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寅次郎な日々

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まだ作品をご覧になっていない方は作品を見終わってからお読みください。



                 

「風天」の渥美さんと立ちションをする満男(2008年6月24日)

鵜飼を喉のうがいと間違ったさくら(2008年6月17日)

第32作『口笛を吹く寅次郎』ダイジェスト版(2008年6月9日)

若かりし日の谷よしのさん   風の中の牝鶏(2008年6月2日)

取り返しのつかない津嘉山さんの絵(2008年5月23日)

リリー松岡後援会に奔走する寅(2008年5月14日)

男はつらいよ 13年  〜山田洋次の世界〜(2008年5月6日)

ただそこに美しい花がある(2008年4月28日)

第31作「旅と女と寅次郎 ダイジェスト(2008年4月20日)

FLASHアニメ『寅次郎と宇宙鳥獣 Final』(2008年4月15日)

昨日、新たに谷よしのさんを発見!(2008年4月5日)

次もやる気だった松村達雄おいちゃん(2008年4月5日)

空から見る柴又今昔物語(2008年3月28日)

ふみさんに会いに行かない寅(2008年3月24日)

寅のおでこに冷やっこい手を当てるお母さん。(2008年3月18日)

人呼んで『ヤサグレの寅』と発します。(2008年3月12日)

ああ、運命の『打薬窯変三彩碗』騒動 番外篇(2008年3月7日)

『捨てる作業』の果てにある結実(2008年2月29日) 

ぼたんへの愛をさくらに伝える寅(2008年2月20日)

幻の 渥美版 尾崎放哉(2008年2月14日)

SL機関士寅次郎の結婚(2008年2月4日)



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『寅次郎な日々』バックナンバー







「風天」の渥美さんと立ちションをする満男


「花道に降る春雨や音もなく」



2008年6月24日 寅次郎な日々 その364

ご注意) 下の文章をはじめ、私のサイトには物語のネタバレが多く含まれます。
まだ映画作品を一度もご覧になっていない方は必ず作品を見終わってからお読みください。


昨日からこのサイトに訪問してくださる方々がいつもの10倍に増えているので
いろいろ解析システムを見て確かめてみたら、ヤフーさんのニュース(渥美さんの俳句見つかる)のページに参考サイトとして
私のこのサイトを貼り付けてくれていたのだ。どうりで激増したわけだ。前もこういうことが何度かあった。
しかしこういう時に限って無料カウンターが緊急メンテナンス中とやらで昨晩から全く見れなかったので
実は実感としてはよくわからない。(今はようやくカウンター動き始めた)
でもまあ別会社の解析システムのほうで時間ごとの訪問者数はわかるので安心はしている。

渥美さんの俳句のことは、今までも「風天」の俳号でアエラ句会に出席していたことは知っていたし、
俳句も何十点かは知っていた。
昔の「俳句朝日」にもたくさんの渥美さんの句が掲載されたことがある。

しかし今回の発見は膨大だ。ぜひ早く味わいたい。



ちなみに今まで知られている渥美さんの句で私が好きなもの↓


赤とんぼじっとしたまま明日どうする

村の子がくれた林檎ひとつ旅いそぐ

花冷えや我が内(うち)と外(そと)に君の居て

あと少しなのに本閉じる花冷え

ひとり遊びなれし子のシャボン玉

やはらかく浴衣着る女のび熱かな

うつり香の浴衣まるめてそのままに

幼き日紫陽花の家と場所知らず

ベースボール遠く見ている野菊かな

いく春や誰や名前呼ぶように

晩春や下宿のギターつたなくて

初めての煙草覚えし隅田川

閉ざされし茶亭すだれのほつれかな

すだれ打つ夕立聞くや老いし猫

蛍消え髪の匂(にお)いのなかに居る

団扇にてかるく袖打つ仲となり

月ふんで三番目まで歌う帰り道

蒼き月案内子に命やどすよう

大きめの手袋した子の息白く

手袋ぬいであかり暗くする

股ぐらに巻き込む布団眠れぬ夜

年賀だけでしのぶちいママのいる場末

達筆の年賀の友の場所知らず

乱歩讀む窓のガラスに蝸牛

背のびして大声あげて虹を呼ぶ

お遍路が一列に行く虹の中


 

 
今回の読売新聞によると


「さくら幸せにナッテオクレヨ寅次郎」

「雲のゆく萩のこぼれて道祖神」

「ようだい悪くなり
まくらもと」

「秋の野犬ぽつんと日暮れて」



「花道に降る春雨や音もなく」

渥美さんの晩年の背中がなんとなく見えてくるようだ。いいねえ。





話は変わって、ここ数日第19作「寅次郎と殿様」の本編完全版(前半)を進めているが、
時々緊急の用事が何度か入ったりして、なかなかぐぐっとは進まない。
うーんまだ、多忙が続くので7月3日頃になるかなあ…。

で、この「寅次郎な日々」で第19作「寅次郎と殿様」の小ネタをちょろちょろとまた書いておこう(^^;)ゞ



第19作「寅次郎と殿様」の満男は結構ヤンチャだ。
本編では本堂の渡り廊下で源ちゃんとチャンバラごっこをして御前様に叱られるばかりか、
その御前様の頭をなんとおもちゃの刀でパコッと叩いてしまうのである。
このシリーズで御前様にそんな無謀な罰当たりなことしたのは満男だけ(^^;)

これにはさすがのさくらもびっくりしていた。

ところで、このギャグのシーン、実は脚本の決定稿では本編どおりなのであるが、
『第2稿』の時点まで戻ると、まったく違うエピソードになっている。


第2稿をそのまま書き写してみよう↓

さくらが満男のランドセルを題経寺ニ天門の前で見つけるところまでは本編と一緒。



境内から聞こえる太鼓の音と、
子供がお題目(南無妙法蓮華経)を唱える音。

さくらいぶかしげに山門の中を覗き込む。

山門の裏側に満男と源公が立ち、団扇太鼓を叩きながら南無妙法蓮華経を唱えている。

二人の前に怖い顔をした御前様が立っている。

遠巻きにして見物している子供たちニ、三人。


さくら「どうも申しわけありません。またこの子がなにかやったんですか」

御前様「
源と二人で本堂の裏で小便をしてました

さくら「まあ!どうも申しわけありません。満男なんでそんなことするの」

御前様「
近頃だんだん寅に似てきたねえ。
    血続きだからやむを得んが。

    ―満男君は帰ってよろしい


満男、太鼓を放り出し、さくらの傍へ駆け寄る。

さくら「満男、ごめんなさい、って言うの」

「ごめんなさい」と叫びながら駆け出していく満男。

一礼してさくらもあとを追う。


御前様「源!!お前は、あと百回!」

泣きべそをかきながらお題目をまた唱え始める源公。



と、まあ凄いことをする満男なのだ。


これはこれで面白いし、御前様が寅と血続きだからキャラが似てきたと言っているのも笑える。
満男が逃げた後、源ちゃんが残されて半泣きでお題目を唱えるのも見たかった(^^;)

