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寅次郎な日々

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ご注意) このサイトの文章には物語のネタバレが含まれます。
まだ作品をご覧になっていない方は作品を見終わってからお読みください。



                 

第9作「男はつらいよ.柴又慕情」.ダイジェスト版(2007年4月3日)

第8作「男はつらいよ.寅次郎恋歌」.ダイジェスト版(2007年3月26日)

第7作「男はつらいよ.奮闘篇」.ダイジェスト版(2007年3月23日)

追悼 船越英二さん  「兵頭謙次郎パパよ永遠に」(2007年3月20日)

第6作「男はつらいよ.純情篇」.ダイジェスト版(2007年3月17日)

第5作「男はつらいよ.望郷篇」.ダイジェスト版(2007年3月14日)

第4作「新.男はつらいよ」.ダイジェスト版(2007、3,12)

枯葉降る庭 眺めつ逝きたし(2007、3,9)

第3作「男はつらいよ. フーテンの寅」.ダイジェスト版(2007、3,6)

第2作「続男はつらいよ」.ダイジェスト版(2007、3,3)

第1作「男はつらいよ」.ダイジェスト版(2007、3,1)






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304

                          
『寅次郎な日々』バックナンバー           





第9作「男はつらいよ.柴又慕情」.ダイジェスト版
 


2007年4月3日寅次郎な日々 その304


ご注意) 下の文章をはじめ、私のサイトには物語のネタバレが多く含まれます。
       まだ映画作品を一度もご覧になっていない方は必ず作品を見終わってからお読みください。


 「ほら、見な、あんな雲になりてえんだよ…」

 松竹をあげての大作となった第8作「寅次郎恋歌」は予想通り大ヒットとなった。いよいよ会社としても、スタッフ達にとって
 もう後戻りができないところまで来たのだ。第9作のマドンナには当時すでに大スターだった吉永小百合さんを遂に起用。
 渥美さんも珍しく吉永さん起用に自ら大いに乗り気で、スタッフ、キャスト全てが地に足をつけながらも乗りに乗り始めたのが
 このあたりである。本編を見ていても渥美さんは吉永さんとの共演が実に楽しそうである。吉永小百合がマドンナ!
 もうこれだけのことで画面が一気に活気付く感じがする。

 また、この作品ではもちろんマドンナに案の定振られるが、第8作でもそうであったようにもうあからさまに振られることはない。寅次
 郎は作品を経るごとに、ある意味どんどんかっこよくなっていくのである。この作品で美しく華やいでいた吉永小百合さんを、
 山田監督が放っておくはずもなく第13作「恋やつれ」で同一人物のマドンナ、つまり続篇として再登場してくるのである。役が同一
 人物(続篇)のマドンナは浅丘ルリ子さん、後藤久美子さん、そしてこの吉永小百合さんの3人だけである。3人とも強烈な魅力を放
 ち、スクリーンに美しい花を咲かせていた。もっとも山田監督が後に語っていたところによると、歌子ちゃんをもう一度(3回目の登場)
 させる案がかなり進んでいたようで、大島の養護施設を辞めた歌子ちゃんが寅に再会することになっていたらしい。これは実に、観たか
 った話だ!残念…。

 また、第8作後に亡くなられた森川信さんに代わり、新しいおいちゃん役を松村達雄さんがこの第9作から演じている。初代のおいちゃん
 があまりにもすごいので、松村さんは大変だっただろうと思われる。しかし、おとぼけの森川さんとはまた違った、チャキチャキのキップ
 のいい人情味溢れるおいちゃんを見事に演じていた。松村さんもほんと名優だと思う。

 物語終盤、さくらがどうしてまた旅に行っちゃうの?って聞いた時、江戸川の土手にねっころがりながら寅次郎が空を指差し言うセリフ
 「ほら、見な、あんな雲になりてえんだよ…」 は私たちの心を代弁してくれる名言だ。


本編


@【寅の帰郷と貸し間有り騒動】

今回は「夢」がある。

戦前の頃の貧しい漁村。 さくらが浜辺にいて借金取り(吉田義夫)たちが押し寄せてきた。という設定。
お金がないので、鍋、布団、漁の網、などを持っていこうとする。
そこへ故郷を捨てて長らく帰ってこなかった寅次郎が戻ってくる。←木枯らし文次郎風に長い楊子をくわえている。

寅「無駄な人殺しはしたくありません。もし、金で済むことでしたら…」

ぽいっと札束を前に放る。

博「もし、旅のお方、今確かに寅次郎さんとか…」
さくら「私には今を去る20年前、ゆくえの知れなくなったたったひとりの兄がおりました。
その名を寅次郎と申しましたが、もしやあなた様はその寅次郎様では…」
寅「よくある名前でございますよ」←ないない
さくら「でも、そのお顔は…」
寅「よくあるツラでござんす。」←めったにないよその顔は
さくら追いかけながら「お兄ちゃん!」
泣き崩れる(スローモーション)

今回はさくらや博が家の新築計画のためにお金が必要になるのだが、その複線だね。

              

夢が終わり、小さな駅(かなひら駅)の待合室の長椅子から落ちてしまう寅。

寅、はっと気づいて、「おぅ、すまねえ、すまねえ」とカバンを持って一両列車に飛び乗る。←単線
駅員の笛。『ピィ―ッ!!』 動き始める列車。見送る駅員 ロングで長めに…

              


タイトル  「男はつらいよ 柴又慕情」


口上「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯をつかい、
姓は車、名は寅次郎、
人呼んでフーテンの寅と発します。」


  ♪どおせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
   いつかお前が喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
   奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
   今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪


