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渡り鳥たちの見たひと夏の淡い夢
寅とリリーは「寅次郎相合い傘」ではふたりの波長がピッタリ合い、お互いの目を見つめ合うような最高の切ない「恋」をした。
「寅次郎ハイビスカスの花」ではもう一歩踏み込み、共に二人で生き、歩もうとした。
たとえそれが真夏の夢の中の幻想だとしても…。あの南国でのひと夏はふたりとも生涯忘れることはないだろう。
自己の美学の赴くままに奔放に生きる寅やリリーのような渡り鳥にも、ふとしたタイミングで羽根を休め、
「定住の夢」を見るひと時もある。その夢は必ず、ないものねだりの夢。そしてそうすることは渡り鳥である彼らの
気質の中では死を意味する。
沖縄の病院に這うようにたどり着いた寅の声を聞いたリリーは顔が華やぐ、第18作の綾の華やぎを彷彿させる名場面。
寅が来たらいきなり血液がサラサラと流れ出すリリー。寅は「淋しかったんだろ、ひとりぼっちでなあ…、もうオレがついてる
からから大丈夫だ」と励まし、カバンの中から次々と浴衣、川魚の佃煮、トランジスタラジオ,お見舞金、おまけにフンドシまで
出してリリーの『気』を高めていく。どんどん血色が良くなっていくリリー。このあたり二人の掛け合いののテンポは見ていて実に
気持ちがよく見事だった。寅とリリーの相性の良さが鮮やかに見るものを楽しませる。
いつも見舞いに来ては優しくリリーを励ます寅。
「この病気は気持ちの持ち方が大切、生きようと思う心が大切なんだ」
こんな愚かな自分が明らかに必要とされていることが実感できる日々。こうして寅の奮闘が始まる。
寅は毎日リリーの病院に見舞いに行き、冗談を行ったり励ましたり、大活躍。寅が最も生きている時だ。
リリーが退院したあとも、甘く切ない二人の蜜月は続いていったのである。しかし二人はやはり渡り鳥…。
紆余曲折の後、ようやく二人はとらやに戻ってきて、リリーと寅は過ぎ去ったあの夏の夢の日々を回想する。
リリー「私、幸せだった、あの時…」
寅は未だ夢から覚めやらぬ感じでこう呟く。
「リリー…オレと所帯持つか…」
しかし、一足早く夢から覚め、意識が娑婆に戻ったリリーは、
再び大海原に羽ばたく直前にこう呟く。
「私たち夢を見てたのよ、あんまり暑いからさ…」
この物語は、自らの旅人の美学に殉じながらも、ほんのつかの間、まるで子供のママゴトのように、定住を夢見た2羽の
渡り鳥の甘く哀しい物語である。現実の泥を被りたくない寅のわがまま、身勝手、そして心意気。寅の恋愛の行き着くところを、
つまりその限界を描いてしまった作品ともいえよう。
「あーあ…、夢か…」寅がそう呟いた短い言葉に、寅の人生が言い尽くされていた。
彼は夢のように生き、夢のように人に恋をし、そして夢の中で死んでいくのかもしれない。
さくらがラスト近くでそっとつぶやいた言葉、
「夢から覚めたって幸せとは限らないもんね、お兄ちゃんは…。」
これが寅という人なのだ。
そして別れの柴又駅ホーム。寅は扉の外から「幸せになれよ」と言う。 微笑むリリー。
リリーの最高の表情。こうして、今回もまた切なく分かれていくのか…、もう二度と寅はリリーに
逢わないのだろうか…、と、観客は悔しい思いで、寅と一緒にその電車を見送るのである。
寅は言う「さて、オレも旅に出るか…」
ああ、もうこれでどこかの町で啖呵バイをしている寅が映って終わりなんだなあ…、
と誰もがそう思ったに違いない。
しかし、山田監督は、私たちに大きなプレゼントをしてくれた。
ラストの田舎のバス停で、なんとリリーに再会するのである。
リリーは聞く、「兄さんこそなにしてんのさこんなところで」
寅「オレはおめえ…リリーの夢を見てたのよ」
空は晴れ渡り、彼らの旅はまた始まるのであった。
旅の中にこそ、寅とリリーの本領がある。彼らはやはり根っからの渡り鳥なのだ。
@【リリーと再開した博と寅のあやめ騒動』
今回も夢から
なんと、拍子木の音
カン!カン!カン!カン!カンカンカンカンカンカンカンカン! カン!