まあ、この脚本が没になったのは、二人で立ちションはさすがにえげつないと思ったのか、
神聖なお題目を「罰」で唱えさせるのは御前様らしくないと思ったのか、真相はよく分からない。

本編で満男が御前様の頭をポカッと叩くのもやはり笑えるので本編でOKである。

それにしても笠さん、ちゃんと中村はやとくんが叩きやすいように
一瞬頭を止めてあげたように見えるのは私だけだろうか(^^;)


            


そういえば第17作「夕焼け小焼け」で御前様が源ちゃんにホースの水かけまくるスーパーギャグがあるが、
あの時の笠さんは、必死で蛾次郎さんに当たるように集中して狙っていた。
私は、何度も蛾次郎さんが撮り直ししなくていいように、笠さんはがんばって一発で決めてあげたのだと思っている。

笠さんは優しいのだ。



            





本編では、さらにもうひとつ二人がとらやに戻った直後に、さっきのことで怒っているさくらに対し、
満男が、後ろで蝶々結びしているさくらのエプロンの紐をスルスルとひっぱって解いてスッと行ってしまうのである。

この悪戯は現場で決めたものなのだろう。決定稿にも書かれていないからだ。
この『必殺エプロン外し』はなかなか面白かった。お母さんへのこういう悪戯ってこの年頃の男の子やるんだよね(^^;)



                




さて、みなさん、
どうして満男はさくらのエプロンを解くような悪戯をしたかおわかりですか?
つまり満男はニタニタしてはいるものの内心ちょっとふてくされているわけです。



ヒントはその直前の参道のシーンにあります↓(^^)


満男「ねえ、アイス買ってよー」

さくら、怒りながら、満男を振り払うようにオーバーアクションで、

さくら「だめだったら!あんたなんか大嫌いよ」




        




チャンチャン。







第19作「寅次郎と殿様」本編完全版前編は生業&充電期間&野暮用が続いているめ
またもや延びて
7月7日ごろアップの予定です。
どうかまたまた気長〜〜にお待ちください。




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『寅次郎な日々』バックナンバー






鵜飼を喉のうがいと間違ったさくら



2008年6月17日 寅次郎な日々 その363


ご注意) 下の文章をはじめ、私のサイトには物語のネタバレが多く含まれます。
まだ映画作品を一度もご覧になっていない方は必ず作品を見終わってからお読みください。



ここ数日ようやく第19作「寅次郎と殿様」本編完全版作業をまじめに進めている。
帰国やそのあとの多忙が重なって、なかなか着手することが出来なくて、
我ながら呆れていたのだが、
先送りもこのへんが限界だと観念し、ただ今作業を進めている最中である。

基本的に私にとってこの第19作「寅次郎と殿様」の本編作業はとても楽しい。
なぜならばこの作品がかなり好きだからだ。

弾けていて笑いが多く、話題性もあり、渥美さんがやっぱり元気だ。
実は…ベスト24作品を決める時最後まで入れようかどうか
第40作や第45作と一緒に迷った作品の一つだった。


で、このような本編の作業の前に、私は必ず『脚本第2稿』と『脚本決定稿』の2種類を
じっくり読むことにしているのだが、今回もなかなか面白い発見があった。



ちょっと物語を思い出していただこう。

伊予大洲に旅する寅は馴染みの旅館である肱川(ひじかわ)の畔に立つ伊洲屋旅館に逗留している。

長年の馴染みなのでそこの帳場で番頭さんのようなこともしている寅である。
客からの電話に出た寅は「鵜飼」のことが最初分からないで旅館のおかみに
笑いながら説明されるのである。

本編ではこう↓である。


帳場の電話に出る寅

寅「はいはい、こちら伊洲屋(いずや)旅館でございます。
はいはい、はい京都の玉木さん?」

女将さん「今夜は鵜飼(うがい)に出かけてなさるけんど」

寅「今夜は『うがい』で…でかけてます」


      



電話を切った後、寅は女将にこう言うのである

寅「『うがい』か…。しかし変わってるね、その客は、えー、
 わざわざ『うがい』しに表に出かけて行くなんてさ。
 そこの洗面所の奥でもってガラガラってやればいいじゃねえか、ねえ」

女将さん「その『うがい』じゃのうて、ほら川に舟浮かべて…」



寅曰く「あーあーあー!浦島太郎みたいな格好して、
    アヒルの首にあのゴムテープくっつけてこの引っ張ってるやつか


女将さん「ハハハ!」

寅「
あれだろ

女将さん「ハハハ、アヒルじゃのうて、鵜という鳥ぞな」

寅「あ、鵜って鳥か、あれは

女将さん「
アハハ、アハ!

寅「あ、なるほど、大きな魚飲み込むからつっかえて『ウー!!』って言ってるわけだ」

女将さん「ハハハ」と笑いが止まらない。


      



とまあ、こういうギャグなのだが…。


脚本第2稿の段階では「鵜飼」と「うがい」を間違えるのはなんとさくらなのである。
つまり寅がとらやにいるさくらに伊洲屋旅館から電話するのである。

しかし、さくらが「鵜飼」のことを聞き間違えるのも無理はないのだ。
それは伊予では鵜飼(うかい)のことを「うがい」とも発音するために
余計に混乱してしまうからなのだ。

ちなみに伊予の肱川鵜飼は日本三大鵜飼のひとつ。



脚本第2稿ではこうである↓。



伊洲屋旅館 帳場

寅さくらに電話をかけている。

寅「この間のこと謝っといてくれよ。オレもつまんねえことにこだわってさ」



とらや 店

さくら「いいのよ、そんなこと。気にしてないわよ、誰も。
   ねえ今どこなの?遠い所?オオズ?オオズってどこ?」



伊洲屋旅館 帳場

寅「伊予の大洲だよ、
四国だ、四国。
 いい所だぞ、おまえ。
 宿の前に川が流れててな、
 座敷から鵜飼見ながら一杯やろうってとこさ。
 え?鵜飼だよ、鵜飼」



とらや

さくら「『うがい』?どうしたの、風邪でもひいたの?」



伊洲屋旅館 帳場

寅「バカ!その『うがい』じゃねえんだよ、
ほら、浦島太郎みたいな格好して、アヒル泳がしてるのがあるだろう。
あれよ。―おい、電話代高いから切るぞ。分かった分かったそのうち帰る」

