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まだ作品をご覧になっていない方は作品を見終わってからお読みください。



                 

武士の一分 絶妙のハーモニー  聴こえて来る美しい和音(2007年6月15日)

第22作「男はつらいよ.噂の寅次郎」ダイジェスト版(2007年6月10日)

第21作「男はつらいよ.寅次郎わが道をゆく」ダイジェスト版(2007年6月2日)

第20作「男はつらいよ.寅次郎頑張れ!」ダイジェスト版(2007年5月26日)

第19作「男はつらいよ.寅次郎と殿様」ダイジェスト版(2007年5月20日)



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武士の一分     絶妙のハーモニー  聴こえて来る美しい和音  
 

2007年6月15日寅次郎な日々 その318


ご注意) 下の文章をはじめ、私のサイトには物語のネタバレが多く含まれます。
       まだ映画作品を一度もご覧になっていない方は必ず作品を見終わってからお読みください。


不思議な縁あって、『武士の一分』を見せてくれる方がおり、こんな地球の果てで、帰国前にDVDで見ることが出来た。
バリの月夜を眺めながら徳平じいさんのぼそぼそ声を聞くのも悪くないなと思えた夜だった。



【最高のラストシーン】




新之丞「徳平」

徳平「え、 へえ」

新之丞「また鳥籠買わねばの」

徳平「へえ、…んだの。 ツガイの、小鳥ものう…」

新之丞「フフ、 だの…」



まず、全ての良い悪いの前評判も、役者の経歴も取っ払って真っ白な心になってから見た。

とてもシンプルで濁りのない作品だった。私の中では時代劇三部作の中で最もスッキリした後味のいいものになっていた。
山田監督にはこのシンプルさがあるから好きだ。
そしてこんな心が和やかになるラストシーンは久しぶりである。
たとえ主人公が目が見えなくても、そんなもの関係無しに見事な愛の賛歌のラストである。
バックに流れる富田勲さんの音楽が、あの美しいラストをさらに引き締め、いつまでも私達の中に余韻を作ってくれた。
繰り返すあの低音のリズムがたまらない魅力だった。才能とはああいうことを言うのだ。

家族、幸福の黄色いハンカチ、、はるかなる山の呼び声、寅次郎ハイビスカスの花、等々
山田監督のラストシーンというものは濁りがない。

ああ、見てよかった。見る意味のある時間だったと心からそう思えてくる作品というものは
そうそうあるものではない。決して大作でも、派手でもなく、シンプルで淡々としたこの小さな映画は、それでもお金を出して見て
決して損はないない数少ない映画だと思う。




            




【チームで作り上げた木村拓哉さんの『位置』】


なによりも木村拓哉さんが淡く美しく光り輝いている。そしてその微妙な芝居の階調を熟したスタッフとキャストが
丁寧に掬い取り、美しい和音に変え、絶妙のハーモニーを作り出している。このことは、心を透明にして見れば分かることだ。

あの木村さんの感覚を不協和音と見た日本の多くの映画ファンの人々は、この作品を理解できていないのだと思ってしまう。
なんせ、今年始め頃のこの映画の木村さんに対する不評と雑音は、遠く地球の果てに住む私にまで聞こえてくるくらい
激しいものがあった。まさに酷評の連続…。当時まだ映画を見ていなかった私は、彼の演技はそんなに酷いのだろうか…。と、
まだ見てもいないのに勝手に心配し、同情すらしていたのだが(^^;)ゞ

やはり、自分のこの目で映画を観て、確かめられてよかった。
あの役は木村拓哉さんでしか出来なかった。真田広之さんや永瀬正敏さんでは、あの三村新之丞はもっと『それらしく』なる。
その結果、緩急のバランスが弱くなり全体が硬く、息苦しいものになってしまっただろう。渡辺謙さんでもあそこまでイメージは
広がらなかった。木村さんだからこそ私達は、自分のこととして身につまされるように泣き、笑い、幸福感に浸れるのである。

ちなみに、剣道における基本は木村さんもかなり出来てはいるが、最も大事な足さばきや腰の入り方、立ち姿、格闘時のスケール、
などは真田広之さんの方が木村さんより格上だ。その部分は二人は人生が違う。目が見える見えないではなく、やって来た
道のりが違うのである。しかし、今作品は実はそういう体育系のチャンバラ映画ではない。男女の愛の賛歌である。

木村さんのまろやかで微妙にはにかむあの表情と庄内弁が、重くなりがちなこのテーマを中和し、再度見たくなる余韻を
作ってくれたのである。もしあの彼の『純情』を事前に山田監督が見抜き、起用したとすれば、山田監督の中に、よほど強い
イメージがこの作品に対してあったと言えるだろう。とにかく全体の中の彼の『位置』がとてもいいのである。これはある意味、
バランスを考え続けたスタッフとキャストたちの勝利だとも言える。いや、実はそちらの方こそが正しいのかもしれない。
私はこの鉄壁のチームワークに唸り、舌を巻いた。

また、時代考証に支えられたすべてのもののあり方や生活様式、『灯り』や『音』へのこだわりは三部作とも尋常さを遥かに超えていて、
この部分への執着はどんなことがあっても集中力を切らさない。相変わらず、この組のスタッフたちにはさすがの一言しかない。

チームワークの中では、笹野さんの間合いは凄まじい。やっぱり彼は『役者』だとつくづく思わされる。そして、加世を演じた檀れいさんの
間合いもこれまたいい。木村さんとのバランスを考えた、絶妙な間合いは、静かなスケールさえあり、すでに完成された大人の風格を
感じさせられた。

ある意味、みんなが坂東三津五郎さんや小林稔侍さんや緒方拳さんになる必要はないのである。
いや、そうなってもいいものは実は出来ない。ここが全ての芸術に当てはまる不思議なところ。
今回の映画を観て思ったのは、坂東さんや小林さんや緒方さんは、確かに様になっているし、実際貫禄も有りすぎるくらい有る。
しかし、ひょっとして彼らの代わりは探せば実はいるような気がしないでもない…。
しかし、木村拓哉さんの代わりはひょっとしていないんじゃないかと、ギリギリではそういうことだと思う。

重々しい正統派の時代劇は一見非の打ち所がないように見えるが、実は作品自体に余韻がなく、現代に生きる私たちにとって
イメージが広がらないものになっていることがしばしばある。ま、要するに重々しくは有るが硬直していて一本調子で退屈なのである。
映画というものはみんなで作るもの。それゆえ、ハーモニーと緩急が大切だということは私はすでに「男はつらいよ寅次郎相合い傘」で
学んでいるのだ。


