまった。

寅伯父さんに気を遣って会う前から離れて待ってるとか??

でも、満男があそこでずっと止まっている話の運びのわけないし…。
あそこで10秒以上もぼんやり止まる理由がまずない。
だいたい満男はあのあと寅に気づかずとらやを素通りしようとするのだから。

ただ、観客はスクリーン右の寅とさくらの芝居をひたすら見ているから
左のガラス戸の向こうの満男の顔までは見ない。

私もなんども観ているのに、今日の今日までまったく気づかなかった。

(ちなみにさくらはほとんど満男を見ないまま満男を発見している)






       




そしてタイミングを見計らって吉岡くんは店の前まで動き出す。


とにかく正式な「本編」でこんなことははじめてだった。
びっくりした〜。

映画と違ってDVDなどでは何度も見るので
こういう発見がしばしば起こりうる。
ファンにとってはお宝映像で嬉しい限りだが、
当時のスタッフさん達にとっては
うわっ、ついにわかっちゃったな…。って感じかもしれない(^^;)




物語に戻って…



手を振るさくら。



     





柴又駅前



駅前で、参考書でも買えと3千円ほど満男にやる寅。

さくらがお札を増やしているので

寅「
あれ?ちょっと増えてんのか?んなことないか万札が増えてるよ ヾ(^^;)


      


満男は駅での別れ際に寅に
自分の悩みを投げかけるのだった。



満男「
伯父さん…

寅「
なんだ

満男「
人間てさ

      


寅「
人間どーした(^^;)


満男「
人間は、何のために生きてるのかな?


寅「
……んな、おまえ〜」と満男をジロジロ見ながら

寅「
難しいこと聞くなあ、えー

寅、ちょっと考えながら

寅「
んー…、なんて言うかなあ…、
 ほら、『あー生まれてきてよかったな…』って
 思うことがなんべんかあるじゃねえか、ねえ、



      


寅「
そのために人間生きてんじゃないのか


それ、隆子さんの言葉だったね。


      


満男「
ふーん…」と寅の言ったことを考えている。


      


寅「
そのうち、おまえにもそういう時が来るよ。な…


寅、にこっと笑って、満男の肩を叩き

寅「
ま、頑張れ、な


      



そして、言うなり、すっと駅の方へ歩いて行く寅だった。


      


一人残された満男は…


師走の喧騒の中、淋しく参道を帰っていく。



      







正月 とらや 店


隆子さんがなんととらやに遊びに来ている。




若い女性が2人ほど手伝いに来ている。
これは珍しい状況。


まあこの作品は、とらやがとても繁盛している。


      


小さな電気ストーブだけつけて、庭の窓も開けっ放し。
これはこの季節寒いだろうなあ〜〜〜(^^;)



みんな、草団子やおでんを出してもてなしている。
忙しい時に来てしまって恐縮している。



      


隆子さん「
でも安心した、あの坊やがお母さんに会えて

と、ふでさんからの年賀状を見ている隆子さん。


      


なるほど、秀吉のことも心配で、
隆子さんはわざわざ関西から柴又へ来たんだね。




隆子さん「
今ごろどこにいるのかなあ…父さん伊勢の二見浦におります(^^;)

博もさくらも驚く。


隆子さん「
あ、フフ、いけない、寅さんやった。
    私、いっつも『父さん』って呼んでたものだから、フフフ


さくら「
じゃあお兄ちゃんが『母さん』って呼んでた人は…

隆子さん「
私なんです…


       


さくら「
‥!どうして?だよねえ(^^;)

隆子さん「
私は坊やのお父さんだと思って
    『父さん』って呼んでたんですよ。
    そしたらねえ、



さくら「
ええ

隆子さん「
寅さんたら、
   私のこと母さんだなんて、フフフ



       


博とさくら、ようやく事の真相がわかって大笑い。


       


タコ社長が入って来て

社長「
お美しい方ですね…」と、ワケがわからないこといきなり言っている始末。

おばちゃん、隆子さんに社長を紹介、

おばちゃん「
この人ね、博さんの務めている工場の社長のタコ。
     あ、間違えちゃった


おばちゃん「
あれ?あんたなんて名前だっけ?」とボケる(^^;)

設定的には『桂梅太郎』
ただし、映画の中で呼ばれたのは『堤梅太郎』(第6作)



       


みんな大笑い。


社長「
ひどいねえ〜」と漫才している。


さくらのテーマが流れる中


おふでさんのナレーション。


おふでさんからの年賀状

文字が映る。


       



おふでさんの声「
あけましておめでとうございます。

      寅さんをはじめ、みなさんのお陰で
      秀吉と二人、幸せな正月を迎えることが出来ます。
      つらいことはいろいろありましたが、
      今、生きていてよかったと心から思っております。

      正月元旦  賢島にて

      ふで 秀吉



伊勢 二見浦


またもや、同じ場所の伊勢で正月の縁起物をバイしている寅。
毎回毎回本編で一度出てきた土地と同じエリアに
ラストでわざわざ寅が旅費使って舞い戻ってくるなんてありえないって。
もう全48作中ほとんどの作品で本編中のロケとラストのロケが重なっている。
もちろんロケの都合と予算の都合で同じ土地になるのは百も承知なのだが…(^^;)


   


私も大阪時代、小学校高学年の修学旅行で、伊勢志摩に行った。
これはその時の集合写真。夫婦岩が同じ構図(^^)

さて私はこの中のどれでしょう(^^)↓
え?わかるわけないってヾ(^^;)



    



夫婦岩の海を見ながら満男の問いかけを
今も自分に問うている寅だった。



    


一応、ポンシュウにも聞いてみる寅だったが
ポンシュウは皆目わからないようだった((^^;)



そして!なんと、超偶然、というか、お約束(^^;)というか…


おふでさんと秀吉、そして船長の3人で
お伊勢さんの初詣に歩いているのを見つける


すぐに岩陰に隠れる寅たち。


ポンシュウたちも一緒に隠れて、



     


ポンシュウ「
なんで隠れんだよ

寅「
オレたちのような人間がな、声をかけちゃ迷惑なんだ。
  それくらいのことわかんないのか、バカヤロウ


楽しそうに歩いていく3人。


     


秀吉がおもちゃと風船を持っている。

船長、風船を持ってあげて、手から離れそうになる『芸』をする。
この芸は絶品。



     


大笑いしているおふでさん。幸せそうな笑顔。

二見興玉神社と 龍宮社の間に架かる赤い契(ちぎり)橋を渡っていく3人。
【二見シーパラダイス】の水族館に行くのかな…


寅遠くで見守りながら

しみじみ…

寅「そうか…、船長が秀のてて親か、
 いいだろう、あいつだったらいいだろう


船長独身だったのか…(^^;)


     


バイに戻る寅。


寅「
さあ!ヤケのヤンパチ日焼けのナスビ、
 色が黒くて食いつきたいが、
 あたしゃ入れ歯で歯が立たないよ!
 どう!四百!四百円!どう!え!
 四谷赤坂麹町チャラチャラ流れるお茶の水、
 粋な姐ちゃん立ちションベン!さあ!
 白く咲いたがユリの花、四角四面は豆腐屋の娘、
 色は白いが水くさいときた!



      



伊勢の海が映って



      
















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449

                          

           お気楽コラム   寅次郎な日々  
 たぶん…一週間に一度くらいアップかな…






第18作「純情詩集」オープニングの駅舎判明!

 
上田鉄道別所線 中塩田駅



2010年7月30日 寅次郎な日々 その449

この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。



このシリーズのロケ地探しで、どう考えてもあそこだなあ‥って思うし、他の人もそうだねたぶんと、
言ってもいるんだが、どうも最後の決め手が見つからずに何年もお蔵入り…。っていう場所がたくさんあるが
その典型が今回紹介する信州 上田電鉄別所線の駅舎だ。

このシリーズで別所線は3駅も登場する。

ひとつは第18作「純情詩集」で、寅が無銭飲食で捕まり、さくらが半泣きで迎えに行き、
こけそうになっていた「別所温泉駅」



      





もうひとつは第35作「恋愛塾」のオープニングで谷よしのさんとの掛け合いがある「舞田駅」



      





しかし、実はもうひとつある。

同じく「純情詩集」で、オープニングで寅はいつものように夢から醒めるが、
それが別所線のある駅舎横の床屋なのである。

近所の家の妹がお兄ちゃんを「昼ごはんだよ」と呼んでいるあのシーンでだ↓



          



この映画のシーンで左端にギリギリ駅舎が見えるが↓、どうやら駅舎の玄関のほうではなく裏のほうだ。


      



どうもこの駅舎の形が「別所温泉駅」のスタイルに似ている感じがするのである。
「別所温泉駅」は、一番上の画像でも分かるように
屋根が腰折れになったきれいな「マンサード屋根」のスタイルでなかなかおしゃれな感じだ。



そもそも、この別所線は電車も「丸窓」を採用した「モハ5250 丸窓電車」で、なかなかおしゃれなのだ。
この電鉄の昔からのコンセプトは私のツボ。

丸窓はさくらが乗った時に映っていた。



          





で、話は戻って、第18作のオープニングのこの駅舎も
なんか別所温泉駅舎同様「マンサード屋根」っぽいって前々から思っていた。
別所線の駅舎で当初マンサード屋根を採用したのは確か別所温泉駅と中塩田駅だけ。

中塩田駅のマンサード屋根の写真はいくつもあるが全て表側からのカッコいい写真ばかり。
そりゃそうだ、普通は駅舎の表の方が当然カッコいいのだから(^^;)
駅舎の表側は別所温泉駅舎と似ている。同じ頃にきっと建てたのだろう。


私は実は10年ほど前にこのあたりを一泊旅行で旅している。無言館と信濃デッサン館の2つの美術館が
旅のメインだったのだが、ついでに寅が旅をした場所をぐるっと別所温泉から塩田平そして前山寺と巡ってみた。

しかし、この「中塩田駅」のことは頭をよぎらなかったのだ。残念…。


とにかく映画では上の写真の通り駅舎の裏がスクリーン左隅に映っている。
だから裏側からの写真があれば第18作OPのあの床屋さんの空き地向こうに映っているのが
「中塩田駅舎」の裏手(別所温泉方向側)だとはっきり分かるのに…。
2005年当時インターネットで探しても本で探してもどこにも駅舎の裏手は載っていなかった。

と、思っていたのだが…、


昨日、ご家族でマニアックな冥府魔道のロケ地巡りをされている「ちびとらさん」との会話で
この別所線の話題が出たことをきっかけにもう一度頑張っていろいろネットで探してみた。

なんと、数年のうちにいろんなサイトや撮影写真が誕生していたようで、
あっさり駅舎の裏手画像も見つかった(((^^)ゞ
見つかるときは見つかるんだね〜〜。

で、ちょっと拝借して…。すみませんm(__)m


やはり写真で見る中塩田駅舎の裏の構造は
第18作のあの駅舎の裏と一緒だった!




          壁から突き出たひさしの下のトタンや灰色の物入れもまだ健在。↓

      



         映画のアップ↓

      




        その後...月日は流れ、ひさしの下のトタンは取り壊され、蔦が絡んできた頃。

       





          この床屋さん、看板は「フジタ」と読める。今はもうないのかもしれない↓
                                     
        






ちなみに中塩田駅舎の表側は↓のようになっている。
別所温泉駅と同じくかっこいい。大正10年の建築。
2つの駅舎はおそらく時期に建られたと思われる。
2つともマンサード屋根の様式だ。



           





        中塩田駅舎↓

       




        別所温泉駅舎↓

       




で、現在は別所温泉駅舎同様、ついに中塩田駅舎補修&化粧直しされて綺麗になっている↓

しかし、本音は補修される前にあの風雪にさらされた駅舎をスケッチしたかった!!
ああ…無理だあ〜、そこまでの往復交通費が無かった……ガクッ 〇| ̄|_

補修に対していろいろ思うところはあるがあのまま放置され、どんどん崩れていくよりずっとよかった。



            






おまけ(^^)↓

ちなみに別所線の中で近年新しく建てた駅舎もいくつかあるが、
上日原駅(うえだはらえき)はマンサード屋根の様式を小作りに可愛く再現している(^^)

     




ダイジェスト版もたまには進めないといけないので次回のコラムは
第39作「寅次郎物語」本編の超簡単ダイジェスト版をアップします。
8月8日前後になると思います。





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マイケルが見下ろす江戸川、そして去りし夢

第24作「寅次郎春の夢」


2010年7月21日 寅次郎な日々 その448

この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。


ようやく第24作「寅次郎春の夢」の本編完全版完結編作業が終わった。
この数カ月はいろいろ忙しくて大変だったが、なんとか終わってほっとしている。
予定より3ヶ月も遅れてしまった。


もう誰も待っていないとは思いますが、明日あたりにアップします。


ところで、この作品のラストで、失恋したマイケルがJAL機に搭乗し、アメリカへ帰って行くが
その途中、なんと眼下に江戸川の流れが見えるのだ。

航路的にはあり得ないが、映画的にはこれでよし。

あの窓から見下ろした表情から万感の想いが溢れていた。



大の寅さんファンである浜松のKさんが詠まれた歌を思い出す。


『蝶々夫人は「春の夢」  見下ろす江戸川、去りし夢。』




で、今回、あのマイケルが見た眼下の風景は
実際はどのあたりなのかをちょっと確かめてみた。



まず状況はこうである。↓




アメリカ行きのJAL 機内



マイケルを乗せたアメリカ行きのJALの機体が江戸川上空を飛んでいく。


機内誌を配っているスチュワーデスさん。



マイケル「あ、ちょっと

スチュワーデス「
はい

マイケル「
あの下に見える川はなんですか?」英語



        



