バリ島.吉川孝昭のギャラリー内 


第1作 男はつらいよ

1974年8月3日封切り








6月28日『松村達雄おいちゃん』名場面集

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「浴衣きれいだね…」ただそのひと言に込めた思い。

遂に第13作「恋やつれ」である。この作品は第9作の続篇だ。同一マドンナの続篇を作るということは、観客が第9作を観ている
という前提に立っている。これは山田監督の大変な自信の表れだと思う。柴又慕情を観た人は必ずこの作品を観るだろう、という
確信が無ければ怖くてできない。それくらいこのシリーズがいよいよ世の中に広まってきたということだろう。

歌子ちゃんは実は48作以降でも作られる予定だったらしい。なんと吉永小百合さん3度目の登場となるはずだった。観たかった(TT)
山田監督にとってリリーと歌子ちゃんは特別な存在だったのだろう。ある意味この2人はこのシリーズの大きなテーマをそれぞれに
背負ったキャラクターだったことがこの『同一人物の続篇設定』で分かる。歌子ちゃんの場合はリリーのような「放浪と定住」のテーマ
というよりは第12作で表現した「女性の自立の問題」がさらに進化したかたちで突きつけられることになる。人が働くということはお金の
ためだけではない、幸せとはなんだろうか。という難しいが根本的なテーマをひとりの普通の女性が悩みながらも考えぬき、決断し、
その現場に飛び込んでいく話だ。

『先のことはどうなるか誰にも分からない。今自分がやっていることが正しいかとか幸せかなどと考える余裕はない。ただいつ日か
そのころのことを振り返って、あの日々は幸せだった。と心からそう言えるようになれたら…。』と、彼女は働きながら考えていくのである。
寅次郎の惚れたハレタも楽しいが、マドンナが真摯に人生に立ち向かう姿もこのシリーズのなかでなんら不自然ではなく同居できる
テーマなのだ。

吉永小百合さんは第9作のときよりもいっそう美しく、演技もより集中力があったように思う。第9作から続いている甘く優しい
歌子のテーマ曲は今回も吉永さんを温かく包み込んでいた。これほどマドンナと曲のイメージがピタッっと一致するものはなかなかない。
山本直純さんの名曲。これ以外ではリリーのテーマ曲と、千代のテーマ曲も名曲だ。

そして第9作から解決できていない問題である「父娘の葛藤」もさらに一歩進んで表現している。お互いが歩み寄ることの難しさ、
そして歩み寄る勇気の尊さを、かなりの比重で描いている。歌子ちゃんと父親がとらやで泣き崩れるシーンはこのシリーズの屈指の
名場面だと言えよう。

また、この作品がおいちゃん役最後の作品となった松村達雄さん。父と娘の和解を見て喜びのあまりくしゃくしゃに泣きはらした松村さんの
顔がとても印象的で、あの名場面を一層忘れがたいものにしていた。あれは松村さんのキップのいい強い演技がポイントだった。


また、この作品では実は歌子ちゃん以外にもうひとりマドンナが登場する。これもきわめて珍しいパターンだ。温泉津(ゆのつ)で知り合った
絹代さんである。この絹代さんの話は、夢の部分や、ラストの部分、そして歌子ちゃんとの再会の部分に全て関連している。本当は絹代さん
の話だけでも一話作れるのでは、と思うので、あんなにさっさと失恋させてちょっともったいないような気がした。しかし、ふたつのハラハラが
楽しめてまあ、それはそれでよしとしよう。

絹代さんとは結婚まで考え、そしてさくらとタコ社長をお供につけたあげく失恋したのだから、大掛かりだ。その直後に歌子ちゃんと会うのだが、
短い間にふたりともにあからさまな恋をするとしたらさすがに無理があるし、面白くもない。 ということは設定的に寅は今回は絹代さんに恋をし、
結婚まで考え、歌子ちゃんには恋心は心の奥に押さえて、彼女の自立を応援し、見守った。といえよう。「無私、無償の、人間としての大きな愛情」
とでも言えばいいのかもしれない。

このような心を寅が持ちえたのも第9作という土台があったからだ。歌子ちゃんに惚れ、失恋し、別れたあの第9作のそのはてにようやく持ちえた
「無償の人間愛」。2作品同一マドンナの意味がここにある。この感情の芽生えはその後このシリーズの大きな財産になっていった。