ちなみに、笹野高志さんが演じた新之丞の父の代から務める中間の徳平役は実はとってもおいしい役である。映画人なら
誰でもわかる。あの役こそがこの物語の核なのだ。身分も格好もみすぼらしい冴えないじいさんだが、見て分かるように、
実は、物語的には陰の主役だと言ってもいい役なのだ。だから、あの役をもらった時点で、その役者はかなりおいしいのである。
そして笹野さんの凄いところは、スタッフや観客の期待を遥かに上回る、静かなれども大きな力強い芝居を今回見せてくれたところだ。
中間の爺さんのふにゃふにゃした中に黒光るあの腰の据わった静けさと間、貫禄はなかなか出せるものではない。笹野さんの懐は深い。
近年の笹野さんの演技は凄いのだ。





               




とにかく適材適所。この映画のまとまり方は尋常じゃない。撮影、音楽、美術、効果録音、編集、衣装、小道具、…
どれも全体の中でバランスを崩してはいない。ひとつひとつのパートがこれ見よがしに力んでいるわけでもない。
熟したスタッフと熟したキャストによって作られた濁りのない極めてシンプルで小さな夫婦の愛の物語である。
あの『たそがれ
清兵衛』の持つ広がりと切れ味は無いかもしれないが、シンプルで幸福な、きっぱりとしたラストシーンが
ここにはある。

山田監督の『映画人の一分』をしかと目に焼き付けさせてもらった。


最後に、桃井かおりさんのあの濃ゆい『味』にはニヤつきっぱなしだった。
「翔んでる寅次郎」から28年の歳月が流れ、本物のいい女優さんになられたことを実感しました〜(^^;)

あ、もう一つ、加世さんの『芋がらの煮物』を一度でいいから食べたいでがんす(^^)




第23作「翔んでる寅次郎」ダイジェスト版のアップは帰国直前で多忙のため6月21日頃となります。



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第22作「男はつらいよ.噂の寅次郎」ダイジェスト版
 

2007年6月10日寅次郎な日々 その317


ご注意) 下の文章をはじめ、私のサイトには物語のネタバレが多く含まれます。
       まだ映画作品を一度もご覧になっていない方は必ず作品を見終わってからお読みください。


魔性の女神、早苗さんの魅力      この言葉こそが女難の核 『寅さん 好きよ』

この映画の大原麗子さんはいやはやほんとうに麗しく、光り輝いている。こうして画像をキャプチャーしていても
どこで切り取っても絵になるのだ。普通なかなかこんなことはない。だから大原麗子さんだけを見ていてもかなり満足する
はずだ。第34作「寅次郎真実一路」の38歳の大原麗子さんもこの第22作に勝るとも劣らない色気だったが、
この若々しい32歳の大原麗子さんもなんともまあ美しいのである。しかし、そんな美しさとは反比例して、彼女は
いきなり不幸せのど真ん中にいるのである。どうしても好きになれなかった夫と離婚するしないで悩みながら別居し、
とらやに店員として働きにきたのだ。なんであのような見目麗しき彼女がこともあろうにとらやで働くんだ?…、
なんて思ってしまう。三平ちゃんやかよちゃんならいい意味でもとらやにぴったりなんだが、早苗さんではどうもオーラの
種類が違いすぎるのだ。ま、どうやらとにかく見た目とは違うちょっと変わった人らしいのだ。

その頃寅は、旅の僧に大井川の蓬莱橋で「女難の相」が出ていると言われて帰ってきたのだが、やはりそれは当たっていた。
精神的に追い詰められた人は、寅には弱いのだ。人は苦しい時悲しい時に他人に慰められると、ほんとうに嬉しいものだ。
第「ハイビスカスの花」のリリーが一番いい例だが、「寅次郎夢枕」の千代さんも寅の優しさに泣いてしまった。

そして遂に離婚をしてしまった早苗さん。早苗さんは今まで頑張って耐えていた緊張の糸が切れ、とらやで遂に
泣き崩れてしまうのである。
寅はなんとか茶の間で早苗さんの心を和まそうとするのだが、例の如く全て裏目に出る。
それで、みんなでかえって暗くなってしまったが早苗さんはその寅の優しい心に感動するのである。
そして帰り際に寅にこう言ってしまう。

早苗「あのー、今日はほんとにありがとう。
   私…寅さん好きよ!


駆けて行く早苗さん。
さくらの言うように、よほど、離婚直後のこの夜の団欒がうれしかったのだろうが、この発言には疑問が残る。
だいたい、いくら心を慰めてもらったとはいえ、この日は早苗さんが夫と離婚したばかりなのだ。
だから、これは間違ってもいわゆる「愛の告白」ではない。
あの第14作「寅次郎子守唄」で愛を告白する弥太郎青年のあの恋心とは異質のものである。

寅は齢四十をかなりもう越えている独身の男である。
寅に深い感謝と共にほのかな好意を持ちはじめたくらいで、いくら嬉しくてもちょっと言いすぎではないかと
思ってしまうのである。ましてやあの魔性の水野早苗さんの、あの目と声で言われると、寅でなくても誤解をしてしまう(^^;)
この早苗さんの『勇み足』が寅の気持ちを加速させ、結果的に悲しませてしまうことにも繋がっていくのである。

しかし、実はこの日から早苗さんも寅のことを好きになりかけてたのかもしれない。そういう展開は人生で確かにある。
そしてその心を持ったまま突然の別れが来るのがこの物語のせめてもの救いかとも思った。


ラストで、彼女を二十年も想い続けた従兄妹の肇のもとへ急ぐように強く勧める寅。

頷きながらもなにか言いたげだった早苗さん。
早苗「寅さん、私ね、…、分かってるのよあの人の気持ち
寅「だったら本人にそう言ってやりなよ、どんなに喜ぶか
早苗「そんなこと言ったって…私ね……
と、寅を見つめる。
早苗「あたしね…
寅「明日聞くよ。
  早く行かないと間にあわねえぞ、な

寅は恋のライバルが現れた場合、ほぼ100パーセント自分は譲ってしまう。
そればかりか、ライバルの心が痛いほど分かり、恋の仲立ちまでしてしまうのである。


「明日聞くよ」と言った寅の口跡とその表情は惚れ惚れするくらい素敵だった。
渥美さんのあの言葉と姿を見たいがためにこの作品を見ることもあるくらいだ。

それにしても早苗さんは「あたしね…」のあと、何を言おうとしたのだろうか?