   ♪どぶに落ちても根のある奴は いつかは蓮の花と咲く
   意地は張っても心の中じゃ 泣いているんだ兄さんは
   目方で男が売れるなら こんな苦労も
   こんな苦労も掛けまいに 掛けまいに♪


 今回のコントは柴又に戻ってきた寅が江戸川の土手で子供の釣竿を借りて振り回す寅が案の定カップルの
 女の子の帽子を釣り上げてしまい、今回はタコ社長が河原でゴルフをしていて寅が割って入ってドタバタ。
 とらやの常連が歌の中の喜劇に出てくることは珍しい。

 帝釈天の山門前

 さくら「なに見てらっしゃるんですか?」
 御前様「燕の巣だよ」
 さくら「今年もやっぱり帰ってこないんでしょうね」
 御前様「ああ…、この辺も住みにくくなってしまったかな…。もう片付けるか」
 さくら、満男の顔を拭きながら「でも、もし来年帰ってきて自分の巣がなかったら可哀想ですもの…
 御前様「…うん…、あんたらしいこと言うね。」
 さくら「え?」ちょっと間をおいて少し照れるさくら

 この場面はさくらたちの寅への思いが燕(寅)と巣(とらや)に置き換えられた、温かい気持ちになれるいいシーンだ。
 しかし、この後の「貸間有り」の騒動を予感させる話にもなっている。

参道をとらやへ歩いていくさくらと満男。
この第9作は中村はやと君お休みで、
沖田康浩君が臨時の満男を務めました。
源ちゃんこと佐藤蛾次郎さんは肋骨をたくさん折った交通事故で第8作は休んだがこの作品からまた復活!


とらや

さくら、店先にかかっている『貸間有り』の札を見て、不思議に思う。

おいちゃん「ホラ、お前達もいよいよ家建てる決心しただろう。それについちゃ、俺たちも何か応援しなきゃならないし、
かといって金はねえし、だから2階貸してさ、いくらかでもお前達の足し前にしようと。こういうわけなんだよ


しかし、さくらは寅が帰ってきたときのことを心配している。

さくら「だって、もうお前の部屋はないよ−って言ってるようなもんじゃない
おいちゃん「そうか…

そこへタコ社長ゴルフしてたことを寅に見つかった、と飛んでくる。

一同外を見て『はっ』とする。寅が前の道にもう来てしまっている。

寅、ニコッと笑って店に入ってくる。
寅「さくら!」といいつつ、はっ!と札に気づいて店先に戻って『貸間有り』の札をもう一度見る。
寅、顔をうつむき、出て道に行く。

              

前の江戸屋さんの前でションボリ

寅、また歩いて駅の方へ行く。さくら追いかけて
さくら「ねえ、お兄ちゃんどうしたのよ?」←さくら、それはないよ、分かってるくせに。
寅さすがに怒って「てめえの胸に手を当てて考えてみろよ
さくら「何のこと?」←まだシラを切るさくら
寅「とぼけるな!あの魔除けの札の下の、あの札はなんて読むんだ?
さくら「ああ…あの貸間有りの札のこと?…
寅「ほう…!あれがあれが貸間有りって読むのか
さくら「えっ?
寅「オレにはねー、もうお前の住むところはないよー!って読めたなー、
ふん!どおせオレは歓迎されざる男だよ。
もうちっと落ち着くところをてめえで探さぁ…、達者でな

さくら「


不動産屋を渡り歩いて部屋を探す寅

寅「日当たりが悪くたって部屋が汚くたっていいし、裏が工場かなんかでさ、
ねえかい?そんな部屋ねえかい」←それじゃ、とらやだよ。

なかなか決まらない寅です。だいたいが敷金礼金払えるのかね?

次の不動産屋

社長は桂伸治さん

寅「なーっ、ま、欲を言やぁさ、親切な女将のひとりもいて、オレが仕事から帰ったら疲れて帰ってくる。
『お帰りなさい。疲れたでしょう』そんなひと言を言ってくれりゃ十分よ。


あっ、風呂なくていいよ、オレ銭湯大好きだからね。『ひとっ風呂浴びてらっしゃいな。
帰ってくるまでに晩御飯作っとくから』 タオル、洗面器、シャボン、
『どーせあんた細かいお金ないんだろ』40円!ポンともらって『じゃ言ってくるか』『いってらっしゃい』
やがてオレは風呂へ行く。帰って晩御飯になる。ね!オレはおかずなんてなんだっていいな。
どおせ家賃はたいしたことないんだからさ。そうねぇ…、おつまみに刺身一皿、煮しめにお吸い物、
卵焼きがあってもいいし、おひたしなんかもあったらいいな。お銚子3本くらいそっと飲む。昼間の疲れで、
つい、ウトウトッとなる。ね!女将はそれを見て『
さくら、枕を持てっておやり。ついでに
お腰も揉んでやったらいいんじゃないかい』さくらってのはその下宿の娘よ」


↑見事な寅の『アリア』だ。現実無視もここまでいくと気持ちがいい

店主呆れてものも言えない。


             

3軒目の不動産屋

寅「オレ、くたびれたよ、なんでもいいよ。頼むよ」
店主「と、おっしゃいましてもねー…、あっ、これなんかどうかな?」←お馴染み、いつもは備後屋佐山俊二さん!
寅「あー、それでいい、それでいい、それでいいよ
店主「家は古いんですけどね。そのかわりお値段がぐっとお安くなってるんですよ」


とらやの茶の間

博「な、さくら、子供のために庭が欲しいなぁ…
さくら「そうね
博「しかし20坪の土地じゃあなぁ…

不動産屋が寅を連れてくる。

車が止まる。

寅「あー、みなさん、あっ、こりゃどうもお世話になります、皆さん
不動産店主「みなさん、いい方ですよ」
寅「あー、そうですか…、へぇ、…おでんに、茶めし、商いやってるのか。
や.ら.と.さんね。とらやを右から読んで
寅、不動産屋にむかって「おじさん、オレも以前ね、こうした家にご厄介になったことあるんだよ
不動産店主「よく言うよ
寅「本当だよ、」っていいながら一同を初めてまじまじと見る。
寅「あ〜あ〜!!!。ばかやろう!ここはオレの家だい!