それに今回は先ほども書いたように第9作から続いている父親との和解の問題があり、その問題の解決後も歌子ちゃんは最終的には大島の
養護施設にすぐに働きに行くのである。彼女のあまりにも真摯な自立への苦悩の中からは浮ついた恋愛話、結婚話などは出る隙さえも無い。
再婚による幸せなど全く考えないで自立したひとりの人間としての幸せをまず選んだ歌子ちゃんはとても魅力的で輝いていた。

そして、ラスト付近。唯一、あの花火の夜の歌子ちゃんを見つめる寅の目だけが、この物語が「恋の物語」だったのだと私に思い出させてくれる。
そして、だからこそよけいに、彼女の後姿に向かって「浴衣きれいだね…」とそっとつぶやいた寅の言葉が胸にいつまでも切なく残るのだとも思う。
こんな純粋で少年のように穢れが無い言葉を寅からつぶやかれたマドンナはこのシリーズの中ではたして他にいただろうか。私は記憶に無い。





今回も夢から入る。

桜の花が満開の海岸

♪金襴緞子の帯しめながら〜のメロディが流れる。

花嫁人形
蕗谷虹児 作詞
杉山長谷夫 作曲


金襴緞子の 帯しめながら
花嫁御寮は なぜ泣くのだろ
文金島田に 髪結いながら
花嫁御寮は なぜ泣くのだろ
あねさんごっこの 花嫁人形は
赤い鹿の子の 振袖着てる
泣けば鹿の子の たもとが切れる
涙で鹿の子の 赤い拡にじむ
泣くに泣かれぬ 花嫁人形は
赤い鹿の子の 千代紙衣裳



タコ社長夫妻が仲人をして、花嫁道具を持った人々が階段を上がっていく。
寅次郎が結婚をするらしいのだ。


この夢は本編への橋渡し的な役目を果たしている。


タコ社長の奥さんはいつもの水木涼子さん
第1作「さくらの結婚式」、第6作「社長の茶の間」、第33作「アケミの結婚式」、
にも水木涼子さん同じ役でしっかり登場。


階段の上に上がりきると、なんとそこはとらや




                        





さすが夢だ。なかなか幻想的

寅、店のテーブルで下を向いて座っているさくらを見つけて

寅「さくら!」
うつ向いて哀しげなさくら

はっと寅に気づき、寅を見る。
寅「さくら、アンちゃんとうとう嫁さんもらったぞ!ほら、この人だ
花嫁さん「お姉さま はじめまして」っと頭を下げる。←どこの誰か全くわからない??

寅「どうした!おいちゃん、おばちゃん!?」
さくら、黙っている。
寅「何かあったのか?」
さくらが寅に何か言おうとしたその時博が
博「兄さん!遅かった!
寅「ええ!?

三味線ペペペペぺ…ペンペン

寅「そうか、じゃあおいちゃん達は!
博「去年の秋、ふとしたはやり病で枕を並べるように二人とも…

ベンベン

博「兄さん、なぜ、なぜ、もっと早く帰ってきてくれなかっった!?
さくら、泣く
寅、走って茶の間へ

ペンペンペンペンペン

博「兄さん!」

戸を開けるとそこは茶の間でなくなんと秋の風吹く墓場。
源ちゃんがほうきで地面の落ち葉を掃いている。
う〜む、シュールリアリズム!(− ー;)


カラス カア〜カア〜カア〜カア〜

源ちゃん寅を見て手を合わせて拝む。



 
                    





土葬の墓には『車竜造の墓(竜造菩薩}』 『車つね(つね菩薩)』の文字が見える。
おいちゃんそういえば第5作「望郷篇」でも夢の中で死んでたなあ…(^^;)

シューマンの トロイメライが流れる。

寅「おいちゃんおばちゃんオレだよ!分かるかい、寅次郎が帰って来たんだよ。
今度はひとりじゃねえんだよ。
嫁さん連れて帰って来たんだ。
オレが帰ってくるたんびに早く
嫁もらえ早く所帯を持てって心配してたじゃねえか。だから嫁さんもらったんだよ。


さくらと博後ろに来ている。

寅「おいちゃんとおばちゃんの喜ぶ顔が見てえと思って。それなのに…うう…
どうして死んだんだ。なんで死んじまったんだよ。


ゥう。。。と泣きじゃくる

寅さくらの方へ寄りかかって泣く
さくら「お兄ちゃん



                    



