バリ島.吉川孝昭のギャラリー内
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寅次郎な日々
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寅が食べた一番美味いもの(2006、5、31)
英男君の描いた水彩画(2006、5、30)
踊り子さんと佐藤幸夫君の恋(2006、5、29)
不幸せな恋に生きる風子(2006,5,28)
人々に笑顔を与え続ける男(2006、5、27)
忘れ得ぬ思い出のロケ地(2006,5,26)
吉田義夫さんと岡本茉利さんの整理箱(2006,5,25)
タコ社長が愛するスルメ母ちゃん(2006,5,24)
「チャキチャキおばちゃん」と「ほんわかおばちゃん」(2006,5,23)
寅の前に立ちはだかる『社会の壁』(2006,5,22)
テキヤの憧れ『Mr.テキヤ』な寅次郎(2006,5,21)
隠密.源ちゃんグループの暗躍(2006,5,20)
浪花の恋の『山下運輸&松風荘』 推理日記 (2006,5,19)
豊饒な愛を注ぎ続ける御前様(2006,5,18)
私の好きな『寅の夢』 SFもの2篇(2006,5,17)
寅のちっちゃな武器 『手土産物語』そのC(2006,5,16)
寅のちっちゃな武器 『手土産物語』そのB(2006,5,15)
寅のちっちゃな武器 『手土産物語』そのA(2006,5,14)
寅のちっちゃな武器 『手土産物語』その@(2006,5,13)
寅の心を揺さぶるさくらの言葉(2006,5,12)
寅の選んだ浪花の街 『新世界物語』(2006,5,11)
体が丈夫なだけが取り得のはずが…(2006,5,10)
『自分の部屋がない寅、その行き着く先は…』(2006,5,9)
「忘れるっていうのはほんとにいいことだな…」(2006、5、8)
さくらから寅へ。 たった一度の手紙(2006、5、7)
『江戸川と桜並木』 寅が語るその原風景(2006,5,6)
思い出のバイネタとその周辺物語 そのA(2006,5,5)
思い出のバイネタとその周辺物語 その@(2006,5,4)
「生きること」を肯定する山田監督の気持ち(2006,5,3)
とらやのヨモギを江戸川べりで見つける楽しみ。(2006,5,2)
この人から逃げたい、『ちょっと危ない男たち』(2006,5,1)
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『寅次郎な日々』バックナンバー 寅が食べた一番美味いもの 5月31日「寅次郎な日々」その191
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『寅次郎な日々』バックナンバー 英男君の描いた水彩画 5月30日「寅次郎な日々」その190 「弟が幸せになりますように」 第27作「浪花の恋の寅次郎」で、ふみさんは生駒山「宝山寺」の境内で絵馬にそっと、 弟の幸せの願をこの言葉に託す。寅はその文字を見た時に、ふみさんの人生に何か辛い事情が あることを察知する。 ![]() 両親に恵まれなかったふみさん。それゆえ、たったひとりの弟とも離れ離れになってしまう。 その昔、いつも一緒だった弟の英男君のことを想いながらも後ろめたさで会えないふみさんに、 寅は背中を押すようにして会いに行かせる。その昔、散歩先生や夏子さんが、自分と産みの母親を 会わせてくれたように。 英男君は恋人の信子ちゃんにだけはお姉さんのふみさんのことを話していた。 自分を毎晩抱いて寝てくれたお母さんのように温かく懐かしい人。 会いたい会いたいと思い続けてきた十数年だったのであろう。 職場の名前を知っているふみさんは、踏ん切りさえつけば会いに行くことができたはずだが、 弟の人生の邪魔をしたくないばかりに、今日の今日まで会いにいけなかった。 自分のようなものが会うと迷惑なのではないかと思っていたのだ。 