いずれにしても寅は、すでに遠い旅の空である。
早苗さんの密やかな心は封印されてしまったのだ。

だからと言ってこの作品は実は大原麗子さんがメインではない。もう一つの魅力的な人物志村喬さんの存在は、
大原麗子さんが吹っ飛んでしまうほど大きなものがある。大原麗子さんは、私たちが見たまま、見えたままの
姿と演技だが、志村喬さんの芝居は、私の人生の歳月に比例して演技がどんどん違うように見えてくるのである。
一生をかけてひとつの役者の芝居を見ていくことの醍醐味を志村さんや渥美さんは私にずっと教えてくれている。
そういう意味でも、この第22作は『人間 諏訪一郎(ひょういちろう)』をもう一度垣間見ることが出来る嬉しい作品だ。
もちろん、私の関心の中心はもっぱらこちらにある。あ、これは、ここだけの話ということで…。



本編


@【墓参りをする寅とタコ社長の行方】

今回も夢から

寅地蔵尊物語

さくら(おさく)は、道端の毎日寅地蔵にお参りし、お父っつあんの目の病が治るように祈っているのだった。
雪が降り出して、おさくは自分のハンテンを寅地蔵にかけてやり、餅とみかんもお供えする。

寅地蔵の目からなんと涙が…。

一方、金貸しのタコべえは借金のカタにおさくを悪代官の妾として連れて行かれるのだったが、
そこへ、なんとあの寅地蔵の化身であるお坊さんが現れ、まず、タコベェたちを一瞬でやっつけてしまう。
寅地蔵「おさくとやら、南無観世音寅地蔵尊は、そなたの優しさにめでて、願いを聞き入れてとらせるぞよ

              

おさくたち「ははあー」と地べたにひれ伏す。
寅地蔵尊はお経を唱え、パワーを父親にかけてやると父親の目が見え出したのだ。
父親「あ!目が見える!
おさく「ああ!
なんと、冬の風景まで春に変えてしまい、 おいおい地球の摂理を… ヾ(^^;)

              

父親の目を治し、米俵を山積みにし、食料山盛り、おさくたちの服が立派になり、
ついでに小判をもジャラジャラ降ってこさせたのだった。
おさくたちは、驚愕し、うち震える。
寅地蔵「南無観世音寅地蔵尊…、ありがたき仏のお護りにより、この柴又村の幸せと平和は
     子々孫々まで守られることであろう…。めでたきかなめでたきかな

おさくと博「寅地蔵様…」と拝む
寅地蔵「南無観世音大菩薩、南無観世音大菩薩…」と唱え、フフとにっこり笑って消えていく。
そして家の前にはあの寅地蔵尊が残っていた。
一心不乱に祈るおさくたち。

寅地蔵尊の顔が寝ている寅の顔に変わっていく。

              

お寺で転寝して、和尚さんに起される寅。

寝ぼけてお賽銭に100円を入れてしまってお釣りをせがむ寅。
どうしていいかわからず賽銭箱を縦にしてお金を出そうとする やめろって ヾ(^^;)



タイトル 男はつらいよ 噂の寅次郎  映倫19616


口上「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
   帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎、
   人呼んでフーテンの寅と発します。


   ♪どおせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
   いつかお前が喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
   奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
   今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪



♪どぶに落ちても根のある奴は いつかは蓮の花と咲く
   意地は張っても心の中じゃ 泣いているんだ兄さんは
   目方で男が売れるなら こんな苦労も
   こんな苦労もかけまいに かけまいに♪



今回もコントの帝王津嘉山正種さん登場!
絵描きさん(津嘉山さん)が江戸川で油彩を描いている。



江戸川土手

ちょっとしたはずみで絵を見ていた人たちに寅が押されて、怒った寅が押し返し、その勢いで、一番前で絵を描いていた
津嘉山さんが倒れて、キャンバスの絵の具がべっちり顔につき、(TT)その二人で大喧嘩。
寅は、張本人の癖に例によって知らん顔してそそくさ立ち去るというコント。

             



柴又 題経寺近くの墓地

これはとても珍しいパターン。とらやの面々の野外ロケからはじまる。
おいちゃんおばちゃんさくらで秋のお彼岸に墓参り
春のお彼岸には「仏ほっとけ」で参らなかったので秋のお彼岸に参りに来たのだ。
すると、なんと墓の前で寅がもうすでに参っているではないか。
第11作「忘れな草」のオープニングと真逆。あの時は父親の法事をめちゃくちゃにしていた。

おいちゃんもおばちゃんもさくらも御前様もこれにはびっくり。
みんな大いに喜びみんなでお参りすることになる。

              

御前様「千造さん、あんたの息子が帰ってきたぞ、今日はいい日だなあ…南無妙法蓮華経…
★御前様、寅たちの父親は「千造」でなく「平造」ですよ。

おいちゃん、墓に水をかけている最中に寅が墓が間違っていることに気づき、
笑いながらみんなで花やボタモチ、お線香を引越し…


御前様もやり直し
御前様「千造さん、千造さん、あんたの息子が帰ってきたぞ、今日はいい日だなあ…
みんな御前様が同じことを言ってるので大笑い。
特にさくらがバカ笑い(^^


とらや  店 夜

おいちゃんの腰が年でかなり悪くなって来ているのだ。
さくらに揉んでもらっているのだがなかなかよくならない。

博「どうですか、いっそう人一人入れたら?
おいちゃん「冗談じゃない、ウチが給料なんか払えるか
さくら「あら、だって店員さんが来たら売り上げが確実に3割は増えるわよ
おいちゃん「増えたっておまえ、その分給料払えばもともとじゃねえか
博「もともとだっておじさんとおばさんの体が楽になるだけいいじゃありませんか
さくら「大事なことは、この店をいつまでも長く続けることでしょう
おばちゃん「でもねえ、ウチなんかにいい人が来てくれるかねえ