今回の夢は寅が大江戸を荒らしまわる『鼠小僧寅吉』になる物語。
江戸 御用金蔵に入り込んだ寅は追っ手の目から逃れるためにさくら(おさく)たちの長屋に意を隠すのだった。
そして実はさくらの生き別れになった兄の寅次郎こそがこの鼠小僧寅吉だと分かるのである。
博吉「私どもは葛飾郡は柴又村の出でございます」
寅の表情にふと懐しさが浮かぶ。
三味線べべべンベンベン
寅「柴又村…」
寅「御新造さん」
おさく「はい」
寅「お前さん、身内はいなさるんかね?」
おさく「はい、たったひとり兄がおりましたが、幼い頃、家を出たきり行方知れず」
三味線 ベンベン
寅「それで、その兄さんの名は?」
おさく「はい、寅次郎と申します」
三味線 ペン、ベンベンベンベンベン
ギョッとする寅。
寅「エエ!」

呼子の音が近づいてくる。
ピーーー!ピーー!
寅、はっと顔をあげる。
おさく「鼠小僧さま、もしやあなた様は、私の兄のことを」
寅、ふと我に返り、激しく首をふる。
寅「知らねえッ、オラァそんなことはしらねえッ!」
じっと寅を見つめるおさく。
博吉「鼠小僧さま、追手が!もうそこまで!ささ!」
寅、裏庭の障子をあけ
寅「じゃましたな」
おさく「もしやあなたは!?」
三味線 ペン 、ペンペンペンペンペンペンペンペンペンペン!
寅「おさく、幸せになァ…」
ピーー!ピーー!
前の塀を乗り越え飛び去っていく寅吉。
追っ手たち、博吉の家に入り込んで裏から出て行く。
博吉「おさく、あの人は…」
おさく「そうよ、あんちゃんよ !」
軽快な鼠小僧の音楽が流れて
鼠小僧寅吉、屋根から屋根へとび移って走る
「御用だ!御用だ!」
寅「さだめ悲しい柴又の、たった一人の妹にせえ(さえ)、
我が名をあかさねえこのオレがァ、置き土産代わりに名乗ってやらアー!
拍子木 ピキーン!
耳の穴かっぽじってよおおおく聞きやああがれええ!
メインテーマが流れる。
「私、生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯をつかい、
姓は車名は寅次郎、
人呼んで、鼠小僧寅吉たア!
拍子木 ピキーン!
オレがぁ!ことよオオ!!」
と唾を手にかけて縄を一瞬のうちに小刀で切る。
アータアッ!」
御用の役人たちのけぞり転がり下に落ちる。
民衆達、やんややんやの大拍手
息をのんで寅の口上を聞いていたおさく、思わず叫ぶ。
おさく「お兄ちゃん!」
寅、夢とは言えカッコいい〜!!(>▽<)
三味線「ベンベン!」
寅、豪快に
寅「フ、フフ、フハハハハハ.ハ.ハ!」
歓呼の声をあげる町人たち。
「よ、日本一!」
「鼠小僧 ! 」
「大統領 ! 」それってメリケンでっせ!ヾ(--;)
ある古びた土蔵(郷倉)
村はずれの小さな社の傍の古びた土蔵の中で居眠りしている寅。
表から聞こえてくる呼子の音に目を覚ます。
ピーー!ピーー!
窓から顔を出す寅
子供達「ピー、ピーピー、ピー御用だ!御用だ〜」
おもちゃのピストルで鳴らしている。
「御用だ!御用だ!捕まえろ!御用!御用!」
「ダーン!待て!」
寅、「はああ〜〜〜…」と、あくびをして外に出て行く。
タイトル
男(赤)はつらいよ(黄)寅次郎ハイビスカスの花(白)映倫118131
バックは北軽井沢方面から見た浅間山
口上「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎、
人呼んでフーテンの寅と発します。
♪どおせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
いつかお前が喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪
♪どぶに落ちても根のある奴は いつかは蓮の花と咲く
意地は張っても心の中じゃ 泣いているんだ兄さんは
目方で男が売れるなら こんな苦労も
こんな苦労もかけまいに かけまいに♪
小川が流れる田舎の風景の中をのんびり歩く寅。
ピンクのツツジが咲いている村々
軽井沢 白糸の滝