ほんのちょっと勇気を出して、もっと早くに会いに行けば、英男君の心が分かり、お互いの 絆の深さにあらためて気づくこともできたし、話もできたし、そのことで英男君の運命も 変わっていったかもしれない。 悔やんでも悔やみきれないやるせなさがふみさんの心に残っていった。 英男君のアパートには彼が作ったバルサ材で作った飛行機と、 水彩で描かれたであろう絵が壁に残されていた。 ![]() どうも私には印刷物には見えないのだ。印刷物は紙の端ぐるりを白枠で抜くことがほとんどだ。 紙の隅々まで描かれたあの絵はやはり直接紙に描いたようにみえる。 スクリーンの中で小さく映るだけだが、ふみさんが気づき、じっと見ていた。 絵をよく見ると絵の中に人が二人いる。一人はお姉さんのような若い女性。 もう一人はまだ子供のような少年。 少年は人形かぬいぐるみの様なものを抱いているようにも見える。 雨が降っているのだろうか。お姉さんが少年に明るい緑の傘を差しかけてあげているように見える。 たった二人っきりの姉弟、ふみさんと英男君。 英男君は、寅が言うように毎晩抱いて寝てくれたお姉さんのことを忘れた日はなかっただろう。 あの絵はひょっとして英男君がお姉さんのことを思い出しながら描いたものじゃないだろうか。 英男君は仕事から帰ったら、座敷にゴロっと寝転がって、体を休めている時に見れる眼の高さに絵を 貼っていたと私は勝手に思っている。 もし英男君のお姉さんとの思い出を描いたのだとすれば、この絵はふみさんの宝物だと思うのだが…。 ふみさんに持っていてもらいたい。 ![]() ![]() あの絵はあの後どうなったんだろうか…。 今は、信子ちゃんが持っているのだろうか…。 私は、英男君のアパートをの荷物を全て片付けて引き払った後、しばらく経ってから信子ちゃんが 対馬のふみさんの自宅へ額をつけて送ってあげたような気がするのだが、どうだろうか。 英男君は短い24年の人生の中で、ふみさんの言うように、たくさんの職場の仲間の人がいてくれて、みんなで
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『寅次郎な日々』バックナンバー 踊り子さんと佐藤幸夫君の恋 5月29日「寅次郎な日々」その189 昨日は、風子の哀しい恋を書いたが、同じように哀しげで奇妙な恋なのに、そこに涼やかな風が 吹きぬける恋もある。 私がこのシリーズで忘れられないのは第14作「寅次郎子守唄」の呼子港での ヌードダンサーと佐藤幸夫君の奇妙な恋だ。 『佐藤幸夫』って誰ですか?言われる方々も多いだろうが、あの赤ん坊を置き去りにして 逃げた月亭八方さんである。置手紙に『佐藤幸夫』と書いてあったので、佐藤幸夫君なのである(^^;) この男、どうしょうもない野郎だ。奥さんの若い踊り子に子供を産ませるのはいいとして、 その若い踊り子に赤ん坊置いて逃げられてしまうのも、まあよくあることとして、その後がいけない。 どこの誰かわからん男(寅)に赤ん坊を託して、自分も逃げてしまう。 しかし、やはりそれでも親なのだろう、赤ん坊を引き取りに柴又までやって来る。 その時、男を叱咤し、たじろぐ男を引っ張って一緒にやって来たのが、あの春川ますみさん扮する『踊り子』である。 そう、寅とのしみじみとしたやり取りを呼子港で交わした、あの人生の機微を知り尽くした彼女だ。 彼女は自分も子供を亡くしてしまったことがあるので、二度とそのような不幸をおこしてはならないと、 男を引き連れて赤ん坊を引き取りに来たのである。 もちろん、赤ん坊は彼女が産んだのではないが、彼女の人の情というものがそうさせたのだと思う。 春川ますみさんは、同じような境遇の役を山田監督の『家族』という映画でも演じている。 赤ん坊を旅の途中の東京で亡くしてしまって、悲しみの底にある民子に、自分の赤ん坊も辛い運命の元に 亡くなったことを汽車の中で語る役だった。 踊り子は、さくらたちにこう言うのである。 『赤ん坊は、私が責任を持って育てます。自信もあります』と。