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寅次郎な日々

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懐かしいお兄ちゃんとの再会。豆腐屋の節子さん。(2006,6,30)

父親との関係で悩み続けた春子さん。(2006,6,29)

最も手痛い失恋を寅に与えたマドンナ  志津さん(2006,6,28)

寅のために泣いた幼馴染み 坪内夏子さん(2006,6,27)

寅を叱れる幼馴染み 坪内冬子さん(2006,6,26)

さくらのちょっとおしゃれな日々 そのE(2006,6,25)

さくらのちょっとおしゃれな日々 そのD(2006,6,24)

さくらのちょっとおしゃれな日々 そのC(2006,6,23)

さくらのちょっとおしゃれな日々 そのB(2006,6,22)

さくらのちょっとおしゃれな日々 そのA(2006,6,21)

さくらのちょっとおしゃれな日々 その@(2006,6,20

死の影を引きずる野中の一本杉(2006,6,19)

私の心を洗ってくれた2人のマドンナ(2006,6,18)

さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのI(2006,6,17)

さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのH(2006,6,16)

さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのG(2006,6,15)

さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのF(2006,6,14)

さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのE(2006,6,13)

さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのD(2006,6,12)

さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのC(2006,6,11)

さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのB(2006,6,10)

さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのA(2006,6,9)

さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 その@(2006,6,8)

仏教の王道を行く御前様(2006,6,7)

寅次郎相合い傘と『小樽のひとよ』(2006,6,6)

チャンバラ大好き、常に本気の寅(2006,6,5)

アポ無しの危険を乗り越えたマドンナたち(2006,6,4)

ひとみさんの幸せ(2006,6,3)

寅の一番好きなタイプとは!?(2006,6,2)

寅への気遣い。さくらの0、5秒の反射神経(2006、6、1)



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『寅次郎な日々』バックナンバー





懐かしいお兄ちゃんとの再会。豆腐屋の節子さん。   6月30日「寅次郎な日々」その221


第5作「望郷篇」  三浦節子さん


豆腐屋の節ちゃんは、明るくて気さくで元気で浦安の情緒たっぷりの下町っ子。
寅ともピッタリ相性が合う人だ。会話も十年来の仲良しのごとくポンポンキャッチボールが弾む。
寅とリリー。寅と節子さん。寅と千代さん。寅と夏子さん、寅と朋子さん、などなど寅と相性の
いいマドンナは見ていても気持がいい。




               




長山藍子さんはテレビドラマの「男はつらいよ」でさくら役を2クール、26話にわたって演じてきた。
渥美さんとは歴史のある方である。
長山藍子さんは当時の思い出をインタビューでこう語られた。

映画になる前に、テレビでやってたんですね、その時私はさくらをやらしていただいてたんですね。
で、テレビでは、あの、えっと、…たくさんの方が見てくださったみたいなんですけど、
ま、映画で、あの…お兄ちゃんが蘇るってことで、すごく嬉しいなあ〜って思ってたんですね。
そしたら、あの〜第5話ですね、「望郷篇」で、あの、マドンナでお声をかけていただいて、
またあの〜…とらやのみんなと会えるし、お兄ちゃんとも会えるし、あ、すっごく嬉しかったです。はい。

ライティングとかを直してる時間ってありますよね、で、そういう時に、やっぱり前にテレビの
男はつらいよをやってらっしゃる、どうだ?元気でやってる?おいちゃ〜ん!とか言ってね、
う〜んてつってねなんとかかんとか、二人で小さい声であのいろんなお話をしていた私語を。
そん時に渥美さんが、葦をぴゅっと、セットの中の葦を、取ってね、二人でこうやってあの…
川の水をこういう風にしながらお話してたんですよ。普通のお話を…。
そしたらそれを監督が見てらしたんですね。『今みたいにやってェ…』っとおっしゃって、
『え?』『その葦ね、捨てないでそのままやって…』っておっしゃって、それで二人で何か心の
通い合ったよな、通い合わないよな…フフ、とてもね、あの…素敵なシーンになりました。満月…でね。

お兄ちゃんのそばに…今度はちょっとマドンナとしていられたことが嬉しかったです…はい




        



この長山さんの言葉にはジーンと来た。久しぶりにテレビで兄妹を演じた二人が映画で共演し、
心を通わせたなんとも温かい気持ちになれるエピソードだ。

             
脚本的には、寅の気持ちを知らないで、寅の目の前で婚約者を紹介してしまい、かつ自分がいなくなっても
この店で働いて欲しい!という凄まじく身勝手な希望を言ってしまうのである。空前絶後の手痛い失恋を面と向かって
させてしまうのだ。寅が旅立ったあとで寅の気持ちをはっきり自覚した節子さんはさくらにそれとなく聞くのだが、全ては
あとの祭りだった。

御前様のお嬢さんの時も書いたが、どう考えたって、40過ぎの独身男が、一生懸命自分に対してつくしてくれるの
だから、ひょっとして…と思うのが普通なのだが、第1作から脈々と受け継がれてきたこのステン!と転ばせる
「手痛い失恋」を信条としたスッタフたちは、カンのよさそうな下町娘の節子さんでさえ脚本的に鈍感にしてしまった。
どこまでも『寅の気持ちには気づかないマドンナ』というとほほ路線なのだ。寅ってほんとこの頃は可哀想(TT)
そしてそればかりか、なんとなく寅の気持ちに気づいているくせに自分の結婚の都合を考えてその寅の恋心を
利用してしまったととれないこともないような演出にもなっている。もしそうであるならばこれは第3作の志津さん同様、
確信犯ゆえに『有罪』である。私的にはかなり黒に近いグレーという思いである。

映画はもちろん寅が思いっきりステン!と失恋した方がメリハリとパンチが効いてスピード感が増す。そんなことは
十分に分かっているが、さくら役を26話も演じてきた長山藍子さんの気持ちはちょっと複雑だったのかもしれない。
ちなみにテレビドラマの「男はつらいよ」では、マドンナの坪内冬子さんは結局は寅をふるものの、寅の気持ちを
きちんと自覚し、理解していた。

せっかく長山さんが出演されるのだから、やはりここは、たとえ、寅の気持ちを最終的には受け入れられないとしても、
寅の気持ちをちゃんと知ってくれるマドンナという脚本であって欲しかった…。

ま、ともあれ、この第5作「望郷篇」はスタッフ、キャストとも忙しいさなか、かなりの短い時間で作られたにもかかわらず、
映画の持つスケールの大きさと小気味良いリズムを保っている。こういう作品を真に「冴えがある作品」と呼びたい。
そのような傑作に出演できた長山さんは幸せ者だと思う。



明日は、寅の気持ちにはじめて気づいた女性、
明石夕子さんのことをつらつらと書きましょう。








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父親との関係で悩み続けた春子さん。   6月29日「寅次郎な日々」その220


第4作「新.男はつらいよ」  宇佐美春子さん

宇佐美春子さんは明朗で真面目なルンビ二ー幼稚園の先生だ。しかし、華やかで美しい雰囲気からは想像できない、
複雑な悩みを抱えながら生きているのだ。小さい頃父親に捨てられ、父親の顔も見ることもなく育った彼女は、
今、死への床についている父親に会ってほしいと懇願する父親の親友の吉田の言葉を受け入れることがどうしても
出来ない。


そしてその後、遂に父親が亡くなってしまう。

「お父さんは罪の報いを受けましたよ。十分なくらいね」とつぶやく吉田の言葉。

春子さんはその言葉を聞いて自戒の念にさいなまれて、とらやで遂に泣き崩れてしまう。
奇しくも春子先生の父親は、寅の父親平造の命日と同じ日に亡くなったのだった。




               




寅は全く事情がわからないが博たちと相談して、とにかく春子先生を元気になってもらおうと
船遊びなどを計画するがイマイチ上手くいかない。

しかしおいちゃんが寅に向かって語る『婦系図』の名場面を盗み聞きしているうちにおばちゃん
ともども大笑いし、それがきっかけで春子さんは元気になっていく。



         


今回も第1作〜第3作同様寅に対してマドンナは鼻も引っ掛けないのだが、寅が春子さんを
元気付けようとした優しい心は彼女に届いていたように私には思える。第3作がエネルギッシュで
打たれ強い寅を描いたとするなら、この第4作は寅も含めた柴又の人情とそれに溶け込もうとする
マドンナのしっとりとしたふれ合いを描いている。春子さん役の栗原小巻さんは、理知的で悩める女性を
あの独特の潤んだ目で可憐に演じ、初々しい存在感を見せていた。彼女はその15年後に第36作で
今度は大地に立つ自立した女性の内なる苦悩と孤独を見事に演じていた。

ちなみにこの春子さんの下宿している部屋は、いわゆるいつもの寅の部屋ではない。
台所の階段を上がって右にある部屋だ。あの部屋は第1作で登が寝泊りしていた部屋である。しかし、
それにしては窓の位置など間取りが違う。春子さんも寅が使っていた部屋に自分が下宿していると
発言していた。不思議だ???初期の頃の作品にありがちな不具合と言っていいだろう。


そしてラスト。旅立っていく寅。
安らかに眠っている春子先生のことを思いながら柴又参道を歩く寅が振り向いてもう一度とらやを見るが、
その寅の目にはなんと涙が見えていた。第1作や第2作のような号泣でなく、じわっと出る涙である。
春子先生の自戒と悲しみのあふれるような涙といい、このようなウエットな演出はこの第4作の特徴を
よく表していると思う。寅次郎の情愛が深く滲み出た懐かしい故郷柴又での物語。
これが「新.男はつらいよ」である。





                    涙を見せる寅
         





明日は、豆腐屋の三浦節子さんのことをつらつらと書きましょう。





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最も手痛い失恋を寅に与えたマドンナ  志津さん   6月28日「寅次郎な日々」その219


第3作「フーテンの寅」  志津さん


三重県湯の山温泉にある『もみじ荘』の女将さん志津さんはそれはもう美しい。

そして誰にでも優しい人気者である。それもそのはずスクリーンの中の新珠三千代さんは
透き通るように麗しく上品だ。着物のよく似合うもう日本美人の典型のような人。
で、寅は志津さんに超強烈に惚れていた。身の程知らずもここまでくると爽やかだと思える
ほどだ。そして志津さんも、うすうすそのことは察している。分かっているのに寅に番頭として
ほとんどただ働きのような形で働いてもらっている。

もし、第6作「純情篇」の夕子さんのような人格であるなら、やんわりと寅に手伝ってもらう事を
断っただろう。なぜなら志津さんにはすでに恋人がいるのである。

しかし、ずるずると志津さんは寅の恋心を利用した。結局自分からは最後まで言い切れず、
仕方なく仲居さんや番頭さんたちが露骨に志津さんにその気がないことを分からせるのである。

左ト全さんのそーよ、バカはおまえよぉ〜は強烈な一言だった。




                  





おまけに、寅は志津さんに別れの挨拶を外の庭から障子越しに長々とするのだが、その時運悪く
志津さんはいないのだ。そんなこととは露知らず、ペラペラと自分の気持ちをしゃべる寅。そして
全部仲居さんたちに聞かれていたという超駄目押し(TT)

淋しく一人旅立っていく寅と道ですれ違うその車の中に志津さんはいたのだ。
寅に気づき、車をいったん止めさせるが、寅が気づかないのをいいことに、迷った挙句なんとそのまま
行ってしまう。あれだけお世話になっていながら…。彼女のこの時の残酷さは群を抜いている。

そんなこと寅は知るよしもない。相変わらずの楽天的な気質の元、十八番の『旅笠道中』を朗々と
歌って暮れなずむ中去っていく。このシーンの寅は最高に滑稽で、最高に哀れで、しかしその
背中は力強かった。寅の心は一点の曇りもないのだ。これが見ている私たちに救いを与えてくれる。

そして、もう一つの救いは、志津さんがその車の中で、寅にしてしまった自分の仕打ちを自覚し悩むカット
が少し映し出されることである。彼女もやはり当然良心の呵責があるのだろう。当たり前である。
それが人間というものだ。彼女は悩み続けなくてはならないと思う。





                 




最後の最後さえ、大晦日にテレビカメラに向かって「お志津」と呼びかける寅の姿を演出する鬼才森崎東監督。
いやもう、ここまで泥臭くバイタリティ溢れる懲りない鉄人寅を描かれると拍手をしたくなる。

とにかく第3作の寅は踏まれても踏まれても伸びる麦のように不死身なのだ。ある意味凄くカッコイイ!

私はこの作品の持っているある種のパワーにいつも圧倒されている。




                 







明日は宇佐美春子さん(春子先生)のことをつらつらと書きましょう。




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218


                          
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寅のために泣いた幼馴染み 坪内夏子さん   6月27日「寅次郎な日々」その218



第2作「続男はつらいよ」  坪内夏子さん


下の写真を見ていただきたい。
これは第2作「続男はつらいよ」のラスト、京都三条大橋の袂で寅とお菊さんの二人の背中を見守る夏子さんの
表情である。

寅に対してあんなに優しい眼差しを投げかけた人は後にも先にも散歩先生のお嬢さん、坪内夏子さんだけである。
このことはこれまでに何度もしつこく書いてきたが、このシリーズでの彼女の寅に対する眼差しは惚れたハレタ
を超えて、運命共同体に向ける眼差しそのものだ。寅に必要なのはマドンナが彼を好きになってくれる以上に
実はマドンナのこの眼差しなのだ。このシリーズで寅に対してこの眼差しを向けたのはさくらと夏子さんだけだ。



          




彼女の心は温かい。それは父親の坪内散歩先生から受け継いだ優しさだ。前にも書いたが、
葛飾商業時代の恩師である散歩先生は寅のために懸命に生みの親に会いに行くことを説得し、
悲しい結末の果てに寅と一緒に泣いてやるのである。私はこのシーンが大好きだ。
赤の他人で、寅のためにここまで一生懸命考えてくれるのはこの坪内散歩先生意外には誰もいない。
そのお嬢さんの夏子さんも観音様のように慈悲深いのである。寅に付き添いお菊さんの経営する
ラブホテルで必死にお菊さんを説得する彼女の姿に私は心を打たれた。


私は寅が好きで、寅びいきだ。
だから寅のことを男性としてみてくれなかった夏子さんに対して実はやるせない思いをしてしまうが、
そんなことが吹っ飛んでしまうくらい寅と夏子さんは息が合っている。それもそのはず、夏子さん役の
佐藤オリエさんはテレビドラマの「男はつらいよ」の唯一無二のマドンナ坪内冬子さんなのである。
佐藤オリエさんが優しく「寅ちゃん」と呼ぶその声には長い歴史を感じるのだ。彼女こそ寅のマドンナの
代表である。マドンナの名の通り寅を優しく包み込む母なる温かみがある。寅の生涯の恋人がリリーなら、
寅の生涯のマドンナは夏子さんである。


昨日も書いたとおり、坪内冬子という名前は、第1作で御前様のお嬢さんとして使われてしまったので、
ここでは冬を夏に変えて夏子としている。冬から夏なんていう簡単な変え方がいかにも山田監督らしい。
坪内逍遥をもじって坪内散歩(逍遥は平たく言うと 散歩と言う意味)なので坪内姓は変えれないのである。