受話器を置いてため息をつく。


寅「まったく物を知らない女だなあ…」

女将「あんた、アヒルじゃのうて、鵜という鳥ぞな」

寅「あ、鵜って鳥か、あれは。
 あ、なるほど、大きな魚飲み込むからつっかえて『ウー!!』って言ってるわけだ」

女将さん「ハハハ!」



そのあといろいろあって―。


夜、殿様の屋敷から再度今度はさくらのアパートに電話している寅。

その時もさくらはまだ分かっていないらしく



さくらのアパート

さくら「何言ってんのか分かんないわよ、『うがい』だの『トノサマ』だのって…」
と、首をかしげているのである。


       



ひょっとしたらさくらは根本的に「鵜飼」を知らないのかもしれない…。

もちろんあんな特殊なもの知らなくたってちっとも恥ずかしくはないのだが、
ちょっと意外だったことも確かだった。

結局、山田監督は現場で試行錯誤の後に、
やはり寅が鵜飼ギャグの『ボケ』を一気に全部引き受けたほうが面白いと思ったのである。

こうして本編ではさくらに鵜飼ギャグでのボケの役は回らなかったというわけだ。

チャンチャン(^^)





第19作「寅次郎と殿様」本編完全版前編は充電期間が続いているめ
またもや遅れて
6月27日ごろです。
どうかまたまた気長〜〜にお待ちください。




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第32作『口笛を吹く寅次郎』ダイジェスト版



2008年6月9日 寅次郎な日々 その362


ご注意) 下の文章をはじめ、私のサイトには物語のネタバレが多く含まれます。
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ヤンチャな寅が帰ってきた  物語の復活            


第18作「寅次郎純情詩集
」を最後に、山田監督はアイデアを出し切り、作品作りに悩み始める。
その後もさすがに地力があるので、「佳作」までは必ずこぎつけるのだが、臨場感の弱い場面や過去の作品の
二番煎じ的なシーンが時として若干目に付くようになってくる。二番煎じは必ず一番煎じに劣る。半年に一度の
制作の連続はやはりなかなかアイデアが醗酵しないのだ。半年に一度というのはやはり厳しいサイクルである。
落語なら繰り返し演じることで深みや味や艶がでてくるが、映画の場合は新鮮味が失われ、劣化していく危険性がある。
(もちろん、これは非常に高いレベルでの作品批評、ないものねだり、であって、第19作以降の作品もほとんどが
すばらしい良さをたっぷり含んだ、品格のある作品たちであることは疑いのないことではある。)


しかし、そんな時、第8作で登場した印象深い備中高梁を再び舞台にすることを思いついたことでインスピレーションが
もう一度こんこんと湧き始めたのである。これは博の父親の故郷であり、博たちの故郷でもある高梁ならではの効果だ。
山田監督自身にとっても、この落ち着いた高梁の町は第8作ロケの時もとても印象深いものがあったらしい。
そして、口の上手い寅が、坊主になり、高梁に滞在する。これはもう面白くならないわけがない。
そして当然ながら高梁に滞在しているので博やさくらと自動的に深い縁もできていくのである。
この絶妙の設定がまず成功のポイント。

第15作「相合い傘」が第11作「忘れな草」の助走を経て、大きく花開いたように、この「口笛を吹く寅次郎」は第8作「恋歌」の
懐かしい思い出をベースに、第22作「噂の寅次郎」でのイメージも手伝って、見事に物語の中身もスケールも広がり、
往年の「相合い傘」や「夕焼け小焼け」のごとく躍動感に溢れ弾んでいくのである。

こうして、第32作「口笛を吹く寅次郎」は山田監督にとって、長いトンネルの後青空がスカッと見えるように
起死回生の傑作となった。


           



ベストカップル 朋子さんと寅


「なんと言いますか…、美しさの中に知性を秘めたと言いますか


これは、朋子さんに遭った後、博がとらやで呟くセリフ。


寅の人生なのかでもなかなかあれだけ華を持った女性はいない。
幼馴染の可憐な千代さん。最愛の人であり旅人であるリリー。
青白き月光の輝きかがりさん。
彼女たちに勝るとも劣らない美しい朋子さん。家族想いで、温かな心が見ている私たちの気持ちを
和らげてくれるようだった。


この「男はつらいよ」の中で、真剣に寅に対する自分の愛情を何らかの形で寅にはっきり伝えたのは、
千代さん、リリー、そしてこの朋子さんだけである。


柴又駅ホームで、悲しみで潤んだ目をした朋子さんが首を横に振った時、寅の決意と覚悟しだいでは
恋が成就する正にその時だったのだが、寅がとった行動は……。

今回のマドンナとの相思相愛の別れは私にとってこのシリーズでもリリーとの別れ同様、最も悲しく、
後にまで想いが残ってしまうものだった。それほどまでにこの二人には「物語
」が存在したのだ。


                   


あらゆるマドンナの中で渥美さんとの相性が浅丘さんに匹敵すると言われる竹下景子さん。
渥美さんは、競演中、ずっと竹下さんのことを「お嬢さん
と呼び、実に仲がよかったそうだ。
実際スクリーンを見ても、竹下さんと渥美さんは最初から最後まで見事に息がピタッ!と合っている。
山田監督もそのことを感じたからこそ、後に竹下さんをもうあと二度もマドンナに起用するのである。
浅丘さんを除いて、三度出演したマドンナはもちろん竹下さんだけである。


         

                     


イラストレーション  龍太郎 


                         




本編 ダイジェスト



@ 墓参りをする寅と朋子さんとの運命の出会い

松竹富士山
今回はいつもと違い、シリアスな音楽。

今回も夢から

夕焼け空の中 寅が故郷柴又を想い浮かべている。

故郷柴又を懐かしく思い帰ってみると、そこには偽者の寅次郎が
すでに存在しており寅がいくらオレはここにいると言っても金縛りにあったように
身体は動かず、苦しみまくるという夢。


              


とらや 
青色の世界

台所  

夢なので若干台所の様子が違う。

さくら「おばちゃん、お兄ちゃんまだ帰ってこない?

おばちゃん「
どうしてんだろうねえ〜、
   私たちがこうして陰膳据えて待ってるっていうのにィ


寅、陰で、その姿を見ている。

おいちゃん「
早くあいつに知らせてやりてえよお〜
おばちゃん「
喜ぶよ、きっと、小さな目を糸のように細くしてさ

と、目が糸になるポーズ。おばちゃん相変わらずお茶目(^^)
             
どうやら、寅の婚礼が決まったようなのである。

タコ社長やって来て
社長「
さくらさん!日取りが決まったよ!と意気揚々。

みんな見合い写真を見ながら、この人だったら寅はきっと喜ぶと
超乗り気になっている。

寅も背後に回ってニコニコで写真を覗く。


             


写真はよくよく見るとな、なんと今回のマドンナ!竹下景子さん!