結局さくらたちが謝ってみんなで茶の間の方に行くき、事なきを得たように見えたが、

不動産屋にこにこして、寅に手数料の6000円を払ってもらおうとする。

寅「おい!冗談言うな!オレがオレの家に帰ってきて
 どうしておまえに6000円払わなきゃならねえんだ!!

不動産屋「払えないと。そんなら、出るとこ出ましょ!
寅「出るとこって面か!この野郎!出るものが3日も出ねえような面しやがって!帰れ!帰れ!
結局寅は不動産屋と大喧嘩、
博、不動産屋をひょいと抱えてキャッシャーのカウンターに乗せて非難させる。佐山さん絵になる!
佐山さん博にも雑に扱われて面白い!いい味出しているなぁ。

             

とらやの茶の間

寅「オレのたった一つの安息の場所をよ、断りもなしに見ず知らずの他人に貸し与えて
 少しばかりの小銭を稼ごうってそういうきたねえ魂胆だからこういう
があたるんだよ


寅「オレは部屋を貸したことで文句言ってるんじゃねえんだよ。ひと言挨拶があってしかるべきだろう。
  それが常識ってもんですよ!

さくら「じゃあ、どうすればお兄ちゃんに相談できるっていうの?
寅「なにぃ!
さくら「そんな時、どこへ行ったらお兄ちゃんに会えるの?さくらの顔悲しげ…
寅、さくらのこの言葉に何も言えずに黙ってしまう。

しかし、一難去ってまた一難、「お前が帰ってきたら迷惑だと」おいちゃんが言ったものだから
今度は寅とおいちゃんが喧嘩を始めてしまう。


           

おばちゃん、博止めに入る。
さくら「やめて!!
博「我慢してください!我慢してください!今度の責任は僕にあるんです
寅「あたりめえだよ!いけないのはおまえたち夫婦だよ!
さくら、複雑な表情

寅「そうだよ!なんだ、あんちゃんは見なくたってお前たちの家がどんなだかよく分かるよ。
 割り箸みたいな細い柱立ててよ、安い煎餅みたいな壁をペタペタ貼り付けて中へお住みになるんですか?
 中へよっこらしょっと座ったら
ストーンと底が抜けるんじゃねえかおめえ!
 そよ風がふわっと吹いただけでコロンと転がるような家だよ。みっともねえことはやめろい!家なんか建てる
 なんて生意気なことやめろ!やめろ!
」←寅言ってることがきついぞ!

博、じっと寅を見つめている。眼に涙が貯まっている。

寅「なんだよ!なんだい!どうしたんだい!

博「…兄さん、ひどいこと言うな…。いくら兄さんだってそんな…そんな言い方は…。
博の目から涙が頬に落ちる

寅、戸惑いながら、博をじっと見つめる。

一同無言

さくら「言っていいことと悪いことがあるのよお兄ちゃん。そりゃ私たちの建てる家はどーせ安普請よ。
 そよ風でも吹いたら倒れるかもしれないわ。庭なんかないのと同じよ。でもね、私たちの毎日の節約するよう
 にして5年間に貯めたお金を元にして、あとはおいちゃんにお金借りたり、都の住宅資金からお金借りたり、
 あちこちいっぱい頭下げて何度も何度も嫌な思いをしてがんばってるのよ…。
そりゃ悪いことしてお金儲けて
 大きな家に住んでいる人もいるかもしれないわ。
でもね、私たちが建てる家はまじめに働いたお金で建てるのよ。
 博さんだって自分の家が持てるから嬉しくってしょうがないのよ。
お兄ちゃんは…どうしてさくらがんばれよ
 って、そう言ってくれないのよ…
(さくら泣くおばちゃんも泣いてしまう。)

            

おいちゃん、寅の膝叩いてさくらに謝るように促す。

結局、さくらに言われた言葉が心に突き刺さった失意の寅はみんなの止めるのも聞かず
旅立ってしまうのだった。


みんながっくり…



A【北陸で歌子ちゃんと出会って意気投合】

この後舞台は北陸の金沢へ…

ヨハン.シュトラウスのワルツ

金沢の武家屋敷後などのお決まりの観光地を歩く若い3人の娘たち。
兼六園の池のほとりの茶店私もよく行った
楽しみながらもどこか覚めている3人。

            