私はこの夏子さんと寅の場面で、あのラストの三条大橋以外の場面でもうひとつ好きなシーンがある。
江戸川土手でうなぎを釣る寅を夏子さんが訪ねるが、あの場面で自分の父散歩先生の生い立ちを
少し語るのである。




        





夏子「寅ちゃん…私夕べ、お父さんに叱られちゃった…。
   寅ちゃんのことで」


寅「え!?オレのことで?」



夏子「あたし寅ちゃんのお母さんのことひどい人だって言ったら、急に怒り出して
  『子供が可愛くない親がどこにいる、子供を捨てるにはそれだけの辛い事情があったはずだ。
  他人のおまえが生意気な口をはさむんじゃない』って」


寅「でもねえ、お嬢さん、それはあのババアの面を見たことのねえ人の言うことですよ。
  そうですよね。先生のような、上品なお母さんを持っている人には、とてもわからねえ…」


夏子「父もね、お母さんの顔知らないのよ…、」


寅「えっ!…」



夏子「父が二つか三つのときに死んだの…」


工場のサイレンが聞こえる。


寅「はァ…先生も産みのおふくろさんの
 顔知らないんですか… はぁー…」



散歩先生が寅の気持ちをよく分かってくれる背景には、同じ寂しさ、哀しさを共有している
せいかもしれない。
このシーンは散歩先生のことを語っているのだが、それと同時に夏子さんの心根の柔らかな部分が
見ている私たちにも優しくじんわりと伝わるいい場面だ。


夏子さんも寅のことを冬子さん同様親しみを込めて「寅ちゃん」と言う。できることなら冬子さん同様
夏子さんも、さくらたちと同じ時空に生き、シリーズの途中に2度3度と顔だけでもチラッとスクリーンに
見せて欲しかった。夏子さんは、このシリーズにかなり縁の深い人だと私は思っている。





明日は『志津さん』のことをつらつらと書きましょう。


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217


                          
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寅を叱れる幼馴染み 坪内冬子さん   6月26日「寅次郎な日々」その217



今日から全48作のマドンナ及び準マドンナを思いつくままにつらつら書いて
いこうと思っている。まあ、私なりの個人的な感覚で気ままに書こうと思っているので、
世間一般のマドンナのイメージと若干ずれるかもしれないが、いつものように、
他愛もない個人のHPということで、ご容赦を。



第1作「男はつらいよ」  坪内冬子さん

第1作「男はつらいよ」のマドンナ、坪内冬子さんは、ご存知のように題経寺の御前様のお嬢さん。
このシリーズでいろんなマドンナが登場するが、この冬子さんと、リリーだけは、さくらたちと同じ時空で
生きているマドンナだ。歌子ちゃんも少しだけ同じ時空かな。

第1作でマドンナとして出演した後も、第7作「奮闘篇」でも赤ん坊を連れて里帰りし、寅と再会している。
また第46作「寅次郎の縁談」でも大人になった娘さんを連れて里帰りしていた。

このシリーズを通して、寅やさくらたちをずっと見守っているマドンナと言ってもいいだろう。
やはりマドンナというのは惚れたハレタだけでなく、寅たちと一生の関係であって欲しいと私などは
思ってしまうのだ。

ちなみに幼馴染みなので寅のことを『寅ちゃん』と呼ぶ。
寅のことを寅ちゃんと呼ぶのは、冬子さん、夏子さん、花子ちゃん、千代さん、百枝さん、そしておばちゃん(^^;)
くらいのものだ。

それと、この坪内冬子という名前は実はテレビドラマの方では寅の恩師坪内散歩先生のお嬢さんの名前なのだ。
当時スタッフは、これ一回で映画が終わると思っていたので後先考えないで、ついテレビ版の散歩先生の
お嬢さんの坪内冬子という名前を御前様のお嬢さんの名前に使ってしまったのだった。いかにも山田監督らしい。



         



寅がふざけたりしても冬子さんは、他のマドンナのように笑っているだけじゃなく、きちんと叱ったりもする。
御前様が持っている厳しさと優しさを彼女も受け継いでいるのだろう。幼馴染みなのであだ名もある、
『デメキン』だ。これは実は第18作「寅次郎純情詩集」の綾さんと同じあだ名。

ただ、あれだけ寅が露骨に寺通いしているのに、寅が自分に好意を寄せていることを想像できないところが
ちょっと鈍感かなとも思う。40歳の独身男が懸命にいろいろ付きまとっているのだから、気づくのが
マナーってもんだとも思う。




おばちゃんの名言


「お嬢さんもはっきり言ってくださりゃいいのに。あたしゃね、お嬢さんにも
 罪があると思うよ。」


これはある意味真実だ。




あんなに寅に慕われても、寅という健康で明朗な40歳の独身男を『男性』として見れないところの
「決めつけた残酷さ」はある意味凄みさえ感じる。


このシリーズではこのような寅の好意に気づかないマドンナが何人か出てくるが、彼女はそのはしり。
ただ、冬子さんはその欠点を補って余りあるほど、後々まで寅やとらやの面々を心にかけているところが
実に魅力的。寅に対して強い仲間の意識はあるのだ。
どんなに寅のことを好きでもその話限りで、普通は
全く話題にすら上らないのがこのシリーズだから、冬子さんのような普通の時空に生きているマドンナは
見ていてほっともするのだ。


また、寅と夜遊びした後彼女は


『口笛は幼きころのわが友よ
吹きたくなれば吹いて遊びき、』

と、石川啄木の「一握の砂」からのアレンジを参道で口ずさむなかなか教養と創意工夫のある人だ。
ちなみにオリジナルは
『晴れし空仰げばいつも口笛を吹きたくなりて吹きてあそびき』



        



ちなみにこの第1作は、ちょっとした偏見で、まだまだヤクザな映画だと思われて、なかなかマドンナを
引き受けてくれる人が見つからなかったらしいが、光本幸子さんは快く引き受けてくれたそうだ。

そういう意味では初期の頃にマドンナとして出演してくださった方たちは、後期のこのシリーズが有名になって
しまった時のマドンナたちとは心根が違うのだ。脚本的には初期の頃の寅はステン!とふられてしまうが、
それは脚本であって、実際の女優さんはどなたもすばらしい人たちばかりだ。特にこの光本幸子さんは
記念すべき第1作に相応しい心温かき女性だ。

そういえば、光本幸子さんは、近年、『隠し剣鬼の爪』で、リアリティのある見事な演技をされていて、
う〜むと唸ってしまった。上手い!







明日は先日もちょっと書いた坪内夏子さんのことをつらつらと書きましょう。


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さくらのちょっとおしゃれな日々 そのE   6月25日「寅次郎な日々」その216



さくらはリリーなんかと違って、化粧も服も地味である。髪型などは可哀想になるくらい
いつもヒッツメ(TT)僅かに正月に髪の毛を和服用に整える程度。
しかし、だからと言って寅のように年がら年中ダボシャツっていうことはない。
やはりそこはそれなりに気を使うというかいろいろ考えているのである。

しばらくはさくらのファッションを中心にちょっと全48作をダラダラヘラヘラ巡って行きたい。



今日はその6回目。ラストです。


第45作「寅次郎の青春」でもさくらはとてもおしゃれ、普段着のブラウスの柄は
前回同様かなり目立つものだ。


        第45作
         45作
        




この作品の正月着物はかなり派手な花模様。まるで東南アジアのバティックを
彷彿させるようなあでやかな物だった。いや〜、遂にここまできたかって感じ。



     
 第45作 
    



第46作「寅次郎の縁談」ではとても可愛い犬の絵を編み込んだたっぷりの
カーディガンを着ていた。ああいうものを着ても、似合うのがさくら。


      第46作      後ろから見たらこういう感じ。

          





下の普段着は首周りがいつもと違う。このパターンもよく似合う。とにかく和洋とも赤が多い。

       
第46作             第46作
         



エプロンもこのように、そうとう派手になってきている。これでは料理などで汚せませんね(^^;)


      第46作
     




第47作「拝啓車寅次郎様」のエプロンはほとんど洋服だ。ドレス風になかなかしっかり作ってある。


       
第47作
      




正月の着物もかなりモダンな感じ。やはり赤系。現代的なものは年を取れば
意外に逆に似合うものだ。そういう意味ではさくらも若い時のほうが着物は地味だった。


        第47作
    






最終第48作「寅次郎紅の花」ではスカートが可愛い。


     
第48
      



そして、遂にこのシリーズではじめてヒッツメ髪を少し変えて、ほんの僅かだが前髪をおでこに
たらし気味にしている。これも年齢と共にいろいろ工夫している表れだと思う。よく似合っていた。



          第48作
      




服のコーディネイトはますます上手になり、エプロンも、作業のための実用というより、ブラウスの上に
羽織るおしゃれ着という感じになってきた。あきらかに本来生活感を出すためだったものが、若返りも含めた
ビジュアル的な意識が強くなり、その結果、逆に生活の匂いを消す方向に移り変わってきたとも言える。



         
         第48作
                第48作       
             



この作品の正月は久しぶりに藍染めの渋い絣織。
こういう落ち着いた着物も実にいいものだ。


         第48作
      



ラスト付近で、リリーの手紙に返信の手紙を書いたあと、二人して浅草に映画を観に出かけていく
博とさくらの姿があった。博は和服のまま。さくらは洋服に着替えてコートでお出かけしていた。
満男はおそらくこの年に泉ちゃんと結婚し、この家を出て行くのであろう。このシーンがこのシリーズの
さくらの最後のシーンである。


二人の背中を最後に見ながら私は、このシーンから遡ること26年前、第3作「フーテンの寅」で、寅を見送りながら
手を繋いで寒い江戸川土手に立つ若い博とさくらのあの素朴な姿をしみじみ思い出していた。



           第48作                          第3作
              



以上、『さくらのちょっとおしゃれな日々』でした。





日からはマドンナを巡る旅を、の〜んびりやっていきましょう。




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さくらのちょっとおしゃれな日々 そのD   6月24日「寅次郎な日々」その215





さくらはリリーなんかと違って、化粧も服も地味である。髪型などは可哀想になるくらい
いつもヒッツメ(TT)僅かに正月に髪の毛を和服用に整える程度。
しかし、だからと言って寅のように年がら年中ダボシャツっていうことはない。
やはりそこはそれなりに気を使うというかいろいろ考えているのである。

しばらくはさくらのファッションを中心にちょっと全48作をダラダラヘラヘラ巡って行きたい。



今日はその5回目


この第41作「寅次郎心の旅」からはさくらのブラウスもエプロンもちょっと高級な
感じ、派手な感じになってくる。色合わせ的にもよく練られたセンスの妙に良い取り合わせが多くなる。

ブラウスにも派手めの模様がしっかり入っている。



      
第41作         第41作       第41作       第41作
               
  




第42作「ぼくの伯父さん」ではさくらの爽やかな店員さん姿が実にいい。白のブラウスも清潔感があり、
つけているエプロンもアイボリーホワイトと薄茶のポケットの取り合わせがなんとも可愛い。

右は渋いぶどう色のブラウスにこれまた可愛いエプロン。


      
第42作          第42作
          

    




第43作「寅次郎の休日」での可憐な『さくら式部』 久しぶりの夢の出演でした。


       
第43作             
      





この正月の派手めの着物は、なんと第41作と同じ生地を使っている。
ひとつは第41作でハンテンに。ひとつは第43作で着物に。



      
43作
    






この第44作「寅次郎の告白」でのエプロンは実に楽しい模様。
このエプロンは最終第48作でも出てくる。


     
第44作
    



ブラウスとエプロンの色あわせがよく考えられている。
それぞれのデザインもおしゃれ。
初期や中期の頃とはもうかなり違ってきている。やはり年齢と共に色あわせの妙や
デザイン性が高くなり、なによりも派手で目立つ色合いの物になってきている。
ある意味生活全体がそれなりに安定しているのがうかがわれる。



     
第44作        第44作
       




第44作の正月のさくら。ストールがカッコイイ。

         



実はさくらだけでなく、とらやの面々全てが、この40作台から服の色合わせを重視し、いい素材の
もの、高価そうなものを着るようになっていくのである。マドンナやさくらや満男ならともかく、
おいちゃんやおばちゃんも例外でなく、妙に色合わせが上手になるというか、服装の品が
よくなっていく。悪く言うと、なにやら『生ぬるい生活の気配』がして、もともとのとらや(くるまや)の
持っていたあの独特の下町リアリティが若干失われていったともいえるのかもしれない。
『ちょっとおしゃれな日々』が『かなりおしゃれな日々』に変わりってきたのがこの40作台だった。
観客自体が、そのような『小奇麗な世界』『安定感のあるおしゃれな日常』を本来それとは無関係の
このシリーズにも求めだしてきた結果とも言えるだろう。



時間が来ました。今日はここまで。
明日は第45作からラストまで行きましょう。





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214


                          
『寅次郎な日々』バックナンバー






さくらのちょっとおしゃれな日々 そのC   6月23日「寅次郎な日々」その214



さくらはリリーなんかと違って、化粧も服も地味である。髪型などは可哀想になるくらい
いつもヒッツメ(TT)僅かに正月に髪の毛を和服用に整える程度。
しかし、だからと言って寅のように年がら年中ダボシャツっていうことはない。
やはりそこはそれなりに気を使うというかいろいろ考えているのである。

今日からしばらくはさくらのファッションを中心にちょっと全48作をダラダラヘラヘラ巡って行きたい。



今日はその4回目



第30作の夢ではアメリカの娘を軽いタッチで演じていた。
ああいう格好も似合うのだ。さすがもとSKDのスター!まあ、大抵は何でも似合う。



              



第32作「口笛を吹く寅次郎」で姪に『
さくらおばさん』って言われて嫌がるさくら。
第10作と同じパターン。一見質素で、あまり服などにこだわっていないように見えるが
なかなかどうしてさくらは、私たちが思っているよりもずっと見た目やファッションにこだわるタイプなのだ。
これは寅も同じで、年がら年中同じ服を着ているが、見た目は寅なりにとても気にしている。


        





第34作「寅次郎真実一路」の夢でも白地の和服を着こなすさくら。
髪型も凝っていた。



            



正月の着物姿は楽しみの一つだ。


             第34作
          




            第36作
          







第32作「口笛を吹く寅次郎」や第37作「幸福の青い鳥」の正月にも
いつものお気に入りの絣を着ていた。第20作、第24作もそうだったので
よっぽどこの着物が好きなんだねえ。


      第32作            第37作

            




第33作「夜霧にむせぶ寅次郎」で風子の結婚式披露宴での涼しげなさくらのワンピース。


                  




第34作「寅次郎真実一路」で着たさくらの可愛い派手めのカーディガン。気に入ったのか、
評判がよかったのか、この作品以降36作「柴又より愛をこめて」第37作でも着ていた。
最後の方の作品になってくると、このように派手めの模様の服やエプロンをするようになる。
年齢と共に模様や色が派手になっていくのはある意味現場でのセオリーだ。