反対側の博のほうへも寄りかかって泣き
兄さん、しっかりして…

またさくらの方へもたれかかって泣き、うずくまって泣き崩れる。
さくら「お兄ちゃん、…お兄ちゃん…」

電車の音が聞こえてくる



電車の中で寝ている寅


寅、隣のおばさんにもたれかかっている。
おばさん嫌がって跳ね除ける。





                    





このおばさんは、テレビ版で寅の産みの親を演じた個性派武智豊子さん

反対側に寄りかかって今度はおじさんのほうへ。
おじさんにも嫌がられる。こちらもほとんどの作品でおなじみ吉田義夫さん


武智豊子
明治41年生。小柄な身体としゃがれ声を売り物に女エノケンと称された超個性派。
自分の一座も昭和13年に6月に江東劇場にて旗揚げしている。
戦後は女優として様々な映画、テレビドラマに活躍した。昭和60年没。




両方に押されて寅ようやくふにゃふにゃと目を覚ます。

電車の音が鉄橋を渡っていることを寅に分からせる。
寅「あ!!江戸川か!?あ〜〜鉄橋だこれ

寅「あは!おじさん、柴又乗り越しちゃったよ!アハハハ」
おじさん、ブスッ

寅「お姉ちゃん、柴又乗り越しちゃったよ!アハハ…」←「お姉ちゃん」って言うか(^^;)
おばさん、ブスッ

車内アナウンス「次は国府台(こうのだい)国府台でございます」

寅、ブスッとして口尖らせながら「戻りゃいいんだ戻りゃ!
                              

島根の温泉津(ゆのつ)からは普通は、山陰線で出雲まで行き、
出雲から横浜までは11時間かかる「
寝台特急出雲に乗る。
しかし、寅の気質からしてそういう長距離の「寝台特急」に乗る
とも思えないので、ルートはもっと複雑になり、もっと疲れる。

ローカルな夜汽車で疲れきってついうとうとしたんだろう。

それで、京成高砂駅で「京成金町線」に乗り換える所を
そのまま
国府台で行ってしまったわけだ。国府台で下りた後は
千葉県側を
江戸川沿いにず〜っと歩いて里見公園の横を通って
『矢切りの渡し』
まで行き江戸川を渡って帝釈天に行き、
門に登って提灯付けしている源ちゃんをつかまえて、かばん持ち
させてとらやに到着ということかな。




タイトル



                    




男(赤文字)はつらいよ(黄色文字)寅次郎恋やつれ(白文字)
バックは今回も第12作同様お馴染み江戸川土手

口上「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎、
人呼んでフーテンの寅と発します。



   ♪どおせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
   いつかお前が喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
   奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
   今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪


   ♪どぶに落ちても根のある奴は いつかは蓮の花と咲く
   意地は張っても心の中じゃ 泣いているんだ兄さんは
   目方で男が売れるなら こんな苦労も
   こんな苦労もかけまいに かけまいに♪



寅が矢切りの渡しに乗って千葉から柴又へ帰ってくる。

このように寅が矢切りの渡しを使う場面は少なからずあるがなかなか情緒が
あって好き。ゆっくり江戸川沿いを歩いて矢切りの渡しまで行き、
渡し舟をあえて使って帰郷の雰囲気を味わいたいという気持ちはよく分かる。





             




江戸川河川敷ではラジコン飛行機を飛ばしている青年がいて寅が興味を持つ。

寅、例のごとくちょっかい出してラジコンのツマミいじって、困らせたり、カップルにぶつかって、自分のでかい
温泉津からのお土産とカップルのかばん間違えたりするミニコント。




               





帝釈天 参道近く

満男がおもちゃ屋さんの店先でおもちゃを見ている。
さくら、後ろから歩いてきて「ダメダメ」
満男「買ってー」
さくら「
ダァ〜メッ←この言い方面白い。


            


源ちゃん、門に登って提灯吊るしている。
このあとすぐ寅と出会うことになる源ちゃん。


木屋の提灯、川千屋の提灯。
この2つの店は羽振りがいいからね。


とらや


満男「ただいまー」
さくら「こんにちはー」
おばちゃん「おかえり〜」

さくら、ちょっと笑って「いつも暇ねえ、このお店は
おばちゃん「あら、言うねえー、さっきまで忙しかったんだよ

おいちゃん寝巻姿でボー

さくら「何よおいちゃん今ごろ起きたのォ〜」
おばちゃん「なんだか知らないけど、
    明け方
変な夢見て寝付かれなかったんだってさ

おいちゃん「変な夢じゃねえよ。いい夢だよ

さくら「おばちゃん、陽がさして来たから布団干しとくね
おばちゃん「あー、すまないね

さくら、布団片付けながら「ねー、どんな夢見たの?