スチュワーデス『たぶん…江戸川だと思います』と答える。

マイケル「エドガワ…、

スチュワーデス「はい

マイケル「
エドガワ…と懐かしそうに窓を眺めている。


        



        


当時の助監督さんによると
実際の江戸川の俯瞰撮影は小さなセスナ機で行われ、
なかなかスリリングで結構冷や汗ものだったそうだ。

成田からアメリカへゆく場合、
わざわざ江戸川上空を回ってから太平洋へ飛び立つ意味があるわけない。
いくら飛行機とはいえ、かなりの大回りになる。ま、映画ですから(^^;)




蝶々夫人のある晴れた日が静かに流れる。



ちょうどその頃、
マイケルの眼下に見えるその江戸川土手には
さくらが博と満男と一緒にいたのだった。


何も事情を知らないでグローブをはめながら
ゴロゴロ転げまわって土手を遊ぶ博と満男。




         
                  


さくらは、草むらに座り、
遠く飛び去っていく飛行機を眺めながら、
涼やかな表情でマイケルとの思い出を懐かしむのだった。



          



         




第一作以降、さくらを母として妻としてのみ表現してきた山田監督が
たった一度だけ一人の女性としての役割をさせたせつない作品だといえる。

そういうこともあって、私は、この第24作、江戸川土手に座り
空を見上げているさくらの表情と、窓から江戸川を見て思い出にふけるマイケルの表情が
共々大好きなのだ。




        





で、本日のコラムの本題。



映画のこのシーンを航空写真を参考に調べてみると
超偶然に江戸川と柴又付近が映っていた。
マイケルって凄いラッキー。普通ありえない ゞ(^^;)


             マイケルが眺めていた風景(映画のシーン)

       





全く同じ位置をグーグルアースで再現し、
近寄ってみよう。
Aマークが柴又駅

      






近づいてみる。
Aマークから左が帝釈天参道。そして題経寺。


       




低空飛行でもっと近づいてみよう。
参道がしっかり見えてくる。
高木屋、川千家の赤屋根、亀家などの屋根が見える。左に大きく題経寺。
つまりマイケルの窓から見た視野に柴又の町が全て入っていたのだ。



       





マイケル視線のまま、ちょっと江戸川土手の方を見てみると、二本の金町給水塔が見える。
とんがり帽子の方の土手
(赤丸)でさくらは飛行機を見上げていた。


       





つまりマイケルの窓からの視界にさくら(↓赤丸)もなんと入っていたのだ!!

     




よかったねマイケル。

君の視野の中にさくらはいたよ。

そしてさくらも君の飛行機を見ていた。


Good luck Michael. 
            




         










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「春の夢」ラストの天神社のこと

第24作「寅次郎春の夢」


2010年7月11日 寅次郎な日々 その447

この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。


数日前から富山で別の展覧会を開いている。

あー、それゆえ、またしても第24作「春の夢」の本編完結編が停滞。
パソコンが長くいじれない。

それでも、なんとかやっとこさラストまで来ているのだが、ここで解決できない疑問が沸き起こった。


失恋の後、いつものようにラスト、寅は正月にバイをする。
そこへ初代ポンシュウ(小島三児さん)が合流。
奥さんに逃げられている父子を慰めようと思ったらなんと新しい奥さんがもういた、って言うオチ。

あのシーンは海の向こうに見える地形を考えると、
第16作「葛飾立志編」のラストの場所とほぼ同じ、
静岡県沼津市西浦足保(あしぼ)だ。



「終」の文字が出るシーン。
遠く連絡船が見える伊豆の海 鷲頭山の勇姿を背景に江浦湾が映っている。
この見え方は確実に西浦足保の海。


     




グーグルアース↓で映画と同じ風景の見え方を確認。西浦足保地区だと断定。


     





寅たちのバイはちょうどすぐ前の神社の初詣をねらってのものだったが、その神社の名前が
わからないのである。



それと神社の写真画像が最後まで見つからない。

場所が分かっているのに名前がわからない…。

こういうことは稀にある。


赤丸で囲んだエリア↓が西浦足保地区の神社の長い階段と本殿
        

          





↓の航空写真で俯瞰してみた。青で印をつけた部分が寅がバイをしていた場所。
赤丸が初詣で賑わう西浦足保(あしぼ)海辺の神社。


          




        
寅が座る斜め前に神社の鳥居があり、長い階段がある。↓



    
    




神社の鳥居の方から見た寅の位置。↓


  
  



のぼり旗に神社の名前が書かれているがイマイチ読み切れない。



まあ、実はそのまま「ある神社」ということにしてもいいのだが、

どうも後味が悪い。

さんざんいろいろな地図でも探し、ネットでも探したが、そんなに小さな神社でもないのに
なぜか名前が出ていないのだ。


その時神社のすぐ近くに「足保公民館」があることに気づいた。

サイトで調べると電話番号が載っている。

恥ずかしながら、すぐそばの神社の名前だから教えてくれるのではないだろうかと
思い、清水の舞台から飛び降りる気持ちで西浦足保公民館に電話をかけてみた。

ところが何度かけても誰も出ないのである。

後に分かったことだが、ここの公民館は普段は無人で、会合等がある時だけ開けるのだそうだ(TT)


それで、もう乗りかかった船なので、恥でも何でもかいてやる…、と割り切り、ちょっと離れた場所にある
西浦の交番に電話をかけてみた。道を聞く人がいるくらいだから、名前を教えてくれるだろうと思ったのだ。

さすがに交番だけあってすぐに電話に出られた。神社名を知りたいことと、その知りたい理由を伝えたのだが、
なんとあの神社のことをご存知でない方だった。ああ。。。(TT)
4キロ以上離れているし、無人ぽい神社だし、わからないのかもしれない…。
向こうの方も申し訳なさそうに謝っておられた。

そのかわり、そういうことだったら西浦の「地区センター」に問い合わせることを巡査さんは勧めてくれた。
電話番号を聞き、今度こそはと、「地区センター」にかけて同じように恥ずかしながら事情を説明し、
尋ねてみたら、さすがにその神社があることはご存知だったが、
そこのスタッフさん全員が神社の名前はわからないということだった(TT)
地区センターから5キロほど離れているので超地元の人しかわからないのかもしれない。

それでも、「地区センター」のスタッフさんは足保のあのあたりに自分の知り合いがいるから
電話で聞いてみてあげると言って、わざわざ神社と同じ足保地区に住むご友人に電話してくださったのだ。

そして、ようやく神社の名前がわかった!

『天』という一文字の神社で『天神社(てんじんじゃ)』というらしい

丁寧にお礼を言って電話を切らせていただいた。


それと同時に、ネットで調べていた時に『神社庁』という組織の存在も知った。
で、恥じかきついでに、『静岡県神社庁』にダメ押しで電話で問い合せてみたところ、
沼津市西浦足保地区にはひとつだけ神社があり、
住所は『西浦足保4-2』名前は「天神社」だそうだ。
いよいよ安心して、お礼を言って電話を置いた。


これで確実。
「天神社」 西浦足保4-2


そして、なんとなんと静岡の神社庁が持っているホームページを地道に細かく見ていくと、
一覧表の中にありました!
ちゃんと西浦足保地区に「天神社」の文字が!あっちゃ〜〜〜(^^;)ゞ

電話で皆さんにご迷惑をおかけしてしまったことを深く反省するとともに、いつの日か必ずこの
「天神社」を訪問しようと心に誓ったのだった。

電話に出ていただいたみなさん、ご迷惑をおかけしました。ありがとうございました。


ちなみに、静岡県には「天神社」と呼ばれる神社は結構たくさんあってきちんと数えてはいないが
7〜8箇所存在していた。

神社の「写真」のほうはネット上では最後まで見つからずだった。これも実によくあること。



なにはともあれ、
24作「春の夢」の本編完全版完結編は今週末か来週初めにはなんとか今度こそアップしたい。
(もう二ヶ月以上こればっか…^^;)







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ロケ地発見!岐阜県瑞浪市を走る黄色いペプシのトラック!

第9作「柴又慕情」ラスト


2010年7月1日 寅次郎な日々 その446

この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。

現在展覧会中なのでなかなか第24作「春の夢」の本編完結編が終われない。
あと少しのところまで来ているのだが、なかなかパソコンの前に座れないのだ。
あと一週間ほどお待ちください。(そんなんことわらんでも、誰も待ってないって… ゞ(〜〜;))


ところで。。。

10日ほど前、久しぶりに岐阜の友人からメールがあった。
彼の名は加納さんと言ってバリ島旅行の常連さんだ。彼と知り合ったのもバリ島ウブド。
あれはまだ20世紀末の頃だ。

あの頃、…確か1997年頃だったか、私はパソコンをまだ使い切れていなかった。
教師時代は全ての試験をパソコンを使って書いていたが、それはパソコンをワープロ代わりに
使っていただけで、決してインターネットを使えていたわけではなかった。

そして20世紀末もうそろそろHPを立ち上げたいなと思っていた。
そこでバリでふとしたことから知り合った加納さんにパソコンの選び方及びインターネットの仕方を
いろいろ教えてもらったのだ。
息子は当時まだ小学校に入ったばかりで、インターネットのことは私同様まだまだ未知の世界だったのだ。
次の年にWindows98が出るということで、一生懸命その仕組みと使用時の注意点を加納さんは教えてくれたのだった。

そして偶然にも彼もまた「男はつらいよ」の大ファンだった。

そして彼のお父さんが亡くなったのは渥美清さんが亡くなった年だったという因縁もある。


そういう強い縁で、その後も日本での展覧会の初日に来てくださったり、バリで再会したり、深いお付き合いを
させていただいている。

初期のバリ日記にも何度か岐阜のKさんとして登場していただいている。



ここ数年お互いに忙しかったせいもあり、音信が途絶えがちになっていたが、上に書いたとおり
10日前にメールを下さった。

そこには驚くべきことが書かれてあったのだ。

彼は岐阜県瑞浪(みずなみ)市土岐町にずっと住んでいるのだが、先日のテレビ放送で「第9作柴又慕情」を観た時、
あのラストシーンの風景がどうも見覚えがあると思い、ビデオで確かめられたところ、
なんと!自分の近所の橋だったああ!!…ということらしい。


こんなことがあるんだな…、と今更ながらにメールを読んだ私も驚いたわけだ。



柴又慕情のラストといえば、ご存知、暑い中、背広を脱いだ寅が田舎の木造橋を渡り、


     




川原で野○ソをしていた登と再会し(^^;)、

     




ペプシコーラのトラックに乗って走っていくあのシーンだ。

     




半信半疑で驚きのメールを返信すると、今度は直接岐阜から電話がかかってきて、
なんとあのペプシコーラのトラックに乗って寅と登が去っていったラストの道は、彼がいつも車で通る近所の道だそうだ!
あの川は瑞浪市を流れている美しい土岐川。その味わい深い木の橋は数年前の洪水で壊れてしまい、
少し下流に普通の橋が作り直されたそうだ。


恥ずかしい話だが、私はずっとあのラストの場所を、適当に静岡か山梨か福井かだと思っていた。
もちろんどの本にもどのサイトにもあの場所は書いていない。検索しても何も出てこない。
もう残るは、最後の手、松竹の当時のロケハンの方に恥を偲んで聞くしかなかったのだ。

でも、よくよく考えたら歌子ちゃんの新居があるのが『
愛知県春日井市高蔵寺』だということは
ラストの手紙の裏の住所で前々から分かっていた。寅は映画のラストで歌子ちゃんを訪ねていったが結局は会えなかった。
あのあと、ふらふらっと、多治見、土岐、そして瑞浪と焼き物の里を放浪していたのだろう。
ちなみに加納さんも若ころは焼き物(美濃焼)を長い間やっておられたのだ。

歌子ちゃんの手紙の住所「春日市高蔵寺」は、偶然にも加納さんのお母さんの妹さんがの住んでいる町だ。
ここにも加納さんは「寅さん」との縁を感じられている。



      



で、さっそく私は、長年のよしみで、厚かましくも彼に現地に行って写真を撮ってくれるように頼んだ。

彼はもちろん快く引き受けてくれて、さっそく翌日の時間が空いた時に、車で5〜7分ほどの
現場まで彼のパートナーの「ぽめさん」と一緒に調査をしてくださったのだ。

まず現場での聞き取り。…とはいえ、ご近所なので現場付近には当然何人か知り合いの人がいるらしく
みなさん、この橋のところで「寅さんロケ」が行われたことをしっかり覚えていらっしゃって「証人」になって
あげると加納さんに言ってくれたりしたそうだ。こういう時は地域共同体というのはありがたい(^^)




この、元あった橋の袂の住所は
【岐阜県瑞浪市土岐町3006-3】
(一般的には土岐町下沢地区)



加納さんが写真を撮っている間、私は地図や航空写真で彼が教えてくれた住所をさぐり、
元あった橋の目安をつけておいた。
赤い丸が橋のあった土岐町下沢地区

      

      



地図をもう少しアップにしてみる。
赤色の線が、今はなくなってしまった木造橋の場所。
青色の点は寅と登が北から来たペプシの車を止めた場所。↓
一番下(南)の白色の橋は、元の位置から下流100メートルに新しく架けられた橋。



      





航空写真の赤で四角く囲ったところが数年前まで橋のたもとがあった場所。
斜めに走っているのが中央本線の線路。




      




もうちょっとアップして、↓のオレンジ色の二本線が元橋が架かっていた場所だ。写真の下方面が下流


      








    




上の映画キャプチャー画像を拡大してみる↓


     