      
     第34作         第36作        第37作
            




カーディガンや着物もこのころから赤色が増えていく。

演出的に明るく華やかなイメージをつけて、映画自身の若返りをはかっているのかもしれない。


     
第39        
第39
       





第39作で三者面談に行った時のさくらの渋めの服。


            



日は第40作からラストまで見ていきましょう。





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213


                          
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さくらのちょっとおしゃれな日々 そのB   6月22日「寅次郎な日々」その213



さくらはリリーなんかと違って、化粧も服も地味である。髪型などは可哀想になるくらい
いつもヒッツメ(TT)僅かに正月に髪の毛を和服用に整える程度。
しかし、だからと言って寅のように年がら年中ダボシャツっていうことはない。
やはりそこはそれなりに気を使うというかいろいろ考えているのである。

今日からしばらくはさくらのファッションを中心にちょっと全48作をダラダラヘラヘラ巡って行きたい。



今日はその3回目



第19作「寅次郎と殿様」で時代劇の夢の中、明るい水色の着物を着るさくら。ああいう色も
似合うんだね。




       





この第19作で着ていたこの淡いストライプのブラウスはこの先何度か違う作品でも
登場。一緒に着ていたこの
茶色のベストもそうとう多くの作品に出てくる。第22作の黄色いエプロンも
多くの作品で見られるものだ。



        第19作          第21作        第22作
                 





このパターンで、ちょっと面白いことが分かった。
左が第19作の茶の間でのさくら。右が第25作の茶の間でのさくら。
全く同じシャツ、同じエプロン、同じ髪型、同じ場所!!おおお〜(^^;)
ちなみにこのシャツは第15作でも着ていた。


       第19作            第25作
             





爽やかな明るい薄紫のワンピースはお気に入りの一着のようだった。第25作のワンピースは、
そのアレンジタイプ。ちょっと違う。


       第19作         第21作         第25作
               







第20作「寅次郎頑張れ!」の夢でのお金持ちになったさくら(^^;)


        




同じく第20作で博と『ジョーズ』を見に行くときのお出かけ着。品のいい色だ。


       






【さくらの超お気に入り3つのカーディガン】



この赤のカーディガンはさくらのお気に入り。何度も着ている。これのアレンジ版も何枚かある。


       第20作          第22作         第24作
            





★このグレーにオレンジストライプのカーディガンもさくらのお気に入り。私もこの服は大好き。
 このころの冬作品では必ず着ていた。よく似合っている。また、これとよく似たものも何作品かで着ている。



      第20作         第22作        第24作          第26作
                





★このグレーに黒のストライプのカーディガンもさくらのお気に入り。これまた何作品にも渡って
 着ている。



     第20作         第22作      第24作          第26作
                   






正月用の赤の経絣の和服もお気に入り。


     第20作               第24作
          





第21作「寅次郎わが道を行く」で着ていたこの長袖のワンピースは、
第17作で池ノ内青観の家に着て行ったもの。ボタンのあり方が可愛い(^^)


     第21作           第17作

            





第23作「翔んでる寅次郎」の夢に出てくるさくら。髪の飾りものが愛らしい。


        





この頃になるとこのような黒の儀式服も実によく似合うようになる。
下の画像は第23作「翔んでる寅次郎」の中の結婚式のさくら。
第2作の散歩先生の葬式や、第8作の博の母親の葬式の黒服と比べれば
いろいろ感慨深い。




   中村君の結婚式    ひとみさんの結婚式(仲人)

                






第24作「寅次郎春の夢」で、マダムバタフライ(蝶々夫人)を演じるさくら。すばらしい歌声も必見!

        




第26作「寅次郎かもめ歌」の正月の着物。紫とからし色の補色が美しい。髪型もおしゃれ!
これは第28作「寅次郎紙風船」や第30作「花も嵐も寅次郎」でも同じパターンが出てくる。


           第26作             第28作
              

 


やはり、気に入った服は繰り返し着る。それに博の給料じゃ、そんなに買えるわけないし(^^;)
このあたりが実に心憎い演出だ。この懐の深さがあらゆる面に隠されているからこのシリーズは
凄いのだと思う。



第27作「浪花の恋の寅次郎」ではスクーターに乗るさくらの可愛いヘルメット姿が印象的。
あのマスカット色がいいなあ(^^)



     





明日は第29作から第33作あたりまで見ていきましょう。




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212


                          
『寅次郎な日々』バックナンバー           






さくらのちょっとおしゃれな日々 そのA   6月21日「寅次郎な日々」その212



さくらはリリーなんかと違って、化粧も服も地味である。髪型などは可哀想になるくらい
いつもヒッツメ(TT)僅かに正月に髪の毛を和服用に整える程度。
しかし、だからと言って寅のように年がら年中ダボシャツっていうことはない。
やはりそこはそれなりに気を使うというかいろいろ考えているのである。

ということで、さくらのファッションを中心にちょっと全48作をダラダラヘラヘラ巡って行きたい。



今日はその2回目


第10作「寅次郎夢枕」で岡倉先生の学生たちに「
おばさん」と言われて、さくらはかなり嫌がっていた。
それを聞いてヒヒヒ笑いをする源ちゃんに、ハタキで頭を小突いてたくらいだ。第32作でも法事で同じく
姪のおばさん発言でかなり嫌がっている。 ということで、さくらは意外にそういうことを気にするたちなのだ。
だから、さくらはかなりいろいろ工夫しておしゃれしていると私は思っている。



              源ちゃん!
      





第10作「寅次郎夢枕」での正月の着物。これは第8作でも着ていたもの。
華やかな感じ。よく似合っている。 右は第8作


           






第11作「寅次郎忘れな草」でのこの服はさくらのお気に入り。
第5作の浦安へのお出かけ時にもこの服を着ていた。 右は第5作


            






第12作「私の寅さん」で、九州旅行の準備のため、三越でお買い物。
九州旅行中よりもこの準備の時のファションのほうが気に入っている。
さくらは意外に茶色が似合う。


       






第13作「寅次郎恋やつれ」で歌子ちゃんの実家へ行った時の服。おへそ辺りの
丸いベルトのデザインは他の服でも出てくる。このパターンはお気に入りなのだろう。
第1作から続いていたお決まりミニスカートのパターンがこの頃から微妙に変化してくる。


     






第14作「寅次郎子守唄」でコーラスに参加した時の服。
やはり、さくらは茶色が似合う。相変わらず上着は仕立てがしっかりしている。
さくらの冬のお出かけ上着はどれも仕立てが抜群。


      






同じく、江戸川合唱団の新年会の時の服。


     






第15作「寅次郎相合い傘」でのチェリー。
さくらもこんな格好をするのだ。もちろん夢。
柴又でこんな格好したら凄いだろうなあ…(^^;)


    





第15作「寅次郎相合い傘」でのさくらの鮮やかなストライプ模様のブラウス。
私はこの服がとても好きだ。スカッとしたさくらが凛々しかった。
倍賞さんも油が乗っているころなので輝いている。最高!


   






これまた渋い第16作「葛飾立志篇」西部の町を兄を探し旅をするさくら。
名曲さくらのバラードを歌う姿はしびれました。このシリーズ屈指の燻し銀さくら。


      






さくらは和服が似合う。特によく絣を着ている。
これは第16作「葛飾立志篇」での藍染めの経絣蝶々文様の着物。
大胆な模様をさりげなく着ている。可愛い。


     






第17作「寅次郎夕焼け小焼け」で、満男の入学式にもやはり渋い茶色の上着。
これもやはり仕立てがしっかりしている。この服は第14作でも使われていた。
右は第14作。 なおこの入学式の時は真珠のネックレスや、ちょっとおしゃれな指輪を
していた。



          







第17作「寅次郎夕焼け小焼け」で池ノ内青観宅へ訪問した時の服。
明るく、ちょっと可愛い感じの服。


     






北アフリカのカスバで兄を探すさくら。カッコイイ〜! ( ̄ー ̄)


     






第18作「寅次郎純情詩集」でピンクとグレーの取り合わせを着こなすさくら。
仕立てのいいコートは見ていて気持ちがいい。


      





さくらにしては珍しくハンテンを着ている。秋の風情漂うオレンジ色のハンテン。
なかなか可愛い(^^)


    





ところで、

さくらのつけるエプロンはめまぐるしく変わる。1作品で3回違うエプロンをしていることは
ざらだ。もちろんエプロンはすぐ汚れるからそのつど洗濯するので、コロコロ変えるのは当たり前
なのだが、たまに凄く彼女が気に入っているエプロンがあって、第11作から第16作まで
6作品連続
毎作つけ続けたものがこのエプロンである。
とても可愛い感じなので華やぐのであろう。



        第11作         第12作          第13作
         
                          




       第14作           第15作          第16作       第20作

                     



このように、さくらは、エプロンはもちろんのこと、ブラウス、ウールのベスト、スーツ、コート、ワンピース、
などなど何度か同じものを着ている。この辺にこのシリーズのリアリティが微妙に隠されているのだ。



明日は第19作から第27作あたりまで見ていきましょう。


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211


                          
『寅次郎な日々』バックナンバー           






さくらのちょっとおしゃれな日々 その@   6月20日「寅次郎な日々」その211



さくらはリリーなんかと違って、化粧も服も地味である。髪型などは可哀想になるくらい
いつ
もヒッツメ(TT)僅かに正月に髪の毛を和服用に整える程度。
しかし、だからと言って寅のように年がら年中ダボシャツっていうことはない。
やはりそこはそれなりに気を使うと
いうかいろいろ考えているのである。


今日からしばらくはさくらのファッションを中心にちょっと全48作を
ダラダラヘラヘラ巡って行きたい。

今日は第1作〜第8作あたりまで

まず、初期の頃はほとんどおしゃれらしいことはしていない。赤ん坊が小さい
ということや、物語全体が泥臭い作りだったことも関係していると思う。
まだ、貧しく、潜水艦のようなアパートに住んでいるさくらにとってマドンナたちのように
小奇麗にしていてはリアリティがないのであろう。

それになによりもカッコいい服を着ていなくたって若さのオーラで十分魅力的だから不思議だ。

それでも下の3枚に代表される第1作「男はつらいよ」はさくらの
唯一の独身時代で、赤ん坊も
できていないので、やはりおしゃれな部分に気を使っている。特に左端のシーンは髪の毛もヒッツメてない!
あー、この時代があと数作あったらさくらのおしゃれがもっと見れたのかも…。
もっとも結婚披露宴は当たり前だが美しい(^^;)



         



赤ん坊ができてから、さくらは時々和服(着物.浴衣)は着ている。
まだまだそういう時代だったとも言えるが、倍賞さんは、なかなか和服も似合うのである。


左から  第2作「続男はつらいよ」     第3作「フーテンの寅」


              


     第5作「望郷篇」         第8作「寅次郎恋歌」

          



赤ん坊の子育てにたいへんなさくらも、遠方へのおでかけ時はさすがにそれなりに
おしゃれをしている。
スカーフなどもいろいろ考えている。

左は第5作
「望郷篇」で浦安へ出かけた時のさくら。
右は第7作「奮闘篇」で津軽まではるばる出かけた時のさくら。



           




明日は第9作から第18作あたりまで見ていきましょう。

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210


                          
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死の影を引きずる野中の一本杉   6月19日「寅次郎な日々」その210



私は若い頃から今までヨーロッパ、東南アジア、中央アジア、東アジアなどを旅してきたが、
本当の一人旅はその半分もない。大抵は連れ合いか、息子を含めた家族とである。
もともと私は淋しがりやなのである。寅も結構淋しがりやだが、私よりは断然一人旅が多い。
旅に出てしまえばいろいろな出会いがあるとはいうものの、やはり旅立つ時は淋しいはずだ。

淋しさに耐え切れずに時々柴又に帰ってくるくせに、その日のうちに喧嘩して旅立ってしまう
ことも少なくない。せいぜいもって数日。

さくらはもちろん出て行く寅を止めるが、そんなこと滅多に聞くわけがなく、寅はやはり
旅立っていく。晩年はよくポンシュウと一緒だったが、それでも一人旅が基本だ。

一人で旅して淋しくはないのかと聞く満男に、「淋しさなんてものは風が吹き飛ばしてくれる」と
うそぶきやせ我慢をする寅。


それでも、私がこのシリーズに惹かれるのは寅の旅姿の背中にやはり孤独の
人生を垣間見ることができるからだ。彼の漂白の人生に共感できるからだ。


思い出すのは、第8作「寅次郎恋歌」のラスト近く、失恋をし、夜に出て行く寅。
戻って来てと泣くさくらの方を向くこともなく、強い風の中歩いていく。参道のプラスティックの花が
風で虚しく揺れている。一度も振り返ることもなく襟を押さえながら遠ざかっていく寅だった

その背中は痛々しいほど淋しそうだった。この場面ほど寅の人生に孤独の深い影を感じた
シーンはなかった。




     




もうひとつ漂白の背中で思い出すのは第10作「寅次郎夢枕」で
秋深い甲州路。伊賀の為三郎の墓参りをしたあと、田中絹代さんに見送られるその後姿は、
このシリーズで寅が最も死の影を背負ったシーンだった。
あれが漂白というものだ。あれが数々のマドンナたちが憧れる『自由な旅』の、ある側面なのだ。





           





第32作「口笛を吹く寅次郎」のオープニングの口上は、いつもの
『帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎…』ではなく、

『大道三間 軒下三寸 借り受けましての渡世、
わたくし、野中の一本杉でござんす』


と言っている。

野中の一本杉のごとき凛とした寅の栄光の向こう側に
常に野垂れ死にの影がつきまとって見えるのは私だけではないだろう。





また明日






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209


                          
『寅次郎な日々』バックナンバー






私の心を洗ってくれた2人のマドンナ   6月18日「寅次郎な日々」その209



「男はつらいよ」の中で私はさまざまな人生の機微を学んできた。
特に寅の言動、さくらの言動にどれほど心を柔らかくしてもらったかわからないくらいだ。
おいちゃんやおばちゃんからもいろいろ感じさせてもらった。タコ社長や源ちゃんからでさえ
しみじみ感じ入る言動が結構あった。

しかし、意外にも私に限って言えば、あまり歴代のマドンナからは感じ入るものは少なかった
というのが本音だ。特に後半に登場するだいたいのマドンナの言動は、私の心を打つことは
あまり無かった。それは、おそらくそれらのマドンナたちが寅に精神的に依存する傾向に
あったからかもしれない。つまり寅やさくらたちから彼女たちが何かを受け取り幸せを感じると
したら、それは私たち観客が寅やさくらたちから何かを受け取りことと同じなのだから。
それぞれのマドンナの心の窓は実は私たち自身の心の窓なのだ。

ただし、リリーなどは寅に本音をぶつけ、寅の心の奥底にある盲点を見事に表に出してくれたので、
私も見ていてリリーの発言はいつも新鮮で頷くことが多かった。
リリーこそが寅の欠点を補い。二人で一人の人生を歩める最愛の人だと思う。