さくらのテーマが静かに流れる。

寅、心が沈んで…。

寅「すまねえな、オレがもうちょっとしっかりしてりゃ、おいちゃんたちにこんな心配をさせやしねえんだけど…

おいちゃん「寅、その気持ちだけで十分だ。人にはそれぞれ任というものがあるからなあ

人にはそれぞれ器があり、与えられた宿命があるという意味。
このシリーズのおいちゃんの言葉の中で最も深い感銘を受けた言葉の一つ。
この言葉は、3人のおいちゃんの中で下條おいちゃんが一番よく似合っていると思う。


さくら「そうね、お兄ちゃんにお店番なんか無理だもんね

              

ところで、このあたりでいつもならいる社長がいつまでもやってこない。

博の話によると不景気で仕事がなく赤字覚悟で割の合わない仕事を引き受けたりしているということ。
寅は社長が自殺したんじゃないかって想像を膨らませていく。

寅「おばちゃん、ウチには酒はあるか?すぐ酒屋行って叩き起こして、
  10本ぐらいここへ届けさせろ。さくら、茶碗、箸、皿、そういったもんの支度はいいか?
お通夜の準備だね(^^;)
さくら「そんなもん大丈夫だけど…、でも…

葬式好きの寅は、深刻になりながらも知らず知らずに葬式癖が出て気持ちが高揚している。

             

寅「よし、あとは寿司屋はずっとおそくまで起きてるっと…。
 残るのは葬儀屋だけだなあ。あいつは体がでかかったから棺桶も特大にしなきゃいけねえ。
 おいちゃん、これは万が一だけどな、もし、今晩お通夜ということになったら、このウチを貸してやろう、…な

おいちゃん、思わず頷く(^^;)
寅「奥の仏間にあいつの棺桶を据えて、ね。右っ方に親族、左っ方に遺族!、
  そしてここに労働者。ずっとここ酒の席にして、あそこ受付だよ、『ご愁傷様でした…』

汽笛 ピーーーーッ…。
寅、沈んだ顔で
寅「考えて見りゃあいつも可愛そうな奴だったなあ…決め付け(^^;)

このパターンのギャグはそっくりな形で第27作「浪花の恋の寅次郎」でも使われる。

寅「オレたちには計り知れねえ辛い思いをしてたんだろな…。
  もう一日オレが早く帰ってたらなあ…あいつと酒を酌み交わして、苦労話を聞いてやれたのに…

みんな「

と、その時…社長の鼻歌が聞こえてくる

社長「しのぶゥ〜と呼ばれたのぉ〜、神戸じゃァ〜、なぎさとぉ〜
酔っ払っていい気分で台所に入ってくる。
社長「なんだ寅さん帰ってたのかァ。今日はあたしもてちゃってね

おいちゃん「なんだどこ行ってたんだよ〜
どうやら池袋のバーで飲んで仲間と憂さ晴らししてたみたいだ。
寅の怒り爆発、社長をこかして、首を手で締め付けてしまう。
みんな引き離す。
寅「なんだこのヤロウ!みんながてめえのこと心配してんのに!
社長も怒って結局大喧嘩。庭で大暴れ。

              



翌朝 さくらのアパート こいわ荘(第5作ではコーポ江戸川)

電話をしているさくら
さくら「じゃあ、おばちゃんたちが寝ている間に、こっそり出て行っちゃったのかしら

とらや

おばちゃん「そうらしいんだよ、布団なんかきちんとたたんじゃってね、書置きまで置いてあるんだよ。あ、今読むよ
      『
やっぱり、帰ってくるんじゃなかった。社長によろしく言ってくれ。あばよ。とらや御一同様 寅次郎



A【女難の相を背負いながらの旅とこんにゃく物語】


静岡 秋深き大井川 蓬莱橋

蓬莱橋を渡る寅。  

尺八の音色
旅の僧とすれ違う。
僧、寅を見て、呼び止める。

僧「もし…
寅、立ち止まり、振り返る。
僧「旅のお方…、
寅、静かにお辞儀。
寅「何か…
僧「まことに失礼とは存じますが、あなたお顔に女難の相が出ております。お気をつけなされよ…

               

寅「わかっております。物心ついてこの方、そのことで苦しみ抜いております
寅って、『物心ついたころ』から女難…。そんな若い頃から惚れっぽかったんだ…( ̄0 ̄;)

僧、ゆっくり頷く、
寅「では…」と両手を合わせお祈りをする。
お互い風の中去っていく。


                           


バイで電子バンドを売ったあと、井川まで行く寅。


静岡県川根本町 井川ダム 

ダムの上で若い女性が泣いている。
寅はあの僧が言った「
女難」を気にするが、それでも声をかけてハンカチを渡してやる。
それは、男に騙され捨てられたばかりの瞳さんだった。


               

ずっと泣き続けている瞳さんをかまってやり千頭駅前の『お食事どころおざわ屋』という食堂で話を聞いてやるのだ。
ありったけの声と気持ちで、自分の悔しさを寅にぶつける瞳さん。
寅は優しいね。絶世の美女じゃなくても(^^;)優しいところがこの男のいいところ。


               

散々男の愚痴を聞いてもらった瞳は元気になって
千頭駅から井川鉄道バスで下泉方面へ向かう寅を見送る。


寅はいつものように

寅「あの山越えて、木曽路の方へでも言ってみるか」ってつぶやいたり、
寅「姓は車、名は寅次郎っていうんだ」って言って瞳を感動させるのである。
瞳さんは目を輝かせながら
瞳「かっこいい〜」(^^)
そして、バスに乗った寅をいつまでも手を振る瞳さん。
この映像は第13作「恋やつれ」で津和野でバスに乗った寅を手をふって
いつまでも見送る歌子ちゃんのアングルと同じだ。
実は、このパターンは「幸福の黄色いハンカチ」でも使われた。


そしてそのバスの中で寅はなんと博の父親である
諏訪ひょう一郎にばったり会う。
あり得ない確立が許されるのがこの映画。
いいではないですか(^^;)

一文無しの寅の独り言を後ろで聞いていたひょう一郎は、
ひょう一郎「君ね、今夜は私の宿で一緒に泊まらんかね
寅「え?、なんだいいいのかい、そんなこと言っておじさん随分親切だね、あんたどういう人?
ひょう一郎「君の親戚だよ諏訪一郎(ひょういちろう)さんだ!