おいちゃん「寅の奴が帰えーって来たんだよ

さくら笑って「フフ…お兄ちゃん元気だった?

おいちゃん「それが、いつもと違ってさ元気いっぱいでなんだか
     幸せそうな顔してさ、ズカズカっと
     俺のところへ来てこう言いやがったんだ。
     『おいちゃんよ、長い間心配かけたけど
結婚したよ』って

さくら、笑って「あらあら←この反応いいね〜!

その間も布団干したり片付けたりしている

おいちゃん「まあ〜オレそれ聞いたらオレゃ胸がいっぱいになっちまってさー。
    そりゃー良かったなって一言言ったら、あとは涙よ。


さくら「フフフ…それで?

おいちゃん「そしたら、あいつに起こされちゃった

さくら「ハハ!←このちょっと過激気味の反応もいいね〜

まあそれにしても今回はしょっぱなから『結婚』の夢続きだね、
これはなんかあるぞと、いやでも思わせる山田演出!

おばちゃん、テーブル拭きながら「だってさー、寝ながらしくしく泣いてるんだもんこの人
さくら「いや〜ね
おいちゃん、ハッとして「おい!
さくら「え?
おいちゃん「夢枕って言うけど、まさかそれじゃねえだろうな
これじゃ寅が死んだことになってしまう?(^^;)


おばちゃん、やめろ、というしぐさ。

さくら「嫌なこと言わないで

おいちゃん「でもさ、おまえの親父が死んだとき夢枕に出たんだぜ

さくら、座って「本当?

おいちゃん「おう!

おばちゃん「白い着物着てね枕もとに立ったんだってよ、あんたのおとっつあん
と言いながら幽霊のかっこうするおばちゃんってお茶目(^^;)
                            


                 


さくら「へぇ〜
おいちゃん「オレが何か用かい?って言ったらね、寅とさくらのことは
     よろしく頼む。特に寅の奴は生まれつきバカだから心配で仕方ねえ
     って哀しそうにそう言ってさ…す〜っと消えちまったんだよ


さくらおいちゃんの肩揉んでいる。

ところでこの、おいちゃんの発言から考えて、長男さんは
お父さんの前に死んだんだということか。
そうでないとすると夢枕の父親は長男の名前も出すはず。
長男はかなりの「若死に」だったんだなあ…。
この秀才の長男さん、第1作のオープニングのナレーションと
さくらが持ってる家族写真で出てきたきりで、一度たりとも
48作品の話題にしっかりのぼることは無かった。寅の留守中の
とらやの中でさえ、ほとんど聞いたことがなかった。謎のお方だ。
さくらや老夫婦は彼の思い出がないのか?



おいちゃん「目が醒めたら汗びっしょりよ。う〜ん
さくら「そんなことがあったの?
おいちゃん「うん
おばちゃん「お兄さん、未だに成仏できないでいるんじゃないかねえ・・
おいちゃん「おりゃあ寅の奴を甘やかし過ぎたのがいけねえんだよなあ

寅が家出する時実の父親は、まだ元気だった。
それゆえ、寅はおいちゃんに育てられたわけではない。
寅は父親とさくらのお母さんに育てられたのだ。
三十後半になってようやく故郷に戻ってくるので、
おいちゃんのせいではない。しかし、ここ数年は、寅は
おいちゃんたちの影響下にあるのも確か。


満男「
バーバ←おばちゃんのことを「バーバと呼んでいる!
おばちゃん「なあに?」

さくら「すいません心配かけて

おいちゃん「何いってんだいお前、へへ…

満男「げんこつ山のたぬきさんおっぱい飲んでねんねして抱っこして
  おんぶしてジャンケンポイ!
かわいい〜(^0^)

               ねんねして                 ジャンケンポイ!
               