しかし、それとは別にそのマドンナの存在自体が、寅の心を洗い、私の心も洗ってくれた、
リリー以外でそんなマドンナが2人今頭をよぎる。





第2作「続男はつらいよ」 坪内夏子さん


これは以前も書いたが、この長いシリーズの中で、さくらやとらやの面々を覗いては寅のために、寅を想って
心底涙を流してくれた人は数は意外にも少ない。私の思い出すところでは坪内散歩先生と坪内夏子さんだけである。
このことは何度書いても書き足りないと思っている。
寅がマドンナに毎回優しくできるのも、さくらやとらやの面々の愛情の蓄えもさることながら、
血は繋がっていなくても、このような散歩先生や夏子さんが与えた愛情の蓄えがあってこそなのだと思う。


私はこの夏子さんこそ、寅の心のマドンナのような気がする。テレビ版では彼女が唯一無二のマドンナだった
だけあって寅との相性は抜群である。この長いシリーズで、寅のことで奔走してくれるのがこの夏子さんなのだ。
他の全てのマドンナは自分のいろいろな問題に対して寅が手伝うのである。しかし、夏子さんは、寅のことを
心配し、寅を助けようとする。胃痙攣で入院した寅の面倒を見、京都で産みの母親の菊さんを探すことを
強く勧め、そのために一生懸命頑張り、その後の傷心の寅と一緒に悲しみ、一緒にとらやまで汽車に乗って戻り、
彼をいたわり続ける。彼女こそ『マドンナ』の名にふさわしい人だった。寅に「寅ちゃん」と呼びかける眼差しは
どこまでも優しかった。



               







第7作「奮闘篇」  太田花子ちゃん

寅は花子を助けたい。この無垢な心を生涯護りたい。これはあきらかに惚れたハレタでなく、
人生を共に歩むものとしての存在だったのだろう。寅と花子の関係は一見、寅が花子を護ろうとする
だけの物語のように見えるが、実は結果的には寅は優しく無垢な花子に自分自身が救われて行く。



花子「寅ちゃんは奥さんいるか?」

寅「そんなもんいるかよ、オレに」

花子「本当か?」

寅「あたりめえじゃないか」

花子「私、とらちゃんの嫁コになるかなー」

寅「えー!?、てへへ…、よせよ何いってんだい、
  からかうんじゃねえよ。ハハハ、笑っちゃうよ、
  オレの嫁さんになるなんてよ、そんなこと
うぶなおまえが
  言うなんて、へへへ…、でもよ、ありがとよ…

  オレその気持ちだけで十分なんだよ。

  花子、もうおまえどこへも行くな。
  故郷にも帰るなよ。ずっとここにいろよ、
  オレが一生面倒見るからよ、なあ、花子」




             




花子の優しい心と美しい歌声は、寅の心だけでなく見ている私たちの心も洗って
くれるのである。このシリーズでもっとも心の清らかなマドンナは花子なのだ。
そしてその生命存在自体が光り輝いているのもこのシリーズで花子だけだと思う。


そのことを一番知っている昔から花子を育ててきた福士先生は花子に

夕焼けの時、岩木山さ、花子の歌コ聞かせてやれ、
花子はたいした歌コ上手いから岩木山もうんと喜ぶべ
」と言うのだ。



♪いーくとーせー、ふーるさーと、来てみればー、
さーくはーな、なーくとり、そよぐーかぜー、
かーどべーの、おーがわーのささやきもー、…♪






また明日






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208


                          
『寅次郎な日々』バックナンバー






さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのI   6月17日「寅次郎な日々」その208



このシリーズのレギュラー人の中で源ちゃん(源吉)ほど、イメージが変わっていったキャラクターはいない。
特に、初期とそれ以降は別人かと思えるほど変わっていった。

今回は、このシリーズで最もユニークで、最も無垢で、そして最も正体不明な源ちゃんのその変貌ぶりや
それぞれの作品の印象深いエピソードをちょろちょろっと何回かに分けて紹介していこう。





今日はラスト その10回目




第46作「寅次郎の縁談」


巨大犬を散歩させる源ちゃん
。おとろしい大きさ(^^;)



           








第47作作「拝啓車寅次郎様」


第46作があっさりしていた源ちゃん、この第47作ではいろいろ活躍。



源ちゃんと良夫君マンガ本の取り合い。
新しい源ちゃんの遊び相手の良夫君登場。




          





久しぶりに源ちゃんと会った寅。

寅「源ちゃん懐かしいなあ…、ところで
金持ってるか?

源ちゃん、顔青ざめて、スタコラ逃げていく。


寅、思い出せよ、第26作での2万円の借金返したのか??



           







久しぶりの体を張ったギャグ。ホースの水被り。





あの第17作を思い出す…。

あの時は御前様が源ちゃんに掛けてくれたのだ。



         




源ちゃんと菜穂ちゃんご対面〜!
源ちゃんのはんなりした笑顔いいねえ。



         








第48作「寅次郎紅の花」


良夫君源ちゃんに足引っ掛けのいたずら。
源ちゃん転んで追いかける。





        





源ちゃんの最後の出演はとらやの前でリリーと寅を出迎える。
これが最後の渥美さんとの交わりだった。




      





10回に渡って全作品で源ちゃんの全てを見てきて思うことは、
いつも悪戯心がたっぷりある源ちゃんだが、やはり優しい心を豊饒に
持っているすばらしいキャラだということだった。

源ちゃんは柴又の顔。

柴又に行けば、いつでも源ちゃんに会える。

いまでもみんなそう思っていると思う。

もちろん私もいまでも源ちゃんは題経寺の山門でほうきを持ちながら
マンガ雑誌を読んだり、水巻きをしたり、ベンチで昼寝をしているのだと
思っている。たぶん私の死ぬその日まで思い続けるだろう。







また明日






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207


                          
『寅次郎な日々』バックナンバー






さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのH   6月16日「寅次郎な日々」その207



このシリーズのレギュラー人の中で源ちゃん(源吉)ほど、イメージが変わっていったキャラクターはいない。
特に、初期とそれ以降は別人かと思えるほど変わっていった。

今回は、このシリーズで最もユニークで、最も無垢で、そして最も正体不明な源ちゃんのその変貌ぶりや
それぞれの作品の印象深いエピソードをちょろちょろっと何回かに分けて紹介していこう。



今日はその9回目





第41作「寅次郎心の旅路」

極東ツーリストの
イッセー尾形さんと源ちゃんの取り合わせ

イッセーさん「これが帝釈天!あーそうかい、ああ、ああ、ああ」

源ちゃん「
あほちゃう

なぜか可笑しい(^^)



             







第42作「ぼくの伯父さん」

寅から満男にプレゼントされた
『頭がよくなる機械』
エジソンバンドを満男から千円で買って

頭がよくなることを信じている源ちゃん。

信じるものは救われる?

源ちゃん「それ効く?」

満男「効く効く」

源「貸してくれへんかな?」

満男源ちゃんに貸す。

源ちゃん「ありがとう」

満男 ニコ〜

源ちゃんはめて

源「
…あ、効いてきた

源ちゃんには効き目が早いエジソンバンドでした(^^;)



                
効いてきた…
          



ラストで寅が佐賀から長距離電話した時にみんな電話口に
いるんだが、さくらが電話に出た時に

さくらは源ちゃんの名前も呼んでやる。
源ちゃん嬉しそうだった。



           
    手を上げる源ちゃん
          







第43作「寅次郎の休日」


この作品は源ちゃんのかくれんぼが見れる。

じゃんけんに急遽源ちゃんも加わり、負けて、
かくれんぼの鬼
なる源ちゃん。

さくらはそれを見て笑っていた。

源ちゃんの童心ここに極めり!

このシーンが私は大好きだ。



 
             
     ♪じゃんけん〜
          




泉ちゃんのママのことを御前様から聞かされたさくら。

さくら「源ちゃん!おしゃべりねええ!」

笑いながら逃げていく源ちゃん。

相変わらずの源ちゃんでした。



                   
源ちゃん!
           







第44作「寅次郎の告白」

このあたりになってくると源ちゃんは静かに、
柴又でたたずみ、粛々と仕事をしていたりする。



           




さくらにお茶を出したり、ゆとりを持って生きているようだった。

御前様は「私の恋の激しさときたら寅なんか問題じゃありませんでしたよ」

ヒヒヒ笑いの源ちゃん。

くすくす笑いのさくら。




         








第45作「寅次郎の青春」


怪我をした寅が柴又に帰って来た。
源ちゃんは御前様の座椅子を寅のためにとらやの茶の間に運んでくる。



             




茶の間で座椅子に座り足を伸ばす源ちゃん。

タコ社長所有のポータブル便器を持ちながら

「きっちゃなあ…」と嘆く源ちゃん(^^;)

寅の足が治るまで

わしが毎日散歩に連れて行きますわ、御前様の車椅子借りて

優しいね源ちゃん。




              



そして御前様最後の登場。

御前様の髪の毛を剃る源ちゃん

御前様「この男ときたら下手糞だし、手は汚いし、時々殺意を感じます」


源ちゃん怒ってかみそりで空中でペケ


御前様「
私はいつかこの男に殺されるでしょう。南無妙法蓮華経〜おっ


源ちゃんも手を合わせる。


御前様の出演の最後はさくらと源ちゃんが一緒だった。





どんなことがあっても源ちゃんを寺から追い出さなかった御前様、
そのありがたきお姿を偲んで今日もお寺の鐘をつく源ちゃん。



            






おっとー、また明日源ちゃんは明日が最後です。




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206


                          
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さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのG   6月15日「寅次郎な日々」その206




このシリーズのレギュラー人の中で源ちゃん(源吉)ほど、イメージが変わっていったキャラクターはいない。
特に、初期とそれ以降は別人かと思えるほど変わっていった。

今回は、このシリーズで最もユニークで、最も無垢で、そして最も正体不明な源ちゃんのその変貌ぶりや
それぞれの作品の印象深いエピソードをちょろちょろっと何回かに分けて紹介していこう。



今日はその8回目




第35作「寅次郎恋愛塾」

源ちゃん「あけみ〜、色っぽなったな人妻」

手振りで、髪の毛をたくし上げ、オッパイの格好(^^;)

ヘヘヘ!と野卑な笑い。

あけみ、呆れて

「進歩が無いねえ源ちゃんは…」

あいかわらず
スケベを隠さない清々しい源ちゃんでした(^^;)



        



この第35作では若菜さんたちと一緒に野球をする源ちゃんがいた。
第16作では得点板係だったのが
プレイヤーに昇格(^^)

そのあとみんなでソーメンを食べるシーンの
源ちゃんの凄まじい食欲には唖然とした。
もういっぺんに口に入れてました(^^;)



        







第36作「柴又より愛をこめて」

タコ社長出演の人探し番組を、山門にいたまま
携帯用テレビで見ようとしていた。
あんなものを持っているなんて、第26作でしっかりお金を貯えていただけのことはある。
でもちゃんと映らないので、結局御前様のテレビを見ていたっけ。



        







第37作「幸福の青い鳥」

上海軒で美保ちゃんが働いていることがわかった備後屋からの伝令を受けて
光ファイバー波の速さで、各店店を回っていく源ちゃん。つい、勢い余ってとらやにまで
入り、寅を見るなり

聞いたか聞いたかあのな!兄貴!寅の恋人がな…

と、お手つきしてしまった源ちゃんだった(^^;)




              
あ…
      






葛飾区役所で、寅と一緒に婚姻届を
何枚ももらう源ちゃん。意味ねえ〜(^^;)




      




結婚紹介室で寅の女性の趣味をよく心得ていて

「八重歯 八重歯!」



       







第38作「知床慕情」

「寅を諦めてはいけません」とさくらに言う御前様。
そう言った直後、源ちゃんを見て

おまえは諦めた!諦めた!」(^^;)

源ちゃんムカついて、ほうきで御前様の後ろから
シャッ!と砂利をかける。



             
  諦めた!
        




参道でりん子さんに道を聞かれて、すぐにマドンナだと見抜く源ちゃん。

源ちゃん「寅おらん、寅今おらん」



         






第39作「寅次郎物語」

参道を歩く満男に、ビデオテープ持ちながら、
源ちゃん「
満男ビデオ見るか?裏ビデオ」(−−;)

満男は無視。

源ちゃん「なんやあいつすかしやがって」

相変わらず、
スケベを隠さない実直な源ちゃんでした。



             
ビデオ見るか?
        




寅と秀吉君出発の後、源ちゃんは
あけみに足思いっきり踏まれて
痛がっていた。


あけみ手を合わせ「ごめ〜ん」


          
      ぴょんぴょん
         



御前様は今回は秀吉の事で大活躍をした寅を久しぶりに褒める。

御前様「仏様は愚者を愛しておられます」

そんないい話しをしているときに源ちゃんは枯れ葉で焼き芋を作り、
さくらに勧めていた。源ちゃん食べ食べ熱がる。

御前様曰く「
あれは…愚者以前です。困った〜


               
あーん
        







第40作「寅次郎サラダ記念日」

源ちゃん子供の漫画雑誌取り上げて、自分が読んでいた。
めずらしく白い寺男の格好。

子供にバカ!って言われていた(^^;)

仕返しで叩きあい。まるで子供そのもの。


寅の言いつけどおり、真知子さんを
駅に出迎えて、紙を持って
立っていた。これは第34作のふじ子さんの時と同じ。
このパターンは第21作の留吉や第33作の風子の親戚でも出てくる。


       


このあと真知子さんたちと
源ちゃん、江戸川の『矢切の渡し』に乗る。
いつも寅ばかり乗っているが、その他のレギュラー陣ではこの源ちゃんくらいのもの。
話の中ではさくらもおばちゃんも乗ったことになっているが映画で映るのは寅意外では
源ちゃんだけ。もっとも舟遊び(釣り)の時、歌子ちゃんと乗ってはいたが。第6作の舟遊びでは
さくら、博、タコ社長、工場の工員、社長の息子さん、夕子さんなどが江戸川で舟遊びをしている。



      





おっとまたもや時間が来てしまった!あと2回で源ちゃん完結かな…。



また明日







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205


                          
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さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのF   6月14日「寅次郎な日々」その205



このシリーズのレギュラー人の中で源ちゃん(源吉)ほど、イメージが変わっていったキャラクターはいない。
特に、初期とそれ以降は別人かと思えるほど変わっていった。

今回は、このシリーズで最もユニークで、最も無垢で、そして最も正体不明な源ちゃんのその変貌ぶりや
それぞれの作品の印象深いエピソードをちょろちょろっと何回かに分けて紹介していこう。



今日はその7回目






第28作「寅次郎紙風船」



博と満男が釣りから帰って来る。源ちゃん満男のビクを見て

源ちゃん「ダボはぜやないか、ヒヒヒ」
満男「面白い顔してるでしょう、
源ちゃんとおんなじ顔!!
満男逃げていく。
源ちゃん「このガキ!」

満男と源ちゃんのミニギャグ。


         



寅「お前は今何考えてる?」

源ちゃん「
腹減ったからチャーシューメン食いたいなあ…、思ってますねん。
    ああ、唾出てきたあ…んはあ。


源ちゃん、ある意味幸せ…(^^;)



               唾出てきた…
         




光枝さんのことで、それとなく御前様に聞く寅。
源ちゃん、目ざとく直感で、


源ちゃん「
間男でんな!兄貴!