                

寅「え?あー!博のお父っつあん!うまい人に会っちゃったねえ!
  よーし、今晩は温泉宿か、温かいお風呂に温まってと!さてそれからだ、フフフ


ひょう一郎、そんなやんちゃな寅を見てニコニコ。


木曽 紅葉館

                 

木曽節を芸者さんたちと唄いながら盛り上がり、挙句、外にみんなで遊びにいってしまう寅。
ひょう一郎「やれやれ参ったなあ…」と呆れて一人椅子にへたりこんでいる。


翌日木曽福島をタクシーが行く。 


妙覚寺 ― 定勝寺 ― と巡っていくが寅は寝てばかり。

ひょう一郎は何箇所か寺を巡って行くが、寅は昨日騒ぎすぎたこともあって車の中で寝てばかり。

                 

美しく雪をかぶった木曽御嶽山

ひょう一郎、山を撮ろうとしてカメラを向けるが、レンズキャップをはずし忘れるという小さなギャグを見せてくれる。
ひょう一郎のミニギャグ始めてみました(^^)


夜 大桑村 野尻 野尻商店街

木曽十一宿のひとつ 野尻宿

旅館 庭田屋



                


かばんの上に並んでいる二つの帽子(なんだか可愛い)

一向に芸者遊びに興味を示さないひょう一郎は寅にこういうことを言う

ひょう一郎「いくら美人でも死んじまえば、骸骨だからな
寅「そういう考え方がいけないんだよ。そんなふうに思ったら世の中面白くも可笑しくもないじゃないの〜

ひょう一郎「年を取るとね、面白いことなんかなくなるんだよ
寅「あー、そりゃ心がけがいけねえんだよ、こういう漢字ばっかり出ている本なんか
  出ているからね。いい影響を与えないんじゃないのこういう本っていうのは

ひょう一郎「これは面白い本なんだよ
寅「ほう
ひょう一郎「今昔物語と言ってね、…
寅「こんにゃくの作り方かなんか書いてあんの?おかしな本だね」と寝転がる。
ひょう一郎「いやあ、これはね、昔の日本人の暮らしを書いた本でね
寅「はい」と週刊誌を見ている。
ひょう一郎「たとえば、ある所に、君のように二枚目で、女にもてる男がいた。
寅「え、二枚目だなんて言われると困っちゃう、ハハハ
ひょう一郎「ところが、この世のものとも思えぬ美人がその男の前に現れた
寅「はあー、そういやね、こないだえらそうな坊さんに会って『女難の相』が
  あるって言われたんだ。他人事じゃねえな、そりゃ。そ、それで?

ひょう一郎「男はたちまち恋に陥ってだな、苦心惨たんな挙句、その美女をものにした
寅「結婚しちゃったんだろ、うまいことやりやがったなあ〜、それで?
ひょう一郎「可哀想にね、その美しい妻は一年も経たないうちに病を得て死んでしまったんだ。
寅「へー…、だけどそいつ二枚目だから、半年もしないうちにまた(小指立てて)
  いい女が出てきて、くっついた、くっついたろ

そりゃあんたや、半年に一回のサイクルで惚れてるのは ゞ(−−;)

ひょう一郎「いや、この男はね、君のような浮気者じゃないんだ座布団一枚(^^)
寅「……
ひょう一郎「三月経ち、半年経つが男はどうしても美しい妻の面影を忘れることができない。
      どうにもこうにも我慢ができなくなって、ある日妻の墓場へ行って、棺を掘り起こした。
      しかし、男が見たものは美しい妻の顔とは似ても似つかない腐り果てた肉の塊だった。

      男は、この世の無情を感じて頭を丸めて仏門に入り、一生仏に仕えて暮らしたということだ。

              

まあ、こんな話を読んでると、僕も人の一生についていろいろ考えさせられたりするんだけどね。

寅「……

               

じゃ、ま、風呂に入ってこよう.。。


寅、うつむいて真剣に何かを考えている。
寅、正座して『今昔物語』のページを開く。


翌早朝

書置きを残して寅はすでに去っていた。

寅次郎の声

お教えありがとうございました。寅次郎深く反省いたします。
なお、帰りの汽車賃と、コンニャク物語(り)を拝借いたします
大先生様  車寅次郎


御宿 庭田屋 と書かれた専用便箋

ひょう一郎「大人物は反省して去ったか…

お茶を飲みながら窓の外を眺める。

                




B【見目麗しき早苗さん登場と寅の帰郷】

柴又 題経寺 山門

御前様が源ちゃんを使って屋根の裏を磨かせている。
御前様「そこの下だ、下…
源ちゃん「へい

早苗さんが山門にやって来て
早苗「あのー、ちょっとお伺いしますけど…
御前様、はっとして「はい」
早苗「とらやさんってお店どこでしょうか?
御前様「とらやさんなら、この参道をまっすぐ行って左側だが…
早苗「あらそうですか、じゃあ私通り過ぎちゃったのかしら?
御前様「小さな店だからよく注意しないと分かりましぇん
この『分かりましぇん』のニュアンスが独特(^^;)
早苗「ありがとうございました

                  

源ちゃんいつの間にか下りて来て、あまりの美しさにボーっと
早苗さんについて行く。
御前様そうとは知らず、上を向いて
御前様「源!源!?どこいっちまったのかな…



とらや  店

早苗「あのー…、私墨田の職安から紹介されて来たんですけど
おばちゃん「え?あのー…あ、そうですか。ささ、どうぞどうぞ
みんなどうしてこんな美人がとらやに来たのか分からないで戸惑っている。
早苗「こんにちは、荒川と申します
おばちゃん「あのー…、ウチで働いてくださる方のご親戚か何かで…?」だよねェ(^^;)
早苗「いいえ、私です
おいちゃん「あのう…、ごらんの通りのちっぽけな団子屋なんですけど?」だよねェ(^^;)
早苗、少し微笑む。
おばちゃん「あの…赤坂にあるとらやさんって大きなお店があるんですけど、あそことは関係ないんですよ
早苗「知ってます
おばちゃん、小さく頷く。
早苗「これ、紹介状と履歴書です

                 

さくら「あのー…、仕事といったってお団子配達したり、お客さんにお茶運んだり、そんなことなんですよ
早苗「はい、それは職安から伺ってますけど
おばちゃん「あの、ちょっと店の中ご覧になったら?」もう店の中だよ。
おいちゃん「そーだ、ずーっと中のほうを…
さくら笑いながら
さくら「ずーっともなにもこれだけじゃないの、フフフ

ということで、明日から働くことになった早苗さんでした。

早苗さんが帰ったあとで
おいちゃん「いったい、どういう人なんかねありゃ…
さくら「さあ…いろんな事情がある人なんじゃない?
みんな「うん…」

博やって来て「ものすごく色っぽい人だって社長が興奮してたよ」見に来たんだね博(^^;)
おばちゃん「色っぽいだなんて失礼ね…
おいちゃん「いいや、色っぽいと、キッパリ(^^;)
さくら「おいちゃん

                 

おばちゃん「あんたまで…
あの当時の大原麗子さんは無敵ですからねえ〜、そりゃ無理ないわ(^^)

博「オレも店手伝うか…
さくら「バカねえ…とバシッ!
博「たまには兄さんのお株とってさ、ハハハ!