夢でマドンナが出てくる作品は
意外に少ないが、この第32作も写真だけとは言え、
マドンナが夢に出ているんだねえ〜。
マドンナが夢で出て来るのは第27作「浪花の恋の寅次郎」
第28作「紙風船」第33作「夜霧にむせぶ寅次郎」


             


そこへ現れる偽者の寅。

さくら「お兄ちゃんおかえりなさい!

なんとこれまた本編で登場するレオナルド熊さん!

偽寅「さくら元気だったかい。社長景気はどうだい?

寅、自分じゃない男が寅になっているのを見て
怒りが湧いてくる。


さくら「お兄ちゃん、お嫁さんが決まったのよ

ととらや一同で結婚式の衣装や新婚旅行、ご祝儀の話もして
偽寅を囲んでみんなで盛り上がってしまう。


夢とはいえ、メッチャクチャ段取りがいいね(^^;)


             


結婚を祝う音楽でお馴染み 『結婚行進曲』が流れる。
メンデルスゾーン作曲 『結婚行進曲』1842年作曲

そして花嫁とその父らしき人までがいきなり現れ、とらやの店先に。

いきなりやなあ。夢だから何でもあり(^^;)

おばちゃん「まあ、お綺麗な…
博「
兄さん!あの人がお嫁さんです!
偽寅「
やったー社長!と飛び跳ねて喜ぶ。

偽寅も社長も「ウハハハハ〜!!

写真の方と実物と違いますね〜。
これも夢だからOK??


寅、台所から怒って出てくる。

チクショウ!

しかし、金縛りに会い、動きが止まってしまって。
寅「
おい!!
急に声がゆっくりしか出なくなってしまう。
寅、懸命にそれでも訴える。


寅「おい!おおおい、
 ちがう、ちがううう、
 だまされてるよおお、
 オレが寅、とらじろううだあああ…


いやあ、あるあるそういう金縛りの夢 ヾ( ̄∇ ̄;)


             





岡山付近を走る吉備線 

電車の中


寅、長いすに寝ながらうなされている。

寅「あー、あー…

労働者風の男が寅を起こしている。

なんと夢の中の偽寅のレオナルド熊さん!

熊さん「大将、大将…
寅、はっと目を覚まして
寅「えっ、ふあー!と熊さんを見て、驚き、起き上がる。


             


そりゃ驚くよ。夢の中で見た偽寅だもんなあ(^^;)

熊さん「うなされてたようだなあ…
    悪い夢でも見たんかい?
みたみた(^^;)

寅、我に帰って
寅「ありがとう…」と、言いながらほっとする。

熊さん、自分の座席に戻りながら、自分のおかれている状況を嘆く。
弁当を持ち、大事な一人娘に語りかける。
どうやらいろいろ苦労が重なっているようである。

寅、しみじみ二人をいい顔で見て、頷いている。


寅「娘さんかい?
娘さん歌を歌いながらイスの上で可愛く踊っている。

熊さん、照れながら

熊さん「ああ、はは、これは、オレの命いいねえ〜( ̄ー ̄)

どうやら奥さんに逃げられてしまったようである。
嘆く熊さん。同情する寅。



             

娘「フフフ」

寅「あー、可愛い子だ可愛い子だ
寅、娘さんをあやす

オレンジ色の国鉄吉備線が
秋の吉備路を走っていく。



タイトル

男(赤)はつらいよ(黄) (白)口笛を吹く寅次郎 (白)映倫


             

今回の口上は、この作品以外使われていない。後にも先にもこの作品だけ。

口上『大道三間 軒下三寸
   借り受けましての渡世、
   わたくし、野中の一本杉でござんす』


啖呵バイのことだね。


  
 
♪どおせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
   いつかお前が喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
   奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
   今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪


   ♪どぶに落ちても根のある奴は いつかは蓮の花と咲く
   意地は張っても心の中じゃ 泣いているんだ兄さんは
   目方で男が売れるなら こんな苦労も
   こんな苦労もかけまいに かけまいに♪




備中国分寺跡の梅林

総社市上林

今回の歌の間のミニコントは備中国分寺跡

備中国分寺跡の梅林で熊さん父娘とおやつを
食べてピクニックをしている寅。

隣の家族のカメラを借りて寅が父娘写真を撮っては
見たものの、映っている様子を見たくて、
熊さんがついついフィルムをビヨーンと引き出して
しまい、
 おいおい ゞ( ̄∇ ̄;)

全てが
パーになって隣の家族の父親と
熊さんが大喧嘩というナンセンスギャグ。

このフィルム引き出し台無しギャグは第19作でも使われた
古典ギャグ。第19作のミニコントの時は津嘉山正種さんが主役。


           



父娘たちと本村のバス停で別れ、
高梁に向かう寅。

高梁川の渡しを使い、懐かしい高梁の町に入っていく寅。




柴又 帝釈天 二天門前



源ちゃんが日蓮宗の寺男のくせに般若心経を唱えている。

自転車で通りかかったさくら、感心して
さくら「あら、源ちゃん。
   門前の小僧、習わぬ経を読む

源ちゃん、さくらにかまわれて嬉しそう。



とらや 店

台所で、博とおいちゃん、おばちゃんが暗い顔。
おばちゃん「さくらちゃん、博さんと社長喧嘩したらしいんだよ
さくら「えー?

博の言うぶんには、社長は古いお得意さんにしがみついている
だけで、足元を見られて赤字の仕事を引き受けているということ。


タコ社長、愛想笑いしながらやってくる。

タコ社長は、博に、なんとかこの仕事だけはやってくれと、頭を下げるが…

博「今まで何べん言われたかなそういう無茶を。
 段取りがみんな無駄だ。

 長期的な展望というものが全く無いんですからねェ

タコ社長は、涙目になりながら、

社長「わかったよ。へッ、どうせオレは無能な経営者だよ。
 止めますよ、止めりゃいいんだろお!
 なにもやりたくてあんな工場やってるんじゃないんだよ、
 みんな叩き売って、借金払った残りは
 退職金としてくれてやるよ!