そうこうしているうちに、翌日加納さんが現場で撮った画像を送ってきてくださった。↓


下の写真は、加納さんが現場調査の一回目に撮ってくれた「高羽アングル」。
土壁の小屋がコンクリの車庫になったが、手前の家の母屋は当時の面影のまま。
ちょうど道が曲がっているカーブミラーのあたりに橋が架かっていた。
現在の新しい橋はこの下流100メートルに架かっている。



     






あの土壁の小屋は、なかなか趣があった。↓                     映画と同じアングルで撮ってもらった。
                                                土壁の小屋は現在は車庫になっている。
                                                橋はカーブミラーのあたりに架かっていた。
 


       





     完全 【三菱】 飼料 石田水車  TEL 3○45  の看板

    





加納さんは、この元小屋があった土地の持ち主さんにも画像を見せたところ、確かに昔はこの小屋を
使っていたことを確認された。加納さんはここの共同体の一員なので事は早く進むのだ。


そしていろいろ写真を撮ってきていただいたのだが、最も引いたラストの写真が高羽アングルとはちょっとずれるものだった。
人の好意を無にしてはいけないと自制しつつも、押えきれない「業」が湧いてきて、加納さんに無理を言って、
再度現場に行ってもらい、高羽アングルを撮ってきて欲しいとお願いした。(鬼ですーー;)

加納さんは私のマニアックな業に笑いながら、またもや映画と同じアングル撮影を快く引き受けてくださった。

それが↓の写真たちである。


     



加納さんに、再度現場に行ってもらって、ちょっと高台に登っていただいて引いたショットを撮ってもらった写真。↓
あのラストシーンが、この風景の向こうに蘇る。(元の位置より100メートルほど下流に新しく架けられた水色の橋が見える)


      





元の橋の位置より100メートルほど下流に新しく架けられた橋↓


      




高台と同時に川と同じ高さからも撮ってもらった。
こちらのほうがラストシーンの高羽アングルの高さにやや近いのかもしれない↓


数年前までここに橋がかかっていた。

     
      




加納さんは、映画と同じにするため、家の裏手を汽車が通るまで粘ろうとしてくれたが、
そういう時に限ってなかなか通ってくれなかったそうだ。


     




そして最後にちょっとサービスとして…


元の橋がもし今も健在で、寅が現在この橋を渡ったらこういうふうに見えるはず↓
という想像図を息子に頼んでちょろっと描き足してもらって画像の中にハメ込んでみた。



     

             

      寅が映画同様、背広を脱いでダボシャッツ姿で歩いている。

      







    同じく、もうひとつの高台からの写真にも息子が写真にイラストを挿入してくれた。
    もちろん新しい下流の橋は消してある(^^)↓

    2010年、平成22年6月末、岐阜県瑞浪市土岐町下沢地区の古い木造橋を渡る寅。そして野○ソをする登の図↓



     


               

          寅が渡る橋の向こうに登の姿(^^;)

      




第9作のラスト付近、

失恋した寅は江戸川土手でさくらにこう聞かれる

さくら「…やっぱり寂しいの?」

寅「なんで?どうしてオレが寂しいのよ…」

さくら「じゃぁ…、どうして旅に出ちゃうの?」

寅、ちょっと空の方を見て指を差す。

寅「ほら、見な、あんな雲になりてえんだよ」

さくらは手をかざして寅の指さした空を見るのだった。

その直後の歌子ちゃんの手紙と寅のこのラスト。

そういう意味で、この第9作「柴又慕情」のラストは私にとって
寅の「旅の姿」を再認識するという特別な意味を持っていたのだった。

感慨は深い。




加納さん、ぽめさん、2度の取材本当にありがとうございました。

お二人の未来に幸多からんことをお祈りいたします。


ちなみに加納さんは7月1日今朝、ぽめさんとお二人でバリ島に旅立たれました。
私とはすれ違いだったわけです。うーん、残念…。










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すみれちゃんの高校と満男の高校は違う学校だった!


2010年6月28日 寅次郎な日々 その445

この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。

私が敬愛する寅さんファンの第一人者寅福さんが、多忙なお仕事の中、
今回ご自身のサイト
「飛耳長目録」のコラムで、すみれちゃんの高校とその時出てくる川を
発見されたことを書かれている。
近々、すみれちゃんがバイトしていた「セブンイレブン」の現地調査にも行かれるということだ。


え、すみれちゃんって誰ですかって?
第26作「かもめ歌」のあの可憐でチャーミングな、北海道、奥尻から来た『水島すみれちゃん』です(^^)

彼女は自分の奮闘努力ととらやの人たちの手助けのかいあって、「葛飾高校」の定時制に合格し、通い始める。
同じクラスには当時まだ無名の田中美佐子さんもいた。うそのような本当の話。


で、私などは、単純に葛飾区には当然「葛飾高校」があってそこに定時制もあるんだろうな。って
勝手に信じて疑わなかったのだが、さすが、寅福さんは検証を怠らない。
その結果、今回きちんと本当のロケ地を探されたのだ。

なんと、あの第26作の『葛飾高校定時制』は葛飾区立石の「
南葛飾高校」がロケ地だったのだ。
みんなは親しみを込めて「なんかつ」と呼ぶ。

キャプテン翼の「南葛(なんかつ)」はあのあたりの小学校、中学、高校をモデルにしているようだ。
そして作者の高橋陽一さんはこの「南葛飾高校(なんかつ)」の出身!


そして私の学生時代から教師時代に多大な影響を受けた教育者林竹二先生が奇跡の授業を行ったのも
この南葛飾高校定時制だったのだ。つまり、あのすみれちゃんたちが定時制で受けた国語の授業は
林竹二さんの国語の授業をイメージしたわけだ。


         





         
すみれちゃんの通うあの定時制高校は「葛飾高校」ではなかった!

          



山田監督は、定時制が設置されている高校で、かつ葛飾区ということで「南葛飾高校」を
選ばれたのだろう。

すみれちゃんが通う定時制高校の現在のロケ地写真及び川の位置は
寅福さんのサイト「飛耳長目録」をどうぞ御覧ください。








■さて、ここからは、実は…もうひとつの、個人的な疑問を書いてみる。↓




そもそも「葛飾高校」っていうのが現在は存在していないことがいろいろ調べてみるとわかった。
思い込みというのはなかなか解けないものだ。
私は昨日まで「葛飾高校」は存在すると思っていたのだ。


…ということは…。


満男と泉ちゃんが通っていたあの『葛飾高校』はいったいどこなんだ??

第39作「寅次郎物語」を見る限りでは、
すみれちゃんの「南葛飾高校(なんかつ)」とは正門や校舎のあり方がまったく違う。
「なんかつ」より全体になんでも新しいというかややモダン。
↓の正門にあるプレートの字は読めるようで読み切れない。




         
    正門の壁と校舎デザインが当時としてはややモダン。
      
      




とにかく、この第39作のロケはすみれちゃんとは別の高校だということはわかった。

そして第42作でも満男と泉ちゃんの高校の校舎やグラウンドが回想シーンとして出てくる。
39作と42作が同じ高校かどうか…。

そこで、いつもの切り札、「ストリートビュー」で葛飾区の2〜3の高校正門をぐるぐるまわってみた。


ありましたありました!

満男の高校は、
葛飾区亀有にある「葛飾野高校」だった。
正門に特徴があるのでわかった。

なんと「葛飾野高校」はすみれちゃんの「南葛飾高校(なんかつ)」のすぐ北。徒歩圏!

第39作では正門を出た後、さくらは満男と別れてお花茶屋駅から京成電鉄に乗り柴又へ帰ったのだろう。

     

     





     
    



山田監督の性格的には第42作「ぼくの伯父さん」でロケをした時も、同じ高校を使うはず。
そこでブラバンが行進しているあのグラウンドから見える3つの大きな目立つ建築を覚えて、
必殺ストリートビューで探してみる。



     




またまた、ありました。グラウンド裏から見た風景の中に総電線、白い電柱のようなポール。茶色い建物。

これで第39作と第42作は同じロケ地(葛飾野高校正門、校舎、グラウンド)だったことがわかった!


    




     



     





そしてなんとなんと「葛飾野高校」はほんの一時期旧制の「葛飾中学」から
名前が移行した
昭和24年には「葛飾高校」になったようだ。
その後名前が変わり、今に至っている。

つまり満男の通っていた高校は
旧「葛飾高校」でもあったわけだ。

地元では「
かつこう」もしくは「かつの」って呼ばれているようだ。

と、いうことで、位置的にも寅福さんが見つけられた「なんかつ」のすぐそばに
満男の高校「かつこう」はあったのだ。近い!



あ、もちろん本編の物語的にはすみれちゃんの高校と満男や泉ちゃんの高校は
同じ「葛飾高校」であることには違いない。



      









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兄と弟 二十億光年の孤独  イカロス兄弟の別離


2010年6月20日 寅次郎な日々 その444

この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。


二十億光年の孤独


人類は小さな球の上で
眠り起きそして働き
ときどき火星に仲間を欲しがつたりする

火星人は小さな球の上で
何をしてるか 僕は知らない
(或はネリリし キルルし ハララしているか)
しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする
それはまったくたしかなことだ

万有引力とは
ひき合う孤独の力である

宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う

宇宙はどんどん膨んでゆく
それ故みんなは不安である

二十億光年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした



谷川俊太郎 「二十億光年の孤独」(昭和27)


これは少年期から私の心を掴んで離さない
谷川俊太郎さんの「二十億光年の孤独」というなんとも美しい詩だ。
真実の光が輝いている。


人はみな孤独で、永遠の旅人だ。
どんなに一緒にいたくてもそれぞれの人生の重さや業がそれを許してくれない。

映画「男はつらいよ」の中の、さくらと寅も彼らの人生の中で一緒に暮らした年月は驚くほど少ないのである。
あんなに絆が深い兄と妹だが、その生涯のほとんどは離れ離れに暮らしていくのだ。



      



特に寅の晩年は、いつどこで行き倒れになってもおかしくない生きざまなので
さくらはいつだってこれが最後かもしれないと心の隅でずっと怯えてもいる。



      
      



寅も強がって入るが、彼なりの覚悟、野垂れ死にの運命を背負って生きているのは、あの背中でわかる。

そのようなどうしても同一化出来ない人と人との永遠の孤独があの詩には入っている。





先日、『映像』関係を勉強している息子が、
なかなか心がせつなくなるかわいいアニメーション動画を紹介してくれた。

このアニメーションは、実は日本の宇宙開発を推進しているJAXAが作ったアニメーションなのだが
なんとも美しい兄弟愛と、その悲しい運命を描いているのだ(TT)
普通にこのアニメを見れば、ただたんに彼らのミッションの遂行を淡々と描いているに過ぎないし、
その描き方も実にさりげないのだが、そのさりげなさの中に『永遠の孤独』を感じるのはどうしてだろうか。

兄弟と言っても実は兄も弟ももちろんただの機械なのだが(^^;)

あの音無しのアニメーションを見ていたらせつなくなり、ふと上に書いた谷川さんの詩を思い出したのだ。


物語は、先月5月21日にH-IIAロケット17号機で金星探査機「あかつき」と共に打ち上げられた
小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」(お兄ちゃん)と
小さな分離小型カメラ衛星DCAM2(弟くん)の話。

分離カメラ(DCAM2)である弟くんは、直径・高さともにわずか約6センチの円柱形状で、
バネにより本体から放出され、撮影した画像を無線で本体に送る。

しかし、悲しいことにこの弟くんは一度イカロス兄さんから放出されると、
二度と兄さんの本体には戻らないで、どんどん離れながらもイカロス兄さんの姿を取り続け、
15分後には弟くんの小さな電池が切れてしまい、
イカロス兄さんとは離れ離れになり、永久の眠りにつき、太陽の周りを回り続けるのだ。


ところで、「イカロス」とは…。簡単に言うと、
日本のJAXAが開発した太陽光を帆に受けて航行する世界初の【
宇宙ヨット】「イカロス」のこと。

それが上にも書いた通り、先月打ち上げられたのだが、
宇宙空間で一辺約14メートルの巨大な帆を広げている様子を
小型カメラ衛星DCAM2(弟くん)が撮影した写真をこのたびJAXAは私たちに公開した。

現在イカロスは地球から約1000万キロ・メートル離れた宇宙を金星に向かって飛んでいる。

この計画は、宇宙空間で帆を広げ、太陽の光を受けて推進力を得ること、
さらに、帆の一部に貼り付けた薄膜太陽電池で発電できること

世界で初めて実証する壮大な冒険ロマンなのだ。

イカロスの一辺14メートルの正方形の大きな帆は、
厚さはなんと髪の毛の太さの10分の1にあたる0.0075ミリ。超超超薄い。
表面にアルミが吹き付けられていて、鏡のように光を跳ね返す。
このときに受ける力を、ヨットが風を受けるように進んで行く。



弟くん(DCAM2)が撮ったお兄ちゃん(イカロス)が帆を広げることに成功した写真↓



       






それではイカロス兄さんとDCAM2弟くんの悲しい今生の別れを御覧下さい↓(無音)


      








兄さんの帆が開き、開き終わった後弟くんが飛び立ち、
兄さんを撮影している様子をスーパーCGでしっっかり見たい方はこちらを御覧下さい↓
CGなかなかのハイレベルです。


      






ニュース形式で手短にわかりやすく知りたい方はこの藤井さんが解説をする『NHKニュース』を御覧下さい↓


      




      