クレジット リリー 浅丘ルリ子
リリーが帰ってきた…(TT)
白糸の滝売店
信州地酒 『白糸の瀧』
白糸の滝前の茶店、表に置いてある長椅子に腰かけて、カップルがソバを食べている。
疲れた足取りで歩いて来た寅、その長椅子に腰を下ろし、親しげに声をかける。
カップル、気味悪げに片方に寄ってソバを食べ続ける。
店の奥から老婆が声をかけるので、寅、立ち上ったとたん、カップルがバランスを失って
ひっくりかえり体中熱いソバのツユを浴びて悲鳴をあげる。
寅、あやまりながら、手近にあった水道のホースをとり、二人に水をかけてやる。というミニギャグ
めずらしく最後まで柴又が映らないで、茶店の『ところてん』の旗とともに山田監督のクレジット。
柴又 題経寺山門
おばあちゃんとお孫さん山門でお祈りしている。
源ちゃん、掃除サボって居眠り。いいねえ…こういう人生も(^^)
なぜか心に残るほのぼのとしたシーン
さくら自転車で通りかかる。
さくら「源ちゃん!、こんにちは」ニカっと笑ってトロンとした眼で見送る源ちゃん。
とらや 店
帳場の机に向ってソロバンを入れているおいちゃん。
おばちゃん「はい、ご苦労さま」
谷よしのさん、出ました。十八番花売り兼ヨモギ売りの行商おばさん。
おばさん「ありがとうございます。また、あの、お願いいたします。」

このあと谷よしのさんは、もう一度、沖縄から柴又に戻って行き倒れた寅を板戸に乗せて運んでくるご近所さんとして
再登場する。今回もなかなかしぶといのだ。
さくら、机の上のヨモギの香りをかいで、
さくら「はあ〜、いい匂い」
おばちゃん「こんなもの昔は江戸川の土手でいくらでもあったのにさあ」
さくら「学校の帰り、道草くってこれたくさん摘んで帰って、おばちゃんにお小遣いもらったっけね」
おばちゃん「そうそう、あの頃は土手の上にまだ桜並木があってさ、」そうだったのかあ…( ̄ー ̄)
そういえば第38作「知床慕情」のオープニングでも寅は
みちのくの桜を見ながらそんな昔のこと言ってたっけなあ。
さくら「きれいだったわねえ、お花見の時分は」
おばちゃん「う〜ん」
見たかったなあ桜並木の土手を歩く幼いさくら。
ちなみに、第29作「あじさいの恋」では、さくらはおばちゃんと、渡し舟に乗って千葉県まで行って
ヨモギを自力で籠一杯に採って来ていた。
小岩付近・駅前の繁華街
リリーが歩いていくではないか!
チラシを配達しに来た博は驚き、その後を追い、声をかける。
博「あの―」
リリー、ふと振り返る。
博「リリーさんですね」
博、懐しげに語りかける。
博「博です、柴又のとらやの」
リリー、目を大きく見開いて、口をあんぐり開けて驚いている。
リリーの顔が大きくほころび、喜びの色があふれる。
リリー「あんただったの?懐しい、何年振りだろ、さくらさん、元気?」
博「ええ」リリー「おじさん、おばさんは?」
博「元気ですよ」
リリー「そおー、そいで、…ねえ、あの人どうしてる?寅さん」
博「相変らずです」
リリー「そお〜、じゃ、やっぱり一人もんで、年がら年中旅暮しで、そうなんでしょう。アハハハ…」
博「ええ」
呼び込みの男前通って「ごめんよ」
リリ「しようがない男ねえ、いい年してさ、相変らずさくらさんたちに心配かけてんのね。…
ま、もっとも人のことなんか言えないんだけどさ」
博「リリーさん、今でも歌を歌ってるんですか」
リリー、うなずく。
リリー「そう、相変らず下手くそな歌。今夜もすぐそこのキャバレーでね」
リリー、今でも歌ってるのかァ…( ̄_ ̄ )
博「もし、良かったら、終わってからでも来ませんか。みんな大喜びしますよ」
リリー「本当!?うれしい。おばさんの美味しいごちそう食べたいなあ」
博「じゃ迎えに来ましょうか」
リリー「それが駄目なのよ。今夜自動車で大阪に行くの。その仕事が終わったら今度は九州。…
私も旅暮しよ。寅さんと同じ」
と、博の時計を見て、
リリー「あ、時間だ。じゃ、私。会えてよかったわ、こんな事ってあるのね。みなさんによろしくね」
博「今度東京に戻ったらきっと寄って下さい」