寅「間男??真面目に仏に仕えろ!おまえは!」

箱一杯の落ち葉を源ちゃんの頭に!落ち葉ドバア!

全作品の源ちゃん亀に続き、今回も悲劇…。



             
蛾次郎さん今回も…(TT)
         








第29作「寅次郎あじさいの恋」


丹後から病人のように帰って来て、伏せている寅に、
源ちゃん、紫の腹巻からくしゃくしゃになった
お見舞い袋取り出して

これ、形だけだが私から」と御前様のマネ

お見舞い袋には 
源吉 と書かれてあった。

★これで、本編で初めて源ちゃんが
『源吉』であることが証明されたのだ!



御前様自分のおかぶを取られて横でちょっとムカついていたのが笑った。

なんだかんだと源ちゃんは結構寅のことを気にしてくれる。



       








第30作「花も嵐も寅次郎」


腕を組んで蛍子ちゃんと歩く寅を見て御前様は嘆く。

御前様「なああんにも反省しとらん困ったもんだ。あ〜困った〜!」

源ちゃん、定番の指差しヒヒヒ笑い。




江戸川土手でいつものように犬の散歩をさせている源ちゃんは
三郎青年と蛍子ちゃんのデートを目撃する。


江戸川土手には必ず源ちゃんがいるので気をつけるように(^^;)




        








第31作「旅と女と寅次郎」


例の「東芝ウォーキー騒動」が参道でおこっていることなど知らない寅は歌の大音量をめぐって源ちゃん
と大喧嘩!
ここまで源ちゃんが寅と喧嘩をするのは最初で最後。




       






源ちゃん、京はるみさんとちゃっかりツーショット撮影成功! ゆかりちゃん活躍
柴又参道一のミーハー&思い出作り屋。


        







第32作「口笛を吹く寅次郎」


ひょう一郎お爺さん三回忌法事で備中高梁に行く満男にお守りをあげていた。

満男「恐れ入ります」
大人(さくら)の真似
源ちゃん指差して「ヒヒヒ」




雨の柴又駅自動販売機前で、

ネクタイにスーツ腹巻の源ちゃん。

このシリーズ4回目のネクタイ&3回目のスーツ




江戸川土手で、自分が朋子さんに惚れられていることを源ちゃんにバラす寅。
しかし、いろんな事情で結婚できないと悩む寅に、

でも兄貴、が有れば何とかなるんやないか?あちょ(^^)
ん〜〜源ちゃん、ほんとその通りなんだけどねえ…(^^;)

ま、そのあと
しゃあしゃあと
朋子さんの写真を腹巻に仕舞い込もうとする源ちゃん
さすがにこれは寅にバレていた。



         







第33作「夜霧にむせぶ寅次郎」


あけみの結婚式の話題の後で、源ちゃんに

御前様「おまえにもそろそろ嫁を持たせんといかんなあ

源ちゃん水撒きホース手から落としてボーゼン(嬉しさに)


ポヨヨ〜〜ン

源ちゃんの結婚に関する話題が出るのは極めて珍しい。





トニーに
タバコとチップをもらって、
タバコを店先で吹かす源ちゃん。
源ちゃんがタバコを吸う姿は珍しい。


トニーの影響をもろ受けていた(^^;)



そんな源ちゃんをおばちゃんは叱りつける。

「知らない人にチップなんか貰って!御前様に言いつけちゃうよ!」(^^;)


              
おばちゃんムカッ(▼▼メ)
          







第34作「寅次郎真実一路」


オープニングの夢
寅の勝手な夢とはいえなんと今回は
日本国官房長官の源ちゃん!
つまり今で言えばあの安部さん。
ああ…源ちゃんが官房長官って日本国はどうなる…。



         




富永ふじ子さんの紙を持って駅まで迎えに行かされていた。
小諸の真知子さんの時もこのパターン。

このあと満男が「ねえ源ちゃん、御前様が探してたよ」

源ちゃんピュー

第9作の博、第24作のさくら、に次ぎ、遂に息子の満男も鐘撞きギャグの
変形版で源ちゃんとミニコント。これで、諏訪一家全員とミニコント

で、真面目に寺に帰ると思いきや、そこらじゅうの店にマドンナが来たことを
知らせまくっていた。このあたりから
伝達の速度が光ファィバー並みになる。



源ちゃん「ベッピンや!おい備後屋!
兄貴のコレきたで!」

備後屋「
年増か?ギャルか?」おまえらっていったい…(^^;)

源ちゃん「とにかくベッピンや!」

源ちゃん、他の店でも「
兄貴のコレやでえェ!」



          







手鏡で髪の毛を気にする源ちゃん。


もうすっかり定番となった御前様とのミニコント

コレ!己の姿を醜いと思わんのか!


源ちゃんいつものように指差してヒヒヒ笑い



         








あれれ〜またもや時間が来てしまった!そのIくらいまでいきそうだなあ…。


また明日。(^^;)ゞ



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204


                          
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さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのE   6月13日「寅次郎な日々」その204


このシリーズのレギュラー人の中で源ちゃん(源吉)ほど、イメージが変わっていったキャラクターはいない。
特に、初期とそれ以降は別人かと思えるほど変わっていった。

今回は、このシリーズで最もユニークで、最も無垢で、そして最も正体不明な源ちゃんのその変貌ぶりや
それぞれの作品の印象深いエピソードをちょろちょろっと何回かに分けて紹介していこう。


今日はそのE回目




第22作作「噂の寅次郎」

ますます源ちゃんは御前様の言いつけにそむいて、
好奇心のまま動くようになって来た。
「源〜源〜!」と呼ぶ御前様の声が空しく境内にこだましていた(^^;)
ちなみに源ちゃんのとんずら理由は早苗さんがとらやに来たから。好きだねえ〜。

もちろん早苗さんが呼んだ救急車にもいち早く反応していた。相変わらず参道一の野次馬根性だった。



           







第23作「翔んでる寅次郎」

この作品でも寅の『ショッピング』につきあったあげく寺の鐘撞きをさぼり、遂に堪忍袋の緒が切れた御前様に、
鐘の中に入れられ…、ゴ〜〜〜ン!!!
うわああああああ!! 

ああ…(TT)


御前様の怖さをしみじみ実感させてくれた作品だった。こわ…。



           




そのあとの、ひとみさんの結婚式でなぜか呼ばれて源ちゃんも出席していた。呼ばれた理由は不明。
数あわせか??このシリーズ
3回目のネクタイ姿。まあもっとも寅が仲人なので、なんでもありという
感はあった(^^;)



          







第24作「寅次郎春の夢」

マイケルのパントマイムをひたすら笑いながら真似する源ちゃんの独壇場。
「間」が絶妙で、このシーンは何度見ても笑ってしまう。上手い!


『シャワー』(^^;)


『スリープ』(^^;)



まあ、それにしても、御前様もそうとうのコメディアンだということがこのシーンで
はっきり分かった(^^)



          




その後、
完全武装でマイケルに対してケンかを売っている寅に従っていた。
源ちゃんの
手ぬぐいとヘルメット、軍手、こん棒姿はあまりにもインパクト大(^^;)
もうそれだけで完結していました。

さくらに「
源ちゃん、鐘撞く時間でしょ!」って言われて大慌て。
ちなみに第9作ではこの『鐘撞き忘れコント』を博としていた。



             
源ちゃん、鐘撞く時間でしょ
          








第25作「寅次郎ハイビスカスの花」



沖縄での寅とリリーの同棲を疑う御前様。


御前様「同棲はいかん!いかん!!」

源ちゃん、とりあえず寅の身代わり反省

へい…


最高の演出でした(^^)



            
     へい…
         




江戸川土手で
子供たちと虫取りをする源ちゃん

源ちゃんに手を振るリリー


第15作の最初の方でもリリーは源ちゃんに挨拶。リリーは常に源ちゃんに焦点が合っている。
そこがリリーの凄いところ。

こういうシーンがあることがこのシリーズの懐の深さ。



         






第26作「かもめ歌」

さくらたちの引っ越し祝いのために、なんと源ちゃんに
2万円を借りる寅。
お札をちゃっかり財布に溜めこんでいるのを見られたのが運のつき…(TT)
寅はたぶん返さないと思うよ…。

でも、一応ハガキを出してもう少し待ってくれ、と書いてよこすのが寅の少しまっとうなところ。


ま、ということで、結構お金を貯めこむことを知っている源ちゃんでした。



         









第27作「浪花の恋の寅次郎」


第17作の夢と双璧の
おとろしい源ちゃんが見れる。
これもまた良い子のみんなは見ないように(^^;)


源ちゃん亀 「
おまえの代わりにおじんなってしもたんや…」ああ。。。悲劇(TT)



          



また、この作品では源ちゃんは
久しぶりに人助けに走る。行方不明の社長を探すのだ。
源ちゃん。源ちゃん夜にに矢切の渡しを乗ろうとしていた。ありえねえ〜。誰もいないって(^^;)。


後半は、手ぬぐいを顔に被り、『
エレファントマン!』と言って、
参道の人々に笑いを提供していた(^^;)


さくらとのミニコント

源ちゃん、大阪弁で「なんぼですか?」

さくらたち、源ちゃんの大阪弁の話題をし、

さくら「
へ、おおきに


このやり取りがいいんだよなあ〜〜〜。



               
へ、おおきに
         




それと、この第27作では
知られざる源ちゃんの過去を垣間見れるシーンがある。



寅「源公」

源ちゃん「へえ」

寅「おまえ、大阪生まれだったな」

源ちゃん「へえ」

寅「お袋の顔覚えてんのか?」

源ちゃん「
覚えてへん。おかんワイのこと産んですぐ男と逃げたさかい

寅「そうか…、悲しいこと思い出させちゃって悪かったなあ…」

ちょっと悔しそうな顔をして「クソッ…」とつぶやく源ちゃんは印象的だった。

ま、そのあとお馴染みのズッコケギャグが待ち構えているのは言うまでもない。
山田監督はただでは絶対済ませないのだ。


このように、源ちゃんも、寅と同じような悲しい身の上があることがこの第27作で分かる。そのあと
どのように柴又まで流れついて来たのかは誰も知らない。そんな身の上でもちゃんと優しさを
いっぱい残している源ちゃん。今までに知り合った人々が源ちゃんの心を育ててきたんだねえ。
そういう意味でもやっぱり御前様の力は大きいと思う。




          




今日は超多忙で更新が半日も遅れました。

ふ〜〜、また明日。いやはや進まんなあァ…(^^;)ゞ




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203


                          
『寅次郎な日々』バックナンバー






さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのD   6月12日「寅次郎な日々」その203


このシリーズのレギュラー人の中で源ちゃん(源吉)ほど、イメージが変わっていったキャラクターはいない。
特に、初期とそれ以降は別人かと思えるほど変わっていった。

今回は、このシリーズで最もユニークで、最も無垢で、そして最も正体不明な源ちゃんのその変貌ぶりや
それぞれの作品の印象深いエピソードをちょろちょろっと何回かに分けて紹介していこう。


今日はその5回目



そして名作第15作「寅次郎相合い傘」

夢のシーンでも海賊の子分となって、なかなかカッコイイ。

オープニングの歌のシーンで、風がさわやかに吹く午後、掃除をサボって題経寺のベンチで昼寝する源ちゃんが映るが、
私はあのシーンが好きで好きでたまらない。なんて幸せそうに居眠りをしているのだろうか。
なにも語らないし、なにも動かないで、私を最高にリラックスさせてくれる
演出!
そしてなによりも源ちゃんのあの柔らかなオーラ。
あの短い一瞬のシーンだけ見てもこの第15作は
ただものじゃないことが分かる。
いい作品には穴がないということをしみじみ源ちゃんの寝顔を見ながら感じ入ったことを覚えている。

風景といい、さくらといい、源ちゃんといい、私は第15作オープニングの歌のシーンはこのシリーズの宝物だと思っている。




              




この作品でも相変わらず寅の言うことをよく聞く。メロン騒動の後、題経寺の鐘撞き堂に隠れる寅にラーメンを運び、
シューマイを追加注文され、文句を言われ、それでも素直に言うことを聞く源ちゃんがいた。ほんと寅によく従う(^^;)ゞ

腕を組んで歩くリリーに寅が源ちゃんのことを紹介する時に『サルの惑星』と言っていたのは大笑い(^^)

その直後、「昼日中から女人と腕を組んで歩くとは困ったもんだ」の時の源ちゃんの、御前様を指差しながらのパントマイム
は絶妙!
源ちゃんのクスクス指差し、それを見たさくらの静かなリアクションと御前様のきつ〜い
リアクション。この3人のすばらしいハーモニー
が、なんともいえないおかしみを醸し出していた(^^;)




             








第16作「葛飾立志篇」ではなんとサングラスをかけてとらやに団子を取りに来るちょっとしたミニコントをしていた。
これは寅の『メガネ騒動』にからめたもの。学問の雰囲気だけ味わうためにとりあえずメガネをかける寅に
例のイヒヒ笑いを投げかけ、思いっきり蹴られていたのも印象深い(^^;)




            




メガネでもうひとつ。この第16作には啖呵バイの名作と言われる『苦学生バイ』(^^;)が出てくるが、
その時源ちゃんがいつものようにサクラを演じ、
ガクランとメガネをかけていた。ああいうのどこから
借りてくるんだ?