玄関で寅と源ちゃんがパッと姿をあらわすがすぐにくらます。



おいちゃん「カアーーー!帰ってきたよ!あのバカ!
    つね知らん顔しとけ知らん顔


おばちゃん「あいよ


おいちゃん「こうやってまた甘やかしちまうんだよなァ…


寅っていつもこう。
長らくのご無沙汰でちょっと照れてるんだよね。分かる気がする。




女子高生の団体が店先に入ろうとする。
女子高生たち「あっちあっちのほう行く・・・なぜ!?(‐ ‐ ;)

寅と源ちゃん後ろについて来たのでまた目立つ

寅「
あっちの方・・・とまた行きかける。
さくら「お兄ちゃん!
寅「え!?あ〜〜!あ、なんだいこの家だよ
あんまりごぶたさしたんで家忘れちゃったよ。はは・・どう?みんな元気?



                

   


さくら「うん
おばちゃん「あ、お帰り
さくら、おいちゃんに「お兄ちゃんよ
↑おいちゃん笑って振り向いたら寅もう通り過ぎてて
また振り向いて、
松村さんミニギャグ(^^;)

おいちゃん「お、おう、寅か!へへ、へへ
寅「どうしたい元気ねえじゃなねえか
おいちゃん「うーん俺も年だからなと四つんばいで歩いてくる。
寅「そんな威勢の悪いこと言ってもらっちゃ困るよおいまだまだ長生きしてくれよ死なれちゃ
 困るんだからな俺は
と言って源ちゃんへ
寅「おう!ちょっとそれかせ。これ土産だけどみんなで分けてくれどん!とデカイ包み
さくら「え?

社長「おう寅さんじゃないか
寅「おう社長どうしたい不景気なつらして相変わらず営業は不信か
48作中、タコ社長はついに一度も快調なことは無かった
社長「ひどいんだ
寅「ヘヘへヘ・・

さくら包みを開けてビックリ

さくら「あらー!

おばちゃん「まああ
さくら「おいちゃん見てこれ
おいちゃん「あーこら豪勢だ
↑確かに今回は駅前の土産とは相当レベルが違うよな。
ところで寅の土産のここまでの最高記録は第4作、
ワゴンタイガー
万馬券)で儲けた100万円かな?
まあ結局はハワイに行けなかったけど・・・。
その後この記録を塗り替えた土産が「あじさいの恋」の
『加納作次郎作、
打薬窯変三菜碗うちぐすりようへんさんさいわん)』と
「旅と女と寅次郎」の『京はるみの付けていた
エメラルド指輪

おばちゃん「あら!まあ〜!美味しそうなお魚!
と昆布や干し魚の真空パックを手に持つ。

さくら「どうしたのこれお兄ちゃん

寅「女将が持たしてくれたんだよ
マドンナが女将!?第3作の二の舞か!?


さくら「女将ってどこの・・?さくら、ドキリ!
寅「旅館のよ
さくら「どこの旅館?
寅「温泉津(ゆのつ)
さくら「温泉津って?←分からんよね普通。
寅「島根県よ
社長「島根県て言うと・・・←知ってろよそれは (;´▽`)
寅「鳥取の向こうだ
社長「鳥取という…とぉ・・・←だめだこりゃ
おいちゃん「島根のこっちだよ←意味ねえ〜 (  ̄□ ̄;)
寅「そうそう

さくら目をパチクリさせて「じゃあお兄ちゃん、島根県の温泉津って所の旅館にいたの?
寅「そう、温泉旅館だ
店先に来た女性客の声「ごめんください」
寅「はいはい」と返事。
客「お団子下さい」
寅おばちゃんにどうぞと言う合図
おばちゃん「あ、はい。どうもずいません」
客「五百円のを一つ下さい」
おばちゃん「あはいはい」

さくら「その温泉で何してたの?
さくら不安げ。もしそこで働いていたなら、
近くに必ずマドンナが…。







寅のアリア『温泉津番頭篇』



寅「朝、目が覚める。
耳元で波の音が
パシャパシャパシャパシャ




             波の音がパシャパシャパシャパシャ
            




寅「雨戸をカラッと開けるパアァー!っと
一面目にしみる様な青い海。
これが日本海だ。なあ社長
←社長は分からないよ(^^;)


        
           パアァー!っと一面目にしみる様な青い海
               


       

社長、口をポカーンっと開ける←この反応最高!


寅「ああ、今日一日ももいいお天気でありますように。
新鮮な空気を胸いっぱいすーーっと深く吸った時、
下から女中さんの声が聞こえる




       ああ、今日一日ももいいお天気でありますように
             




寅「番頭さん朝ごはんですよ

            番頭さん朝ごはんですよ
          




おいちゃん「なんだいお前番頭やってたのか

寅「そうだよ。『あいすぐ行くよ』そう答えておいて
 ポンポンポン
っと布団をたたむ。
 
トントントントントーンと階段を下りて
 ガラッと湯殿の戸を開けてザブーンっと朝風呂に入る

(布団の仕草が特に絶品!)