リリー「うん、そうする」
急ぎ足に歩きかけ、リリー、振り返る。
リリー「たまには帰ってくる?寅さん」
博「ええ、思い出したように」上手い言い方だねえ(^^)
リリー「リリーが逢いたいって、とっても逢いたいって、そう言ってたって言って」
最後にもう一度大きく手を振り、館に入っていく。
リリーは博に、先ず『さくら』のことを聞いた。
さくらとリリーの結びつきの強さを如実に物語る印象的なセリフだった。
そして、『おいちゃんおばちゃん』を聞く。とらやは彼女にとって心の居場所。大事にしたい人々なのだ。
寅はある意味、同じ穴のムジナなので、しんがり。でも、もちろん最愛の人でもあるので、一番長く聞いている。
ほんとうは一番最初に聞きたいのだが、フーテンの引け目で後回しになっているのかもしれない。
でも、最後は寅のことで頭が一杯で、逢いたいと、はっきり言ってもいる。このへんのリリーの
心の機微と動きをとらえるのが山田監督は実に巧い。浅丘さんのキラキラした眼と美しい声がとても印象的だった。
「忘れな草」から7年。「相合い傘」からも、5年の歳月が流れていた。
とらや 茶の間
とらやのみんな、深々とため息をついてリリーのことをいろいろ心配している。
さくらは無理やりでも誘ったらいいのにと言うが…、
さくら「強引に誘ってみればよかったのに」
博「でも…人に同情されるのは嫌なんじゃないか、あの人は」
おばちゃん「あ〜そうだねえ」
おいちゃん、うなずく。
おいちゃん「そこがウチの寅と違うとこだな」
なるほどねえ〜…。リリーにはプライドがあるしねえ…
リリーの苦労は、好きでしているいわゆる勝手な苦労だからなあ…(−−)
電話のベルが鳴り、リーン リーン
さくら、立上る。
おばちゃん「寅ちゃんだったりして、フフフ」
さくら「はい、とらやです。……もしもし、……お兄ちゃん?」
おばちゃん「あら」
びっくりしている一同。
上州 駅前の安食堂
赤電話に10円を入れ続ける寅
寅はさくらから、博がリリーに久しぶりで出会ったことを知らされる。
寅「 リリー? 誰だリリーって?……リリー!、ああ、
レコード歌手の!……うん、あ、博会ったんか、
へえ〜、え?オレに逢いたがっていたって?ふふん!上手いこと言うなよお前。
どうせあいつはいい男つかまえて、幸せにやってんだろ。
…そんなふうじゃないって?じゃどんな…あ!もしもし、あ、切れちゃったか」
寅、電話をあきらめ、机に戻ってコップ酒の残りを飲み干し、ふとつぶやく。
寅「リリーかァ……」
「誰だリリーって」、って。寅、リリーって言う名前出てんだからすぐ思い出せよな、リリーのことだけは。
さくらの名前出た時に「誰ださくらって」と言わないだろ。縁が深いんだから、頼むよォ〜(−−)
リリーか…
東京 小岩
キャバレー ハリウッド リリーが狭いステージで歌っている
リリー「♪泣けば〜涙のぉー…星空をー
ああーー、あああ〜…流れくぅるくぅ〜〜る〜〜、あの歌は〜〜
誰がァ〜歌うかー、東京セレナーデー〜……」
「忘れな草」や「相合い傘の頃」より、大人の魅力が出て、しっとりと歌っているリリー。
それから、ひと月
江戸川 土手
寅が、久しぶりに江戸川土手に立っている。

とらや 店先
店の表に博が仰々しく紙を貼りつけている。
「従業員慰労のため本日休業いたします 店主敬自」
とらやのみんなで水元公園にあやめ見物に今まさにでかけようとしている。そんな時に限って
寅はノコノコ帰ってきて騒動を起こすのだ。
ドドドド!
おいちゃん「寅帰ってきた!」
さくら「え!?」
博「おい、どうする?」
博「ああ!」
おいちゃん「何?」
博「アレはまずい!」
博、店の表の張り紙をやみくもに外す。
何もソコまで隠さなくても…(^^;)ほんとに気を使わせるねえ〜、寅って。
第12作の『九州旅行騒動』思い出すなあ…(
 ̄ー ̄)
さくら「あー!このお弁当、荷物隠さなくちゃ」
それじゃあ、メロン騒動の二の舞になるぞ(^^;)
あわてて弁当や水筒をそのへんに隠す。
わっ!おいちゃん、さくらの帽子被っちゃった!