源ちゃん「東大法学部です」

寅「法学部、じゃあ同志だ!」

チャンチャン。





            




まあ、学問などに一見縁のない源ちゃんだが、題経寺の山門で、ひとり『般若心経』を、本を見ながら読誦していた
感心な面もあったなあ…。このことはまたその時に。








第17作「夕焼け小焼け」では遂に源ちゃんは
究極のナンセンスギャグを演出される。そう、今も賛否両論の
オープニングの夢で、ジョーズに胴体を食いちぎられたあの源ちゃんだ。山田監督が
ギッリギリの笑い
追求した危ない夢だった。良い子のみなさまはこのシーンはなるべく見ないように(^^;)




           




この作品では本編でも文字通り源ちゃんは体を張ったギャグを連発。寅のために引いてきたおみくじを
髪の毛にくくりつけられるわ、御前様に水をかけられるわ、最初から最後まで
大変な活躍(^^;)だった。




           




以前このコラムでも紹介した水を思いっきりかけられる
決定的瞬間を再度貼り付けます。
蛾次郎さんの見事な気迫をご堪能ください(^^;)




          







第18作「寅次郎純情詩集」では、源ちゃんは寅の右腕となって、綾さんの心をほぐすために
大活躍する。
柳生家の庭掃除&どぶ掃除はするし、水元公園へピクニックに行く時、ミニテーブル、折りたたみイス、水筒、
湯のみ茶碗、急須、ござ、毛布、そしてなぜか電気ストーブまで担いで重労働を引き受けていた。
それを嫌な顔一つせず
ニコニコ笑って動き回るのが源ちゃんなのだ。なかなかできることではない(^^;)
全シリーズの中でこの時の源ちゃんは最も人に役立っていた。

そして綾さんは源ちゃんによってどれだけ救われたか…、寅の綾さんへの献身の陰に源ちゃんの
並々ならぬ努力があったことを忘れてはならないのだ。御前様の厳しい捜査の目を盗みながらの
活躍はすばしっこい源ちゃんならではのものだった。


マネーゲームで金儲けばかりしている巷の人々よりも、
よっぽど源ちゃんは人の幸せに貢献しているのだ。


浦辺粂子さん扮する「ばあやさん」に「ほんとに可愛い子だね」と言われていた。
あのばあやさんはこのシリーズで源ちゃんを心から褒めてくれた数少ない人だ。




もちろん、このシリーズを通してひたすら続く、
普段の鐘撞きも柴又町民にどれだけこころの平安を
与えているか…源ちゃん毎日ありがとう( ̄ー ̄)




          








第19作「寅次郎と殿様」でも、『鞠子さん探し』をする寅に付き合いながら柴又参道を尋ねまわっていた。
まあ、もっとも源ちゃんはいつものように水色や紫のアイスキャンディをほおばりながらただ、寅の
後ろをうろうろしてただけ(^^;)それも参道だけ。二人とも恐ろしく
不精で考えが浅はかなことが
露出した騒動だった。


殿様をなぜか
リヤカーに乗せて「下にぃ〜下にぃ〜」とらやまで送迎していたが、まあ、あれはあれで
それなりに役立っていた。かな…。




            








第20作「寅次郎頑張れ!」では紐につながれた
猿のまねをする源ちゃん。さくらに見つかっても、まだマネをし続ける。
あ〜ここまでする源ちゃん&これをさせる山田監督っていったい…(TT)


             
     蛾次郎さん…(TT)
            



そして、なんとこの第20作では、このシリーズの中で唯一
源ちゃんの恋人!を見ることが出来る
とにかく
腕を組んで派手な格好をして二人して柴又参道を闊歩していたので、ガールフレンドの域を超えていると
思われる(^^;)御前様が見たら、第15作の寅の時同様「昼の日中から女人と…」ということになる。
この作品以降この彼女は一切出てこないので、このあと源ちゃんはふられてしまったのかも知れない(TT)
このときの源ちゃんは
スーツを着て、ネクタイをしていた。ついさっきまで、紐につながれて猿のまねしていた人とは
とうてい思えません(^^;)




           




そういえば、第10作「寅次郎夢枕」のラストでも源ちゃんは正月に、夏物のピンクのカーディガンを
着てネクタイを締めてとらやにお年始の挨拶に来ていたっけ。みんな大爆笑(^^)↓



           








第21作「寅次郎わが道をゆく」

宇宙の果て第3惑星よりやって来た『猿の惑星』の方々。その中に源ちゃんも。源ちゃんだけマスクを
被っていない!素顔でOKってか。う〜ん!山田監督前作に次いで源ちゃんに対してしつこいくらいの
これでもかの
猿ギャグ。結局源ちゃん柴又消防団に捕獲されてました(TT)




             



奈々子にサインをねだる源ちゃん。第31作でも京はるみにもサインをねだっていた。
かなりのミーハー
だということがこれで分かる。奈々子が
ボインだと強調していたので、やはり源ちゃんはスケベ(^^)


  



おっと〜、またもや時間が来てしまった!そのGくらいまでいきそうだなあ…。




この続きはまた明日。





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202


                          
『寅次郎な日々』バックナンバー






さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのC   6月11日「寅次郎な日々」その202


このシリーズのレギュラー人の中で源ちゃん(源吉)ほど、イメージが変わっていったキャラクターはいない。
特に、初期とそれ以降は別人かと思えるほど変わっていった。

今回は、このシリーズで最もユニークで、最も無垢で、そして最も正体不明な源ちゃんのその変貌ぶりや
それぞれの作品の印象深いエピソードをちょろちょろっと何回かに分けて紹介していこう。




今日はその4回目

第10作から8作品は作品自体がこのシリーズ高揚期にさしかかるが、それに比例し源ちゃんの存在感もピークを迎える。



★第10作「男はつらいよ夢枕」
この作品あたりから次第に笑いの場面には欠かせない重要なキャラになっていく、それと反比例して
キャラの中に『
不思議さ、不可思議さ』を出すためかセリフは逆に減っていく。つまりパントマイムで表現
する事が増えていくのだ。

岡倉先生がお千代さんに惚れていることが分かった後の寅とのパントマイムなどは第9作以上に冴え渡っていた。



             



また源ちゃんはますます寅にべったりかというと「トラのバカ」と落書きをしたり、寅が泣いている絵の紙を鐘に貼り
ながら憎憎しく鐘を撞く源ちゃん。一方寅は逆に源ちゃんが祈りを込めて撞いていると思っているのが面白い。
あの紙は寅が、あっと言う間に勝手に『改悛した』ことへの源ちゃんなりのメッセージなのかもしれない。
このように『
悪戯心』もこの頃からしっかり芽生えている。





★第11作「寅次郎忘れな草」でも第10作同様とにかく食べ物を食べている。
このころの源ちゃんは『
とにかく食べ物を食べるシーンが多い』。これも源ちゃんの特徴。
だんごはしょっちゅう食べるし、アイスキャンデーもいたるところでほおばっている。 


工場の水原君とめぐみちゃんをアイスキャンデーをほおばりながら
ボーっと羨ましがる源ちゃん。
ああいう姿も実に味があって好きだ。あの場面を見ても分かるように、源ちゃんの肩の力は
もうすっかり抜けて
柔らかいオーラに包まれている。このあたりから『無垢』なイメージが強くなり、
童心』が宿っていく。第1作の源ちゃんとなんとまあ違うことだろうか。先祖がえりしているみたいだ(^^;)



            




かと思うと、寅が渡した封筒を川に落としてしまっても知らん顔をする源ちゃん。
ああいう『
ちょっと平気でごまかしをする性格』も彼ならではのもの。
源ちゃんはなかなか
一筋縄ではいかないのだ。





★第12作「私の寅さん」では、淋しくとらやで留守番をする寅と一緒にいてやったり、さくらたちが帰る時間に合わせて
風呂の湯を沸かすなど、初期の頃に見られた
勤勉さも相変わらず持っていることが分かる。とにかく源ちゃんは
寅が右向けと言えば右を向くとても『
素直』な場面も持ち合わせているのだ。

柳文彦に寅がけんかを吹っかけた時などは『兄貴、やめとけ』と止めにはいるシーンがあるが、結構『
争い事は嫌い』な
気質なのだろう。寅に殴られてもやり返したことは滅多にない。一度後期の作品で大喧嘩していたが、そのことは
またその時に。





13作「寅次郎恋やつれ」では、寅のカバンの開け閉めで見事な一瞬のコントを渥美さんと繰り広げる。渥美さんの動きは、
さすがにスピーディで惚れ惚れするが、源ちゃんの受けの演技も、実に軽妙でいい。蛾次郎さんもう完全に才能が開花したって
感じだった。




              



そしてこの作品では第6作でも見られる源ちゃんの重要な特徴である『
噂流し』が絹代さんとの結婚話で垣間見れる。
さくらもすぐ源ちゃんだと分かって「あ、源ちゃん!あちこちで言いふらさないでちょうだい!」って笑いながら言っていた(^^)
源ちゃんは例の
イヒヒ笑いしながらピューっと逃げていく。
う〜ん、このパターン、いいなあァ。
さくらはなんだかんだ言っても寅や御前様以外では源ちゃんをきちんとかまってくれる数少ない堅気なのだ。私はこのシリーズ
でさくらと源ちゃんが会話しているシーンは全て好きだ。




                 
   ♪〜〜
              



もちろん源ちゃんは、噂を流すだけではない、きちんと結婚の前祝にと、『
夫婦茶碗』をはやくも寅にプレゼントしていた。
いろんな意味で行動が『
すばしっこい』源ちゃんなのだ。

満男と野球をする源ちゃんが見れるのもこの第13作だ。





★第14作「寅次郎子守唄」では、源ちゃんの『
優しさ』があのねんねこばんてんの子守姿に滲み出ていた。 
もっともおしっこ洩らされていたのはさすがに可哀想だったが(TT)、寅も洩らされていたのでまあいいでしょう(^^)




              





そしてこの第14作にいたっては遂に源ちゃんは、
自分の本名を忘れるのである。すばらしいキャラ(^^)
いい意味での
『気』が違うのだ。蛾次郎さんのみごとな柔らかい演技だった。あのあたりの間はもう誰も真似が
できない。寅のフォローも最高だ。寅「
え?名前なんかないよ、源ちゃんだよこいつは
源ちゃんも笑っているだけ。いいなあ。

そしてこの『
柔らかさ』は寅でさえ持ち得ない無垢な心と繋がっている。




             




あれ〜、時間が来ました。また明日。


いやはや、なかなか進まないなあ〜とほほ(^^;)ゞ




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さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのB   6月10日「寅次郎な日々」その201



このシリーズのレギュラー人の中で源ちゃん(源吉)ほど、イメージが変わっていったキャラクターはいない。
特に、初期とそれ以降は別人かと思えるほど変わっていった。

今回は、このシリーズで最もユニークで、最も無垢で、そして最も正体不明な源ちゃんのその変貌ぶりや
それぞれの作品の印象深いエピソードをちょろちょろっと何回かに分けて紹介していこう。




今日はその3回目


★第5作「男はつらいよ望郷篇」

源ちゃんはなんと題経寺の寺男を首になって浦安でテキヤをしている。
ついに大きくキャラが変わったのだ!
寅の格好を明らかに意識した
ダボシャツ、腹巻、仕事はテキヤ

ようやく全セリフ『大阪弁』のみ。 腹巻はまだ紫ではなく黒で、チョビ髭も無し。髪の毛も前作との間隔が
短いこともあってまだ短め。いつものカッコウにまではいたっていない。しかし、十分にその萌芽を
この作品からは感じ取れる。




       



★第6作「純情篇」

大阪弁が定着しているのだが、今回は青いはっぴではなく白黒の寺男の格好。
この格好も後に時々しているので、徐々にとらやからは引き離されて、いよいよ
題経寺専属
なりつつある。ギャグの要素は少なく、黎明期の域は脱していない。



       



★第7作「奮闘篇」

また題経寺のあの
青いハッピで山門で掃除をしているシーンから始まる。
だんだん雰囲気が後の定番に近づいてくる。髪型がまだこじんまりはしているものの、
ちょっとした寅との掛け合いが上手くなってくる。




       




★第9作「柴又慕情」

この作品で、遂に完全にスタイルが完成したといっていい。
第8作のクランクインの時に自動車事故で緊急入院。やむなく出演をキャンセルせざるを
得なかった蛾次郎さんは、大きな心境の変化があったのか、明らかにこの第9作から、
彼のオーラが違っている。もちろん監督の演出も変わったのだが、蛾次郎さん自身も
個人的に変わったのが分かる。

ようやく
ちょび髭、もじゃもじゃ頭、お馴染みのヒヒヒ笑いがこの作品から始まる。
歌子ちゃんと寅との夜の題経寺境内シーンでは紫の腹巻を巻いていた。 
廊下をスリッパすべりして怒られたり、寅に思いっきり頭はたかれたり、もう、あのお馴染み
源ちゃんが完全に誕生したといっていい。




          



とらとのミニコント、パントマイムもかなり冴え渡り、ひとつの蛾次郎ワールドができている。

博「君、そろそろ鐘を撞く時間だぞ」
源ちゃん「はっ!」とあわてふためく。

という、名作
コントも、この作品から生まれた。
こういうレギュラー人とのコントもこの作品以降はどんどん増えていく。


こうして第9作「柴又慕情」から見た目も心も源ちゃんが源ちゃんとなり、物語全体の設定の不具合や
曖昧なところもこの頃からようやく無くなってく。


なによりも第9作の予告編に『源公 佐藤蛾次郎』とクレジット出て、蛾次郎さんが寅の格好をして
歩いているではないか!このことからも、この作品から蛾次郎さんの存在感は激増したと言えるだろう。
あの歌子ちゃんと寅と源ちゃんの3人で戯れる江戸川土手のシーンはこのシリーズの名シーン
のひとつでもある。



        





この直前の自動車事故の大怪我が蛾次郎さんに何かを与えたのかもしれない。



        



ともあれ、あのいつもの源ちゃんは
こうしてこの第9作「柴又慕情」から
誕生したのである。




この続きはまた明日。


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200


                          
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さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 そのA   6月9日「寅次郎な日々」その200



このシリーズのレギュラー人の中で源ちゃん(源吉)ほど、イメージが変わっていったキャラクターはいない。
特に、初期とそれ以降は別人かと思えるほど変わっていった。

今回は、このシリーズで最もユニークで、最も無垢で、そして最も正体不明な源ちゃんのその変貌ぶりや
それぞれの作品の印象深いエピソードをちょろちょろっと何回かに分けて紹介していこう。


今日はその2回目



★第2作「続.男はつらいよ」第3作「フーテンの寅」第4作「新男はつらいよ」


第2作の源ちゃんは第1作とは打って変わって、寅にべったりくっついている。
この作品から彼が『源ちゃん』という名前だと分かる。寅がいろいろいざこざを起こしてしまって、
京都に逃げていく時も、なんとカバンを持ってやって一緒について行く。第1作であんなに冷ややかに
離れたところから見ていた寅に、今度はコバンザメのようにくっつき始めるのだ。なぜそうなったのかは
説明されていないところがとほほだが、まあ、どこかで生い立ちや気質、考え方が似ているのを察知して
好きになったのだろう。(ということにしておこう)そのせいか、舎弟の『登』は第1作ほどには多くは出てこない。
源ちゃんのほうが寅との密着度が強い作品である。

まあ、初期の7作品ほどは、急ごしらえのせいか、ちょっとした設定や細部の編集に不具合や未整理の
部分がしばしば見られることは皆さんご承知の通りである。

また、仕事としても第1作の寺男としては一切出てこず、とらやを手伝う真面目な店員の役割を
担っていた。
この第2作では時には東京弁、時には大阪弁とコロコロと言葉が変わっていた。



              




夏子さんの家では寅に追い出されて泣いてしまったり、うなぎが釣れて寅や夏子さんと一緒に
大騒ぎする。このようにある意味スクリーンで大活躍だったのがこの第2作だ。

また
生まれ年が昭和25年だと分かるのもこの第2作だ。なにもかも不明の源ちゃんの中で貴重なデータ-
である。
寅は昭和15年となっているので、源ちゃんとはちょうど10歳違い。
夏子さんの物まねをする『源ちゃんのアリア』もチラッと見せてくれるのがこの第2作。おそらく全48作品の中で
この第2作はもっとも登場シーンとセリフが多いのではないだろうか。



              




第3作「フーテンの寅」では、また完全な東京弁に戻って、第2作以上に
、ますますとらやの正式な店員
して働いていた。大晦日の稼ぎ時のとらやでも実に真面目に働いていた。どちらかというと、寅とは違って、
もうかなり「堅気」になってしまっている。ある意味、第1作以上に堅気になっているとも言えるかも知れない。