旅館に着く寅。


登と再会し、大ハシャギのドンチャン騒ぎ。
 

仲居廊下を覗く←谷よしのさん登場!今回も仲居役。

廊下を挟んだ歌子たちの部屋
それぞれにくつろいでいる3人。

それにしてもOLの歌子ちゃんたちと、商売人の寅が同じ旅館に
泊まっているわけないと思うけど…。


廊下の向こうでは寅たちが騒いでいて「
チンガラホケキョ-の唄」(渥美さんの持ち歌)が微かに聞こえている。

寅「
♪一、二、の三、日が暮れてぇ〜、ホラ、チンガラホケキョ〜、デコ坊よ〜、帰ろうよ〜♪

ちなみにこの唄は第2作「続男はつらいよ」でも散歩先生への道で歌っている。
第8作「恋歌」でも貴子さんの子供たちがこの唄を江戸川土手で歌っていた。


歌子「
子供の時の旅行なんて楽しかったもんね。あれは小学校6年時だったかかなー。
多摩川の遊園地に父と母に連れられて行って、飛行機に乗ったり、メリーゴーランドに
乗ったりしたことがあったのよ。父が珍しく冗談言って笑ったりしてね…。
(ちょっと思い出し笑いしながら)家の父っていつも着物でしょ、だからメリーゴーランドに
乗るとき「
尻っぱしょり」したの。そしたらその格好がね「ドジョウすくい」みたいで可笑しくって
可笑しくって…、どうってことない家族旅行だったけどなんだかとっても楽しかったな…」

マリ「その時は、まだお母さん一緒だったんでしょ?
歌子「母がいなくなる2年前だったわ…と遠い昔を思い出して切なくなっている歌子ちゃん。

この短い会話で歌子の複雑で孤独な青春期が窺い知れる。

マリ「
幸せって、どういうことなのかなぁ…

向かいの部屋の寅たち宿の女中と歌って騒ぎまくる。


仲居の谷よしのさん、48作中の一番の長ゼリフ
「あのねー、お客さん、もしもし、聞こえる?あのねー、
隣のお人がやかましゅうて寝れんゆうておりますがね。
静かにしてくださいよ。もう遅いですしねー。」

しかし言うこと聞かない二人。

マリ「静かにしてください!!と叫んですぐ引っ込む。
寅、部屋の中から「
バカァ!廊下で寝ろ!おまえ、ハハハ!
登廊下に倒れてドラバタ(^^;)

翌朝、寅は登と別れて静かに宿を去る。


福井

歌子たち永平寺を見学。

ローカル線の線路の上をおどけて歩く歌子たち。


疲れて茶店に入る。そこに寅も休んでいる。

寅、店のばあさんや歌子たちに自分の過去を長年帰ってないと、大ぼらを吹く。

寅「
ふっ…、そんなもんあるわけねえや…10年一昔、二昔、いや…30年も経つかなあ…
1ヵ月も経ってないぞ

寅「あれからどうなったのか…

店を出て

マリ「
あ!すいません。記念写真を一枚
寅「
オレか?
歌子、みどり「あ、そうね。じゃ、向こうに、どうぞ」

マリ「そこに並んで、…もうちょっとくっついて。ハイ!写すわよ!ハイ、笑ってー」
「バタ〜!!」←出たぁ〜〜十八番!!(^^;
3人「…!?
歌子とみどり唖然として寅を見る。
寅「あっ、オレ、バターって言った?
 あっ、間違えちゃった!あれ、チーズなんだよね!ハハハ!


            


ここからは実にテンポがいい!
ヨハン.シュトラウスのワルツが鳴り響いて!

バスの中で大はしゃぎの4人。さっきの「バタ〜」のことで笑っている。

寅「
でもよく口大きく開くのはチーズよりバター!!の方が大きく開くよな!
口を閉じて笑わないと意味ないんだよ寅(^^;)
寅「
もっとでかく開くんだったらバンザイ!!って言えばいいんだよ!
窓の外は越前海岸の荒々しい海。
みんなで
東尋坊「バターッ!!」って言いながら記念写真。

いろいろ4人で観光しながら実に楽しそう。
このあたりはテンポよくどんどん4人が動く。



夕方、小さな駅京福電鉄の東古市駅のホームで歌子たちを見送る寅


歌子「
寅さん、どうもありがとう。ほんと楽しかったわ。
寅さんに会えなかったらこんどの旅はこんなに楽しくなかったに違いないわ。会えてよかった。

寅「
そ、そうかい
歌子、かばんから
ハンカチに包んだ大きな木の鈴を取り出して
歌子「
これ、お礼というほどのもんじゃないんだけれど、記念に受け取ってちょうだい←結構デカイ鈴!

歌子たちの汽車が出発しようとする。寅は歌子にお札を渡してお返しをする。

歌子たち窓から手を振り「
さようなら!ありがとう!お元気で!
寅「
気をつけて帰るんだよー!
一人残った寅。
少し淋しげ。
寅「
行っちまったか…
おもむろに財布開けて、見て、
ほとんど空っぽ。

歌子のくれた鈴を指で振りながら寂しく駅前を歩いていく寅でした。
このときの夕闇迫る何気ない駅前の風景は情緒があって大好きなシーンだ。


            



B【寅、再びの帰郷と歌子ちゃんを待ちわびる日々】


歌子の自宅

歌子長旅で疲れた感じ。

父親、小説を書いている。ひとことふたこと会話するだけ。
父親、歌子が置いていったお土産を少し触って見ている、がまたすぐにペンを走らせる。
歌子疲れている。
焦げたトーストが留守中の全てを物語っていた。

宮口精二さん、このあとの「恋やつれ」でも随所に名演技を見せてくれます。

           




江戸川土手

バックにハーモニカ演奏


江戸川土手に戻ってきた寅。すぐに戻ってきたんだねえ〜。

遠くを眺めながら
かばんに歌子ちゃんがくれたあの大きな鈴をつけている。←かわいい!!

みどりとマリが、寅に会えるかもしれないと、
柴又へ遊びに来ていた。土手でばったり出会う寅。


寅「
そうかい。よく来たなぁ
マリ「
ねえ、寅さん、30年ぶりに帰ってきたんでしょう?
寅「
…そう。懐かしい嘘つき倒すのも大変だねえ〜。
2人「
そうでしょうねー!