ヽ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∇ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄;)ノ
寅、例のごとく一度わざと通り過ぎて、
郵便屋さん「とらやさん、郵便です」
寅、つかつかと近づいてくる。
寅「♪郵便屋さん、 御苦労さん、この家だろ?」
郵便屋さん「ええ、速達なんですけど…」
寅「あっそう、オレがもらっとく、どうもありがとう」
と封筒を受取り、店に入ってくる。
さくら「おかえんなさい」
寅「おう、さくら、なんだい、速達だよ。はは、お、みんなおそろいじゃないか」
みんなで「おかえりなさい」
さくら、おいちゃんがさくらの帽子を被っているのに気づいて『帽子、帽子…』と目で合図。
おいちゃん慌てて帽子を取る。
寅「なんだい、こざっぱりしたカッコして、 どっかへ出かけんの?」
博「いえ、別に」
満男が表から顔を出す。
さく満男「ねえ、早く行こうよ〜」満男正直(^^;)
寅「うん??」
博「どこ行くんだい?」博っていったい…(^^;)
満男「おかえんなさーい」満男〜〜気を使うねえ〜(TT)
寅「どうも様子がおかしいな。何かワケあんのか?」
社長店にやって来て
寅「おおう、社長、元気か?」
社長「元気だよ、元気だけど、まずい時に帰って来たなあ-…」決まったな(−−;)
寅「今、何て言った?」
社長「いや、別に」
寅、おいちゃんの担いだ水筒をグイッと引っ張って、
おいちゃん「あ。。。」
寅「さくら何かい?今じゃ、とらやは こんなもんで客にチャア入れてんのかい」
このギャグ笑いました。それ酒が入った水筒です(^^;)
さくら、顔をあげて、寅にあやめ見物のなりゆきを話してやる。
寅、ふてくされて、
寅「ふう〜ん、ほうか…、これからみんなで水元公園出かけようって矢先に、やっかい者が、
バカ面下げて帰って来たってわけか」
バカ面って… ヾ(^^;)
一同、あわてる。
寅「さくら、お前そういう気の使い方をするんだよ
『あたしたちこれから水元公園に出掛けるのよ、お兄ちゃん留守番してくんない?』
素直にそう頼まれりゃあ、ああいいよ、行っといで、オレは二階の部屋でちょっとひと休みして、
おまえたち帰って来たら、お重の残りで一杯やろう じゃないか、気持ちよくお前たちのことを送り出して
やれるんだよ。そうだろ?満男」
満男に振るか普通(^^;)
満男「ン?、そう…」満男漫画読んでて、聞いてません。適当〜(^^;)

寅「オレたちは他人じゃないんだぞ、オレはな、身内だよ、お前達の!」
と、ダダをこねだし、止まらない。
しらけてしまう一同。
おいちゃん「もう行くのやめよう、アヤメ、な、さ、さくら」
寅「行くなって言ってるんじゃないんだよ、みんなで楽しく行きゃいいじゃねえかァ!!」
おいちゃん「こんな気分でアヤメなんか見たって面白くも おかしくもねえや!あ〜あ〜あ〜!」
博「まあまあ」
おばちゃん「このお弁当、茶の間で食べて、ピクニックに行ったつもりになろう満男、おいで」
満男「ちぇっ」 満男、もう踏んだり蹴ったり…(^^;)
社長「あ〜あ…」
寅「行くなって言ってんじゃねえだろ、行きゃいいじゃねえかよッ!!!」
さくら、たまりかねて、叱るように言う。
さくら「行くなって言ってんのと同じことでしょう。何よ、お兄ちゃんこそ、子供がすねた
みたいなこと言って。私達が気を使ってどうして悪いの。
『お前達気を使ってくれてどうもありがとう、でもオレが留守番してるからお前たち行っといで』
って、なぜ優しく言えないのよ」
博「やめろよさくら」
社長「よくあることだよ。寅さん、上って一杯やろうよ」
寅、ムックリ立ち上ると、かばんを片手に持ち、机の上の速達をポイとさくらに投げる。
手紙が下に落ちる。
寅「フン、今夜やっかいになろうと思ったけど、とてもそういう気分じゃねえや」
旅に出て行こうとする寅。
もう出て行くのか、わがままやなあ〜 ┐(-。ー;)┌
A【リリーの病気と駆けつける寅の心根】
手紙を拾って表書きに眼をとめたさくら、あわてて呼びとめる。
さくら「お兄ちゃん、これ、お兄ちゃん宛よ」
敷居をまたいで立ちどまる寅。
寅「誰がよこしたんだ?」
さくら、裏を返して、博にも兄せる。
さくら「リリーさんからよ」
寅、さすがにハッとして、
寅「リリー…?」
さくらと博、顔を見含わせる。
さくら「何があったんだろう。速達なんかで」
さくらが読んでみると、なんとリリーが遠く沖縄で入院して、今にも死にそうだと書かれていたのだ。
さくら「『私、今病気なの、…』」」
寅 「え?」
さくら 「ええ…『歌うたってる最中に血を吐いて、この病院にかつぎ込まれたの』
ハイビスカスの花のリリーのテーマが静かに流れる。
さくら「『先生は気の持ち方で必ずよくなるってそう言うけど、でも生きてたって
あんまりいい事なんかないしね。別に未練はないの。ただ一つだけ、
もう一ぺん寅さんに会いたかった、寅さんの面白い冗談を聞きたかった、それだけが心残りよ』」
寅、血相変えている。
寅「さくら…リリー…病気!」
さくら「うん」
寅「死ぬ間際にオレに会いたいって言ってんだな」
さくら「そうね」
おいおい、そうね、じゃないよさくら。まだ死なないってば(^^;)
寅「よし!」.