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さくらとお千代さんが演じる蝶々夫人


2010年6月14日 寅次郎な日々 その443

この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。


いやあ、何かと予期せぬ仕事が舞い込んだりして、ここんところなかなか時間が取れない。
第24作「春の夢」本編完全版完結編を来週中になんとか終わらせようと思っているのだが
どうなりますやら。無理かな…。


この前も空き時間をねらって作業をしていたら、ちょうど倍賞さんが、歌劇「蝶々夫人」からの「ある晴れた日に」を
歌うあのマイケルの妄想シーンが興味深くて、ついついプッチーニの他の歌にまで手を出して聴いてしまっていた。
私はどうも興味が湧き出したら脱線が多くてしばしば本流に戻るまでに多くの時間を浪費してしまいがちだ。
また、倍賞さんの歌声があまりにも役者の域を遥かに出ていたので、ついつい、
彼女の歌声を他の作品でもまたもや聴いてしまっていた。


ではここでクイズです。
このシリーズで最も美しいと言われるマドンナを演じられたある女優さんも、
若き日に「蝶々夫人」を演じられているのである。
それがこの人。当時まだ宝塚ジェンヌ!↓


      


この麗人の話は後にして、


まずは東のSKD出身である倍賞千恵子さんの「蝶々夫人」から(^^)


この「男はつらいよ」では倍賞さんはさくらという地味な主婦役なので、山田監督は歌を歌わせることは
めったに無いのだが、それでも何作品かでは彼女は歌を歌っているのである。


最も長く最も目立っていたのは、この第24作「春の夢」でのオペラ『蝶々夫人』の中の「ある晴れた日に」だ。
あの声は倍賞さんではなく本職のオペラ歌手に歌わせていると思っていた人がかなりいたそうだ。
それほどまでに倍賞さんの声は才能があり、そして鍛えられている。


           



物語の中盤、
とらやの人々によって元気が戻ってきたアメリカ人のマイケルは、もう一度関西でセールスを試みるが、やはりダメ。
もう絶望的にセールスが上手くいかないマイケルは、とぼとぼ京都市の西陣を歩いている。
そんな時、小さな芝居小屋の前で大空小百合ちゃんに呼び止められ、『マダムバタフライ(蝶々夫人)』を観ることに。



マイケルの中で蝶々夫人を演ずる小百合ちゃんの歌声がしだいにさくらに変わっていく…。

名曲「ある晴れた日に」を歌う小百合ちゃん。


食い入るように『蝶々夫人』を見ているマイケル。



                  
          


小百合「♪ある晴れた日、遠い海の彼方に煙が立ち、船がやがては見える…」

小百合「♪白い船が〜港に入り…」

途中からマイケルの頭の中で小百合ちゃんがさくらに変わり、
ピンカートンが自分になって行く幻覚を見始める。相当この恋の病は重症(TT)



さくらが朗々と『ある晴れた日に』を歌う。
第16作夢シーンとともに、
倍賞千恵子さんのすばらしい歌声を長時間聴ける数少ない場面。
彼女のこの歌声だけで「春の夢を観る価値アリ!



さくら「♪さもいなければぁ、うれーしさにぃ、
    死ぬかもしれーないー、



         


  
 やがてあの人は傍で呼ぶのよぉー、
   僕の可愛いー、愛しい花よとぉー、ちょうど昔そう呼んだ通りにぃー…。

   その通りだわぁー、きっとそうよぉー、


         


   心配はぁー、しなーいでー、

   信じてぇーいるーわー、本当よ― 




          


最大に盛り上がる音楽

坂を上がって来たピンカートン(マイケル)は蝶々夫人(さくら)を見つけ、

ピンカートンはステッキから花を出す手品を見せ、
蝶々は心を柔らかくし、

しっかり二人は抱き合うのだった。
幸せそうな二人。



         






『蝶々夫人』Madama Butterfly,

プッチーニによって作曲された2幕もののオペラ。
いわゆるプッチーニの「ご当地三部作」
(あとの2作は「西部の娘」、「トゥーランドット」)」の最初の作品である。
初演1904年(日露戦争の年)ミラノ.スカラ座。
この1904年の初演ではつまずいたが、その後改稿を繰り返し、1906年のパリ公演のために
用意された第6版により現在の様式になった。
椿姫.カルメン.と並んでこれを世界三大オペラの一つにあげる人も少なくない。
『あるはれた日に』と言えば20世紀のソプラノ歌手マリア・カラスが有名。






        オペラ『マダムバタフライ』より「ある晴れた日に」(ソプラノ歌手不明) 
       
この↓YouTube中で使われているアニメーションがなかなか面白いので紹介します。

       



覚えておられる方も多いと思うが、お馴染み世界女子フィギュアスケートシングルで
「マダムバタフライ」は安藤美姫さん、トゥーランドットは荒川静香さん、が採用している。



物語は、明治維新後の動乱期、
長崎を舞台に、没落藩士令嬢でプライドの高い蝶々とアメリカ海軍士官ピンカートンとの恋愛の悲劇を描く。
ピンカートンは一旦本国アメリカへ帰り、そこでアメリカ人女性と結婚してしまう。
その後、夫妻で蝶々の元へ挨拶に来るが、プライドの高い蝶々は自刃して生き絶えてしまう。

アリアについては、前半の愛の二重唱と言われるあたりや、「ある晴れた日に」、
そしてクライマックスの蝶々さんの死のアリア「誇りを持って死ぬ」〜「愛しい我が子」などが有名。


アメリカのジョン・ルーサー・ロングが原作。確かロングのお姉さんか誰かが、長崎に滞在していたことが
あったと聞いいている。その小説を読んで感動したデヴィッド・ベラスコの同名の戯曲がタネ本。

で、後にデヴィッド・ベラスコによる英語劇を観戦したプッチーニは同じく感激し、オペラに採用した。

この『ある晴れた日に』はこのオペラの中で最も有名な曲。
晴天を意味する「ピーカン」(ピンカートンの略)という言葉は、この曲のタイトルに由来すると言われる。

ちなみに「ある晴れた日に」の「晴れた」という語は、
原語のイタリア語には出てこない。
直訳では「ある日に」


創作時に実際にヒントになった人は、長崎のトーマス.グラバー夫人のツルなど
何人かいるようだが、当時の現地妻『洋妾(ラシャメン)』は意外にみんな
割り切っていたらしく、誰もあのような悲劇的な最後はとげていない。



               


そうそう、上の写真の美女の話。

1955年カルミネ・ガッローネ監督の日伊合作映画『蝶々夫人』で
あの後のお千代さん、当時まだ宝塚ジェンヌだった23歳の麗しの八千草薫さんが蝶々夫人を演じ、
日伊ともに大反響を呼んだのだ。

しかも八千草さんは、「蝶々夫人」のスコアを完璧に暗譜して演技に望んだようで、
自分で歌っているとしか思えない口の動きだったとか。
お付きの女中スズキ役を演じた本職のオペラ歌手、田中路子よりも口が合っていたらしい。

日本文化を正しく伝えるという崇高な使命感が東宝の制作動機なだけあって
日本人による文化的視点を強く入れることに成功しているという。
日本家屋のセットはすべて日本から運び込み、遠くローマのチネチッタの地で、
イタリアに遠征した東宝の多くの日本人スタッフの手により、組み立てられたそうだ。

ま、それでも「映画」という表現手段では本当はオペラのあの味はまず出せないとは思うけどね。
うーん…それとは別の意味で、可憐で凛とした八千草さんのマダムバタフライ見たかったー!



      





           




      




     
      




       八千草さん主演の映画 『蝶々夫人』ポスター

             





本家『オペラ』の有名な日本人としては大正から昭和初期にかけて活躍したソプラノ歌手の三浦環。
この蝶々夫人役を最も得意とし、その生涯において世界各地で数多く蝶々夫人役を演じた。
現在でも長崎のグラバー園にはその功績を称える三浦の像がある。

外国人では、マリア・カラスの『ある晴れた日に』などは有名すぎるほど有名。



         
    1930年代の三浦環の舞台

      
                  






おっとっと、
ちょっと脱線が長くなったが、実は今日の本題は『さくらの歌声』の方だ。




この他、『さくらの歌声』を聴けるシーンは実はあと3箇所存在する。



まず

■ 第8作「寅次郎恋歌」  かあさんの歌


にて、酔っ払って帰ってきた寅の無理難題を
聞き、「かあさんの歌」を歌うさくらの声

夜昔の仲間を連れてとらやに酔っ払って帰ってくる寅。
おいちゃんたちの止めるのも聞かずに
さくらに無理やり歌を歌えとせがむのだった。


寅「ほら、いい女だろ、これはね、
 ちゃんと女学校出てんだよ。
 な!おまえ女学校出たな!これね、歌も上手いんだよ、
 ちょっと、ちょと、一曲歌、歌やってみなよ」


仲間たち「よ!待ってました!」

おいちゃん「さくら、歌なんか歌うんじゃねえ、
       おめえは芸者じゃねえんだぞ」


寅「うるせえぞ!このクソジジイ!!黙ってろ!」

おいちゃん「つね!警察呼んで来い、警察!」

寅「うるせー!!チキショー!!」(怒ってテーブルのコップを下に落として割る)

さくら「お兄ちゃん」

寅「なんでい」

さくら「歌うわよ…」

寅「よし、歌え!」

仲間「都はるみか、水前寺かい、よお!」

さくら、しばらく沈黙の後

さくら「♪母さんがぁ〜…」

寅「♪カーラース、ほい!!、なぜ鳴くの、ほい…」童謡『ななつのこ』

(旋律が確かに似ている)


さくら「♪夜なべ〜をして、手袋〜編んでくれたぁ〜、
  木枯らし吹いちゃ冷たかろうて、
  せっせぇ〜と編んだだよ〜、
  ふるさぁ〜とのたよりがと〜ど〜く、囲炉裏の臭いが
  した〜……母さんの、アカギレ痛い、生味噌を…♪」


寅じっと下を向いて聴いている。

そして席を立って、トランクを持って店を出て行こうとする。
(仲間も消えるようにすぐに出て行く)

寅、店先で「さくら、すまなかったな。おいちゃんたちに謝ってくれよ…」

さくら「お兄ちゃん…」

ちょっと悲しい別れだった。




窪田 聡 作詞/作曲

かあさんが 夜なべをして
手袋あんでくれた
木枯らし吹いちゃ 冷たかろうて
せっせとあんだだよ
ふるさとの便りはとどく
いろりのにおいがした


かあさんは 麻糸つむぐ
一日つむぐ
おとうは土間で わら打ち仕事
お前もがんばれよ
ふるさとの冬はさみしい
せめてラジオ聞かせたい


かあさんの あかぎれ痛い
生みそをすりこむ
根雪もとけりゃ もうすぐ春だで
畑が待ってるよ
小川のせせらぎが聞こえる
なつかしさがしみとおる
なつかしさがしみとおる







■ 第12作「私の寅さん」  どんぐりころころ



その次にさくらの歌が聴けるのは第12作「私の寅さん」で江戸川土手を満男と
歩いている時につい口ずさむ童謡『どんぐりころころ』の歌。




江戸川土手

寝転んでいるりつ子さんの兄、文彦。

さくらと満男土手の上を買い物帰りに散歩

このシーンで、さくらが
「どんぐりころころ」の
歌の1番をなんと全部歌っているのだ!

さくら
♪どんぐりころころ 
     どんぶりこ
     お池にはまってさあ大変.
     どじょうが出てきて 
     こんにちは
     ぼっちゃん いっしょに 遊びま…
     おー寒い寒い!」


と満男を後ろから抱く

        



青木存義作詞・梁田貞作曲

どんぐりころころ どんぶりこ
お池にはまって さあ大変
どじょうが出て来て 今日は
ぼっちゃん一緒に 遊びましょう

どんぐりころころ よろこんで
しばらく一緒に 遊んだが
やっぱりお山が 恋しいと
泣いてはどじょうを 困らせた






そして


■ 第16作「葛飾立志篇」 さくらのバラード


行方不明の兄を探し遠くバージニアから西部の町をさまようさくら。
どこかに今もいる兄を想い、
せつせつと『さくらのバラード』の西部劇バージョンを歌うのだった。





酒場の中

歌と演奏が始まる



               



ギター ♪ジャーンジャ、ジャンジャン、
ジャーンジャ、ジャンジャン、ジャンジャ…ジャンジャン



カッコよく背中を向けてチェリー(さくら)登場!