彼女の子供ではないが、彼女は、そう言うのである。 『縁』というものを感じ、そして信じ、覚悟したのであろう。 この話はここで終わらないで、もう一ひねりある。 物語のラストで、赤ん坊が心配な寅はもう一度はるばる佐賀県の北の果て、呼子港まで、踊り子を訪ねて行く。 対岸からの渡し舟で偶然踊り子に出会う寅。 踊り子の背中には赤ん坊が。彼女はとても華やいでいた。 この瞬間になにも聞くまでもなく踊り子も赤ん坊も幸せなことがわかるのである。 あのダメオヤジの佐藤君と今ヌード小屋で一緒に働いているという。 男のことを寅に聞かれて、 「小屋の呼び込みとかモギリとかさせちょるんよ。 つまり、ね!なんと言うか、ま、一緒に暮らしとるんさ」とちょっと照れる。 なんだかんだといっても男女というのは分からないものである。上手くいかない時はどうやってもダメだし、 上手く行く時はどんな困難な状況でも、どんなに貧しくても上手くいく。 よかったよかった…、という結末だった。 あのシーンを再現しましょう。 佐賀県 呼子港 小さな渡し舟に乗りこんだたばかりの寅 遠くから、女の声 女「おじさ〜ん!待っちょってェ〜!」 女子供を抱っこしながら、走ってくる 女「待っちょって〜、待っちょって〜。ほっ、ほっ」と石段を降りてくる。 寅。振り返って、顔を見て驚き、立ち上がる。 女、ドンと飛び乗り、寅が支えてやる。 女「あ、すいません」 寅、手を持ってニコニコ笑いながら 寅「よお〜!」 女、寅を見て、…間があって 女「ああ〜!あんたじゃなかね!」 寅、満面の笑みで 寅「んん!」と頷く。 ![]() 舟が動き始める。 船頭さんもなぜかニコニコ。 女、寅をシゲシゲ見て「わあ!」 二人とも笑いながら座る。 女「わざわざ来てくれたんね!?」 寅「ん!唐津まで来たんでね。赤ん坊のことも気になってたもんだから」 女「そう〜!」 寅「うん」 女「元気だよ、ほら、ここにいるばい、見てみんね」 寅、笑いながら赤ん坊の、ほっぺを指でさわる。 女「病気ひとつせんもん、ね!」と赤ん坊を見ながら笑う。 赤ん坊、笑っている。 女「タケはいい子じゃけんね!」 赤ん坊、寅を見て笑っている。 女「ほ!ほ!ほ!」と言いながら赤ん坊をあやす。 寅、ほっとした顔で 寅「そうか…、元気だったか…」 ![]() ちょっと、まじめな顔になって、 寅「ところで、この子の父親どうしてるんだい今?」 女「フフ…いるばい、あそこに」 寅「え?」と振り向く。 女「小屋の呼び込みとかモギリとかさせちょるんよ。 つまり、ね!なんと言うか、ま、一緒に暮らしとるんさ」 寅「そうかあ、それじゃ親子ともどもあんたの 世話になってるわけだ」と心から安堵。 女「フフ…」 寅「よかったよかった」 ![]() この時の春川さんの笑顔。 なんの『けれん』もない、そのままの笑顔に、何度救われてきたことか。 この笑顔を見たいために何度も「子守唄」を見てきた。 女「あ!お父ちゃんだ!お父ちゃーん!」 対岸に出てきた男、手を振っている。 女「お父ちゃーん!お客さんバイ!こん人こん人」と寅の肩をパンパン。 寅、遠く岸に立つ男の方を見ている メインテーマが大きく流れる。 女「わかっちょるのかね?」と笑う。 寅、涼やかな顔で手を振る。 安堵の表情で遠く、対岸を見ている寅。 静かに寅たちの舟が近づいていく。 呼子の海と渡し舟が遠くに映る。
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『寅次郎な日々』バックナンバー 不幸せな恋に生きる風子 5月28日「寅次郎な日々」その188 さくらは第33作「夜霧にむせぶ寅次郎」でこんなことを言う。 「幸せな恋もあれば不幸せになる恋だってあるわけでしょ。 不幸せになることがわかっていながら、どうしょうもなかったのね、風子さんは…」 さくらがこのようなことを言うのはとても意外だったので、ドキッとして驚いたことを覚えている。 山田監督が第1作から描いてきた『恋』は、人を幸せにするものだった。 