博、店先を見て突然真っ青

寅が店先で真面目な顔で眼光鋭くみんなを睨んでいる。

さくら「お兄ちゃん…お帰んなさい

信州の凍り豆腐の土産

寅「博、そこへ座れ
博、神妙に座る。
寅「オレが旅先で誰に会ったか知ってるか?
博「旅先でですか?さあ…色っぽい女の人にでも会いましたか?瞳さんには会ったけどね(^^;)
寅「バカモン!!オレが会ったのはな、博、おまえの親父だ
博「えー!?
みんな驚く

                 

寅は、博のお父さんが勉強して立派なのに対して博は昼間から仕事ほっぽらかして
大口あいてゲタゲタゲタゲタ笑っているとつい先日まで芸者遊びをしていた自分のことは棚に上げて説教をたれる。

寅「少しは反省しろ
博「すいませんでした
さくら「ねえ、お父さんとどんな話したの?
寅「そのことについては今晩みんなにじっくり話を聞かせる

社長早苗さんを見たさにデレデレでやって来る。
寅、社長を睨んで、みんなを見て、
寅「この手の人物とは付き合わないほうがいいんじゃないか?人間が堕落する」と二階へ上がっていく。
みんな、あの美人と寅が顔をあわせるとどうなるかを考えて憂鬱になってしまうのだった。

社長「これから大変だぞ…気の毒になあ…


夜   茶の間 

寅は例のごとく、受け売りで、あの『今昔物語』の話を聞かせようとする。

寅「今は昔、あるところに男がいた…
社長「ある所ってどこだい?
ちゃちを入れる社長。
機嫌が悪くなる寅。
おいちゃん「まあまあ、そう怒るなよ、面白そうな話じゃないか、
       昔、あるところに男がいた。ん、それで?恋愛でもしたか

寅「その通り。これがなんといいー女。男は惚れたねえー…
社長「でも失恋したんだろ?フフ座布団一枚(^^)
博「シッ!
寅「おい、どっか片付けろよ、この目障りの太ったの

さくら「お兄ちゃん、黙って聞くから先話して。恋をして、それからどうしたの?

寅「二人は結婚した。美しい妻。男は幸せさ、仕事にも励みが出る。
汗をかいて家へ帰る。『お帰りなさいませ。今日はお疲れになったことでございましょう
お風呂も沸いてございます。越後より美味しいお酒も届きました。
一つつけておきましょう。月の明かりの下で、つましい食事。
ほら、昔はこういう電気なんかなかったから、ね。
『どうだ、そなたも一口いかがじゃ』『いいえ、わたくしお酒など』『うん』
この幸せな二人の暮らしは、一年とは続かなかった。その女は病を得て死んだ。子宮外妊娠。
病名まで考えるか…(^^;)
おばちゃん「あら、気の毒に…昔話昔話…ゞ(^^;)
寅「男は泣いたな…。お通夜、葬式、初七日と、日は過ぎて行くんだが、男の涙は止まらない。
おいちゃん頷く。
寅「会いたい、もう一度だけ妻の顔が見たい。たまりかねて、月夜の晩に男は出かけたな…
みんな「…」
寅「…墓場へ
犬の遠吠えウオ〜ン
寅「サック、サック、サック…。薄暗ァ〜い木立の中に不気味なふくろうの声…
ホオ〜…、ホォ〜…、ホォ…。やがて棺桶が出てくる。はああ、この中に愛する美しい妻が…。
男の手が棺桶の蓋にかかる。ギギ、ギギ、ギギギギギギィィ〜ィ…。


                  

寅は驚愕の表情で中を見、
寅「うわあああああ!!

                  

みんなも一緒にびっくりし、
一同「うわあああ!
寅「なんと棺桶の中の妻の顔は腐れただれて蛆虫がうじゃうじゃ…
さくら「ヤメテェ〜!
おばちゃん「気持ち悪い〜
おいちゃん「なんだおどかしたのか
さくらたち「もうやだなもう

寅「違う!違うよ、これからが大事なんだ。いいかい、男はね、その日から
  二度とその美しい妻の顔を思い出せなくなってしまった。
  どうしても思い出そうとすると、醜く腐り果てて蛆虫のクチャクチャな顔が浮かんでくる。
  これは辛い…。その男の気持ちを考えるとオレも知らない間に涙が出てくる


さくら「それでどうしたの?その人

寅「出家したよ…。家を捨て、身を墨染めの衣にまとい。生涯修行の旅を続けた

                  

博「なかなか味のある話ですね…
寅「うん、人生について考えさせられたろ
博「はい
寅「よし、それでは今日はこのへんでお開きということにしよう

寅手を合わせる。
とりあえずおいちゃんと博も手を合わせる。
(^^;)

心を入れ替えた寅は明朝9時に修行の旅に出るそうである。

博に『コンニャク物語』をあげ、読むように勧める寅だった。



翌朝 とらや 店

昨日の早苗さんがやって来て、掃除をし始める。
おいちゃんたちなんとか寅と会わさないようにするが…。

そして旅出る直前の寅とばったり出会ってしまう。

おいちゃんおばちゃんはどうしていいか分からなくておろおろ。

早苗のテーマが流れる。

店まで出てきて早苗を見て、固まっている寅わかるわかる(^^;)

早苗、寅を見て小さく会釈。


                

おいちゃんおばちゃんはなんとか事が大きくなる前に出て行ってもらおうと…、
おばちゃん「この人ね、私たちの甥で、ゆうべ一晩泊まって、もう旅にでるの
おいちゃん「残念だなあ…、もっとゆっくりしていけばいいのにわざとらしい(^^;)

寅、ぎこちなく店先まで出て行く。かばんを忘れている。
おばちゃん、すばやくかばんを持たせて

おばちゃん「体に気をつけるんだよ

題経寺の曲がり角で、超後ろ髪を引かれ続けている寅。ついに体が止まってしまい。とらやを見ている。
なんとかとらやに戻りたいが適当な理由が見つからない。
六波羅貴子さんの経営するロークが見える。

ちょうどそこへさくらがやって来て、これ幸いと仮病の腹痛を起し、
寅「イタ…店帰んなきゃダメ、店帰んなきゃダメなんだと、店に戻ることをいやに強調(^^;)


とらや 店

なんと板戸で仏間までご近所さんに運ばれてくる。
第25作「ハイビスカスの花」もこのパターンを踏襲。
ご近所さんで谷よしのさん登場(ハイビスカスの時もも全く同じ位置で登場)

                    

仏間に運ばれてみんなでえらい騒ぎになっている。
それを見て咄嗟に救急車を呼ぶ早苗さん。正しい(^^;)
早苗「消防署ですか、急病人です!救急車お願いいたします!