              ポンポンポンっと布団をたたむ
           

             トントントントントーン階段を下りて
           

             ガラッ湯殿の戸を開けて
           



寅「身も心もさっぱりした所で朝ごはんですよ。さっきまで
 生きていたイカの刺身!ね!
 こんなどんぶり山盛りだしょうがを
パラッとかけて
 醤油を
ツルツルッとたらし一気にパアーッと食っちまう。
 あとはアジのたたきに新鮮な卵



社長、パブロフの原理で唾を飲む


            醤油をツルツルッとたらし
            



寅「これで朝ごはんをたっぷり頂いて、さあ仕事ですよ、ね!
女将のいたわりの声『
ご苦労さんだね番頭さん

リュウマチババアの声を後にして、
まず土間をパッパッパッと掃いちゃう。
打ち水を
サッとして表の道路まで出てサッと水を撒く。
そこへ近所の女が
スッと通りかかる。
お、お絹ちゃんこれからお出かけかい?』『ええそうよ』
『そうかい気をつけてなケガをしないように』『はいどうもありがとう』

『じゃいっといで』『行ってきます』

そんな所で午前中は終るかなァ・・・




                 『じゃいっといで』
              




さくらが『リュウマチババア』の部分で
ホッとするところがなんともいいねえ−。


しかし、起きてからまだ1時間半ぐらいしかたってないぞ。
ほとんど仕事してねぇ〜 (- − ;)
〜〜〜






社長「で、午後はどうなる?←タコ社長指を突き出して乗りに乗っている。

寅「うーん、午後はまあ、海岸の散歩かね楽なもんだ・・( ̄ω ̄;)
社長「ほう」
寅「うーん海ってのはいくら見ても見飽きねえからなあさくら
さくら「あ、そうね

寅「うん、寄せては帰す波の音ザブーンってねえ。
俺ァ昔から不思議なんだけどさあ、どうして風も無いのに波が
ああやって立つかな、あれはきっと沖のほうでね誰かが
こんな大きな洗濯板で
ワリワリワリワリこうやって
オレ波立ているんじゃねえかなって
そういったらさ
お絹ちゃんがね、
寅ちゃんっておもしろいこと
言うわねホホホホ・・・

ハハハハハ・・・』『ホホホ・・』『ハハハ・

↑もうここで一同ドッキリ!さくら不安げ。

源ちゃん「ガハハハ・・
満男「キャハハ・・キャハ・・
寅「ホホホホホ・・・』あ!俺忘れ物してた!おいちゃんにね
っと思いっきり源ちゃん顔にカバンのフタを当てる。
カバンの当たる音ガゴッ!源ちゃんのけぞる
↑痛い!これは痛い!(≧0≦ ;)

満男「キャハ!キャハ!っと満男にウケまくり!

さくら「大丈夫?

大丈夫の分けないって(TT)

何回リハーサルしたんだろう?
源ちゃん、役とはいえ「源ちゃんもつらいよ」だね。



寅「温泉津の焼き物。あいよ!

おいちゃん「いいのかいそんなものもらって・・あら!

おばちゃん「まあ〜安くないよ。どうもありがとう

おばちゃんは、高い物や偉い人には弱い


寅「いいんだよいいんだよ。ふ

寅「お絹さん所でね焼いてんだよ、うん。」
さくらたち、それ聞いていよいよ不安。

あ、源公お前にもなにか土産な・・ねえな…フッフッフッ、
せんべい。これ余ってるな

↑源ちゃんそんなに嫌がってない(^^;)

源ちゃん、鼻に手を当ててる。痛そう。


さくら「あのねお兄ちゃん、ちょっと質問なんだけど
寅「なんだい?
さくら「お絹さんってどう言う人
←やはりさくら、ポイントは外さないね。

寅「えっ
寅「・・・お絹・・?絹代ちゃんか…
それはほらつまりー・・・まあいいじゃねえかよそりゃあ

でました名前!!