この第33作は題名の通り、ずっとまるで霧の中で物語が展開するようだった。 イメージとしては暗く、弾まない物語である。 唯一、あのあけみが鮮やかにスクリーンに初登場し、かき回したことが明るい光だったかなと思う(^^;) この薄暗い霧のかかったような物語は、それゆえこのシリーズの中でもあまり人気がないと聞く。 私もこの第33作は1年にそんなにも見ない。 しかし、冒頭に書いたさくらの言葉はいつもなぜか胸に残っている。 ![]() 実際の世の中にはさまざまな恋の形とその未来があり、当事者たちの喜びと哀しみも も恋の数だけある。幸福にも不幸にもなる。他人がどうこう偉そうに口を挟める余地のない恋もある。 第18作「寅次郎純情詩集」の寅と綾さんの恋などはまさに、他人の入り込む余地のない運命の恋だった。 寅自身がする恋はこのように哀しい恋が実はたくさんある。しかし寅の恋は相手を不幸にしたことはない。 つまり、それまでこのシリーズには不幸な恋がなかったのである。 それゆえ、さくらのあの発言にはドキッとしたのだ。 風子はトニーに惹かれ、トニーのヤクザな生き方をなんとか変えたいと思う。寅やおいちゃんおばちゃんに にどんなに止められたって、気持ちは変わらなかった風子。 しかし、結局、棲む世界が違うことを悟ったのか、トニーが寅の言うことを心に留めたのか、 真相は分からないが、風子はなぜかトニーのもとを去り、北海道に帰る。 まあ、そういうこともあるだろう。 しかしその後、風子は昔馴染みの真面目な明るい青年と突然結婚することになるが、 私は、最後の急展開のハッピーエンドは、この哀しい物語の作品を決して明るくはしていないとも思う。 その結婚に物語性がないからである。この作品が受け入れられにくいのは意外にこの部分にあるのかも しれないと思うときもある。映画というものは恋や結婚を言葉で説明するものでなく、物語によって見せるものである。 人は喜びの中からも何かを掴み、学ぶし、哀しみの中からも人生を感じる。絶望の中からでさえ成長をする。 だから、不幸な恋も悲しい結末も、そこに『物語』があれば幸福な結末と同じくらい味わい深く感動がある。 私は風子とトニーの哀しい恋は嫌いじゃなかった。
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『寅次郎な日々』バックナンバー 人々に笑顔を与え続ける男 5月27日「寅次郎な日々」その187 今日5月27日朝私の住むバリ島から飛行機で1時間半のジャワ島中部で
第48作「寅次郎紅の花」では、普段みんなに役立たず扱いされている寅が この第48作に限らず寅はいままでに多くの人々を幸せにし、結びつかせもしてきた。
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『寅次郎な日々』バックナンバー 忘れ得ぬ思い出のロケ地 5月26日「寅次郎な日々」その186 このシリーズの大きな目玉の一つに思い出深いロケ地の魅力がある。 これは見る人の故郷であったり、自分が行ったことのある土地だったりすると 思い入れも一層強くなり、その作品に思い入れが強く湧くのだ。 しかし、なによりも出色の名シーンがそこに存在するゆえに思い出深くなることが 多いのだ。 私も今こうして思い出すと忘れられない町が何箇所も出てくる。 ちょっと思い出すままに何箇所かちょろちょろと書いてみよう。 まず、今パッと個人的にすぐ思い出すのが ★北海道 小樽 第15作「寅次郎相合い傘」 兵頭パパにとっての大切な町小樽。初恋の人の面影が忘れられなくて、彼女を訪ねていく。 長い年月は二人の間に目に見えない溝を作り出してしまっていた。 最後の別れのひと言ふた言に、変わってしまったものと変わらない心が…。 この二つを同時に垣間見ることができたなんともやるせない名シーンで、これはほんとうに切なかった。 そういえば、第5作「望郷篇」でも小樽を力強く機関車が走り、あの街の違った側面を見せていた。 