第4作「新男はつらいよ」では『兄貴』という言葉を連発。完全に喜んで舎弟という感じだが、
言葉は未だ完全な東京弁。この時は
第1作同様、題経寺のはっぴにジャイアンツの野球帽
被っていた。つまり仕事も第1作同様またまたとらやからま題経寺の寺男へ戻っていた。いったいどっちの
仕事が本業なんだろう?
ジャイアンツファンだということはいやというほど分かったが…(▼▼メ)




              





この第2作、第3作、第4作は源ちゃんが寅と急接近し、かつとても真面目にとらやや題経寺で働き、
出演の時間もかなり長い。ある意味源ちゃんの
まっとうな社会人としての輝かしい時期である。
中期の、怠け者、やんちゃ、おとぼけ、不可思議、無垢、という要素はまだまだほど遠い。
そしてあの蛾次郎さん特有の味のある大阪弁もほとんど出てこない。


ようやく源ちゃんが源ちゃんの雰囲気を醸し出し始めるのはこの後の第5作「望郷篇」からである。




この続きはまた明日。


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199


                          
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さまざまな源ちゃん。その変貌を辿る旅 その@    6月8日「寅次郎な日々」その199



このシリーズのレギュラー人の中で源ちゃん(源吉)ほど、イメージが変わっていったキャラクターはいない。
特に、初期とそれ以降は別人かと思えるほど変わっていった。


源ちゃんはこのシリーズで47作品に出演している。

第8作「寅次郎恋歌」は、佐藤蛾次郎さんは自動車事故のため入院し、急遽出演を取り消している。
あの事故がなければタコ社長同様、とらやの面々意外では皆勤賞だったのだ。惜しい…。
今回は、このシリーズで最もユニークで、最も無垢で、そして最も正体不明な源ちゃんのその変貌ぶりや
それぞれの作品の印象深いエピソードをちょろちょろっと何回かに分けて紹介していこう。




★第1作「男はつらいよ」

第1作の源ちゃんはこのシリーズのどの源ちゃんとも似通っていない。この第1作が最初で最後の
キャラクターである。一言で言えば「寅とは縁の遠い、ごく真面目で勤勉な青年」である。
本当に年齢的にも『青年』そのものだったのだ。

第1作の最初の5分で源ちゃんはもうスクリーンに登場する。この作品では源ちゃんは白いジャイアンツの
野球帽を被り、題経寺の羽織を着ていた。つまり、題経寺のお手伝いさんもしくは寺男として
すでに御前様に雇われている。

寅は20年ぶりに柴又へ帰って来たばかりなので、源ちゃんは寅のことを、やや離れたところから
どちらかというと冷ややかに見ている。寺の仕事も結構真面目にこなしていたようである。

当時、まだ独身で病気療養していた冬子さんに、ある種の憧れの気持ちを抱いていると思われる
源ちゃんは、寅が冬子さんにべたべたくっついていることが不快そうだったし、冬子さんが寅と平気で
遊んでいるのも源ちゃんにとっては不可解な出来事だったようだ。




            



この作品では、このような、ある種の『嫉妬』の感情を寅に対して見せた最初で最後の源ちゃんが
演出されていた。
寅と冬子さんの舟遊びを盗み見ている源ちゃんの姿などは青春期の繊細で複雑な青年の姿
そのものだった。こんな源ちゃんは後にも先にもこのとき限りだ。





            




つまり、この作品の源ちゃんは寅の舎弟の意識からは程遠い感情を持っていたということだ。
名前も誰も呼ばないので、誰なのかさえわからないままだ。

寅たちを観察するその様子も、かなり一般的な青年としての行動パターンそのもので、中期以降の
あのとぼけたというか間の抜けた源ちゃんはどこにもいない。

寅が冬子さんにふられた時も、嬉しそうに
「♪殺したいほ〜ど〜、惚れてはみ〜た〜が〜」とその失恋を冷ややかに喜んでいた。



             




また、この時の源ちゃんは完全な「東京弁」で、大阪からやって来た設定にさえなっていない。
ラストシーンでもジャイアンツの野球帽を被っていたのでかなりの巨人ファンだと判る。この帽子は
第2作まで続く。

寅自身も源ちゃんのことは、ほとんど眼中にないようだった。だからもちろんさくらたちの結婚式にも
参加はしていない。第2作以降源ちゃんはとらやとの結びつきがあんなに強くなるのに、この作品では
全くとらやとは関係ないようだった。

その理由の一つとして、中期以降の源ちゃんの役目をこの第1作では舎弟の登が全面的に引き受けていた
ことが上げられるだろう。

しかし、この源ちゃんのキャラクターや寅との関係は第2作からはやくも大きく変化を見せる。




この続きはまた明日。


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仏教の王道を行く御前様     6月7日「寅次郎な日々」その198



御前様は、柴又経栄山題経寺(帝釈天)住職の日奏上人である。

帝釈天(経栄山題経寺きょうえいざんだいきょうじ)は、開創は今から三百年程前、
江戸寛永年間であって、ここには昔から日蓮聖人の親刻になる
帝釈天の板本尊
あると伝えられていたが、一時所在不明となっていた。しかし今から二百年前の
本堂修理の際、板本尊が発見された。安永八年の春、
庚申の日であったという。

このように日蓮聖人の板本尊があるほどの完全な日蓮宗のお寺。

当然、唱えるのは、いわゆる『お題目』の『南無妙法蓮華経』これは当たり前。
お経も『法華経』 これも当たり前。

最後の出演になった第45作「寅次郎の青春」でも
源ちゃんのことを「私はいつかこの男に殺されるでしょう…南無妙法蓮華経…」

あの時のさくらの表情はよかった〜(^^)




          




しかし、御前様はお釈迦様の教えの王道を歩く方なので、宗派にこだわらず、
お釈迦様のあらゆる教えを大きくまとめて、人々に説かれる。


それゆえ、法事やお盆の時なども法華経の経文だけを読誦するだけではない。




たとえば第11作「寅次郎忘れな草」では、このようなお経を唱えている。


仏説摩訶般若波羅蜜多心経

観自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空。
 
度一切苦厄。舎利子。色不異空。空不異色。色即是空。
 
空即是色。受想行識亦復如是。舎利子。是諸法空相。
 
不生不滅。不垢不浄。不増不減。是故空中。
 
無色 無受想行識。無眼耳鼻舌身意。…


これは仏説摩訶般若波羅蜜多心経、いわゆる般若心経である。般若心経は主に法相宗、天台宗、真言宗、
臨済宗、曹洞宗などで読まれるお経だ。

たいていの宗派でこのお経はよく読誦されるが、こと日蓮宗では法華経を読誦し般若心経も含めて他の宗派の
唱えているお経は基本的には一切読誦しない。しかし、御前様はそういう枠にこだわらず、法華経を中心に据え
ながらも、よいと思われるものはなんでも取りれるのが凄いところ。



また、第25作「寅次郎ハイビスカスの花」では下のようなお経を唱えている。



「善導独明仏正意  ぜんどうどくみょうぶつしょうい
 矜哀定散与逆悪 こうあいじょうさん よぎゃくあく
 光明名号顕因縁  こうみょうみょうごうけんいんねん
 開入本願大智海 かいにゅうほんがんだいちかい
       ……


御前様がこの時読誦されるお経はなんと浄土真宗のスタンダード「正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)」だ。

これも日蓮宗ではまずないこと。




            




それ以外でも、御前様は他の作品で何度か『南無阿弥陀仏』と唱えたりもしている。


それぞれの宗派の方々には、それぞれに強い思いがあるだろうが、結局はお釈迦様の教えを
説くという意味では同じである。さすが御前様、基本は法華経だとしても、すべてのしがらみや宗派間の
軋轢と混迷を越えて、お釈迦様の教えの王道を涼しげにゆったり進んでおられるのかもしれない。




また明日。






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197


                          
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寅次郎相合い傘と『小樽のひとよ』    6月6日「寅次郎な日々」その197



さきほど、NHKで鶴岡雅義と東京ロマンチカが「小樽のひとよ」を歌っていた。
皆さんすでにお年をめされていたが、どえらく懐かしかった。私の親は東京ロマンチカの
大ファンなので、当時小学生だった私も親に連れられてコンサートを聴きに行った覚えがある。
小学生が一番前の席!で聴いているのはなんとも場違いな気がし、かなり恥ずかしかったが、
この「小樽のひとよ」のイントロのギターの音色は今でも心に深く残っている。

そして今日「小樽のひとよ」を何十年ぶりかで生放送で聴いた。三条正人さんのファルセットと、
鶴岡雅義さんが弾く通常のギターより5度高く調弦されたレキント・ギターの澄んだ音色が
やはり時代を遥かに超えて今でも私の胸に感動をおこさせるなんとも素敵な曲だった。
これぞ昭和の名曲。幼いながらも、この曲の時代「昭和」を生きたことに幸せを感じている。


私はこの歌を聴くと、なぜか「寅次郎相合い傘」を思い出す。


小樽…ここが小樽か…

パパこと兵頭謙次郎が学生時代に知り合った初恋の人信子さんは小樽の人。
30年間彼が夢に見た町「小樽」、「僕が生涯で一番愛した人が住んでいる」と奥さんがいるにも
かかわらず言い切るパパ。寅は笑ってからかうが、パパのそういう心を一番理解できるのも
やはり寅なのだ。




               




しかしパパが彼女の経営する緑町の喫茶店に行ってみると、30年間夢見ていたパパのイメージとは違う
厳しい現実の中で彼女は夫亡き後、息子を育てながら一人生きていた。

自分に気づいてくれない彼女。自分の顔すら見ようとしない彼女。

いたたまれなくなり店を出て行くパパ。

しかし、カバンを忘れてしまう。
ためらいながらも、店に戻ろうとして振り向く。


信子さんは店からパパの鞄を持って出て来て、目で彼を探す。
そして、はじめてパパと目をあわせ微笑む。




               




びくっとするパパ。


信子さんに近づき、鞄を受け取りながら

「あ、どうもすいません」
と、すぐに立ち去ろうとする。



信子「謙次郎さんでしょう?」





               






哀しげな、テーマ曲が流れる。

謙次郎「ええ」

謙次郎「あのうお分かりですか?」


信子うなづいて「お店に入ってらっした時、すぐわかりました」

謙次郎「……」

信子「あなた、昔とちっともかわらないのねえ…」

謙次郎「そうですか、僕はまた、覚えてないんじゃないかと
     思って。ヘヘヘ…」

パパ、ハッとして

謙次郎「いえ、出張でこっちに来たもんですから、
    ちょっとお寄りしただけなんです」


信子、ほんの少し、うなづく。


謙次郎「あのう…お元気そうで何よりです」

信子「あの…」

謙次郎「は?」

信子「もう一度お入りになりません?」

謙次郎「い、いえ。僕、汽車の時間なんかあるもんですから」

信子「……」

謙次郎「あのう…どうぞ、お幸せに…」

信子「……」下を向いたまま小さく頷く。

謙次郎「じゃ、僕、これで、…どうも…」


足早に去っていくパパ。
パパに、もう一言何かを言おうとするが、やめ、
その後姿を追いすがるような目でいつまでも見つめている信子さん。


アコーディオンの響き




実は、信子さんは店に入ってきたパパを、彼が彼女を見つけるより早く気づいていたのだった。
30年ぶりなのに何の迷いもなく、すぐ彼だと分かる。 そして、なにも言わないで、気づかぬ
ふりをする。その後店を出て行くまで目もあわせない。

気楽に再会できない。それだけいつも彼のことが心のどこかにあったのかもしれない。
だからこそ声をかけられなかった。

その昔、心の中で彼を思っていた自分。
でも、いつの間にか変わってしまった自分。
気づかぬふりをせざるをえない自分がいる。

彼女の置かれている厳しい現実と過去の懐かしい思い出のはざ間で、料理やコーヒーを作り
ながら 心の奥底でその間迷い続けていたのだろうか…。
もしそうだとしたら、これは切ない話だ。

それでも、最後は、ほんのひと時、昔の思い出に浸りたい気持ちを微妙に隠せなかった信子さん。

会わない方がいいのは百も承知で、それでも過去の思い出に引きずられて会ってしまった
男女の悲劇。 一番大切にしていた青春の美しい思い出が崩れていった物語だった。

この名作「寅次郎相合い傘」の奥行きの深さはこの二人のささやかな再会の物語が存在している
こと
にもよるのだと今でもやはり私はそう思う。



ちなみに、 山田監督の当初の脚本では、

「あなた、ちっとも変わらないのねえ」
『信子の目に涙がにじむ』
とある。

そして別れの最後にも、

『謙次郎の後姿をボンヤリ見つめる信子の眼に新たな涙が湧いてくる』

と2度信子さんの目から涙を滲ませている。

この脚本を読んだ時私は確信した。
やはり信子さんもパパのことがその昔好きだったのだと。


実際の映画は見て分かるとおり、脚本とは若干違った演出になっている。
信子さんをあまりウエットに演出していない。心をパパに対して開放しきっていない。そのことが
かえって一人で息子を育てながら生きていく女性の真のリアリティを醸し出していた。

しかし、「寅次郎相合い傘」をアップしてからかれこれ1年が経つ今、私は、やっぱりこう思うのだ。
この山田監督脚本のとおりの演出を見たかったと。もちろん涙を流さないほうが、彼女の
人生では地に足が着いているし、思春期の息子さんも救われる。力強い未来も想像できる。

しかし、私はそれら全てを忘れて彼女の青春の輝きをもう一度垣間見たいと思ってしまうのだ。
30年前に舞い戻った彼女の澄んだ、そして涙にぬれた目を見たかった。

「小樽のひとよ」は兵頭謙次郎と信子さんの歌そのものだ。





              






小樽のひとよ

鶴岡雅義と東京ロマンチカ

1968年

池田充男 作詞
鶴岡雅義 作曲
三条正人 歌


逢いたい気持ちが ままならぬ
北国の街は つめたく遠い
粉雪まい散る 小樽の駅に
ああひとり残して 来たけれど
忘れはしない 愛する人よ


二人で歩いた 塩谷の浜辺
偲べば懐かし 古代の文字よ
悲しい別れを ふたりで泣いた
ああ白い小指の つめたさが
この手の中に いまでも残る


小樽は寒かろ 東京も
こんなにしばれる 星空だから
語り明かした 吹雪の夜を
ああ思い出してる 僕だから
かならずいくよ 待ってておくれ
待ってておくれ










また明日。




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チャンバラ大好き、常に本気の寅    6月5日「寅次郎な日々」その196



寅は子供と遊ぶのが結構好きである。

第4作「新男はつらいよ」では幼稚園の園児たちと四十年の年の差をかる〜く乗り越えて
寅は実に楽しそうにはしゃいでいた。

第8作「寅次郎恋歌」でも貴子さんの息子さんたちと本気で江戸川の土手で遊んでいた。


その中でも寅はチャンバラが好きである。かなり好きと言っていいだろう(^^;)
そして、ことチャンバラに関しては子供であろうが大人であろうが身内であろうがやたらに
切り付けたがるのだ。こわ…(^^;)

チャンバラで忘れ難いのは第3作「フーテンの寅」の歌のシーンで、バイの時、剣士の格好をして
刀を抜いて風吹く中さっそうとカッコイイ太刀さばきをみせる。
ああ、寅はこれが好きなんだなあって見てすぐ分かった。渥美さんもたぶんチャンバラは
好きなんだろう。実に生き生きしていた。




         




普通子供は誰でもチャンバラが好きなのだが、寅の場合は昔も好きだし、四十をとおに越えた
今でもかなり好きだから凄い。

第13作「寅次郎恋やつれ」では、おいちゃんとの喧嘩の際におもちゃの刀を振りかざし
「ダー!!ダアアッ!!」と、おいちゃん、博、タコ社長、を次々に切っていた。

第41作「寅次郎心の旅路」でも、バイの準備中に仲間のテキヤ相手にチャンバラの
真似をして包丁で切りつけようとするのだ。これは本物の包丁。…怖い(^^;)

だからいつも本気。

第17作「夕焼け小焼け」では江戸川河川敷で、子供のチャンバラに横から割り込み、みんなを
コテンパンに切り倒してしまい、子供が泣いてしまう。あの寅の顔は本気で闘っていたね。
それでそばにいた大人と大喧嘩。



         




それゆえ、寅には刃物や刀、長い棒を持たせるのは極めて危険なのだ。
血が騒ぐのだろう。

第19作「寅次郎と殿様」でも夢の中でさえ鞍馬天狗になって、大活躍する。


極めつけは、第15作「寅次郎相合い傘」
題経寺境内での
大捕り物チャンバラである。
ちょうど兵頭パパがメロンを持って来た時に目撃している。

源ちゃんや子供たちが逃げて、寅が追いかけ、待てええ

境内で子供たちのチャンバラの掛け声「ヤイヤイヤイヤーィ…」

源ちゃんが頬被りをして子供たちから逃げまくっている。

寅も子供たちを追いかけて相手をしている。

寅「トォオオー!曲者!待てェ〜」

と、縄を投げつけ、走っていく。
この縄の投げ方が本当に上手いんだなこれが(^^)
よく研究されている!