2人寅をとらやに引っ張ってくる。


とらや

マリ「
とらや、って書いてあるわね。30年くらいは経っている感じね←30年にこだわっている(^^;)
みどり「
寅さん、寅さん、こっちこっち
マリ「
ねえ、なんか見覚えない?
そうよな、そう言われてみりゃ、昔見覚えがあるような…
マリ
「あのー、ちょっとお伺いしますが、車寅次郎さんって、ご存知じゃないですか?」
おいちゃん「
えー、知ってますよ。私の甥っ子ですからね
みどりとマリ
「あらー!!」と感動している。
マリ「
びっくりなさっちゃいけませんよ!あの人がその寅次郎さんなんですよ!
←ビックリしてるのはマリとみどりだけだって(^^:)

寅、恥ずかしくて後ろを向いている。
みどり「
寅さん、寅さん、あなたのおじさまよ!よかったわねえ!

           

寅「
生きてた!?
みどり
生きてた

寅、
ストン!とかばんを下に落として手を広げ、  
三味線 ぺぺぺペンペンペンペン  笛 ピ〜
寅「ハハ!!それじゃ、おまえはオレのおじき!!よくまあ、
 長生きしてくれたなあ〜


寅、おばちゃんを見て「
こちらのご婦人は!?
おいちゃん「
女房だよ!
寅、大声で
「それじゃあんたは私のおば!」
タコ社長とらやに入ってきて「いよー!寅さん、お帰り!」
「そう言うおまえは工場の社長ー!!」
おいちゃん
「バカ!!いいかげんにしろ!」



とらやの縁側

縁側座って笑い転げるマリとみどり

寅とさくらが一緒にいる。みんなで寅が大ぼらを吹いていたことを笑っている。


歌子ちゃんは茶の間のシーンふんだんにあったのに、マリとみどりは縁側。
やっぱり脇役だけではなかなか茶の間のシーンもらえないのかなあ…。


それとなく歌子ちゃんに恋人がいるかどうか聞く寅。

寅「
そうだけど、恋人くらいいるだろー、なー
みどり「
さあ、どうかしらねえ…友人なのに何も知らないんだねえ…(−−)
マリ「
歌子さんって引っ込み思案だしねえ。
みどり「
それにね、家庭的にちょっと不幸があたりしてね
寅「
自動車事故か?
みどり「
いえ、そんなんじゃないの
寅「
こっちがひいちゃったんだろ
みどり「
違うんだって、あの、お父さんが小説家でね、
寅「
小説家のお父さんが自動車事故か
このパターンのギャグは「葛飾立志篇」でもでてきた。
みどり「
違うの
マリ「
それにね、だいぶ前にお母さんが離婚なさってね…
みどり「
うん、そのあとずっとね…
マリ「
歌子さんがお父さんの面倒を見てるんです
おばちゃん「
まあ、大変だねえ、まだ、お若いのにお父さんの世話してるなんてねえ
寅、歌子の写真見ながら「
不幸せ、ねえ…


夜。とらやの茶の間食後の後片付け

タコ社長、歌子ちゃんの写真見ながら「ふーん、このお嬢さんがねえー…どう見たって幸せそうな
美しいお嬢さんにしか思えねえけどなぁ…」

寅「できりゃ、
いい婿さんのひとりも探してやりてぇ、そういう気持ちになるんだよ。
さくら、ちょっと寅を見る。

寅は自分のことを言ってくれないかといろいろ探っている。
さくらはそれをもう気づいている。


おいちゃんの言う花婿候補をことごとくダメだししていく寅。
自分の名前が出るまで粘るんだねこれが…。

寅「
ほら、もっと身近にいるだろうが、…」

おいちゃん、『はっ』として、遅ればせながらようやく気づく

寅「
普段忘れているけれど名前が出ると、あっ、なんだい、
 そんな人がいたよっ、ての。なあ、さくら、えっ、いるでしょう、なあ…


さくら、しかたなく、「そうねえ、そういえば家にもひとりいたわねえ
寅「
え?そう、誰、?えっ、誰よ?(^^;)
寅「
いやー、考えられないなあ…い、言ってごらん、満男?満男ちゃん?
←そんなわけないだろ!

さくら「
あたしの前にいるでしょうさくらも大変だねえ…(TT)
寅我慢しきれず「
僕でしょ!!
おいちゃん、だめだこりゃ、という顔。

寅、幸福そうに「
はあーっ
さくら、
困ったチャン顔で微笑むしかない。
寅「
そんなふうに言われてもなあ、年が離れているし、なあ、社長
社長「
年なんか問題ないんじゃない?」←御気楽に言ってしまう社長
おいちゃんとさくら、タコの発言に驚く←もう遅いって

寅とても幸福そうに社長にすり寄り、(^^;)
寅「
しかし、会社の経営なんか大変なんでしょう。
 明朝(
みょうちょう)もまた仕事で早いんでしょう?」とゴマをする。

みんな、シーン

寅「
はは…さて!今日はお開きにして休みましょう。ね!」   題経寺の鐘『ゴ〜ン』
寅「
今夜はなんだか未来の幸せについてしみじみ考えてみたい気持ちだなあー。
二階への階段を上りながら
♪いつでも夢を〜、いつでも夢ェを〜♪
『ゴ〜ン』吉永小百合さんのヒット曲(橋幸夫さんとのデュエット)
 作詞:佐伯孝夫 作曲・編曲:吉田正  昭和37年 その年のレコード大賞。 同名の吉永さん主演の映画もある。

おいちゃん「
あーあーいやだいやだ、また始まったぁー…」と頭抱える。
題経寺の鐘
『ゴ〜ン』

             



C【歌子ちゃんがやって来て大ハシャギの寅】

とらや

マリとみどりから寅のことを聞いた歌子ちゃん、遂にとらやにやって来る。

歌子「ごめんください

誰もいない

寅、帝釈様からとらやに戻りながら「
あーあ、たまにお参りしたからいいことあるかな
いきなりの御利益!!帝釈様ってすごい!!
寅、歌子に気づかずスッと通り過ぎて
寅「
おばちゃん!腹すいたい! いらっしゃい!お店にお客さんだよ!