かばんを片手に持ち、脱兎のごとく店から飛び出す寅。あわてて後を追うさくら。
さくら「ちょっと待ってよ!」
リリーのその手紙って「それだけが心残りよ」で終わっているのかな?
もう少し何か書いてあるんじゃないかな。終わり方がちょっと唐突。
帝釈天・参道
急ぎ足に駅のほうに行く寅。その後から、手紙を片手にさくらが追う。
リリーの入院先が沖縄だと分かって、とりあえずさくらに連れられて戻ってくる寅。
寅は沖縄にどう行っていいのか分からないで困ってしまう。
とらや 店
寅、店に戻りながら
寅「おい、博よ、あの〜沖縄行くのはあれか、やっぱり沖縄っていうのは
あの博多まで新幹線で行って、」
みんなあたふた。
寅「よオ、何かいい考えねえかい、早く考えろよ」
おいちゃん「満男、地図持って来い地図。」
みんなでああでもないこうでもないと検討しているが、なかなか早くつく方法を思い浮かばない。
困った困ったと言いながらおろおろ地図を見ている。
おばちゃん「弱ったねえ、そんな遠くの方で病気になっちゃって。
千葉県だったらタクシーで行かれんのに〜」
出たあああ!おばちゃん、それ意味ねえ〜〜(^^;)/
社長「早く行きたいんだろう、要するに」
寅「え?うん、なんかいい方法あるか?」
社長「飛行機で行きゃあいいじゃないか、羽田から。」
博「あ、そうか」
社長「三時間もありゃ行けるんじゃない」
さくら「いやだ、気がつかなかった、乗ったことないから」
さくら〜、第12作で九州に行った時、羽田から大分までみんなで乗ったじゃないか、
しかも帰りも同じように大分から羽田まで乗ってたし…(^^;)忘れんなよな。あの時も大騒ぎだったんだから。
おいちゃん「飛行機なら速いや〜」
安心して笑い出す一同へ、寅、憮然と言い放つ
寅「ダメ、 飛行機はダメ 」
さくら「どうして?」
社長「恐いのかい?」
寅「恐い…恐くない!!!」オーバーアクション(^^;)
寅の大声と手の振りにビックリしてのけぞるさくらたち。
寅「恐くないけども、飛行機はいや!ねっ!あの〜何か他に方法はないか」
博「他にはありませんよ」
さくら「お金だったら私達で何とかしてあげるから」
寅「金の間題じゃないの。いやなものはいや!」
唖然としている一同。
おいちゃん「高い所が恐いんだよ、ガキの時分から」
社長「プハ!」
寅「高いとか低いとかの問題じゃないんだよ、イヤなものはイヤだってつってんの!」
さくら「ねえ、そんなこと言ってる場合じゃないのよ、思い切って乗っていったら」
寅「ヤだよ!」
博「でもね……」
寅「ヤだってつってんだよ
博「しかし」
寅「乗らないっちったもんは乗らないんだから、乗らないっつーの!」
ある意味、あんな鉄の塊が空に浮いて、目的地まで飛ぶわけが無いと、考えてしまう寅の感覚は
生き物として正常ともいえる。私も仕事上毎年何度も乗っているが、やはり怖い。
結局、御前様まで巻き込んで何とか説得し、飛行機に乗ることになったのだが…。
とらや 店
御前様が腰を下ろしている。
御前様「そうですか、無事たちましたか。いや〜天気もいいし、まず、よかった」
おいちゃん「たかが飛行機に乗るくらいのことで、御前様にまで御心配おかけしまして。
困った男でございます」
御前様「何をおっしゃる、ゆーなれば人助けなんですから、こら、ほめてやらなきゃいかん」
いいこと言うなあ御前様は、寅のことちゃんと分かっているんだなあ。
おいちゃん「いやー恐れ入ります」
御前様「時に、あの、リリーさんとかいう人は、何番目の女性かな?」
何番目って…仏に仕える方がそのような過激な…(^^;)
おいちゃん「は、何番目かは忘れましたが…、確か五年か六年前になります」
おばちゃん「キャバレーで歌なんか歌っていた人で、派手な洋服を着て、やせぎすの」
御前様「おうおう、あの眼の大きな、外人みたいな顔をした」
おばちゃん「ええ、その人」
御前様「う〜ん、あれは美人だ!」
御前様もそんなことばっか考えてんだね(^^;)
リリーが誰かもイマイチ分からないでお見舞いを渡した御前様っていったい(^^;)
ところが。。。
プロペラがないからいやだというすさまじい理由で急遽ダダをこねだし、
空港の前でゴネル寅だった。
寅「やだ!やだ!」だだっこ(^^;)
博「いいですか後ろの方に穴があいてるでしょう、あそこから
バアーツとガスを吹き出して、それで飛ぶんです」
寅「馬鹿野郎!それじゃお前が芋食って
ケツから屁が出て、それで空飛ぶか?非常識だい!