ちゃんハタキを相手に子供を切ろうとする。

源ちゃん「オラオラオラオラ!」

源ちゃんついに寅に切られる

源ちゃん「ウワー!」

子供たちが寅へ立ち向かう「ヤーヤーヤー!」




                        
ウワ〜〜!!
            




寅メッタ切りにする「ザバッザバッザバップシュッ!チキショウ!」

寅「ファ!デエエーィ」と見栄を切る。

第15作も第17作も絶対に自分が勝つのだ。勝たないと気がすまない、って感じ。


           
 デエェーィ!
       





第40作「寅次郎サラダ記念日」でも、真知子さんの前で真田十勇士の話を楽しそうに話す寅。
その中でも猿飛佐助が大好きだそうだ。
う〜〜ん、こう言うのっていいなあ。
やっぱり第37作のラストで有森さんが言ってたように、寅は『
ユニーク』な人だ。


ちなみに私の大好きなチャンバラは「用心棒」&「椿三十郎」だ。年に何度も見る(^^;)ゞ



また明日。







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195


                          
『寅次郎な日々』バックナンバー






アポ無しの危険を乗り越えたマドンナたち    6月4日「寅次郎な日々」その195



第13作「寅次郎恋やつれ」で、津和野での別れ際、歌子ちゃんはバスが来る直前に寅にこう聞く。

歌子「寅さん旅の途中なんでしょ?…」


歌子「これから山口へ行って…、それからどこへ?」


寅、ゆっくりと「うん、まあ、山陽路から、広島、呉、三原、尾道。」

歌子うなずく

寅、ちょっと上を見上げながら「それから、取って返して、下関、小倉、博多、唐津…」

歌子「いいわねえ…、私もそんな旅したいなあ…」

そして寅は

寅「もし何かあったら葛飾柴又のとらやに訪ねて来な、悪いようにはしないから

真剣な顔でうなずく歌子ちゃん。




そしてふらふらになって柴又とらやに戻ってくる寅。

寅「今日は何日になるんだろうなぁ…」

さくら「え?」

社長「25日だ」と腕時計を見る

さくら「25日。5月の」

寅「そうか…あれからもう
10日もたってるのか」


ということで、歌子ちゃんと別れてたったの10日目。
普通なら、寅の予定通り広島、呉、三原、尾道と旅をしているはずだ。
その後、下関、小倉、博多、唐津…、まずどう考えたって最低1ヶ月くらいは
とらやには戻ってこない。


そのことをきちんと聞いている歌子ちゃんがたった10日後に
津和野を飛び出すように出てきてアポ無しで柴又駅までやって来る。

柴又駅からようやく電話。ちょっと電話が直前過ぎて遅すぎる。

寅がいないことがうすうす分かっているはずなのに、お泊りする気で来ているのは、
以前にさくらたちとアパートで話し合ったり、お泊りしたりして気心が知れているから
だと思われるが、それにしてもやはり寅がいないとバツが悪いのではないだろうか。

まあ、リリーが第15作「寅次郎相合い傘」で、とらやでなくさくらのアパートに電話連絡し、宿泊
するシーンなどがあるので、一概に寅抜きではとらやにお世話になり辛いとも言えない。

それでもやはり寅の強烈な後押しあってのお泊りであることは確か。まあ、寅がまだ旅の
途中だと分かっていてもとらやに来てしまった歌子ちゃん。それほどにも精神的に追い込まれて
いたということなのかも
しれない。

いずれにしても、寅がいてよかったね歌子ちゃん。

あと1日早めに来ていたら寅はいなかったよ。 でも次の日に帰ってくるけどね(^^)




             




だいたい、このシリーズのマドンナは、あまりにもアポ無しでとらやに来すぎ。

リリーはもちろんのこと、今更新しているふみさんもアポ無しで来るし、ぼたんも、鞠子さんも、
かがりさんも、蛍子ちゃん、京はるみさんも、朋子さんも、式根の真知子さんも、りん子さんも、隆子さんも、
泉ちゃんのママも、葉子さんも、典子さんも、泉ちゃんなどなど、み〜〜〜んな事前電話無し。
泉ちゃんの件では、満男の友人のよっちんとオカベがどれだけ…(TT)
また、ひとみちゃんなどは泣きながらウエディングドレスのまま!飛び込んできた。寅は今帰って来たばかり!
もし寅がいなかったらどうしたんだろう。
ぞわ〜〜。

ひとみ「もしいなかったらどうしょうかと思っちゃった!」そらそうだ(^^;)




             



この中で、運悪く全く寅に会えなかったマドンナもいる。(っていうか普通は会えないのはあたり前!)
隆子さん、葉子さん、典子さんなどである。寅が出て行くぎりぎりで間に合ったのは、
歌子ちゃん、リリー、鞠子さん、かがりさん、式根の真知子さん、泉ちゃんのママなどなど。
特にかがりさんは、ひとみちゃん同様寅がもしとらやにいなかったら…(TT)


もちろん、きちんと前もってだいたいの約束(口もしくは電話)してからとらやに来たマドンナも何人もいる。

何度も電話し、寅がとらやに帰って来るまで違う場所で待ち続けた美保ちゃん。
一応口約束した奈々子、光枝さん、若菜さん 電話で約束した小諸の真知子さん、ふじ子さん
などなどである。

もっともみんなアポ無しで来るからこそ、寅が出て行く直前や帰って来た直後にいきなり出会えて
ドラマが活気づくのである。だからここの部分をほじくり返すのは、演出側スタッフに言わせれば、
『それを言っちゃあ〜おしめえよ』の世界なのだ。 遊びですからお許しを(^^;)




また明日。





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194


                          
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ひとみさんの幸せ     6月3日「寅次郎な日々」その194


第23作「翔んでる寅次郎」でひとみさんは、親の敷いたレールを無理やり歩むことに疑問を感じ、
結婚式を突然抜け出し、自分の人生を遅ればせながら自分自身で模索しはじめるのである。




ひとみ「ママ、今幸せ?」

ママ「何言い出すの?急に。 まあ…幸せでしょうね…。」


ひとみ「
それじゃ、あれだわ…、
    あなたが考えている幸せとは
違う幸せが欲しいの


ママ「……」


このひとみさんの言葉の持っている意味は深い。




寅は第25作「寅次郎ハイビスカスの花」の柴又駅で、最愛の人リリーと別れる時「幸せになれよ」って
言う。いろんなマドンナとの別れの際にこの言葉を言うのだが、この第25作の言葉ほど胸に
沁みこむものはなかった。

そして、第27作「浪花の恋の寅次郎」の中、生駒山「宝山寺」で寅が書いた絵馬には
『さくらたち一家が幸せになりますように』と書かれてあった。
ふみさんの絵馬にも「弟が幸せになりますように」と…。

人はそれぞれ幸せになりたい。
大学生、社会人となっていく満男もそのことを常々考えていた。

しかし、ひとみさんの思う幸せとママの幸せには上記のようにずれがある。
寅が思う幸せとさくらの幸せも本当は、ずれがある。
リリーの幸せと寅の幸せも微妙にずれがある。
ふみさんの幸せと英男君の幸せもやはりたぶんずれがある。

それでも人は時としてやはり人を大事に想い、人の幸せを心から願う。人を守りたいと思う。
そこに人の世に少し潤いが生まれ、人の心に血が通う。
ひとみさんは、そのことを寅の優しい気持ちから学ぶ。

人はその人にしかわからない価値観、幸せがある。しかし、時としてほんのひと時その幸せが
お互い重なり合う瞬間がある。
その重なりあうひと時のために人は生きているのかもしれない。



ひとみさんのママは、川千家で開かれたささやかな手作りの披露宴に遅ればせながら
出席し、ひとみさんの求めている幸せを共有し、彼女の想う幸せの意味を知り、一緒に
涙するのである。

あの中で邦男さんが歌を歌い、感極まって歌えなくなるシーンがあるが、その時
泣きじゃくる兄想いの妹の京子さん(戸川京子さん)がとても初々しく新鮮で印象深かった。

兄を想う純粋な妹の心というのはほんとうにいいものだ。



        
                

       
それにしても、ひとみさんと邦男さん、寅とさくらが仲人だなんてこんな羨ましいことはないね。
これは、博が偉いなあ…なんて、そんなこともちょっと思うのだ。




             




また明日。




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寅の一番好きなタイプとは!?  6月2日「寅次郎な日々」その193


まあ、これだけいろんな人に恋をしまくる寅だから、
いわゆる『
かなりの美人』でないとセンサーが反応しないのは確か。美人でさえ
あれば、結構いろんなタイプの女性に恋をしまくるので、
幅広〜い好みなのは事実だが、
そんな寅が珍しくあえて自分の好みの
女性のディテールを明かしたことがある。

第37作「幸福の青い鳥」で葛飾区の結婚相談所のコンちゃんに自分の
好みを
しゃべってしまう。



寅「オレなんかどっちかというと
静かな女がいいねえ。うん。
オレこう見えてもね、おしゃべりなんだよ。おしゃべりだよオレ、うん。

だから相手の女もおしゃべりだとさ、
こりゃ一日中ピーピーピーピー、
お互いしゃべったらウチン中うるさいしなあ、近所迷惑だしさ。

年の頃なら三十五六から四十
だな、うん。
器量なんかなんだっていいよ。と、言いたいとこだけど、これは

毎日見るもんだから、ね!オレ
まるぽちゃが好きなんだよ。
朝なんかぱっと目が覚めるだろ、にっこり笑って、


源ちゃん「
八重歯八重歯

寅「お前知ってるねえ、ハハハ!」




                  
まるぽちゃ
           






第3作では「
少しくらい苦労している女性」「気立てが優しいこと
気性がおとなしいこと」などと好みを言っている。




                 
苦労している…
            





以上の寅の発言からな〜んとなく好みの女性が浮かんでこないでもない。

年齢は若干若いが、『
まるぽちゃ』を中心に、私が考える寅の密かな好みの女性は

第32作「口笛を吹く寅次郎」の朋子さん。



         



物語的にはもちろん永遠のマドンナとして「リリー」や「千代さん」などがまず思い浮かぶが、
寅の本当の個人的な好みとしては、実はあの美しい朋子さんだったのかなって、見ていてそう思った次第。
実際寅がコンちゃんにしゃべったのは、実は渥美さんの好みだったのではないだろうか。

第32作を見た時、あんなに劇中で生き生きして華やいでいる渥美さん久しぶりに見たって感じだった。
喜びが外に出ていた気がするなあ。二人の息もぴったりだったし。

「美しさの中に知性を秘めた」と朋子さんのことを言い切った博の気持ちは私も大いに納得するところ。


みなさんはどう思われますか?




                




また明日。


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192


                          
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寅への気遣い。さくらの0、5秒の反射神経  6月1日「寅次郎な日々」その192



寅は、毎度毎度誤解されるような事ばかりしでかす。
その度に、とらやの人たちは困り、ハラハラする。
だいたいは、誤解でなくそのまんまなので、とほほ、なのだが、なんせ独りよがり

な人物なので、何を考えているか分からない。それゆえ、対処するさくらたちも
言葉に詰まってしまうことが多い。


おいちゃんや、おばちゃんは思い切ってあてずっぽうで言い切るので
寅とはいつもいい争いが絶えない。


その点さくらは、いろいろ気を使いながら、瞬時に言葉を選ぶことが多い。

さくらの職人的早業言葉選びを2つほど紹介しましょう。
反射神経がいいんだねさくらって。


★第14作「寅次郎子守唄」で寅が連れて来た赤ん坊をとらやも含め
 柴又界隈住民がすべて彼が産ませた子供だと決めつけた時、

 寅は、「おい、さくら!それじゃおまえたち、その赤ん坊の父親がオレだと
     思ってたのか?」


 さくら「
ちが、…う.んでしょ」 ←さくら、上手い!早業!寅と同意見のふり。

 寅「あたりめえだい!見比べてみろ!現物とオレとを!似てるか!?






              






そのA

★今更新している第27作「浪花の恋の寅次郎」でも

 寅が大阪から半病人のような、夢遊病者のような状態でとらやに
 帰り、何を聞かれてもうわの空で、「いいよいいよおふみちゃん」とかなんとか言って、
 「ふみ」さんの名前をつい出してしまう。そしてまた、

 寅「あ…、それは、
おふみちゃんが、そうしたほうがいい、って言ってくれたから」

 さくらたち『ドキッ!!』

 さくら「
へえぇ…、お、おふみさん…が、そう言ったの?←知ってるふり(^^;)

 寅「うん」

 寅「
芸者は金で苦労してるからなあ…

 さくら「
そうねえ……←知ってるふり(^^;)



さくらもいろいろ気を使うねえ(^^;)





             



で、そのあとタコ社長が「ふみさん」のことを根掘り葉掘り聞いて雰囲気を
かき乱してはいたが(^^;)






チャンチャン








また明日。





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