振り返りながら歌い始める。


チェリー「♪テキサスに風が吹くぅ〜
   駅馬車も今日は休み
   兄の〜いない
   西部〜の町…




                


さくら「♪どこへ行ってしまったの〜
   今ごろ何してるの…
   いつも〜、みんな…
   待っているのよ…



みんなしんみり泣いてしまう。


                 



                



チェリー「♪そこは晴れているかしら
    それとも冷たい雨かしら…
    遠く一人旅に出た
    私の〜…おにいちゃーん…




カードに興じている紳士もガンマンたちも
みんな涙を流して聴き入っている。

寒いのか、倍賞さんの歌を歌う息が白い…




                



さくら「♪どこかの草原で〜…


ここでタコ社長の悪者たちの邪魔が入っていく。




さくらのバラード

山田洋次 作詞   山本直純 作曲

倍賞千恵子 歌


江戸川に雨が降る
渡し舟も今日は休み
兄のいない静かな町
どこに行ってしまったの
今頃何してるの
いつもみんな待っているのよ
そこは晴れているかしら
それとも冷たい雨かしら
遠くひとり旅に出た
私のお兄ちゃん

どこかの街角でで見かけた人はいませんか
ひとり旅の私のお兄ちゃん


さくらのセリフ
『いつもそうなのよ いつも
さくら、しあわせに暮らせよって

もう帰らないって
あの時言ったけど…』

そこは晴れているかしら
それとも冷たい雨かしら
遠くひとり旅に出た
私のお兄ちゃん


どこかのお祭りで見かけた人はいませんか
ひとり旅の私のお兄ちゃん




かあさんの歌 どんぐりころころさくらのバラードある晴れた日に
どれもこれも想い出深い。


渥美さんの歌声もいいが、倍賞さんの歌声は格別だ(^^)
いやあ、それはそれとして、八千草さんの「蝶々夫人」をやはり見てみたい。









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保存版 寅さん世界の柴又周辺マップ 柴又の住人たちの家


2010年6月4日 寅次郎な日々 その442

この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。





    


注意:上の地図上、幸子ちゃんの食堂近くから題経寺までの黄色い道路は帝釈天参道ではなく、
    もっと大きな道(国道307号線)。間違いやすいので注意です。







ここ数日、せっかく柴又江戸川沿いロケの話題をしたので今回は【特別付録】をお付けしました↑
これで見ると分かるようにやはり山田監督は川のそばがお好きなようだ。
りつ子さんは江戸川ではないが中川のそば。

私も柴又に住めるなら、駅前や帝釈様の近くよりも江戸川土手沿いがいいなあ〜…、なんて思う。








それでは地図の北から順番に『ストリートビュー』で追いながら、
簡単な説明をしよう。

なお、それぞれの番地の数字は途中までしか書きませんのでご理解下さい





まずは一番北 【東金町】




【さくらの二番目の家】

葛飾区東金町6丁目 葛西神社裏交差点近く。



これは一番目の家が総武線の高架計画にひかかってしまったので
ロケ地を引っ越した結果、なんと北にある常磐線を越えてしまったのだ。
おまけに台所のあり方が見ての通り左右逆。
でも、大船セットでもきちんと台所は逆にしていたのは偉い。(あたりまえか^^;)



        



で、ここに落ち着くかと思いきや…、隣で建築工事が始まって、またもやロケ地探しの旅に(TT)
五十嵐啓司さんはじめロケハンの方々ご苦労様です。



ストリートビューで見てみると現在はこのようになっている↓
二番目のさくらの家は一応まだ健在。







          





        




博はこの横の道を、息子はバイク、親父は自転車か…。
とつぶやいてあの坂を登っていったっけなあ〜。


        







その近くにあるのが


【坪内散歩先生の家】

葛飾区東金町6丁目9 付近 (二番目のさくらの家と同じ6丁目)


ここは小寅さんと並ぶあのロケ探しの達人『寅福さん』が見つけられた場所。
意外に上に書いたさくらの二番目の家からすぐ。
さくらの家が葛西神社の裏側なら、散歩先生の家は葛西神社の表側。



第2作で寅がさくらと題経寺前で別れたあと、土手沿いに金町の方へ歩き、常磐線をくぐり、
葛西神社前を左折し、↓



       




現在は寅の歩いていた道はこうなっている。↓鉄橋の見え方は同じ。

まさか、このあと数カ月後にこの道にお葬式の車がずらっと並ぶとは夢にも思わなかった寅だった



       





同じ道に葬式の車が並び、おいちゃんや寅も乗る。


       





左下の方から子どもたちの英語による歌が聴こえてくるのに反応していた寅だった。


       





で、葛西神社前の左の道を下っていくとすぐに散歩先生の家の塀のドアがある。
つまり散歩先生の家は葛西神社の前なのだ。



       






で、現在はこのような家になっている。


葛西神社側から見た現在の散歩先生の家↓向こうに鉄橋が見える。
たぶん藤村医師がここで開業しているのかもしれない。
横の道が寅が下りていった坂。



       












【柳りつ子さんの家】

葛飾区新宿2丁目3 付近




今度は、寅が散歩先生の家に行くまでに渡った国道6号線をずっと西に、
つまり亀有の方角に歩いて40分ほど行くと柳りつ子さんの家がある。
まず、
中川に架かる中川大橋のたもとを右に曲がる。そしてしばらく歩いて右側に見えるのが柳邸だ。
これも
寅福さんが現地に足を運んで悪戦苦闘の末に最初に見つけられた場所だ。




          
寅たちの後ろに中川大橋が見える。

     






       このような門が今も残るのかなと期待していたのだが…

     





現在の柳邸赤い屋根の家がりつ子さんの家だった場所。
さすがに建て替えていた。残念。



    












【幸子ちゃんが住み込みで働く『ふるさと亭』】

葛飾区柴又7丁目3  付近


で、次は柴又に戻って、お馴染みふるさと亭、ローク、アイリスというとらや周辺地区。
これはみなさんもうご存知。まず駅を降りて、参道までの道に『かなん亭』がある。
『ゑびすやさん』の少し手前。
ここが幸子ちゃんの働く『ふるさと亭』秋田の叔父さんが持っている。


ここはいまさら言うまでもない。
柴又駅のすぐ近くなので映画とストーリートビューでドーンと見てもらおう。




     



現在の『かなん亭』はいろいろなものを売店方式でも売っている。
真向かいは相変わらず富士見屋米店。


     


注意:上の地図上、幸子ちゃんの食堂近くの黄色い道路は帝釈天参道ではなく、
    もっと大きな道(国道307号線)。間違いやすいので注意です。















【志村千代さんの美容院 アイリス】

葛飾区柴又7丁目6付近


そして参道をとらやのほうに進んでいくと、とらやを越えてすぐ斜め向かいのあたりに
お千代さんの経営する美容院『アイリス』があった。


シリーズ途中までなんとか存在したのだが今はまったく別の店になってしまっている。
映画でとらやのちょっとご近所に店があるって設定だったが、ほんとうは斜め向かい。すぐそこ。
あまりにも近いので遠いことにしていたみたい(^^;)



                                       寅の背中に立花屋さんの名前が見える。
             




第18作でとらやの前が映るが↓、もろ斜め向かいにアイリスがある。アイリスの真向かいは『立花屋』さん

        




今も立花屋さんは残っているのでその真向かいとなると今は漬物屋さんかな…。


      











【六波羅貴子さんの喫茶店ローク】

葛飾区柴又7丁目5 付近

そして、あの貴子さんのいるロークである。

これはもう有名。



なんせ第5作の頃にはもうあの位置に存在し、
そのあとも第31作までは確実に営業していた。





   第5作で開店間もないローク。寅の向こうですでに営業。

     




    第5作とテントのレタリング配置を変える。
    【R】をセンターに配置。
    第8作ではまだまだピカピカ。貴子さんが中にいる。

    





   第31作、これを最後にロークは無くなってしまう。

    




     現在は親戚の方がうなぎ屋さんをされている。

    


         






【さくらの潜水艦アパート】

葛飾区柴又4丁目6付近




今度はちょっと柴又駅に戻って、
線路沿いに高砂の方にやや南下。


線路沿いに歩いていくとさくらの潜水艦アパートがある。

第1作から第25作「寅次郎ハイビスカス」まで
住み続けたあのアパート。



寅があまりにも狭いので潜水艦みたいなアパートと名付けたのだ。

とは言っても実はこのアパートもなんども名前が変わっている。

おそらく設定としては引越していない。
初期の頃は設定がはっきりしないで右往左往するのはよくあること。
でも一応変化を書いておきましょう。



このアパートは名前を3度変えている。



最初の名前は第4作「新男はつらいよ」で登場する【
江戸川荘


       





2番目の名前は第5作「望郷篇」で登場する【コーポ江戸川


      




3番目は第20作「寅次郎頑張れ!」から登場する
こいわ荘


      



このアパートはやはり狭いし、大家さんがうるさいので
第9作「柴又慕情」で引っ越そうとするのだが、
そのことで寅と喧嘩したり、資金不足などがあったのか、
結局は第25作「寅次郎ハイビスカスの花」までこのアパートに住み続けた。

そして、おいちゃんの店を担保に入れて銀行から借りたり、
タコ社長に保証人になってもらったりして長期ローンを組み
ようやく、第26作「寅次郎かもめ歌」から2階建ての家に引っ越したのだ。


現在はこのような家になっている。

以前ロケ地巡りの大先輩
小寅さんがかなり詳細なレポートを書かれていた。

さくらのアパートの横に建っていた角のアパートは今でも健在。
さくらのアパート『こいわ荘』だった場所はその右横の白い家。




      




下の2枚↓を見て分かる通りさくらのアパートの隣角の建物は今でも建て替えずに健在↓


         



     
アパートから南、高砂方面に歩いて行く寅。
     
おいおい、そっちは柴又駅じゃないよ、逆だろ ゞ(^^;)                 
今はこういなっている↓  


      



それにしても、この潜水艦アパートに住んでいる長い年月、
さくらはこのアパートから自転車でとらやに向かうが、なぜか江戸川土手経由なのだ。
一体何が彼女をそんなに遠回りにさせているのか?これは永遠の謎である(((^^;)









【高井めぐみさんの英語塾】

葛飾区柴又6丁目34付近


そのあとずっと江戸川に戻ってさくらの一番目の一軒家の近くにめぐみさんの英語塾がある。
つまり圭子さんめぐみさん母娘が住む借家だ。


江戸川土手のあの大きな階段はかなり目立つのですぐわかる。
ここも、ロケ地巡りの大師匠である
小寅さんが最初に現地に行かれたと記憶している。




       




  で、現在は下↓のようになっている。めぐみさんの家はもう英語塾はしていないようだ。
  結婚して別の土地に住んでいるのだろう(^^;)




      



                                                少し当時の雰囲気を残している。


      
 









【さくらの一番目の家】

葛飾区柴又5丁目37〜38付近

【柳生綾さん雅子さんの家】も、このあたり。



そのめぐみさんの英語塾からちょっと送電線に近づくと、もうさくらの一軒目の家だ。


この
青いトタン屋根の一戸建住宅は、
第26作「寅次郎かもめ歌」から第40作「寅次郎サラダ記念日」まで、ずっと住み続けたのだった。
ほんとここには数々の思い出がある。名場面も少なくない。


ちょうど雅子さんが題経寺から見える『送電線の真下』だと寅に言っていた。
あのあたりから見える大きな送電線はここだけ。
もうさくらが家を手に入れた頃は、柳生さんの家ではなくなってしまっていたが(TT)




     




はじめて寅に家を見せるさくら。寅は家がちょっと小さいので戸惑いぎみ。

   




  あけみも2階の窓から寅を想っていた。

   




  身の丈に合った最もさくらたちの家らしい家だったともいえる。

   




  これは第31作での夜の野外ロケ。これはとても珍しい。そして寅が旅立つ名シーンでもあった。

   




   
雨も降り、それゆえのせつないドラマもありました。

   





で、現在の同じアングルから見たさくらの家の場所。ちょうど高架の下あたりかな…(TT)





        




これは土手の方角から逆に見たさくらの家の場所。送電線の左向こう側。高架の下あたり。  右の写真は航空写真。赤丸のあたり。


        











【さくらの三番目の家】


江戸川区北小岩7丁目30 付近


はそのまま江戸川を下ってきた小岩の方まで土手下を20分ほど散歩がてらに歩いていくと
柴又5丁目→東金町6丁目→と移動してきたさくらの家の三番目の家が見えてくる。

第43作「寅次郎の休日」〜第45作「寅次郎の青春」まで使った家だ。

ここも短いながらもいろんな思い出に溢れている。





    




    




    
  満男のへルメットから泉ちゃんが見える。


    




  そして、博が自転車をこぎ、ジョギングをし、泉ちゃんが立っていた道の現在

  あの家はずいぶん前に無くなってしまっていた。今はこう↓




   



       土手に上がってみるとこんな感じ。

   









【水野早苗さんのアパート】


江戸川区北小岩7丁目27 付近


そのままさくらの家から川を下っていくと、
ほんの7分〜8分であの美しすぎるマドンナ水野早苗さんのアパートが現れる。
ほとんど当時の雰囲気を残したまま佇んでいる。
ここも寅福さんや小寅さんが行かれている。



       





      


実際のアパートの名前は『いずみ荘』とは違っていた。
早苗さんは今、どこにいるのだろうか。
あの肇さんという従兄妹さんとあの後結婚したとは私はなぜか思えない。
けれど、このアパートはすぐに引越したであろうことは想像できる。

あの引越しの時点で、彼女はここからとらやに通おうとしていたのである。
さくらは第22作時は、まだ潜水艦アパート在住なので江戸川土手には来ていない。

アパート階段の向こうは真正寺のお墓である。




      
    現在のアパート。ほぼ当時のまま。

       














【さくらの四番目の家】


江戸川区北小岩4丁目40 付近


さて、早苗さんの家から先日『寅次郎な日々』にアップしたさくらの四番目の家である。
もうこの辺まで来ると、完全に柴又からは遠く『小岩』エリアである。
諏訪家はどこにあるの?ってマドンナあたりから聞かれたら柴又ではなく小岩って答えないと
いけないエリア。

そういえば、リリーも一時、小岩に住んでいたっけな。
博とリリーが久しぶりにであったのも小岩駅前だったっけ。
まあ、でも江戸川土手沿いなので柴又と同じ風なんだよね、うん。




              
博が毎日ジョギングしていた。

        



       




          
現在の諏訪家。まだまだ健在である。

       






この場所はさくらと博のシリーズ最後の姿が撮られた場所でもある↓


       












【木谷京子さんのアパート】


江戸川区北小岩4丁目37 付近



このアパートは『
ちびとらさん』が現地で突き止められたことは先日書いた通り。
京子さんはおそらく、あのあと大川弥太郎と結婚し、違う場所で新居を構えたと思われるので
このアパートは引っ越したのだろう。