そんなこといったってダメだい」凄い理屈(^^;)
博「ナンセンスだなあ…いいですか。」
博、あれガスっていうより、熱風だぞ。正確に言ってくれよな。
そこへ、JALのスチュワーデスさんたちの一行が通り過ぎる。
寅「こんにちは…これからお仕事ですか」いきなり目がハート(^^;)
スッチー「こんにちは」
寅、そのスチュワーデスさんのカバンを持ってやろうとする。
あ〜あ…これだよ! (-。ー;)

おいおい、スチユワーデスさん、寅がカバン持つまでじっと待ってるぞ!NGだけど、まあいいか。
カバンを持ってやりながらそのまま後をついていってしまう寅。
博に向かって来い来いと催促。
ああ〜あ、これだもんなあ、バカバカしい〜。真面目に考えるだけ無駄だね。
まったく、スチュワーデスがいなければ本当に飛行機に乗らなかったなんて、駄々っ子だねえ〜。
困ったもんだ。リリーが待ってるのに。┐(- ー;)┌
沖縄 那覇空港
南国の強い陽差しを浴びて、
ジャンボジェット機DC10が轟音と共に着陸する。
JA8530日本航空JAPAN AIR LINES JAL●DC-10
コミカルな音楽が流れ
二人のスチュワーデスに抱えられるようにして、顔面蒼白な寅がヨタヨタと乗客の最後に下りて来る。
ある意味すごい目立ってるなああ(^^;)

階段から転がり落ちそうになる寅。そのあとも車椅子を使ってバスまで移動。フラフラになりながら
バスに乗っていく寅だった。
国際通りをバスが通っていく。
疲れきり、今にも眠りそうな感じで坐っている寅
寅の乗ったバスが嘉手納基地近くを通る。道路沿いの金網越しに見える広大な基地の飛行場。
このような厳しい超国家的戦略の現実とは無縁な寅。ただひたすらぐったりと眠っている。
ある意味凄い対比である。このあたり山田監督の『眼』を強く感じる。
『F-15』米軍戦闘機が嘉手納基地に着陸していく
寅の乗ったバスの真上を巨大な輸送機が轟音を立てて着陸していく。
『たがみ病院前』にバスが停る。
那覇市首里石嶺町「たがみ病院(現在のオリブ山病院)」教会が遠くに見える。
速達の手紙が着いてからたった1日でともかく寅はやってきたのだ。凄い!!
運転手に声をかけた寅、一目散にたがみ病院の建物に向って走り出す。
とにかく寅はリリーのために東京から遥か遠く離れた南の島にやって来たのである。その事実がどの言葉よりも重く、
そして嬉しい。寅とリリーの新しい物語が今また始まろうとしている。
たがみ病院 リリーの病室
窓から見えるリリー、眼を閉じている。
廊下から、パタパタと雪駄の音が近づいて来る。
寅の声「リリー! リリー!」
リリー「……!!」
その声にハッとするリリー。
信じられない顔で息をのんで、その声を聞いているリリー。
リリー「……」
寅の声「あ、すいません、看護婦さん、あの、松岡リリーはまだ生きてますか?」
看護婦「ええ」
寅「生きてますか、あ〜!よかった。あの、部屋、部屋どこでしょう?」
看護婦「こちらです」
寅「あ、ここですか、あ、どうも」
松岡清子とは聞かないんだね。寅は松岡リリーとしか覚えていないのかもしれない。
それにしても清子と言う名前は一見リリーには合っていないようだが実はリリーの心そのものだ。
ハイビスカスでは「松岡リリー」、第48作で映るレコードのジャケットでは「リリィ松岡」だったけな。
カーテンを開けて寅、顔を出し、入口近くの女性に小声で尋ねる。
寅「松岡リリーどこにいますか?」
向かいのおばあさんとリリーを間違えると言う軽いボケをかました後、寅は
ようやくリリーと対面する。
はっと振り返る寅。
なんともいえない顔で寅を見ているリリー。
その顔を見つめる顔が和らぐ寅。
寅「リリー」

リリー「フフ…」
あわててその傍に駆け寄る。
寅「何だい…」かわいい声(^^)
寅「お前ここにいたのか。あ〜、よかった。ハハ、オレ今、しわくちゃのババアとお前と間違えちゃってよ」
おばあちゃんに聞こえるよ寅 ヾ(-_-;)
リリー「フフフ」
寅「お前、昔と一つもかわらねえ。安心したよ」
リリー、その細い腕を差し出し、
手を握ろうとする。寅も迷うことなくしっかり両手で握る。
リリー「寅さん…」
寅「うん」
リリー「来てくれたのね」
寅「ああ、お前の手紙見てまっすぐ飛んできたんだけどね、何しろお前、遠いからなあ、
時間がかかっちゃって、遅くなったけど、勘弁してくれなあ…」
リリー、感極まって
リリー「私、うれしい」と、泣き出しながら寅にしがみつく。
寅「よしよし、寂しかったんだろう、一人ぼっちでな。もうオレがついてるから大丈夫だ、え。

寅「泣くな、おい、泣くんじゃないよ、みっともないから、な、」プーッ!