第22作「噂の寅次郎」でもとらやを去った早苗さんが、従兄弟さんの高校教師を 追って、故郷の町『小樽』へ帰っていくのだった。あの、雪景色の小樽も実に情緒があった。 次にいつまでもずっと忘れられないのが ★山形県 寒河江 第16作「葛飾立志篇」 初恋の人、お雪さんの面影を追うように、みちのくを旅する寅。 彼女の墓に参るため、最上川の渡し舟を使い、寒河江に入っていく。あのやさしい曲と 同時に寅が自分の心を静かに振り返り、内面に深く入り込んでいく心の旅が垣間見れて、 見ている私も心が洗われるようだった。雰囲気のある慈恩寺の石段も印象的だった。 ![]() また、行ってみたいと思うのが ★兵庫県 龍野 第17作「寅次郎夕焼け小焼け」 夕焼け小焼けの曲が流れるしっとりとした、いにしえの町龍野。 池ノ内青観と志乃さんの静かな夜と 寅とぼたんのはしゃいだ夜。 この見事なコントラストが印象深かった。 青観をいつまでも見送る少女のような志乃さんの後姿は このシリーズでも出色の名シーンだ。 ![]() 同じく行ってみたいのが ★岡山県 備中高梁 第8作「寅次郎恋歌」 寅と博の父親が備中高梁の町を歩くシーンがあるのだが、 いい雰囲気だ。人もいいが、町もいい。 この地は、第32作「口笛を吹く寅次郎」でも使われた。蓮台寺(実際の名前は薬師院)のあり方と そこから見える町並みが美しかった。 博の父親が住んでいた旧家も雰囲気がある。 思い出すたびに胸が熱くなるのが ★福岡県 秋月 第28作「寅次郎紙風船」 光枝さんと寅が淋しく歩く秋月城址近くの野鳥川沿いの小道 野鳥川にかかる秋月眼鏡橋も美しい。 余命いくばくもない常三郎の家に貼ってあった白秋の「帰去来」の詩に 私は激しく胸を打たれ、涙が出てきた思い出がある。 ![]() 温かい気持ちになれたのが ★青森県西津軽郡鯵ヶ沢 驫木(とどろき) 第7作「奮闘篇」 全てのマドンナの中で、最も心が美しく清らかな花子。 その花子の故郷津軽の鯵ヶ沢。驫木(とどろき) さくらは、寅のことを追い、淋しいこの町にひとり降り立つ。 この地方の方々のなんともいえない語り(セリフ)も強烈に 私の心に残っている。素朴で力強く、実に味わい深い方々だった。 花子は田野沢小学校で福士先生の指導の下とても元気そうだった。 彼女は、東京より津軽が合っているよ、ほんと。 切なくて、辛かったのが ★島根県 津和野 第13作「寅次郎恋やつれ」 津和野の町で夫亡き後、悩みながら、迷いながら暮らしている歌子ちゃんは、 寅と再会し、硬くなっていた心が溶け出して思わず泣いてしまう。 しっとりと美しい津和野の町と歌子ちゃん、そして美しい『歌子のテーマ曲』が 見事にマッチ。 寅の乗ったバスを見送るりながら手を振る歌子ちゃんの姿が 脳裏から離れないで困っている。このシーンもこのシリーズの 中で出色の別れのシーンだ。 夢のように懐かしく思い出すのが ★長野県 別所温泉 第18作「寅次郎純情詩集」 秋深い信濃路 夕焼けの塩田平を一人寂しく歩く寅。 ススキの穂が風に揺れる。 まるで桃源郷のような風景だった。 あの風景を見ているだけでなんだか優しい気持ちになれた。 上田電鉄別所線に乗ってそして別所温泉へ。 別所温泉での懐かしい坂東鶴八郎一座との再会と別れ。 何もかもが夢のように美しい日々だった。 ![]() 静かな隠れた名シーンとして印象深い ★佐賀県 呼子 第14作「寅次郎子守唄」 佐賀県の北の端、呼子港で知り合ったヌード劇場のダンサーとの 味わい深い絶妙のやり取りが最高。今、思い出すだけでも胸が熱くなる。 渥美さんの春川さんを見つめる目が実に温かい。 同じ匂いを持つふたりは目だけで分かり合えるのだろう。 これだけリアリティがあるやり取りはこの長いシリーズの中でも めったにお目にかかれない。 ![]() 寅「ここで踊ってんのかい?」 踊り子「こんな景色のいいとこまで来て、 暗かところで女の裸観てどこがよかすかねェ」 寅「フフ…別に裸を観るわけじゃねえよ。 