この「絹代ちゃんか…」のひと言に寅の気持ちが現れている。
相手に対する柔らかな気持ちがよく出ていた。


寅「そうゆうことは、ね!バシャン!
っと勢いよくカバンを閉めて源ちゃんひっくり返り
せんべいが空中に浮き落としてしまう。

寅「いずれ晩飯の時にでも発表すると言うことにして、
おばちゃん夜汽車で疲れちゃったい二、三時間上で
休ましてくれや、な!


おばちゃん「あ、いいよ」
寅「さくら
さくら「え?
寅「御前様にわかめかなんか持ってってくれな、
 社長おまえもなんか好きなもんあったらもっていきな


社長「あ〜、どうもどうも

寅「源公今日はご苦労さん」と階段に上がる
寅「あ、さくらあのー・・今晩博な
忘れずに呼んどいてくんねえか
大事な発表もあるし…。
アー疲れたなあ〜。思ったより疲れたな
←意味ありげ



            



社長早くも間に受けて体を乗り出してくる!

おいちゃんポケ〜!しかし正気に戻り、


オッ!オイ!ハア見てんじゃないだろうな
俺な。あのー今寅何て言った?

↑おいちゃん冷静さを完全に失ってる。正夢か!?

さくら「いや、お絹さんてどういう人って聞いたら今夜発表するって
おいちゃん「ほんとにそう言ったのか!?
さくら「うん
おいちゃん「本当か!!
さくら「本当よ←さくらも同じ穴のムジナ
おばちゃん「ちょっとどうする!?首をぷりぷり振りながらあたふた。


テンポのいいメインテーマ流れる


おいちゃん「落ち着け落ち着け!そいじゃあ最初ッからな順序どうり話してみろよ
そのおきぬさんてのは何してんだい?
娘か!?

落ち着けよおいちゃん ヽ(´〜`; )


とらやご一同、超希望的観測
現実がごちゃ混ぜ状態で進行中





朝日印刷

社長、走って入ってきて「大変だい大変だい!おい博さん!
寅さん帰ってきてな今夜
重大発表するってよ
↑おーい、大事な発表だよ。

            

博「エッ!重大発表!?もう顔が喜んでる・・・
社長「おめでたい話らしいんだよ!うわ!Σ(・0・;)

社長「あー忙しくなってきた!←仕事しろよな。(-_-#)

光ファィバーなみの速さを持つ柴又限定の社長の伝達能力。



題経寺(帝釈天)境内

さくら御前様に温泉津のお土産を渡しに行く。


さくら「御前様、先ほど兄が帰ってきまして…」
御前様「ん、今これに聞いたとこじゃが、
 嫁さん
が決まったそうだねぃ〜


さくら「いえ、まだ決まったってわけじゃないんですけど…

御前様「ん?

源ちゃん知らん顔

さくら「源ちゃん!あっちこっちで言いふらさないでちょうだい!

源ちゃんピュ―って逃げる。

ってなこと言いながらさくらももうその気に
なっているような…。ていうか、さくらはいつでも
寅の恋愛話や結婚話に関しては盲目的。
でもそこがいいんだなあ〜。なんだか愛しいよね。
第7作「奮闘篇」などでもその傾向が顕著。






八百満

百満のおかみさんよかったねー、あんたも安心だねー、これで
っと白菜を計りに乗せる。

瞬く間に言いふらす柴又の人々。(^^;)


前回の第12作でも八百満のおかみさんとおばちゃんこの手の会話してた。
あん時は「
玉葱」だったかな。もっともあの時は結婚でなく心をいれかえ
改悛したということだったが。


おばちゃんありがとう←まだなにも決まってないって (^^:)
「いい人だといいねー。」
おばちゃん「そうなんだよ。なにしろねー、まだ顔も見てないからねー
っとキュウリを選んでいる。
おばちゃん「あ、三河屋さん!あとでビール1ダース持って来てぇー!」
あー!おばちゃん、可愛い寅のことになるともうどうにも
止まらない!って感じ。知らねーよ、オレは。

観客も含めて、マドンナの顔まだ見てないぞ。
どうなってるんだ、こりゃ?