それにしてもさくらの四番目の家とこんなに近いとは思いもよらなかった。



       



現在のアパートを土手から見たもの。
すっかり建て替えられて入るが、設計は今もだいたい同じような作りと思える。



        





以上です。

今回は大きな更新でした。



     

       






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ご近所だった!さくらの家と京子さんのアパート


2010年6月2日 寅次郎な日々 その441

この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。



昨日、いつ私が参加させていただいている月虎さんの「男はつらいよ」SNSで、
ロケ地巡りをライフワークとされている「
ちびとらさん」が先日京成江戸川駅から江戸川土手を探されたレポートを書かれた。
ついに
第14作「子守唄」のマドンナ木谷京子さんのアパートを突き止められたのだ。

「ちびとらさん」は3歳になるジュニア君といつも一緒に各地のロケ地を巡られる。
ジュニア君は3歳にしてかなりの寅さんマニア。
小諸滞在中、はやくもあの「尾瀬の寅さん」たちの前でちゃんと一人で仁義を切った凄腕なのだ。
まるでこの父子は『子連れ狼(タイガー)』の拝一刀と大五郎のごとし!おそるべし…冥府魔道の道をゆく二人…(^^)

休日になると、いつもニコニコと楽しく、しかし実は眼光鋭く、日本各地の寅さんロケ地を今日も巡られているのだ。
まこと微笑ましくも激しさを秘められた父と子である。

それで、私も「ちびとらさん」が探された京子さんのアパートをストリートビューで巡ってみた。


まず、京子さんは京成 江戸川駅で下りて江戸川の方へ歩いていく。↓



      





下の航空写真で分かるように江戸川駅から江戸川土手はすぐそばだ。


      




で、京子さんは江戸川土手沿いのアパートに到着


      




母親の木谷はなさんから届いた小包に住所が書いてあるが、
こういうのは例のごとく、当然スタッフはわからないように本当の場所とはずらしてある。



江戸川区北小岩四の十三の六

木谷京子  様

と一応なって入るが…


「ちびとら」さんは、それでも住所に書かれてあった場所を歩いて調べてみられた。
案の定江戸川土手の方向ではなかったそうで、やはりこの住所はダミーだったそうだ。



       




で、彼は原点に戻って江戸川土手沿いを探される。


その時位置確認の唯一の決め手となったのが
↓のアパートの向こうに見える江戸川河川敷と川そして赤い突起物があるビルだ。

「ちびとらさん」は、このビルが1972年かに施工した「市川国府台マンション」であることを確かめられ、
間違いなくこの作品に映っているのはそのマンションだと確信された。



                




あとはビルの見え方を考えてピンポイントで絞られたのだ。

先日のTさんの時にも書いたが、彼らロケ探しの達人たちは自分の足で目的地を探される。
実際に江戸川駅から歩かれて現地でキャプチャー画像と見比べながら調査され、
じっくり楽しみながら自分の足で地面を踏みしめて汗をかいて風を受けて絞っていかれるのがなんともカッコいいわけだ。



で、私も、そのような「ちびとらさん」のレポートを足がかりに
遠い富山県から遅ればせながらストリートビューや航空写真で確かめてみた。
その結果が、ストリートビューで見たこのアパートである↓。


          



もちろん完全に建て直してはいるが、部屋の並び方や方角などがほぼ同じ。
川向こうのマンションがあのような角度で見える場所の中でアパートはここだけ。


          同じ位置から川向こうを眺めてみる。ビルの見える角度が同じ!

               



結論としては、京子さんはあのアパートの二階の角部屋あたりに住んでいたと思われる。

一応、伝家の宝刀20世紀1997年の航空写真で見てみたがすでにこの新しいアパートは
1997年時点で建っていた。


京子さんのアパートは『江戸川区北小岩4丁目37付近』

京成江戸川駅から徒歩で5分もかからない鉄橋の近くの場所だった。



ちなみについでに川向こうの赤い屋根の市川国府台マンションにもストリートビューで行ってみた。
結構大きなマンションで、横が国府台神社だった。



       




ところで、話は実はここからが佳境なのだが…



この京子さんの向こうに広がる江戸川と森と赤い屋根のマンション風景だが
どうも他の作品で見たことがある。
それも一つじゃない。複数の作品でだ…。

どうしてもこのおぼろげな記憶を確かめたくて
意を決し、仕事の合間をぬって晩期の作品群を何作品か見て、チェックしていく。

そうするとありました!すぐみつかった!

あの風景、なんと『さくらの家』の前からすぐ江戸川土手に上がった風景だったのだ!!

つまりあの京子さんのアパートの位置は 『さくらの家』から土手沿いに
徒歩でほんの5〜6分ほどだった!


さくらたちの家と言っても、もちろん寅の言うところの昔の潜水艦アパートではない。
一軒家のほうである。
最初はあの一軒家は現在の北総線新柴又駅東側土手沿い高架近く(柴又5丁目)にあり、
映画ではあの家を買って以来全然引越していないことになっているが、
ロケの諸事情により3回一軒家を変えている。(合計4軒)



これは以前も書いたが、

最初の一軒家は26作「寅次郎かもめ歌」〜40作「寅次郎サラダ記念日」まで。

しかし、総武線の高架計画のためついに立ち退きになる(TT)


ちなみにこの一番目のさくらの家と
英語塾を開いていためぐみさん圭子さん母娘の家は結構近いのだ!



         





次に第41作「寅次郎心の旅路」〜42作「ぼくの伯父さん」まで。ちょっと金町寄り。

しかし家の横で工事が始まってしまう。

ちなみに、この2番目の家はなんと散歩先生宅と同じ東金町!
だから散歩先生はさくらの2番目の家のご近所。


          





また変わって第43作「寅次郎の休日」〜第45作「寅次郎の青春」まで。

しかし、これまた近くの家の環境が変わったので家替え。

このあたりにあの早苗さんも住んでいた!

つまりさくらの3番目の家と早苗さんのアパートは同じ
北小岩!
さくらの家はこのように次々にみなさんとご近所になっていく。(((^^;)



          




そして第46作「寅次郎の縁談」から〜第48作「寅次郎紅の花」まで。

家の大きさは徐々に大きくなっていった気もする((((^^;)

さくらの↑の3番目の家ともさほど離れてはいない同じ北小岩!


               
走る博の右に見えるグレーの屋根の白い家

          





で、今回の発見は、そのうちの、シリーズ最後の家とその前の風景。
京子さんのアパートから見えたあの川原や川向こうの風景は
第46作から第48作まで使われた、あの家の前の風景だったのだ。
もうこうなってくるとみんなご近所だァ〜〜〜。
そうなんです。結構
北小岩に集まってるんですね(^^)



           



           




ストリートビューで見ると現在はこのようになる↓。今も健在!京子さんのアパートから徒歩5〜6分。

この家は以前寅仲間の親友『
寅福さん』がすでに探されている。
しかし、あのロケ地探しの究極の達人『寅福さん』でさえ、
まさかここからたった徒歩5分の場所に京子さんのアパートが並んでいるとは思わなかったかも…。



         



『江戸川区北小岩4丁目付近』(これ以上詳しくは書けません^^;)


だから博が朝早くジョギングしている時も川向こうのあの森は
見えているし、満男と菜穂ちゃんが家の前の土手で再会した時も
あの赤い屋根の市川国府台マンションが何度も映っていた。


        

      第47作の時のマンション↓やや側面中心。



           

 
        菜穂ちゃんと満男の間に淡く見えるマンション。

       







    第14作の時の京子さんのアパートから見る同じマンション。やや正面中心。

         




私にとって、これは大きな発見だった。
「ちびとらさん」のロケ地巡りがきっかけだったので
ちびとらさんのおかげだと思っている。





      さくらの家から京子さんの家の方角を見たシーン。鉄橋が見えるが
      あの鉄橋の端からこちら方向に歩いて徒歩3分で京子さんのアパート

       





満男が菜穂ちゃんと再会できて喜び勇んで走っていたあの階段も健在!


     




     


     



で、まとめると
今回のことを航空写真上に書いてみると↓のようになる。

京子さんのアパートは『京成江戸川駅』のすぐそば。
さくらたちの家も当然最寄りの駅は『京成江戸川駅』ということになる。



      





この地図↓でも分かるようにあきらかに新しいさくらの家は京成江戸川駅エリアにある。
それに対して昔のさくらの家やもっと昔の潜水艦アパートは完全に柴又駅(とらや)エリア。

      





そうなってくると…。
第48作『紅の花』で、ラスト、さくらと博が浅草に映画を見に行くが、北の方向、
つまり、新柴又駅の方向へ歩いていく。

浅草ならすぐ近くの「京成江戸川駅」からのほうがダントツ早い。
だから彼らは手前に歩いてこないといけないのだ。


おそらく、とらやにちょっと挨拶してから、出かけるのだろう…。と勝手に思っている(^^;)
っていうか、この家はあいかわらず『柴又5丁目』にあるという設定だから、これでいいのかも(^^)



      





あー、今回もいろいろ面白かった。

おわり









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第37作「幸福の青い鳥」 今回はちょっと長めのダイジェスト版  


2010年5月27日 寅次郎な日々 その440

この文書には本編のネタバレが含まれます。お気をつけ下さい。







第37作「幸福の青い鳥」    今回はちょっと長めのダイジェスト版


健吾を追いかける美保の姿  
人生を変えるさくらの言葉



この作品ではこのシリーズのもう一人のヒロイン知る人ぞ知る
大空小百合ちゃんが再出演するのである。

しかし、再出演と言っても、実はみんなの知るあの大空さゆりちゃんではなかったのである。


父親を長い患いの末亡くした後、筑豊の住宅で独り芸者をしてひっそりと暮らしていた美保さん。
彼女は少女の頃、「大空小百合」の名前で旅役者をしていた。
寅がその昔、ひいきにした坂東鶴八郎(この第37作では中村菊之丞)一座の花形だったのだ。
座長の坂東鶴八郎は実の父親。その大空小百合ちゃんと9年ぶりに筑豊の寂れた町で再会する。


             
車先生!                      寅さん?  
        →  


あの「車先生」と寅を呼んでいた可愛い娘が、今は「寅さん」と呼ぶ大人の女性になったのである。
かつて熱烈な大空小百合ファン(岡本茉利さんファン)だった私としては、そのキャラの変わり様に
それはないよと、この時ばかりは平気で過去の登場人物をいじってしまう山田監督を恨めしく思った。
私はただの一ファンなので、何をされても文句を言える筋合いではないが、
この大空さゆりちゃんだけは安易に「いじって」ほしくなかった。


寅は彼女と再会してこう言うのである。

寅「失礼だけど座長さんの娘さんかい?
小百合「はい…
寅「ということは、もしかして、大空小百合って芸名で、可愛い声で歌歌ってたんじゃねえか?
小百合「そうですけど…
寅「それじゃあ、オレのこと覚えてねえかなあ…、
おまえのおとっさんとよくねえ酒なんか飲んだりしたことあるんだよ…

小百合「寅さん…
寅「うん、よく思い出したなあおまえ、そうよ、その寅さんよ



これが「幸福の青い鳥」での運命の再会シーンなのであるが、
やはりここは第8作、第18作、第20作あたりの思い出をもう少し大事に
してほしかった。観客は結構覚えているものである。
もちろんこの映画のファンならあの岡本茉利さん演ずる大空小百合ちゃんは
絶対に忘れられない純真なマドンナの象徴だったはず。

もちろん山田監督は、お名前拝借とばかりに、
人物設定やキャラを少し変えて現代の物語に合うようにしてあるのだろうが、
大空小百合という芸名と昔の雨の日のエピソードがそのままなので、
やはり観客にとっては、決定的にあの大空小百合ちゃんなのである。

だから、あの昔の大空小百合ちゃんがいくら大人になったとしても
恩のある寅のことを「寅さん」なんて絶対に言わない。
必ず彼女は「車先生」と言うはず。
言葉ももっと丁寧である。それは役者をとうにやめた今も同じのはず。

第8作当時、おそらく17、8歳くらいだった。当時もう子供ではない。
第8作で2度、第18作で1度、第20作で1度、しっかり会って、芝居を見物し、
またもや長い時間共に話をしている。
第20作で、最後に寅に出会ってから9年の歳月が流れたことになるが、
その程度で何度も縁があった寅のことを忘れるわけがない。

大空小百合ちゃんはスピードが出ている車の荷台の上からでも、
すぐ寅だと気づく記憶力とカンのいい娘さんなのである。
だいたい9年くらいで、この寅という男は何も変わっちゃいない。

山田監督にしてみれば、さほど細かい事まで観客は覚えていないだろうと、
気楽な気持ちでサブのキャストだった大空小百合ちゃんを使い、
ちょっとアレンジして再会場面を設定されたのかもしれないが、
私たち大空小百合ちゃんファンからしてみれば、ここは、こだわりたいのである。


だから、この「幸福の青い鳥」の再会の場面は、私なら独断と偏見で
こう演出したいところだ。


寅「失礼だけど座長さんの娘さんかい?
小百合「はい…
寅「ということは、もしかして…

小百合、はっと気づいて、

小百合「…先生!車先生!
寅「うん!大空小百合ちゃんだね…。よく覚えていてくれたな
小百合「お懐かしいです、先生!
寅「もうその先生ってのは、やめてくんな、寅さんでいいよ
小百合「はい、寅…先生
寅「ハハハ、寅さんだよ
小百合「はい、寅…さん
寅「そうよ!
小百合「はい!