歌子、後姿の寅に「
寅さん」   
歌子「あたしよ、歌子です


歌子のテーマ流れる。

寅「
あー!!歌子ちゃん!!暖簾外してそのまま持っったまま。
歌子「
こんにちは、寅さん。懐かしいわ
歌子「
ありがとう。マリちゃんやみどりさんから寅さんに会った話聞いてね、もう矢も楯もたまらず
   に来てしまったの。会いたかったわー


極度に緊張している寅。おろおろ

寅「
おばちゃーん。さくらぁー!」と呼んでも返事がない。
草団子くちゃくちゃ棒状に練りながら
寅「
あの…あの連中はみんな元気ですか?
歌子「
あ、あの、昨日ここへ来たでしょ?
寅「
そう、昨日ここへ来たんだよね。昨日から今日までずっと元気かな?
自分でも何言ってるのか分かっていない状態。

寅「
ああー…、どーも季節の変わり目には体の調子が悪くて…
歌子「
大丈夫?
寅「
ええ、大丈夫です。コホッ!コホッ!コホッ!

柴又慕情の「予告編」でこの場面の違うバージョンが見れる!マニア必見!!

さくら店に戻ってくる。


寅「
さくら!!今来たのか、歌子さん来てたんだぞ!!ほっとした寅
さくら「
歌子さん?
寅「
そうだよ!
さくら、思い出して「
あ!まあ!いらっしゃい!
初対面だが寅からさんざん聞いているのですでに親しい気持ち。
歌子、寅に「
さくらさん?」と聞く。

茶の間に上がってもらう。

寅「
そこ、ずーと上がって!」「よし!
店先で客「おじさん、団子ある?」
寅「
団子なんかないよ!帰れ帰れ帰れ!←このパターンのギャグは度々使われている。
客「
団子屋じゃねえか」とどこか行く。
寅「
よし!

歌子ちゃんが、とらやにやって来たので大ハシャギの寅。

          

焼きナスを食べる博。

博「
鮪の刺身だの、ビフテキだの言いますけど、正直なところ僕はこいつが一番上手いな
さくら「
安上がりにできてるんですよ。結局、貧乏暮らしのが出ちゃうのね
寅「
さくら、…なんだよおまえ」 
さくら「
え?」という顔。
寅「
食事の最中にの話なんか、汚いなあ…
博「
いえいえ!
さくら「
違うわよ!そのじゃないわよ!
寅「
その痔じゃないって…イボ痔か?」
さくら「
違うったら!いやねー…」と恥ずかしくて困ってしまう。
歌子、笑いをこらえる。
さくら「
わかりました。ごめんなさいさくら…(TT)
痔のギャグは「寅次郎子守唄」でもマドンナが提供していた。

話題は愛情問題に移っていく。

歌子「
あのー、私、一度おうかがいしたかったの
寅「
なんですか?
歌子「
寅さん、どうして結婚なさらないの?←出た〜!!
題5作で節子さんも質問していたね。

寅「
あー…どうしてって…
歌子「
なにかでも…?
寅「
あー、そんなことないんだよねー、どんなふうになってるんだろうねー、
  そこらあたりのところは?オレなんてのは?何言ってんだ??
さくら失恋したんじゃないの?
寅「
そ、そうは言い切れないんじゃきれないんじゃないかなあー。
  そらまあね、
いろいろ、いろんなことあったからねえー。(博笑いをこらえている)
歌子。真面目に
あ、じゃあ…昔の話
寅「
ええ、もう、そりゃ昔も昔10年も15年もずーっと。くだらないことです
歌子「
じゃあ、その心の痛手が…(博、顔を真っ赤にしてそうとう笑いをこらえている)
寅「
いや、そんなことじゃ…、つまり、
 こっちがそう言う気持ちじゃない
ってことありますからねえ…


みんな笑いを我慢。

寅「
な、さくら
寅「
そうだよね、さくら(大真面目な顔で)
寅「
よ、さくら
寅「
バカヤロー!!何笑ってんだよ!

博、遂に食べ物を吐く←ひえー!!

全員でヒーヒー笑い転げまくる。歌子も笑う。


柴又駅ホーム


歌子「
私あんな美味しいものいただいたの、あんなに楽しい思いしたの初めてよ。ほんとよ
さくら「うん、じゃあまた来てね
寅「
そ、またおいでよ
うなずく歌子

           


普通上野行きがホームに入ってくる。

ドアが開いて、乗ろうとした
歌子の足が止まる。
さくら不思議に思い、「
歌子さん?
歌子、さくらの方を向き、
歌子私…来てよかったわ。本当よ
さくら「
うん
歌子
ほんとに来てよかったわ
寅「
またおいでよ
歌子「
うん
ドアが閉まる。
歌子「
さよなら
さくら「
さよなら
歌子窓から顔出して「
ありがとう、さよなら
電車行ってしまう。

歌子のこのような思いつめた行動、発言の背景には彼女の今までの人生のなかで家庭の温かさというものに
対する飢えが想像できる。さくらにとっては普通の日常の家庭の団欒が、歌子にとっては嬉しい体験だったのだろう。
だからこそ、 歌子は数日後にまたすぐ寅たちに会いにやって来ることになる。