寅も感極まりハンカチを取り出し鼻をかんでしまう。
寅「ヘヘ!」
リリー「フフフ」
この光景を唖然としてポカ〜ンと眺めている同室のみんな。
寅「あ!、そうだおみやげがあるんだい。うん」
寅、カバンを開けながら
おばちゃんがね、フフ、リリーにさ、この川魚の佃煮を作って、
食わしてやってくれって。へへへへ」
リリー「わあ」
寅「これ、さくらから、浴衣着ろってよ。
リリー「……」

寅「これはね、あのおいちゃんと博がトランジスターラジオだって」
リリー「……」
うん、え〜っとアハハハ、裏のタコがくれたよ、いくらも入っちゃいねえだろ。え?」
『御見舞 朝日印刷』
リリー「は〜、嬉しいなあ、お見舞いもらったの初めて」
寅「ああ、そうか、うん、お、まだあるぞえ、これ御前様。御前様もくれたよ」
『御見舞 題経寺』

寅「これは何だ、さくらなんでも入れるからなあ、これエプロン…
あ、オレのフンドシだ、アハハハ」
寅ってフンドシさくらに縫わせるんだよね。第7作参照(^^;)
このようにして寅は瞬く間に、みんなに挨拶をし、看護婦たちとも
仲良くなって行くのであった。
そしてみんなは寅のことをリリーの恋人だと噂しはじめるのだった。
そんなことが嬉しくてたまらないリリー。
リリーはいつまでもたくさんのお土産を胸に抱いていた。
寅はともかくたった一日で飛ぶようにやって来た。
必死で駆けつけてくれた寅の気持ちを、みんなの気持ちを、いつまでも感じ続けたい。
そんなリリーの嬉しさをかみしめる姿がそこにあった。
ちなみにこの寅がリリーに次々とかばんの中からお土産(お見舞い)を出していくパターンは
26年の年月を経て2006年の『Dr.コトー診療所第10話』でコトー先生が星野彩佳さんにしていた。
B【リリーに寄り添う寅の献身、そして退院】
たがみ病院 夕焼け空
カラスが鳴き、蜩がカナカナカナと鳴いている。
赤い夕陽の差し込む病室の一隅で、ベッドに寝たリリーに夕食を食べさせてやっている寅。
枕もとにはお土産のトランジスタラジオがセットしてある。
リリーのテーマがゆったりと流れる。
寅「お、あーん、て、あーん、て」
寅「どうだ、うまいか」
リリー「まず〜い」
寅「まずい?まずくたってがまんして食わなきゃダメだよ、
なあ。そうじゃダメなんだほら、もう一サジ。あーんて、そうそうそう。
な、知念先生が言ってたろ、この病気は心の持ち方が大事なんだ、
生きようと思うことが大切なんだって。な、
あ、ほれ。おばちゃんの作った佃煮、これ食ってみろこれうまいぞ」
っと、箸を口に持っていってやる寅。
寅「うまいだろ?」
リリー、箸を持つ寅の手を握って
リリー「おいしい」
寅「な、…おし、茶、飲むか」
リリー「うん」
微笑んで寅を見つめるリリー。
寅「うん」
寅、深々とため息をつき、リリーを優しい目で見つめて。
寅「あーあ…、…お前も、沖縄まで来て、病気してよ、…
どんな苦労したんだ、ん?」
リリー「フフ…」
何も答えないで、微笑みながら寅の袖を指でいじって遊ぶリリー。
リリー、ふと上を向き、眼を閉じる。
寅「……
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