これなら、観客は懐かしいあの日々を思い出すことが出来るのである。

大空小百合ちゃんとの一期一会の日々は、このシリーズの中で大事にしたい
どこまでも懐かしい思い出である。これは多くの人の偽らざる気持ちであろう。

とは言うものの、
時の流れとはひょっとして
そういうものかもな…と、静かに思いかえしもした。

ちなみに志穂美悦子さんには私は実際にお目にかかったことがある。
学生時代椿山荘でバイトしていた頃、友人の披露宴に来られたのだ。
それは美しい方で、映画で観ているよりもずっと素敵だった。



間に合った美保さん  走る柴又参道

もう誰もいなくなって心が淋しい美保さんは
東京に出てきて寅に一目会って、もう一度話をし、筑豊に帰ろうと
していたのだが、寅やさくらたちの応援で、柴又の中華食堂「上海軒」で働きながら
とらやの2階で生活するようになる。

「寅さん、いつもこうやって大勢でご飯食べるの?」美保さんは嬉しそうである。

彼女はさくらにそっと言う「みんなの待つ家に帰ってくるのは嬉しい…」と。
小さい頃から小学校を50回も転校し、父親が亡くなってからの孤独な人生は
もう辛くてしかたがなかったのだろう。矢も盾もいられなくなりとらやへ来てしまったのだ。

           

そんな美保さんは、ふとした縁で親しくなった、画家を志す青年健吾に惹かれていく。

しかしお互いすれ違いが重なり、意地を張ってしまう。
健吾はとらやの店で別れの言葉を告げて柴又駅に走り去っていくのだ。
しかし、本当は美保さんも健吾もお互い相思相愛。

この流れはあの第1作「男はつらいよ」のさくらに想いを告げ、立ち去って
行く博の姿に重なるシーンだ。
そして美保さんは、ギリギリで健吾を全力疾走で追いかける。

それは、まるであの第1作で博を追いかけ柴又駅に走るあの日のさくらのようだった。


そのきっかけになったのは寅の言葉とさくらの優しさ。

寅「話は後で聞く、さ、すぐ追っかけて行きな

美保「でも…

寅「おまえはあの男が好きだし、あいつはおまえに惚れてるよ。
 オレから見りゃよぉくわかるんだ




そして、さくらは自分の体験を踏まえて真剣な顔でこう言うのである。


さくら「お兄ちゃんのいう通りよ。もしほんとにこのまま別れ別れになったらどうするつもり?


          



さくら、はっと気づいて、サイフを取り出し、小銭を美保さんの手のひらに渡し、


さくら「これ、おつり。渡してあげて、…さ、」と美保さんを優しく押し出す。

全力で走っていく美保。

美保さんが行ってしまった後、下を向き淋しい気持ちを隠せない寅。


さくらが美保さんにおつりを渡す時の顔は優しくきらきら輝いてほんと素敵だった。
私はこの時のさくらが大好きである。
私はあのようなさくらを見ては毎回さび付いた垢だらけの心を洗っているのだ。
やはりさくらは人の人生を変える力を持っている。


         



かつて

出て行った博と走り追いかけるさくらがいた。
そして今、
出て行った健吾と走り追いかける美保さんの姿。

17年の歳月を経てまた柴又駅ホームで新しいふたりのドラマが始まるのである。



         博に追いついたさくら             健吾に追いついた美保
           
 

悲しい別れのドラマが圧倒的に多いこの柴又駅ホームの物語の中で、数少ない恋の成就
は、あの第1作と、この第37作だけである。やはり感慨は深い。


それにしても美保さんは偉い。寅に会う前に、何度もとらやに電話して寅がいるかどうかを
確かめている。何の連絡もなしに突然訪ねてくる多くのマドンナたちより、よっぽどきちんとしている。
さすがあの礼儀正しく真っ直ぐな気性の坂東鶴八郎(中村菊之丞)座長の娘さん『大空小百合ちゃん』である。


才能の有無に悩みぬく健吾の魂

オレなんかクズなんだよ!才能のひとっかけらもないクズなんだよ!

6度も7度も公募展に落ちてそう叫んでしまう健吾。
彼は自分の才能の有無を疑い、落ち込み、絵を描くことをやめようとさえ思う。
そんな健吾を励ます美保さん。
この若き画家の卵を見るにつけ、いつも自分のことを思ってしまう。
私も自分の才能を常に疑い、時には自信を持ち、時には今もなお、
才能なんてないんじゃないかと恐れている。

私も健吾もみんな絵描きは死ぬまで悩みぬくのである。
それはある意味当たり前である。
クライアントのニーズに答えて描くのでなく、自分の感覚のみを使って好き勝手に描きまくるのであるから
世間の評価やニーズと乖離することは実に頻繁に起こりうるできごとなのである。
一歩間違えば常に世間的にも自分的にも「クズ」になる危険性が待ち構えている。
私など今までの生涯の大半は「クズ」として生きてきた。
それに耐えて耐えぬいて自分を生涯貫くことができるなら、その人は紛れもなく絵描きなのである。


芯の強い優しさと自己を貫く頑固一徹さを持った九州男児健吾と
それらを全て理解できる同じ感覚を持つ筑豊出身の美保さんは、
このシリーズでのまさにダイヤモンドカップルだった。

すでにテレビドラマ『親子ゲーム』で知り合って交際していた二人が、より一層親密になるきっかけになった
映画であることも忘れてはならないのである。
これは第30作の田中裕子さんと沢田研二さんのパターンとほぼ同じである。

志穂美さんはこのあと長渕さんと結婚、芸能界を引退してしまうので
映画としてはなんとこの「幸福の青い鳥」が最後の出演作品。

なにかと批判の多いこの作品だが、
このカップルのその後の進展を考えるとちょっと嬉しい。






それでは『ちょっと長めのダイジェスト版』をどうぞお楽しみください。



松竹富士山


      




夢のシーン


「幸福の象徴」である青い鳥を追い求めて、
旅を続けている寅やさくらたち。


実は脚本第2稿までは
寅が蒸気機関車の機関士になってお嫁さんをもらい活躍する話だった。
決定稿ではこのモーリス・メーテルリンク作の童話劇「青い鳥」のアレンジ話に落ち着く。




フレデリック・フランソワ・ショパン のピアノソナタ第2番(変ロ短調 作品35)が流れる。

第3楽章

第3楽章に有名な葬送行進曲が用いられていることから
「葬送
」または「葬送行進曲つき」の副題でよく知られるピアノソナタ。


寅やさくらたちは『青い鳥』を見つけに、もうかなり長い日々、山深く入り込んでいるが、
どうしても見つからずにいる。

メンバーは寅、さくら、博、源ちゃん、満男。

さくらは半泣きであきらめムードが漂ってきた。博に泣きすがり柴又に帰りたがるさくら。


       


さくら「考えてみれば幸せを呼ぶ青い鳥なんているわけないわよね、
    バカだった私、ウウウ…


みんなバテバテで憔悴しきっている。

寅「どうしたみんな元気を出せ、もうすぐ青い鳥が見つかるぞ!

その時、青い鳥がやってきて、寅はついに捕まえることができたのだ。

鳥かごに青白く光るその鳥を入れたその時、


      



突如、音楽が明るくなる。

エドヴァルド・ハーゲルップ・グリーグ作曲の

組曲ペール・ギュント 第1組曲 作品46  第1曲 朝

が聴こえてくる。


そしてその向こうにはなんと桃源郷が広がっていた。

どうも凄まじく古い桃源郷のイメージ((^^;)


桃源郷に向かう寅に、
電車の車掌さんが追いかけてきて切符を拝見しようとする。


夢と現実がごちゃまぜ(〜〜;)


このような夢のなかに現実が入り込んでくるのは
第5作「望郷篇」の夢でもあった。
あの時は夢のなかのさくらが「お客さん」と言って、宿の女中役の
谷よしのさんにバトンタッチされ、谷さんが「お客さん」と言って寅を起こすのだ。




      




イッセー尾形さん扮する車掌さんに乗越代を払う寅。
釣りは「ほんの気持だ取っといてくれ」と言ってしつこく迫る寅。
困ったイッセーさん、逃げていくが、それでも執念深く追いかける寅。


      


ドアの向こうに逃げ込むイッセーさん。
是が非でも開けようとドアを横にひっぱる寅。

笑う乗客。


夢、追う人。
旅、追う人。

のポスター





タイトルイン


      




はつらいよ 幸福の青い鳥



山口県 萩市


萩市城址公園の萩時代祭がクライマックスを迎えている。

大勢の人の手で大名行列が繰り広げられている最中。

どうでもいいが、腕時計してる人多すぎ。
それじゃ江戸時代にならないよ〜。


       



公園横の 平安橋

バイをする寅とポンシュウたち。

寅はスニーカーを売っている。

『若者よ、ソウルをめざせ』



       



ふれあいを食卓におくる
松月堂パン 坂倉しんみせ
山口県 萩市 平安古町東区の食料品店。


バイが終わってカバンを持って帰ろうとする寅。
カバンが当たって新堀川に落ちかけるポンシュウ。


平安橋は萩城三の丸の3つの総門(北・中・平安古)の一つ、
平安古総門の外堀に架けられた石橋で、萩城三の丸から城下町へ通じる道路でった。
昔は、中ノ総門や北ノ総門前にも橋があったが、現存するのは平安橋だけとなった。
平安古に通じているということから“平安橋”と呼ばれる玄武岩で造られた橋は、
吊り桁、定着桁を備えたゲルバー桁橋の構造を持った無橋脚の珍しい橋。


新堀川沿いを寅とポンシュウが笑いながら
仲良く西へと歩いて行くところでタイトルが終わる。


        





柴又題経寺 二天門前

上海軒の親父さん(桜井センリさん)が出前をしている。



とらや 台所

さくらがやってくる。

工場の外では工員のトシオが
父親が経営する老舗のクリーニング屋を継ぐかどうか博と相談している。



      



とらや 台所


相談の後、台所で博はさくらに言う。

博「この工場にしがみついていることが、トシオにとってほんとに幸せかどうか

そう言うあんたはどうなんだ博。なぜ独立しないんだ??


さくら「トシオさんが辞めても困らないの?

博「一昨年、オフセットの機械を入れた時点で一人は余剰人員なんだよ。
  だから社長としては辞めてほしいところなんだけど、言い出せないんだ。気が弱くて


さくらしみじみ

さくら「余剰人員ねえ…


あけみがやってきて急に明るくなったとらや。
寅の話題で盛り上がる。



      



おいちゃん曰く、余剰人員=寅((^^;)

そこへ電話


あけみが電話に出て

あけみ「キャー!!寅さん!!

みんなあけみの絶叫に驚いている。



下関の長府 忌宮神社 内の
公衆電話から電話している寅。




電話の向こうで絶叫が聞こえたので、びびって硬直している(^^;)



      



さくらに代わって

さくら「うん、私、どうしたのよーお兄ちゃん、
   一年間もご無沙汰よー、もう顔も忘れちゃったわー、フフフ


そうそう、この年86年は『キネマの天地』が入っているので
1年の空白が空いたんだったね。



      



あけみ「私焼き付いている」とおどける。

そうだったねえ〜〜。
前作第36作では寅に大変なお世話になったね、あけみ。

今どこにいる?と聞くさくらに

寅「長州だよ、長州、ん、へへ、そら帰りてえと思うけどよ、
  こっから江戸は遠いからなあ、え?恋愛?
  冗談言っちゃいけないよおまえ、
  こっちは地道に働いてるんだよ。
  じゃ、これで切るからな、あばよ




遙か関門海峡を挟んで九州を望む

下関市 赤間神宮



壇ノ浦の戦いで入水した安徳天皇の遺体は赤間関(下関)・紅石山麓の阿弥陀寺境内に埋葬された。
建久2年(1191年)、勅命により御陵に御影堂が建立され、
建礼門院ゆかりの尼を奉仕させたのが始まりである。以後、勅願寺として崇敬を受けたそうだ。


寅とポンシュウはその赤間神社でバイをしている。

寅は『鳥の笛』を売っている。
今回は2回のバイともにタイトルにちなんで『鳥の笛』



       



ポンシュウはなんとコンピューター占い。

で、寅もコンピューター占いをやってみる。


ポンシュウ曰く、寅は『寅年』
そして生年月日を記入。



出てきた紙には

南の方角に素晴らしい出会いが待っている』と書いてあった。



       


で、とりあえずポンシュウと離れて一人南、つまり九州に上陸する寅だった。


門司の桟橋

テキ屋仲間のキュウシュウと出会う。

寅「おい、キュウシュウ!
キュウシュウ「なんなー、寅あにいじゃなかねえ!珍しかねえ、どこへ行くと
寅「九州よ
キュウシュウ「そらここが九州たい、フフフ
寅「おまえらどこ行くんだ?
キュウシュウ「本州よ、フフフ

なんちゅう会話だ(^^;)

寅「ほー、オレとお前はお風呂のおならだ

キュウシュウ「なんな??

寅「前と後ろに泣き(鳴き)別れ、フフフ

キュウシュウたち「ハハハ!!」と爆笑。


すっ。。。とお互い別れる。
玄人衆はこのへんの立ち去り方が実に清々しい。
ぐずぐず立ち話などしないのだ。
山田監督はこういう演出が実に上手い。


        




福岡  遠賀川上流にかかる沈下橋。


増水時にはもぐってしまう橋。



        



黒田節のアレンジバージョンがコミカルに流れる。

寅が渡ろうとしたら、馬が向こうからやって来て、タジタジ戻る寅。

公開前の宣伝スチールではこの橋の袂で健吾と出会っているシーンがある。
当初はそういう設定なのかな。
と、いうことは、長渕さん、この橋までロケに来たのかな?