と仰々しいジェスチャーで泣きながら威嚇

社長「オレは一文無しになって、ウエエ…、カバン提げて
  寅さんみたいに、フーテンして歩くんだよ、ウエエエエン


と、泣きながら工場に戻っていく。


             


一同シーン

おいちゃん「思い出しちゃった、寅のこと…

さくら、下を向きながら微笑む。

そこへ、いつものパターンで寅から電話。
電話 リーン

おばちゃん「はいはい、とらやです。あら!寅ちゃんなの!?


おいちゃん、ステン!と転ぶ。

久しぶりに出ました、おいちゃんのステン転びギャグ。
第14作「子守唄」第17作「夕焼け小焼け」などでステンと思いっきり転んでいました。






備中高梁 

紺屋川のほとり
 紺屋町美観地区

日本の道百選の通り。


第8作にも出てきた白神食料品店の斜め向こうにある
黄色い公衆電話
なんとプッシュホン!寅にしては珍しい。

寅「おう、さくらか、ん?みんな元気でやってるか?
 そうか、うん。

 オレ?オレはあれだよ。あのー、
 備中高梁ってところにいるんだよ。そうよ、博の
 おとっつぁんの故郷だよ。


諏訪一郎(ひょういちろうさんと寅は第8作「恋歌」で、
この高梁の実家で数々の思い出を作った仲なのだ。
「りんどうの花」の話はあまりにも有名。



              第8作のリンドウの花のシーン
             


寅は、備中高梁までやってきたので博のお父さんの墓参りをしようと
思い立ったのだ。

それで今墓の名前をさくらに聞いているというわけだ。


            


この先縁ができる白神食品の
ひろみちゃんが10円玉を笑いながら入れてやる。
そんなこと、このときは二人とも知る由もない。


さくら「もしもし、蓮台寺だって


            


寅「あー、そうそう、思い出した思い出した。
 えー?、いつ帰るかって?
 そうよなあ〜、
 まあ、これから、出雲の方へ出て、米子、鳥取と、
 フラフラと秋の風に吹かれて歩いてるうちにゃ、
 いずれ柴又へ着くでしょう、エヘヘヘへ



さくらが電話を切った後、ちょっと気分が良くなる博だった。
お父さんのことを寅が今でも気にかけてくれたのが嬉しいんだね。



気分一新、
博は工場へ戻って、仕方なく社長の赤字仕事を
開始する。

感謝で一杯、またもや涙でうるうるのの社長。


             





高梁 蓮台寺(本当は薬師院) 墓地

ゆったりとした音楽が流れる。

諏訪家の墓に参っている寅。


寅「はあー…、

 先生、
 しばらくだなあ。

 オレだよ、

 寅だ。


 覚えてるか?


            


水をかけ、ウイスキーをかけ、線香を焚く。

寅「葬式には来れなかったんで、

 今頃やって来た


寅も、ウイスキーをかざし、そして飲む。

寅「オレは元気だよ。

 相変わらずのフーテン暮らしで、
 嫁さんももらえねえけどな。

 これは持って生まれた性分でしょうがねえや
 ヘヘヘ。

 博はちゃんとやってるからな



寅、枯葉を取り除きながら

寅「さくらとも仲良くやってるし、
 なんの心配もいらねえよ


しゃがんで手を合わせ拝む寅。

この静かな墓参りのシーンは
なんとも味わいがあった。

何度見てもいい場面だ。



寅、お寺の水桶の場所に戻って

汽車の音


寅「さあ…って、柴又へでも帰るか…

おいおいおい、さっき電話で、
出雲に出て、米子、鳥取と行く
ってさくらに言ってたんじゃなかったのかい ┐(´-`)┌



はるか下から和尚さんが
ふらふらよろけながら上がってくる。
それを眺めている寅。

法事で飲みすぎてしまったらしい。

朋子「お父さん、大丈夫?

和尚さんは2代目おいちゃんの松村さん!

朋子「
ありゃりゃ!あ!やっぱり酔うとる。はい

と、腕を抱えて上がっていく。

朋子さんの「ありゃ」はこの物語での口癖。
何度も出てくる。柔らかくてとてもいい響きだ(^^)

ヨタヨタ抱えられながらゆっくり上がっていく。

寅、朋子さんを見て、
すぐ眼から
ハートマークが飛び出した。

(o ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄▽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄o)


             


朋子のテーマが流れる。


風呂敷包みを落としてしまう和尚さん。
朋子、風呂敷包みに気付いて

朋子「あ、どうしよ
寅拾う。
朋子「あ、ど、どうも

と朋子さん手を出すが、
寅はなんと風呂敷包みを渡さないで抱え込む!

朋子「…?だよね(^^;)
寅「わたくし持ちます いきなりかよ ゞ( ̄∇ ̄;)

和尚さん、手すりでゼイゼイになりながら

和尚「お参りかな?
寅「はい、諏訪先生のお墓へ
和尚「おー、諏訪先生のお知りあいかの
朋子「そいじゃあ、遠方から?

竹下景子さん、当時高熱下がったばかりでがんばってらっしゃいます!

             


寅、目からハート乱射(^^;)

寅「はい、…東京から
朋子「あらと、和尚さんを見る。

和尚「おー、そりゃまた遠くから。
  ちょっと、寄っていきんさい、ヘヘヘ
ラッキー!

と、手招きし、上がっていく。

ちなみに諏訪一郎(ひょういちろう)さんの知り合いは
北海道にもたくさんいるだろうね。


和尚「ヘヘヘと上がっていく。
朋子、笑いながら
朋子「どうぞ
寅「は…、でもやっぱり私、急ぎますから…
と、いいつつ目は「おじゃまします!」と言っているぞ ヾ( ̄∇ ̄ ;)
朋子「それでもお茶のいっぱいくらい

寅、一歩下がって
寅「でも…ご迷惑だから
寅、それなら風呂敷渡せよな(−−)
朋子「父もそう言うとります、ね、どうぞ
寅、ニコーっと笑って
寅「そうですか!
朋子「ええ、どうぞ


             


と上がっていく。
寅、俄然元気に溌剌と、
階段を意気揚々と上がりながら
寅「それじゃ、ほんとうに一杯だけ
 いただいて、すぐ失礼しますから
無理無理(^^;)

と、すぐ朋子さんを追い越し、上がっていく。
寅、小声で、振り向きながら


寅「それだけですから、どっちですか?
 いきましょ!はい
とニッコニコ(^^)

スタスタ上がっていく。

たまらんなあ〜、この露骨な態度。
なんの節操もない。
瞬殺的に決まっちゃったんだね。┐(-。ー;)┌





夕闇迫る美しい高梁川

母屋の居間

和尚と寅の笑い声

もう、相当二人とも出来上がっている。
サッポロビール、日本酒がいっぱい。


寅はレントゲンギャグで和尚と朋子さんを笑わせる。

寅「医者が言ったねえ。
 『
きみい、レントゲン撮る時は、
 笑う必要ない
って
 ハハハハハハ!