姐さんの芸を観に来たと思えば腹もたたねえだろう」 踊り子「フフ…兄さん、よかこと言ってくれるね」 寅「そうか」 アンパンを食べながら遠くを見つめる春川さんますみさんと渥美さん。 そしてラストで赤ん坊を背負って、渡し舟で寅と再会する時の あの春川ますみさん。それらのやり取りがいつまでも心に残る呼子港 だった。 しかし、やっぱりなんといっても思い出深いのは ★北海道 網走 第11作「寅次郎忘れな草」 これは言うまでもなく、寅とリリーが運命の出会いをした場所である。 リリーは、この時、いつになくメランコリックな気分になり、 寅に自分の生活スタイルの脆弱さを吐露する。 寅はそれに深く同意しながらも、独特のユーモアで返し、リリーを 慰めるのである。ほんのつかの間の出会いと別れ。この短い時間が、 その後の彼らの人生を決定づけることになった。 運命の出会いというものはやはりあるのだ。 ![]() 寅「行くのかい?」 リリー「うん…」 リリー「じゃあ、また、どっかで会おう」 寅「ああ、日本のどっかでな!」 リリー「うん、じゃあね」 寅「うん!!」 リリー、ふと足を止めて振り向いて リリー「兄さん。…兄さん何て名前?」 寅、ハッ、っとして少し照れて、でもちょっと粋に 寅「え?…オレか! オレは葛飾柴又の車寅次郎って言うんだよ」 リリー「車寅次郎…。じゃ、寅さん…」 寅「うん」 リリー「フフ…、いい名前だね!フフ…」と走って行く。 あ〜、またまた書き出したらキリがない。 ゴ〜〜ン… で、今日はこの辺でお開きということで。 また明日。
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『寅次郎な日々』バックナンバー 吉田義夫さんと岡本茉利さんの整理箱 5月25日「寅次郎な日々」その185 私たちにとって『男はつらいよ』といえば、もちろん渥美清さんと倍賞千恵子さん、 そしてとらやの面々&柴又の方々だろう。 実は、私はそれらとは別に、吉田義夫さんと岡田茉利さんが思い浮かぶ。 私の心の中では、吉田義夫さんは裏の主役の一人。岡本茉莉さんはもうひとりのマドンナ。 になってしまっている。 坂東鶴八郎と大空小百合ちゃんの4度の登場(8作.18作、20作、24作)は、 もちろん、吉田さんは中期の夢の中でも悪役もしくはさくらの親父さんの役で大活躍。 夢には欠かせない存在となった。岡本茉利さんも、夢や本編中で何度か別役で登場している。 今日は、自分の整理の意味もこめて下にお二人の登場作品を整理し、記します。 吉田義夫さん 第8作 「寅次郎恋歌」 四国 雨の日の 坂東鶴八郎座長 ラストでも甲州路で再会 第9作 「柴又慕情」 夢のシーン 昭和 悪徳借金取り 第10作 「寅次郎夢枕」 夢のシーン 昭和初期 地元の高利貸しの親分 第11作 「寅次郎忘れな草」 夢のシーン 江戸後期 柴又村の寅の父親 第12作 「私の寅さん」 夢のシーン 大正 柴又村 悪人の、だあ様 第13作 「寅次郎恋やつれ」 寅の横に座る電車の乗客 ![]() 第15作 「寅次郎相合い傘」 夢のシーン 奴隷船の奴隷商人のボス 第16作 「葛飾立志篇」 夢のシーン 西部劇の中、悪人ガンマン 第18作 「寅次郎純情詩集」 夢のシーン 北アフリカにアラビアのトランスを 捕まえに来た男。 A信州別所温泉での坂東鶴八郎座長 『不如帰』の武夫役 第20作「寅次郎頑張れ!」 夢のシーン 大金持ちになったとらやの執事 Aラストで寅と軽四トラックで再会する坂東鶴八郎座長 『ああ無常 レ.ミゼラブル』のジャン.バルジャン役 お二人共演 ![]() 第22作「噂の寅次郎」 夢のシーン 江戸時代 目の悪いさくらの親父さん。 第24作「寅次郎春の夢」 京都での坂東鶴八郎座長 『蝶々夫人』のピンカートン役 ピンカートンと蝶々夫人 ![]() 第26作「寅次郎かもめ歌」 夢のシーン 天狗のタタリと偽ってさくらをせしめようと する悪代官役。 