飯塚の町に入って来る寅。


「嘉穂劇場」の宣伝車が走っていく。

寅が行く向こうに飯塚のボタ山が見える。



        



旧穂波町平恒にある住友忠隈炭鉱のボタ山
ボタとは、簡単に言えば石炭の残りかすのこと。
これを山のように積み上げていったものをボタ山と言う。




嘉穂劇場(かほげきじょう)

福岡県飯塚市にある古い形の劇場。
木造二階建て、入母屋造りで間口15間(27b)、奥行き23間(42b)、定員1,400人、
マス席は一箱6人詰めの席が70余、
桟敷は一階が三段、二階が二段、向こう桟敷は四段。
廻り舞台は直径が約16bもある大きなもの。奈落もある。

建物自体も国の登録有形文化財。
特定非営利活動法人によって運営されている。
初代理事長は伊藤栄子。2代目理事長(現職)は伊藤英昭。

1931年(昭和6年)、当時の嘉穂郡飯塚町で伊藤隆により設置される。
前身は1921年(大正10年)に大阪・中座を模して建てられた木造3階建ての「株式会社中座」
1928年(昭和3年)に焼失し、翌年に再建されるも1930年(昭和5年)の台風で倒壊。

観客は当時筑豊地域の中心産業であった石炭炭鉱の労働者とその家族が中心。
大衆演劇や有名歌手の公演などで賑わった。
しかし石炭産業の衰退もあって、1962年(昭和37年)には延べ266日であった公演数は、
1970年代には10〜15日に落ち込む。
しかし、1979年(昭和54年)から毎年9月に九州演劇協会による「全国座長大会」が開催されるようになり復活。


2003年(平成15年)7月19日の大雨により、 劇場は全て浸水したことは記憶に新しい。
ほとんど全てが使用不能になる被害を受ける。
九州演劇協会会長・玄海竜二より連絡を受けた津川雅彦らが芸能人仲間に呼びかけ、
中村玉緒、明石家さんま、中村勘九郎(現・18代中村勘三郎)ら大物が駆け付けた復旧チャリティイベントが行われ、
イベントに先立ち飯塚市中心商店街で「お練り」も行われた。
このイベントでは、田村正和や木村拓哉らの私物がチャリティオークションにかけられ、
東京でも滅多に無い豪華なイベントとして話題となった。

上記水害の後、約1年かけて復旧工事が行われ、
翌年9月に復興し、開場より伊藤家の家族経営により営業を続けてきた唯一の民営の芝居小屋であったが、
復旧に際して公的資金の支援を受ける必要があったことから、
特定非営利活動法人(NPO)化された。
現在は養子の伊藤英昭夫妻が中心となって運営にあたっている。



嘉穂劇場を見て懐かしがる寅。



        



浅香布美代ショーが86年の10月16日(日)に行われたようだ。


嘉穂劇場の中に入っていくと、
そこは昭和の歴史を全て物語っているような独特の世界が広がっていた。



        




すまけいさん扮する裏方のおじさんが
座布団をゆっくり片付けている。


寅「炭鉱が盛んだった頃、オレもよくここへ来たもんだよ。
  そのころはこの中人がびっしりでな、大変な景気だった…


と、感慨深げに劇場内を見渡している。

おじさん「あんころはなあ…

寅「あー、そうだ、オレは前この小屋で
  東京の歌舞伎を観たことあったっけなあ。
  高麗屋。あら、いつだったっけ?


おじさん「昭和38年3月10日

今の松本幸四郎さんのお父さんの代だねえ、きっと。


寅「はあー、好きだねえ、フフフ。
  勧進帳、よかったなあー



高麗屋の屋号を持つのはご存知、
代々の松本幸四郎一家。定紋は四つ花菱。



寅は、「おじさん、おじさん」と声で呼びかけながら


花道の縁にしゃがんで、
雪駄をつかんで『勧進帳』弁慶の幕切れ、
『飛び六方』の場面での
見事なセッタの『ツケ打ち』をうち鳴らす。


それに応えるように、
クライマックスの『
飛び六方』を演じるおじさん。



寅「よお!バタッ!!

寅「とお!!バタッ!!


おじさん、弁慶になりきって見得を切っていく。

六方を踏み始める。

足で タン!!


寅、雪駄を打ち鳴らし続ける。


バタッ!!
タタ!!タタ!!タタ!!タタ!!
タタタタタタタタタタ!!!


おじさん、ダイナミックに六方を踏んで
花道をこちらに迫ってくる。


寅「いやあ!!タタ!!


       


大見得が完全に決まり、
目をひんむいて、型を維持するおじさん

寅「ちょーおおおあ!!

 高麗屋!!!




       



寅大喜びで

寅「ひゃあ、キャハハハハ」と大きく拍手

寅「上手いねえ!!

おじさん「へへ

寅「おじさん、元役者やってたんじゃないかい?

おじさんテレながら謙遜。

寅「やってたんだよー、ハハハハ


おじさん「フフフ、わかるー、フフフ



六方は身体全体を大きく動かして様式的に美しく歩いて見せる演技を言う。
飛び六方は、宙を飛ぶようにして踏む六方のこと。『六方を踏む』と言う。


感情の高まりなどを表現するために、
演技の途中で一瞬ポーズをつくって静止することを『見得』と言う。
いろんなことわざの語源になっていることは周知のこと。

特に今回のような 「荒事(あらごと)」の役では、より効果的に見せるために、
直前に大きく首を振ったり、足を大きく踏み出したり、手を大きく広げたりする動作を行う。
多くの場合、「見得」の瞬間には「バッタリ」という「ツケ」が打たれる。
寅が打ったのもその『ツケ』


おじさんが寅のツケにあわせて最後に六方を踏むが、
これらは「幕切(まくぎれ)」の「大見得(おおみえ)」と言う。
「ツケ」が細かく打たれた後に、大きく打ち上げられて、
主役を中心にして主だった人物が同時に「見得」をするため、
「打上げの見得(うちあげのみえ)」ともいわれる。




すっかり、気分がよくなった寅は、そのおじさんから
昔贔屓にしていた中村菊之丞のことを尋ねる。




寅「確か筑豊の出だって聞いたんだけどな

おじさん「知っとお。直方(のうがた)の生まれたい

寅「あ、そうかい、で、今その座長どうしてる?

おじさん「死んだ

寅「…、いつ?

おじさん「今年夏

寅「死んだのか…



       


おじさん「葬式に人の集まらんでほんに寂しかった〜…

このおじさんは参列したんだね。


こうして寅は、線香をあげようと座長の家を訪ねる。

この座長の名は「中村菊之丞」となっているが
あの第8作、第18作、第20作、第24作で
登場した『
坂東鶴八郎一座』のことだろう。





田川近く 炭鉱住宅


炭坑節が寂しく流れる。


かなりの家が廃墟になっている。
わずかにまだ住んでいる家がちらほら残っている感じ。

座長の家を探している寅。


寅はそこでバイクに乗って買い物から戻ってきた座長の娘美保に出会う。


彼女はずいぶんスポーティな雰囲気。
ヘルメットを脱いで、怪訝な顔で寅を見る美保。



      



美保「なんか用事?

監督さん、やっぱり大空小百合ちゃんはこういう言い方はしないよ。



寅「失礼だけど、座長さんの娘さんかい?

美保「はい

寅「ということはもしかして『大空小百合』っていう芸名で、
  かわいい声で歌歌ってったんじゃねえか?



こうして再現を書いていると
このエピソードはやはり使っちゃいけなかったって思う。
こういうのは大事にしなくちゃ。
この時点で監督やスタッフだけの大空小百合ちゃんでなく、
観客の心のなかに棲みついているわけだからね。


美保、微妙に怖がって

美保「そうですけど…


寅、にこにこ顔で

寅「そうかい、それじゃオレのこと覚えてねえかなあ…。
  おまえのおとっさんとねよく酒なんか飲んだりしたことがあるんだよ。
  ううん、フフフ


美保、ちょっと思い出した顔で



      




美保「寅さん…



     



寅「うん



     




美保表情が柔らかくなっていく。


寅「よく思い出したな、おい


美保「」目が輝いてくる。

寅「そうよー、その寅さんよー、へへ

寅「それにしても、ずいぶん大きくなったなあ…、ええ


照れる美保さん。


寅が最後に会ったのは第20作のラスト。
(第24作はマイケルだけが会っている)
あの第20作時点でどう考えても大空小百合ちゃんは
二十歳は超えていたと思う。
だからもう彼女は本当は大きくなりようがない。
だから別人だと思えばいいのだが、
大空小百合という名前を使われてしまったからには
ファンたちはそう割り切れるものでもないのである。







美保の家


仏壇に参る寅。

美保さんの口から『仏ほっとけ』ギャグが出る。
古い時代の父親に育てられたので覚えたんだね。

もう何度も出てきたこのギャグを
若い女性の口から発せられるのはなんだかおかしい。



第8作の最初の出会い、あの雨の日に小百合ちゃんに宿まで送ってもらっった
思い出などを話す寅。


第8作では四国という設定だったが、あれは実は神奈川の三浦半島でのロケだった。
そのことを利用して『伊豆の下田』で出会ったという楽屋落ちにすり変わっていた。



父親が病気になってから長引いてしまって
看病でかなり疲れて精神的に参って早く死んで欲しいとまで思ってしまったようだった。


そんなことを聞いて寅は

寅「苦労したんだなあ…、あんたも」と優しく言ってやるのだった」

美保「疲れました…正直言うて…



      



さっき寅に美保に家を教えてくれたおばさんが
りんご持ってきた。


あ、このおばさん役者さんなんだね。大船でも出演しているんだ。
地元のエキストラさんと勘違いした(^^;)


おばさんの前掛け『源氏 力正宗

「源氏焼酎」は静岡県大仁町(現・伊豆の国市)で東洋醸造が作っていた焼酎の銘柄。
「力正宗」は姉妹品の合成酒。同社は平成4(1992)年に旭化成さんと合併。
旭化成は平成14(2002)年、低アルコール事業をアサヒビールに譲渡。
「源氏」はアサヒビールの甲類焼酎・ホワイトリカーのブランドとして現存している。




       




その後、美保がコンパニオン(芸者さんのようなもの)としてよく出向く旅館「かどや」を
紹介され、そこへ一晩泊まる寅だった。





田川の旅館 かどや



着物姿の美保が団体客相手に『炭坑節』を歌って踊っている。

     
       




それを別の部屋(竹の間)から聴いている寅。


      




同じコンパニオン仲間に全作品であけみを雇っていた下田のママが出てくる。
彼女は田中利花さん。
この作品のロケの地元福岡の出身。
だから福岡方言はネイティブ。
彼女はかなりの作品に出演。チョイ役の常連さん。
田中利花さんは当時は田中リカさんと名乗っていた。
1980年「ヘアー」(ディオンヌ役)で舞台活動を開始。
映画俳優からミュージカルまで幅広く活動中。
個性的な雰囲気と、コミカルなキャラクターに定評がある。
また、舞台と並行してシンガーとしても音楽活動も行っている。




      





翌朝 田川を出る寅。


田川 井田(いた)駅 


美保さんがバイクで駆けつける。

香典返しを持ってきたのだ。
若いのに義理堅い。



ホームから三井田川炭鉱の竪坑櫓と2本の煉瓦煙突が駅から見える。

ホームに駆け上がって香典返しを渡す美保さん。


      



美保のテーマが流れる


美保「どこ行くと?これから

寅「そうだなあ…まあ、風に吹かれてフラフラと東京の方へ向かうか

寅、あんた九州でバイしたのかい?(((^^;)

美保「東京ね

寅「うん、フフ

美保「あ、ウチもついていきたか、このまま汽車に乗って…

寅「何かオレにできることあるかい?

寅を見る美保。

寅「と言っても、たいしたことできねえけどよ。
  欲しいものねえのか?


美保「そうやねえ…。青い鳥

例のメーテルリンクの童話のこと。




      



寅「鳥??


寅は不思議に思いながらも、バイネタの残りの鳥の笛を
カバンから出して美保さんにやる。

なんでカバンにそんな売れ残り物ものを…(^^;)



      




美保さんは吹いてみて



      



美保「嬉しか、フフフ


日田彦山線の田川井田折り返し、
筑豊線経由小倉行が入ってくる。


まがりかね駅
ほしい駅


美保「気いつけて帰って


寅「…、もしな、姉ちゃん東京へ出てくるようなことがあったら、
  葛飾柴又、帝釈天のとらやという店へ寄りな。
  もしオレがいなくてもオレの身内がきっとおまえのことを親切にしてくれるから




       



美保「うん」と心を込めて頷く。


ああこの優しい言葉を歌子ちゃん、花子、すみれちゃんをはじめ、
寅はどれだけのマドンナたちに伝えてきたことか…。
そのたびにとらやの面々は彼女たちの世話を焼き、それはもう大変だった。


寅「

頷く美保。


寅「幸せになるんだぞ


ドアが閉まる。

汽車が出て行く。

寅をいつまでも見送る美保。




      




誰もいなくなったホームで笛を吹く美保。




柴又 江戸川土手

ガールフレンドチャコちゃんから満男に来た手紙を読んでアドバイスしているあけみ。


手紙の内容↓

ハーイ ミツオ君 のってる?。
いつも元気いっぱいの
チャコでーす。
こないだのバスケの試合に満男君が来てくれて
もう感激!


でも舞い上がっちゃってシュート3回もはずしちゃって
チャコはずかし!
来週の日曜、3中と試合があるの。

ミツオ君
ぜったいぜったい来てね!
今度こそ、
ロングシュートぜったい決めてみせるから!

中略

じゃあまたね

チャコより