和尚「ハハハハ!


             


寅「いやだけどね、レントゲンだって、
 あれ、にっこり笑って写した方がいいと思うの。
 だって
明るく撮れるもの、そのほうが

和尚「そりゃそうじゃあ、ハハハ」 おいおいゞ( ̄∇ ̄;)

朋子「ハハハ、そんな…フフ

寅、箸振り回しながらこのあと、第8作「恋歌」での「泣いて〜!」
思い出し、またもや二人を笑わせるのだった。


寅「黒いの着て。その時、私がねえ、
 写真撮る役になっちゃったの。
 で、キャメラ持ってジーッと見た時、
 ついうっかりさ、『はい!笑って』と
 こう言っちゃったんだ



             

和尚「うわハハハハ!
朋子「フフフと我慢し切れなくて笑っている。

この第8作「恋歌」
博の母親の葬式でのエピソードは、
第13作「恋やつれ」で、歌子ちゃんとらや
訪問の時も、茶の間でなんと博がしゃべっていた。
           
       
第8作の記念撮影のシーン              笑って〜!
          


和尚「坊主も笑うたんじゃろその時

寅「これがね、糞食ったような坊主だけどさ、
 ニコーっと笑ったね、金歯出して、ハハハ!!


相変わらず凄い表現(^^;)

でも、ちょっと待てよ…その時の坊主って、
この蓮台寺の和尚さんのことじゃないの?
和尚さんも爆笑してるけど
ひょっとして自分のことだったりして。あちゃ…
( ̄∇ ̄;)



車の音


息子の一道が、帰ってきたのだ。

この一道君は、写真をやりたいのだが、父親は当然寺のあとを継いで欲しいと思っている。
かなり、この親子は険悪な関係に陥っているのだった。


寅、そっと朋子さんの近くに顔を近づけて


寅「親子関係うまくいってないの?
朋子「そうなの」と少し呆れている。
和尚情けない顔をして
和尚「んんん、情けない話しじゃのう、
  あんた。偉そうに仏の道など説いてまわっとるが、実は、ふ…、
  たった一人の…息子すら、よう育てんのじゃ、このわしゃあ、うううう

と情けない顔で泣き、そのあとひっくり返って寝てしまう和尚(^^;)


             


柱時計が時刻を打つ。10回 (10:00pm)

寅「あー、こりゃどうも、なんだかバカっぱなしをしているうちに、
  すっかり長居しちゃって


と、帽子を手で持ち、おいとまのフリをする(^^;)

朋子「あの、よろしかったら、今夜は家にお泊りになりませんか?
寅「いえいえ、これ以上ご迷惑をおかけするなんて、とても
朋子「そのつもりで、もう床も敷いてありますからよっしゃああ!(^^)/
と、ガウンをかけなおしてやる。
寅「え? まんまとやったね寅 v( ̄ー ̄)ノ
寅おどおど。
朋子「広いだけが取り得の家ですけん。どうぞ


と、お銚子を持って台所へ。
寅、かしこまって正座して
寅(無声音)「はあー、…
と、腕時計を見るふり見るふり(^^;)
朋子、振り向いて
朋子「今、熱いのつけますから
あああ、寅いい気になっちゃうよ( ̄∇ ̄;)


             


寅、幸せ一杯の顔をして、
帽子を手遊びしながら
寅「それじゃ、ほんとに一晩だけ
と、至福の声。ニッコニコ(^^)



             





A居座り続ける納所坊主寅の活躍


翌朝 早朝

朝霧が立ち込める高梁川の川辺で
撮影をする一道たち。


シューベルトの「鱒」
この曲は第12作「私の寅さん」でも使われていたね。


             



高梁の町

蓮台寺 母屋

寅が上がり口に、旅支度を整えて座っている。

朋子、気づく。

朋子「
ありゃ、どうしたんです?、こげえなところで
寅、すっと立ち上がって
寅「ゆうべはどうも、遅くまですいませんでした…
朋子「もう帰られるん?
と、少し淋しそう。
寅「
は、お茶一杯のつもりが、泊めてまでいただいて
朋子「あ、ええのよ、そんな遠慮
と、家に上がって、
朋子「今すぐ朝ごはんの支度しますけ、
  せめてごはんだけでも

と、上がり口に朋子さんが座る。
うーん、これが日本文化なのでしょう。
お客さんをもてなす時の作法でしょうか。

寅「はい、そのお気持ちはありがとうございます。
  が、キリがありませんから

朋子「どうしてぇ?


             


寅「はい、朝ごはんをいただいた後に、
 食後のお茶を飲みながら、バカっぱなしを
 しているうちに、すぐお昼です

朋子「ええ…と小さく頷く。
寅「『おそばにしますか?おうどんにしますか?
『そうですねえ、おそばでもいただきましょうか』
そんなことしているうちに、三時のおやつですから。
薄切りの羊羹にお薄をいただいているうちに、今度は夜です。
『もう一杯どうですか?』『いえいえ』、

二杯が三杯、四杯、またこちらへ泊まるようなことになります。
それじゃ
キリがありませんから」
朋子「そこまで考えることはない思いますけど…ないない(^^;)
寅「いや、考えちゃうんですね、性分としてだね(^^;)
朋子「へえ……

この長いギャグは第2作「続男はつらいよ
使ったギャグのアレンジ版。

    


それがいけねえんだよ。
一杯が二杯になり三杯になる。
団子が出るか、また茶を飲むか、
そのうち酒になるじゃねえか。
オレは一杯や二杯じゃすまねえぜ、
気がついた頃にゃ、
お銚子がずらっと並ぶ。
さあ、もう腰がたたねえねえ。
いっそのこと、泊まっていくか、
(寅、大きく手を上げ、)
カラスカーァと鳴いて朝になる。

おはよう!

『またお茶をください!

二杯になる三杯になる。
団子が出るか、酒を頼むよ、どうする?
オレは旅に出れなくなっちまうじゃねえか」


おいちゃん「何もそこまで考えなくていいじゃねえかよ

以上第2作「続男はつらいよ」のシーンでした。



寅「それじゃ、失礼します

朋子「名残り惜しいわ、なんやら…

寅、振り向いて
寅、ちょっと、もじもじして、
寅「とうとうお会いできませんでしたけれど、
  
ご主人にもよろしくどうぞ         

出た!寅のさぐり( ̄∇ ̄;)
必ず既婚か未婚か確かめるんだよな。

第8作「恋歌」でこのパターンが
最初に使われていた。




朋子「ありゃぁ〜…
寅「はい?