岡本茉利さん 第8作 「寅次郎恋歌」 四国 雨の日の 坂東鶴八郎一座の花形 大空小百合 ラストでも甲州路で再会 第16作「葛飾立志篇」 ラストでの西伊豆の連絡船ガイド さん 第17作「寅次郎夕焼け小焼け」 池ノ内青観の家のお手伝いさん(とし子さん) 第18作「寅次郎純情詩集」 夢のシーン 北アフリカのカスバの女性 A信州別所温泉での坂東鶴八郎一座大空小百合 『不如帰』の浪子役 第19作「寅次郎と殿様」 大洲城での料理屋の店員(出前) ほんの一瞬だけ(^^;) 第20作「寅次郎頑張れ!」 夢のシーン 大金持ちになったとらやのお手伝いさん(なかなか可愛い) Aラストで寅と軽四トラックで再会する坂東鶴八郎一座 大空小百合 『ああ無常 レ.ミゼラブル』のコゼット役 ジャン.バルジャンとコゼット ![]() 第21作「寅次郎わが道をゆく」 肥後の田の原温泉に住む留吉の元彼女(春子) 「あんた何くれた!?」 第23作「翔んでる寅次郎」 寅に便秘薬と水を渡した日下部医院の看護婦さん ![]() 第24作「寅次郎春の夢」 京都での坂東鶴八郎一座大空小百合『蝶々夫人』 の蝶々夫人役 「ミーバタフライ!ミーバタフライ!」 こうやって書いてみると、このシリーズ中期の最も油の乗っている頃に活躍されたお二人。 だから一層私にとって、このシリーズの『顔』になっているのだとあらためて自覚した次第。 もう少し長く、できれば晩年の作品まで出演して欲しかった…。 今もこうしていると第8作のあのラストシーンが蘇る。 秋深い甲州路 トラック荷台から大空小百合ちゃんが「あら!」 小百合「先生ー!!」 寅、よおく顔を見る。 小百合「先生!私です。いつか四国でお会いした小百合です!」 寅、気づいて「あー!、小百合ちゃん!雨の降った日の!」 小百合満面の笑みで「はい」 ![]() 座長、助手席から降りてきて「これはこれは!」 寅「よおーっ!」 座長「いつぞやのお情け深いお客様」 寅「いやぁ、座長さん、その後元気で。座員のみなさまも達者でいなさるかね」 座長「はい、お陰さまでこのとおり巡業を続けさせていただいております」 寅「そうかい…、よかったー…、本当によかった…」 座長「先生、お乗りになってください」 寅「いや、俺はここで…」 座長、座員一同「どうぞ、どうぞ!」 座長「むさ苦しいところではございますが、どうぞ!」 荷台に乗った寅。 若い座員が助手席に乗り、座長は寅と一緒に荷台に。 座長「今夜のお泊りはどちらへ」 寅「なに、鼻のむくまま気のむくまま気楽な旅でございますよ」 座長「今夜は是非私どもと同じ町にお泊りになりお泊りくださいまして、 私どものお芝居を楽しんでいただきまして」 寅「あー!、それは結構ですね、結構毛だらけ猫灰だらけ、お尻の周りはなんとかだらけ!」 一同どっと笑う「ハハハハ!!」 ![]() 寅「いやー、どちらも御陽気な方ばかりでようござんすな!」 寅たちを乗せたトラックが田舎道を走っていく。 遠くに富士山が見え、空は日本晴れ! また明日。 |
『寅次郎な日々』バックナンバー タコ社長が愛するスルメ母ちゃん 5月24日「寅次郎な日々」その184 |
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『寅次郎な日々』バックナンバー 寅の前に立ちはだかる『社会の壁』 5月22日「寅次郎な日々」その182
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『寅次郎な日々』バックナンバー テキヤの憧れ『Mr.テキヤ』な寅次郎 『寅次郎な日々』バックナンバー 5月21日「寅次郎な日々」その181
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『寅次郎な日々』バックナンバー 隠密.源ちゃんグループの暗躍 5月20日「寅次郎な日々」その180 |
『寅次郎な日々』バックナンバー 浪花の恋の『山下運輸&松風荘』 推理日記 5月19日「寅次郎な日々」その179 |