寅、さくらに「
また来るって
さくら、ちょっとあきれて
「はぁ…」と、ついため息。
寅「
なんだ?はぁ…って?
さくら「あ、なんでもない」と言いつつ、寅に違うという意味の手を振る。
寅「
なんだ?これは?えー?」とさくらの手を振る真似をする
さくらと寅、ホームを歩いていく。
さくらの気持ちが垣間見れるこのシーン私は静かだがなかなか面白い。


とらや

歌子ちゃんから電話
また来たいと寅に告げる歌子ちゃん


一同シーン

寅、さくらに
また、来るって
寅、博にまた来るって
寅、おばちゃんにまた来るって
おばちゃん、寅にビールついで上げる。寅、そわそわ



歌子の家

歌子は恋人の正圀のことで父親と意見が対立する。
父親「結婚したきゃ、結婚しろ。知らん」と立ち去る。

歌子泣いてしまう。

歌子のテーマ



D【ふたたびの歌子ちゃん訪問と夢の日々】

とらや

あの電話以来、寅がいつ来るともわからない歌子を待っている。
今日も日が暮れていった。


毎夕、「今日も彼女は来なかったか…」と呟く寅。とらや一同みんな知っている。

暮れ六つの鐘 『ゴ〜ン』


「あーぁ…、今日もとうとう来なかったか…」
はっと一同一斉に寅を見る。
寅、はっ、と我に帰り、さくらに、
寅「
オレ、今、独りごと言ったか?
さくら「
あ、…何も

寅「
そうか…そりゃよかった…みんな聞こえてるって ヾ(^^;)

そこへお約束のタコ社長がやって来る。寅がいるのが分からない。
←くるぞくるぞ!
社長「
あー、あ、今日も彼女は来なかったか!
寅と目が合って「
あ!!
社長「うわー!!助けてぇ〜!!ドタバタ向こうでやっている音。
社長「
オレ今、何て言った?
寅「
何も言わない何も言わないといいつつ殴る蹴る。


茶の間

寅は、歌子ちゃんがいつまた来るか分からないので、バイに行こうとしない。
御前様から仕事をもらって庭掃除をするが、源ちゃんと遊んでしまって役に立たず。



さくら「
上手くいくといいわね
おいちゃん「
えっ!!、歌と寅子さんがかい!?逆だってヾ(^^;)
一同「え!?」
おいちゃん「
いや、寅と歌子さんがかい?
さくら、呆れて「違うわよー!歌子さんの悩みが…、何言ってるのよおいちゃん、もう!」と笑う。
博、食べているもの胸に詰まらせながら、びっくりしている。

おばちゃん「
バカだねー!何言ってるのよー!

一同笑っている。

寅、いつの間にか店の中に立って怒っている。

寅「
出て行くのよ。そうだろ。たったひとりのお兄ちゃん、たった一人の甥っ子の陰口
きいて、ケタケタケタケタ笑っているようなそんな
悪魔の棲家みてえなところへ二度と帰ってこられるかい!


歌子後ろに立っている。

おいちゃんたちにこにこして会釈して挨拶。
寅は気づいていない。
おいちゃん「
どうぞ、せまいところですけど、どうぞお上がりください」みんなにこにこ。
寅、まだ気づかないで
お上がりください?ふざけるなおいちゃん、今更下手に出たって遅いやい

歌子ごめんください

寅、ごめんなさいってあやまりゃすむって問題じゃないよ!!
おいちゃん指差す。
博も指差す。
おばちゃん、顔で向こうをうながす。

寅、ゆっくり振り返って…


歌子
寅さん

寅、小さな声で来たのかい

歌子「突然来てごめんなさいね。上野まで出たら
  どうしてもここへ来たくなって京成電車乗り換えて来ちゃったの


そうかい、来たのかい←なんともいえない優しい表情。

みんな、田舎もんばっかりですけど心の優しい人ばかりがいるところですからね
おいちゃん
悪魔の巣窟だもんね

みんな大笑い。


            



夕食が終って

寅「なんか面白い話ないかよ、ぱーっと席が明るくなるような。おいちゃん、得意じゃないか
おいちゃん「あるある」フフフと思い出し笑い。
寅「
なに
おいちゃん「
この間ね、お駒で社長と飲んでいたんだよ。社長の奴が便所の中で『プーッ』
とデカイ屁たれやがったんだよ。フフフ…

一同聞き入る。
おいちゃん「
そしたらなおかみがビックリして、あら、今の音なんだろう?って言うからさ、ヒヒヒ…
オレがね、ヒヒヒ…、あれは社長の屁だよって言ったら、『
へーッ』だって、ヒヒヒ!
くだらねえ〜(^^;)
おばちゃん、肩をパシ!
一同シラー
寅、歌子に「
つまんないでしょう…
寅「
おいちゃん…、長生きしろよ…(^^;)

寅「さくらはの話。おいちゃんはの話。もうちょっと上品な話題はないのかよ、まったく…
さくら、また前回の痔のこと言われて、驚く。

さくら「じゃあ、
お兄ちゃんの失恋の話でもしたら?」←さくらこの前も「失恋」の話題でからかってたぞ!
寅、さくらの肩つついて
寅「
誰がそんなこと言えって言ったんだよ、おまえ、人が来てるんだよ…
歌子クスクス笑っている。
おばちゃん「
歌子さんなんか失恋したことないでしょ?
歌子
「いいえ、ありますよ

と、自分が結婚まで考えたある男性の、彼女に対するある一言によって、
結婚をすることをやめたくなった話をするのだった。



            