朋子のテーマが流れる。

朋子「私…出戻りなんです…と恥ずかしそうに下を向く。

             


寅、センサー全快!!眉がピクッっと動く ( ̄▽ ̄)
微妙〜〜に喜んでいる。
寅「え?

                !!!!!
             


朋子「いっぺん結婚したんですけど、
  事情がありまして…


ともじもじしている。


             


表からタクシーの運転手さん、やってくる。

関敬六さん、今回はポンシュウではなく、
タクシーの運転手さん。

ハンコ屋さんの法事に出れないでゲーゲーゲロを吐いている和尚さん。
朋子さんは困ってしまっておろおろ。


朋子「えええー!今頃そげいなこと、
  あああ、えらいことやなああー
あたふた。
和尚「えらいこっちゃ〜〜」 確かに┐(~ー~;)┌

朋子、顔に手をあて、お手上げ状態。
和尚もゲロ吐いてお手上げ状態(^^;


寅「お嬢さん
朋子、寅を見る。
寅「私が代わって参りましょうおいおい(^^;)
朋子「…あ、あなたがぁ?
寅「はい。私にも責任があります。
 門前の小僧習わぬ経を読む。
 私、お寺の前で育った男ですから。


お寺の前でって…それだけでできるのか?(^^;)

朋子「はあ…
寅「法事の真似事くらいなんとかなります。
 余ってる衣ありませんか
ほんまかいなゞ( ̄∇ ̄;)
朋子「あ…はあ…おいおいそんなことさせるなよ ヾ(^^;)

と、言うわけであっという間に『偽坊主』の出来上がり(^^)


メインテーマがテンポよく流れて


タクシーが高梁の町を走っていく。


後部座席で寅がそれらしく座っている。

すでに坊さん気取り。


寅「あ、運転手さん
運転手「へい
寅「仏様はいくつでなくなられたかな?
すでに完全に役になりきってる。すご…( ̄、 ̄;)


             


運転手「九十二です
寅「ほおおー

紺屋町美観地区の中に入って、昨日寅が電話をかけていた
白神食料品店の前を通って行く。



堤章玉堂印鑑に停まる。

寅、降りてきて

寅「あ、は、代理を務めます納所坊主でございます

ちなみに「納所坊主」とは、寺務所会計・庶務係として
下働きしている僧や見習のお坊さんのこと

ハンコ屋「おお
寅「不慣れな点は、どうぞご容赦願います
ハンコ屋「そんな、かまやせんが、
   ありがてえところを
ちょろっ
   やってくれりゃあそれでええのじゃ。
   上がってちょうでい


第11作「忘れな草」のラストでもおいちゃんが「ありがたいところだけ」
と言っていた。


ハンコ屋「おーい!納所さんみえられたで




蓮台寺 居間

寅のカバンと帽子が映る。

一道「大丈夫かな?あげな人父さんの
  代わりにやってェ。寺で修行したこと
  なんかないんじゃろ?

朋子「だいたいあんたが行かないけんとこよおー。
 なによ、偉そうに文句なんか言うてえ!
 『すいません、僕がお寺を継げばこげな迷惑
 かけずにすんだのに』って、それぐらいのこと言うたらどう?

一道「オレに当たらんでもええがな…

と、言いながら、自分は大学をサボってカメラ旅行の準備をしている。
お金がなくなるまで伯耆大山の紅葉を撮影したいそうだ。

朋子呆れながらも、箪笥の中からサイフを取り出す。
朋子2万円置いて 甘いよ朋子さん…(TT)
朋子「そげいなことばっかりしよって、
  学校のほうはどうするの?



             

朋子「授業はとうにはじまっとるんじゃろ?
一道「
朋子「お寺を継ぐか継がんかいう問題はお父さんと
  あんたの問題じゃけん。二人できちんと話しんさい

一道、頷いて、2万円持っていく。
朋子「お互いに口を利かんでなんでも私に言わせて。
  そういうの卑怯よ

一道「わかっとる


お勝手の戸が開く。

白神食品店のひろみが入ってくる。

ひろみ「お早うございますと、ビール持ってくる。
一道「うっす!

             


一道、依然撮ったひろみの写真を見せる。
一道「これ、できたで
ひろみ「わー、恥ずかしい!こげに大きい写って」と、写真を見ていく。
一道「ニキビ修正しといたほうがよかったかな
山田監督って意地悪(TT)


でも、この二人なんだかしっかり仲がよさそう(^^)
出発直前にひろみちゃんんぽ水着姿の写真見せて
面白がるやんちゃな一道でした。


一道、ひろみのほうに
水着姿のひろみの写真
を見せる。

一道って…( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∇ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄;)

シューベルト「鱒」が流れる。


            


ひろみ、振り向いて、ちらっとその写真見て

ひろみ「あ、私だ!そらそうだ(^^;)
いったいあの写真いつ撮ったんだ??(^^;)

と写真を奪おうとするが、一道は運転席の前においてアクセルを踏む。
ひろみ「ちょっと、一道さん、やだ、やだ、いけんよー!
    ねえ、返して、ねえ!

と言いつつちょっと嬉しそう(^^)
ひろみ「ねえ!いじわるう!
と走り去るワゴン車をの窓をたたく。
ひろみ「えっちいー!!まあまあ(^^;)
ひろみ実に嬉しそう。一道の気持ちを確信したようなもんだものね(^^)




紺屋町(美観地区)

その後自宅の白神食品店て元気に手伝いをするひろみちゃんだった。

寅が法事をしているハンコ屋さんはすぐ橋向こう。


           


なんと、第8作「恋歌」でも同じアングルから撮影がされている。
白神食品店もその近くの店も
12年の年月を経て模様替えをしていた。
右端にハンコの堤章玉堂が見える。

       ↓
            
第8作「恋歌」
           



ハンコ屋の中から

南無大師遍照金剛。。。の声
蓮台寺は真言宗だからね。
一同 「南無大師遍照金剛、  南無大師遍照金剛

寅よくお経が読めたなあ…、っていうか
よくばれなかったなあ…。

だいたい柴又題経寺はご存知日蓮宗、
ここは当然真言宗(^^;)
普通読めんよ。困った〜…。

ま、とにかくお経終わって

寅「よし!
寅、お経の後、座りなおして、手を合わせる。
一同「
ありがとうございますと、お礼 
大杉侃二朗さんと谷よしのさんの姿が見える。
今回は大部屋のみなさん備中高梁の町の方に扮しています。


寅「えー、おばあちゃんは九十二歳の天寿をまっとうしたと
 伺っております。
 本日この七回目の法要に、かくも大勢の関係者が
 集まられるということで、個人の人柄が偲ばれます。


一同、お辞儀

寅「人間この世に生まれて来る時もたっった独り。
 そして、死んでいく時もたっった独りでございます。
 なんと寂しいことではございませんか


急に目を見開いて、手を上げて、

寅「天に軌道があるごとく、
人それぞれに運命の星というもを持っております。
とかく子の干支ォのかたは
終わり晩年が色情的関係においてよくない!