おいちゃん「さくら草履草履!と頭に草履を乗せるしぐさをしながら必死でさくらを呼ぶ。
さくら「草履なんか何するの!?ねえ〜(^^;)
おいちゃん「草履要るんだよ!確信(^^;)
★昔の言い伝えなんだね。草履を頭に載せてお経を唱えると、癲癇や腹痛が治るらしい。

発作的な病気は「天に感じる病だからいつも地に接している(感じてる)草履を頭に乗せることで中和(陰陽バランスを取る)ことで
治そうとする。実際このとき草履を乗せる頭の頂上部が「百会」のツボで脳性疾患や精神不安などの治療によく用いられる。


救急車がサイレン鳴らしてやって来て、寅を乗せていく。『東京消防庁』
寅はこれで救急車2回目。第45作でも乗るから合計3回乗ることになる。
ここでも谷よしのさん登場。ひさしぶりのロケ参加。このあと結婚式のため式場に入るご近所さん役でもロケ参加。

                    

で、寅、本当は腹痛でもなんでもないので、きょろきょろ、おろおろしながら上半身を起している。

とらや 店

何時間かしてさくらと一緒にふてくされながら帰ってくる寅だった。

さくら曰く「おなかの痛いのはね、ガスだまりだって(^^;)
第2作では本物の「胃痙攣」で緊急入院していたけどね。

寅は、怒って救急車を呼んだ人物探しをし始める。
みんな知らないと言う。

寅「だったらどうして救急車が来たんだよ!え!誰かが電話をしたんだろ!今日は、責任取ってもらうからな

                    

早苗「あのう…実は…
寅、ふり向きながら
寅「ダメ!!!
寅、早苗さんに気づいて、すくっと立ち
寅「は…!…いたんですか
早苗「電話したのは私なんです。すいませんご迷惑おかけしてしまって」と頭を下げる。
寅「いいえー、そんなこと。でも、よく気がついてくれましたねー、なあっ出たァ〜((((^^;)/
早苗「でも私が電話しなけりゃ、こんな大騒ぎには…
さくら「いいんですよ、そんなこと気にしないで、ねえ、お兄ちゃん
寅「うん!オレ前からね一辺乗ってみたいと思ったの救急車第2作で乗ってるって…ヾ(^^;)
おいちゃん、だめだこりゃ顔。

                     

寅「うん、気持ちいいなあ!だってだって信号止まらないでな、
  どんどん突っ走っちゃって、葛飾病院まで
5分だぞ、博
博「ああ、速いですねえ…シラ〜…
寅「速かったよな

早苗「それじゃ私
寅「あ、もう帰りますか?

みんなで早苗さんを見送った後
当然ながら寅すっかり機嫌が直っている。

みんな完全にシラケきってさっと寅に背中を見せて散らばっていく。

寅、バツが悪そうに
寅「さくら、医者は一応なんて言ってたの?栄養失調、ふ〜ん、なんか栄養について考えるか



C【結婚が破局を迎えた早苗さんと喜んでしまう寅】

別居中なので、親友の家にしばらく厄介になっている早苗さんだった。
みんな人がいいが、早苗はいつまでも厄介になれないと思ってもいる。

                     


翌日

おいちゃんとおばちゃんは知り合いの結婚式で出かけている。
谷よしのさん、出席者役でここでも登場。

とらや 店

早苗さんが一人で客にてんてこ舞いになりながらも一生懸命一人で働いている。


寅二階から下りて来て、
寅「あのー…おばちゃんたちはどうしたのかな?
早苗「結婚式のお呼ばれだとかおっしゃってご夫婦で
寅「え?じゃあんたに店番頼んで、こりゃどうもすいませんでしたペコ
早苗「いいえ、店番は私の仕事ですから言える(^^;)
寅「んー、ま、そりゃそうだけどね

寅は、早苗さんがお弁当を食べるというので、漬物を探してやる。
とは、言うものの、どこにあるのかわからない(^^;)

早苗さん「フフフ」と笑う。
寅「え?なにが可笑しい?
早苗「寅さんって怖い人って思ったけど本当は優しいのね、フフフ
寅、緊張して
寅「そら誤解だよ。こ、怖いだなんてさ…。フフ、
  荒川さんだってあれだよ、最初見た時にゃ気取った人だなって思ったよ、オレャ
と、テレながら人参をぺちぺちさせて遊ぶ。

早苗「誤解だった?
寅「うん、あの荒川って名前がごつい感じしたんだけどねえ。全然…ハハハ
早苗「私も荒川って苗字嫌いなの。前は水野だったのよ
寅「水野、あ、水野早苗か…、あ、そりゃいいねェ。そっちのほうがいいよ、水野早苗。
  どうして、また名前変えちゃったの?
おいおいヾ(^^;)

                     

早苗「フフ、結婚したからよそらそうだ(^^;)

                     

寅「…!!…結婚してたのか…
と急に気持ちがしぼんでいく寅だった。
寅「そりゃそうだよなあ…、へー…、で、旦那さん元気?目が暗く沈んでいる。

                     

早苗「うん…今別居してるの…

寅「……
どうしても微妙〜ォに喜んでしまう寅。
寅「そう…、そりゃいけないな。はやいとこ話し合って仲直りしなきゃ無理やり深刻顔を作る寅。
早苗「そう思って努力したんだけどね。でも…ダメね

メインテーマが軽快に流れる。

寅、どうしても喜びを隠せなくてニコニコ顔で
寅「だめかもねェ。
寅「
いらっしゃい!