歌子「
その人が私にこんなこと言うのよ。『結婚したら君はバラの手入れだけしてりゃいいんだよ』って
寅、
バタッ!とうつ伏せになってしまう
歌子「
そのとき、私なぜかいやーな気持ちになっちゃってね、
寅、
パッと顔だけ起きる。
歌子「
何て言えばいいのかな、バカにされたみたいっていうのかな…。
  家に帰って父に話したら、『そんな奴やめちまえ。』って言うの。それでそれっきりやめちゃったの
おいちゃん「
そうか、それじゃ失恋じゃなくて、相手の人がふられた
寅、
全身起きて、そうだよ、そいつがいけないんだよ。その男は悪い男だよ
歌子「
そうかしら、私は自分の方が失恋したみたいな気持ちになっちゃったんだけど
寅、
ブルンブルン首をふる
さくら「
私、よーく分かるわ、今おっしゃったこと
歌子「そう?」
おばちゃん「
そうかねえ…、あたしゃ一度でいいからそういうこと言われてみたかったねー
←出た!おばちゃん分かるよその気持ち。
おいちゃん「
なーにを、へへへ…」とバカにする。
おばちゃん「
なによ、あんたなんて『おい、来るか』ってそう言ったきりじゃないの。←いいねえ!御両人!
おいちゃん「
バカ!オレだって相手によったらそれくらいのセリフ吐くよ!なんだい、バラの花ってツラかい!?
おばちゃん、ムッとして「
じゃ!あんたいったいなによ!
おいちゃん
ウヘ―ッて感じですくむ。
みんなクスクス笑っている。
寅「
ようよう、よしなよ、人前で喧嘩なんか。お互いバラの花ってガラか?
せいぜい鼻の穴ぐらいじゃねえか

歌子、さくら、クスクス笑う。
寅「
君は一日鼻の穴の掃除をしてれば.いいのか!? ハハハ!
みんな大笑い
寅「
まいったねー!」と笑う。
歌子笑いながら「
あー、面白かった。それじゃ…、私、…そろそろ
おばちゃん「
あら、まだ、いいじゃありませんか
歌子、
実は引き止めてくれて嬉しいのだが、
一応「ええ、でも、もう遅いですから…」と言ってみる。


さくら「
あの、よかったら泊まってらっしゃらない?
寅、小さな声で「
そうそう
さくら「
お父さんに叱られるかしら?
おばちゃん「
でもね…お一人じゃね…
おいちゃん、
歌子の微妙な表情でピンと来て電話してあげればいいんだよ
さくら、ほっとして「
あ、そうね。どう?歌子さん
歌子「
そうね…じゃあ、あの…泊めていただこうかしら
寅、急に顔が華やいで
よし!
寅「
おばちゃん!布団ひいて布団ひいて!
歌子「
あの、なんか、厚かましいかしら…
寅「
そんなことない!
寅「
さくら、すぐ風呂沸かす!よし!ニカーと満面の笑みの寅
寅「
おばちゃん!はやく2階で布団ひいて!さくら、風呂沸かす風呂!どんどん立つ!よし!
歌子「
すいません、どうも
寅「
敏速!よし!
歌子「
ごめんね、寅さん
寅「
よし!


朝日印刷の工員ハーモニカ吹いている。故郷の空

とらやの二階

歌子「
あのね、さくらさん…実はね、私、今日最初からここに泊めていただくつもりで来たのよ
さくら、うなずきながらマッチに火をつける。
歌子「
厚かましくてごめんなさいね
さくら「
うん、いいのよ。私、そんな感じしてたわ…
さくら、フッとマッチの火を消す。
歌子「
そう…
さくら「
なにか、あったの?
歌子「
父と…、ちょっとね…」と泣きそうになる。

どんなに笑っていてもほんとうの歌子の心はいつも父親との葛藤で悩んでいるのだろう。

ところで素朴な疑問だが歌子ちゃんせっかくさくらが沸かしたお風呂入ったのかなあ?
髪の毛とか濡れてないし…。まあいいか、細かいことは(^^;)



歌子の家の縁側

父親が歌子の置手紙を読み、寂しげに娘のことを思っている。
手紙『どうしてもお父さんが相談に乗ってくださらないのなら私ひとりで結論をだすより仕方ありません』



江戸川土手

歌子のテーマが美しく流れている。 歌子の置手紙のナレーションと同時に江戸川土手で
白つめ草
花の冠を作って遊ぶ歌子と歌子の周りをジャレる寅と源ちゃん。
寅、歌子の花冠を見て嬉しそう。歌子もおどけて寅をからかう。 キラキラ光っている瞳

              

歌子とても幸せそう。風が吹いている。 源ちゃん逆立ちしておどける。
つかの間の幸せ。


シリーズ屈指の名場面のひとつ

              


とらや


歌子「
寅さん、私、今日さくらさんっちでおよばれだったの
博、寅にすまなさそう。
歌子「
ごめんなさい、遅くなって、すぐ来ます」と2階に上がる。
博、寅に、招待したのは歌子さんだけだと言うと、寅ふくれる。

寅「
へっ!芋の煮つけでも食って屁でもたれて寝るか!あーやだやだ」と寝転がる。
源ちゃん、指差しながらクスクス笑っている。
博、源ちゃんに「
君、そろそろ鐘をつく時間だぞ
源ちゃん、はっ!と驚いて、アタフタと帰っていく。
博「
最初は、兄さんも招待するつもりだったんです
博「
話しづらいことがあるんでしょう。たとえば、愛情問題なんか…
寅「
愛情の問