一同ぎょっとする。

未(ひつじ)の女は門にも立たすな。蛇の女は執念深い。
それってバイの口上だよ ヾ(^^;)

一同ポカ〜〜〜ン だよな(^^;)


             


奥様、失礼じゃが、あなた眉と眉の間、
すなわちこの
印堂に陰りがあるそのネタもいつものパターン(^^;)

周りの人たち、彼女の顔をシゲシゲと眺める。

寅「
ということは、ご主人の浮気で
 泣かされている相であります


全くいつもの啖呵バイの易者バージョンそのまんま(^^;)

ハンコ屋のオヤジ、呆然
奥さん、口あんぐり。

寅「ご主人、なかなかの二枚目でございますな
ハンコ屋「は???
寅「あなたと指をさす。
後の男性客「
ズボシやズボシ
一同大笑い。
谷よしのさん笑い爆発。

          
             


ハンコ屋のオヤジ、タジタジして、きょろきょろ
奥さん「和尚さん、お見通しじゃあなあ
一同再度大爆笑。
ハンコ屋「あほ!わしゃ遊びはもうやめとるよ
奥さん「うそ!うそ言いんさい!
寅「あなたがやめてもおなごがほっとかんでしょう
上手いねえ〜(^^)
一同さらにさらに大爆笑

ハンコ屋「無茶言うて…!
こうして、寅は法事の来客を笑わせ煙にまいて、
まんま
と成功するのだった。

             


こうなったら完全に寅のペース(^^;)

しかし、この笑い話の前に、ちょこっと真っ当な
しみじみした話をさわりとして入れるところが
寅が素人じゃないところ。
面白い爆笑ネタを言うだけではないのだ。




蓮台寺

蓮台寺の石段で箒で掃除をしている朋子

タクシーが停まってハンコ屋と寅が出てくる。
ハンコ屋「いやいやいや楽しかったなあ
運転手も笑って出てきた。
寅「お父さん、また頼むよ、ハハハ
二人とも笑って盛り上がっている。上機嫌で帰っていくハンコ屋さん。


それにしても長門勇さんは岡山県出身の俳優さんなので
実にネイティブ!(当たり前)(^^;)


ハンコ屋「いやいや、おかげさんで、ええ法事させてもろたわ。
  この納所さんの法話のありがたいこと、ヘヘヘ



             


朋子「
あーよかったぁー、うまいこといったんじゃねえ〜と安心顔
寅「ええ、まあなんとか

朋子のテーマ

と、二人石段を上がっていく。
朋子上がりながら

朋子「ねえ
寅「
朋子「どないな話しをされたん?
寅「いやあ、口からでまかせですよ確かに(^^;)
朋子「なんか…フフフ、面白そう、ハハハ
寅「ハハハ
朋子「ハハハ」と無邪気に笑う。

その朋子の横顔をまぶしく見ている寅。


             


この瞬間から寅は一目惚れから、
本惚れに移行していったねこりゃ。





B法事で寅と遭遇し苦悩し続けるさくら

柴又参道

川千家の前をさくらと満男が早歩きでとらやに向かっている。


なんと、偶然にも、博のお父さんの法事が備中高梁であるのだ。
今回は大きくなった満男も両親に同行。




とらや  店

さくら「あー、遅くなっちゃって、…!あら

御前様が源ちゃんを連れて見送りに来ている。

おばちゃん「御前様がわざわざお見送りに来て
    くださったんだよ

さくら「まあ、おそれいりますとお辞儀。
おいちゃん「はやいもんだねえ、もう3回忌かあ、ねえ
さくら「うん
おいちゃん「博さん、お兄さんやお姉さんによろしく

お姉さん????
おいおい、博にお姉さんなんか
第8作の母親の葬式の時はいなかったぞ(@@;)


おばちゃん「さくらちゃんも大変だね、末っ子のお嫁さんだからおばちゃん年の功(^^;)

一同 笑いながら納得

と言うことで出発する諏訪家の3人でした。

店先まで出て、見送る一同

おいちゃん「いい天気だ
社長「
楽しい旅だといいねえ
御前様ぱったり、寅と会うたりしてえ…
う〜ん鋭い!
おいちゃん「は…
御前様いや、冗談冗談、ハアア!ハアア!ハアア!

といつもの御前様笑い(^^;)
源ちゃんもいつもの指差しヒヒヒ笑いで去っていく。


             


おばちゃん「まああ、お人が悪い、フフ
おいちゃん「悪い冗談を、フフ…どうも、フフ
社長、大笑い。

御前様のお告げでした(^^;)




高梁  蓮台寺


寅が納所坊主の格好で鼻歌を歌いながら
境内の砂に線模様を描いている。

♪ラララララララッタンタンタンタン、
 ズンチャカチャ、ズンチャ、チャチャ、
 花摘むうう野辺に
 陽はあああ落おおちいいて、
 ペロペロペロぺ、ポンポンポン♪


「誰か故郷を思わざる」

昭和15年(1940年)作詩西條八十、作曲古賀政男
霧島昇の歌でレコード化され、大ヒットした。
           

高梁と言えばあの「誰か故郷を思わざる」だよね。
第8作「恋歌」の博の父親
 諏訪一郎(ひょういちろう
と寅のやり取りの名シーンだ。
今回もやはり寅は同じ歌を口ずさんでいる。



高梁  武家屋敷通り


博の父親の実家の前
父親の実家の門を眺めている長男の毅
向こうの方に特急「やくも」が走っていくのが見える。


            
      

第8作「恋歌」では、同じ線路を蒸気機関車が煙を立てながら
力強く走っていたことを思い出す。
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                   第8作で寅たちの横を走るSL
           


岡村邸(博の父親の実家に使われた)



ゆったりと音楽が流れる。
毅、門を開けて、痛んだ扉を触っている。

この博の父親の実家は、第8作で博の母親が亡くなった時に
長い時間ロケされていた。岡村邸は広いの敷地面積を持っているので
維持が大変そうである。第32作では土壁などが修復されていた感じ。



      第8作で岡村邸の門の中に入っていくさくら          第8作で酒を買うために外に行