                     

と、店にるんるん気分で飛び出していく寅
寅「お団子美味しいよ!

さくらが店にやってきたのだ。
さくら「どうしたの?
寅「あ、さくらか
寅、心が高揚して、参道に出て、
寅「今日は天気が良くていいねえ!はいらっしゃい!お団子いかがですか!
外人客「アリガト」
寅「どういたしまして!また来てね!元気でね!
とスキップで足を前後に運んで遊ぶ。渥美さんのこのギャグは軽快で面白いです。
さくら、よくわからなくて苦笑い。
しかし、寅も、人の結婚生活が破綻しかかっているのに、そんなに露骨に喜んじゃダメだよ ヾ(−−;)

                    



さくらのアパート

                    

さくら洋裁の仕事している。
博「離婚か…。妙なものが流行るんだな…
さくら「はっきりした原因があるわけじゃないんだって。
    むしろ旦那さんはいい人だけど、好きになれなかったらしいの
博「結婚するから悪いんだよ。好きでもない人と
博は、相談に乗ってやれないかと聞くが、さくらは立ち入れないと躊躇する。
博は、父親に手紙を書いている。
机には 雑誌『世界』と今昔物語を置いてある。




翌朝

早苗さんは、とらやに遅れることを連絡する。

喫茶店で夫(荒川英樹)を待っている。
離婚についての最後の手続きをする約束になっていたのだ。

しかし約束の喫茶店にやって来たのは幼馴染でもある従兄妹の肇だった。
早苗さんの夫はどうしても会いにいけなかったらしい。

肇から渡された離婚届の紙に印鑑を押す早苗さん。
墨田区区役所に離婚届を出す早苗。付き合う肇。


                     



とらや 店

寅は、なかなか来ない早苗をいらいらそわそわしてずっと待っている。
遂には、こんな汚い団子屋辞めちゃったんだって言い出す始末。

そんなところへ早苗さんが走ってやってくる。

早苗「すいません、遅くなっちゃって、こんにちは

寅、店に飛び出し

寅「よくこんな日に来たねえ、休めばよかったんだよォ〜うそつけ(−−;)

早苗さん「あのね、さくらさん…、今日から私水野早苗になったの。もう荒川じゃないの
寅「へェ〜、どうして?
早苗「今日、正式に別れたの。長い間ごたごたしてたけどこれですっかりかたがついたわ
寅、よく分からないまま
寅「あ、そうそりゃよかったよー」ニコニコ
寅は事情が飲み込めていないようだ。
さくら、寅を睨む。
早苗「うん、よかったわ。私…これで…目にみるみる涙が溢れていく早苗さん。
寅、彼女の様子を見つめている。
早苗「寅さん…、私泣きそう…

                    

寅「
早苗「二階行ってもいい?
寅「…うん
早苗「ごめんなさい」と、二階へ上がっていく。
寅、状況把握がまだ出来なくて
寅「え?な、なんだい、どうしたの?とみんなに聞く。
分かれよないいかげん(__;)
みんなに批判される寅。

さくら、熱いお茶を持って二階へ上がっていく。

早苗のテーマが静かに流れる。

さくら「はい、熱いお茶
早苗「ありがとう
さくら「あなた、休めばよかったのに…
早苗「うん、そう思ったんだけれど、他に行くところもなかったの…
さくら「…そう
早苗さんの悲しいこの言葉は胸にしみました。

                    

離婚をすればどんなにスッキリするかと思っていた早苗さんだったが、
現実はその逆で、大きな穴が心に開いてしまったようだ。
人生の進むべき方角を見失ってしまった彼女は、財布を落とし、
交番でお金を借りて、とらやにたどり着くのがやっとだったのだ。


泣き続ける早苗さんの横に座りどのような助言もしてあげれないさくらは、ただ、一緒に
いることだけしかできなかった。


                   

一方、店では寅がおいちゃんとおばちゃんに口止め。

寅「いいか離婚と言う言葉これはいけないよ。あと離れる切れる別れる
  この手の言葉一切使わない

お馴染み『禁句ギャグ』

「続男はつらいよ」では「おかあさん」の類はダメ!
「夢枕」では「坊や」「倅(せがれ)」「息子」はダメ!
「恋やつれ」では「夫」「旦那」「ダーリン」はダメ!
「かもめ歌」では「すべる、落ちる」はダメ!


おばちゃんもとりあえず頷く。
早苗さんが下りてくる。
寅「あ!きた離れろ、切れろ!おいおい ゞ(^^;)
早苗さんが店に出て来る。
寅「ほんとだねえ、おばちゃんの言うとおりいい天気になっちゃった
おばちゃん「うん
早苗さん、ちょっと照れている。
早苗「どうもすみませんでした。ご心配かけて
早苗さん、早速お客さんの食器の後片付けをし始める。

さくら、下りて来て
さくら「雨上がったわね、雲が切れたみたいおっと(^^)
おいちゃんもびっくり(^^;)

寅「!!切れない!切れない

社長、庭からやって来て
社長「♪にい〜げたあ〜、にょ〜ぼにゃかァ!ハハハ!どうしたい別居中の美人は?

ヽ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∇ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄;)ノ出たアアアア〜!!


社長、早苗さんを見て
社長「!!!あ、いた、ごめんなさい!」とすっ飛んで帰る。
台所の門でぶつけて
社長「あいてえええ!!いたいたたた!

                   

寅「ああいうがさつな男はこの家に入れないほうがいいんじゃねえか

みん名で気を使っているところへあの、井川ダムで出会った瞳さんがやって来る。

瞳「寅さーん!!
寅「え?
瞳「いたのー!?

                   

寅「あー!あんたあの時の!
瞳「よかったァ〜!あのね、ハンカチどうもありがとうえらいね瞳さん(^^)
寅「おうおう
瞳「それからさ、寅さん、聞いて聞いて、例の男さ、私を捨ててさ、よその女と一緒になっちゃってさ
寅、まわりをチラチラ気にする。
瞳「新婚旅行から帰ってきてなんと一週間で離婚したのよ。別れてよかったねェあんな男と。
  私んとこ来てね、『オレともう一度よりを戻してくれ』って『バーカ言うな、おめえのツラなんか
  二度と見たくねえや!ざまあみろってんだ!ねえ

寅、たじたじ、おろおろ
瞳、周りに気づいて、急にしおらしく