夜 帝釈天

鐘を撞く源ちゃん

ゴ〜ン


とらや茶の間

(カメラは暗い店から遠く茶の間全体を撮っている)
暗い中、茶の間と台所をカメラを引いて撮影することによって、
何か起こりそうな緊張感のある場面になっている。
みんな、寅の登場を今か今かと待っているのだ。


さくらとおばちゃんとても嬉しそうに料理盛り付けている。

こういう時間って幸福なんだよね。もうすぐなにかいいことがある。
その直前の至福ってやつかなあ。


さくらとおばちゃん、「
ウフフフ←つい、陽気になっちゃってる。
さくらとおばちゃんのこの笑い声聞いだけで、
もう切なくなってくるよ。ほんとにいいことあればいいけどね。



博工場から戻ってきて「
遅くなっちゃった
さくら「
あ、おかえんなさい
博「
お、ご馳走だなあ…。これ社長から前祝だって、フフフ」っと日本酒
さくら
え〜
ゴ〜ン
おいちゃん
見ぃろよ、この夫婦茶碗源ちゃん物凄く気が早い(^^;)
「おお…」


              


おいちゃん
源ちゃんがな、わざわざお祝いに持って来てくれたんだぜ
へ〜っと博も手にとって眺める。
おばちゃんそれと、このウイスキーねえ、前祝だって御前様
御前様も寅のことになると、結構盲目的なとこあるかも(^^;)困ったァ〜!

へー、御前様が?まるで結婚式だなあ、ちょっと早すぎませんかね、ハハ

『ちょっと早い』どころじゃないよ博、
柴又中誰も疑ってないよこれじゃ。おーこわ(^^;)


一同「フフフ
タコ社長入ってきて、「はい!みなさん、おめでとうございました!
っと両手を広げる。

さくら、照れながらも、「社長さん、お酒、どうもすいませんでした
このようなさくらの発言聞くたびに胸が締め付けられるよ、ほんと。
やっぱり疑ってないんだね。



社長「いやーハハハ」

社長「それよりまだかい、重大発表は?
さくら「もういいんじゃない?
冷静を装っているが、さくらが実はその重大発表を
一番聞きたがっているんだよね。
いままで苦労したからね〜


おばちゃん「
そうだねえ
おいちゃん「
社長、上がれ上がれ

珍しく社長が座敷に上がってみんなと一緒に過ごす。


さくら「
お兄ちゃん、お兄ちゃァ〜ん、ご飯の支度できたわよ〜

社長「
いよいよ、真打の登場
か!

真打(しんうち)


御神刀を作るとき、あらかじめ二本、或いは複数本作るのが昔は通例で、
その中で一番出来が良い物を『
真打』(しんうち)と言い、残りは『影打』として、
死蔵したり他人に譲ったりしたそうだ。


現在は落語家の世界でよく使われ、もっとも上手な落語家に与えられる名称。
いわゆる一人前とされる肩書き。
「師匠」と呼ばれ、弟子を取ることもできるようになる。
また高座に上がる順番も最後のとりになり、大ネタを掛けられるようにもなる。 
真打の昇進の際は、大がかりな披露目興行などを行う。 

寅の場合、落語の「真打」と同じ使い方で待ちに待った本命の人、という意味。



一同「ハハハ」

寅の下りて来る音

社長「お!」と言って拍手。みんなも笑いながら拍手。

ここまでの長いシーンを一貫して暗い店内からのアングルで
押し通してた。ある種独特の緊張感をもたせるための演出。


ぱっと画面が変わって寅がうちわを持って
階段をニコニコ下りて来る。


みんな大歓迎
拍手

寅「
よ!博
博「
元気でやってるか
博「
なにか、就職がお決まりになったそうで、よかったですね
さすが博、そっちのほうから入っていくか。
徐々に核心へと…って言う感じだね(^^)


寅「
ハッハ〜、ありがとう、あ、どうも」と博にビールを注がれる。
おいちゃん「
それじゃいいか、それじゃな、

寅の就職と健康
を祝って、な、乾杯!
一同「
カンパーイ!!
寅「
どうもどうもどうも
寅「
あー、美味い!
一同「
フフフ…
こわ〜い約2秒の沈黙


なんとなく一同また「フフフ」「ヘヘへ」


寅二コーッと笑って、うちわパタパタ


極度の緊張感
がとらやの茶の間を支配


あの兄さん

なんだい?

この度はおめでとうございます
何が?
社長またまたー!!ハハハ!
さくらほら、お兄ちゃん、昼間お絹さんっていう人のことで
あとで
発表するって言ったじゃない

え…、あ、そぉお?そんなこと言ったっけかなあ…
さくらねえ、どこの人?」さっき聞いただろ・・・
おばちゃん山陰の人かい?
社長島根
さくらあ、そうか←この時、さくらが頭に手を当てるのがいい!
年はいくつですかね、年は?
おいちゃん、力んで美人か!?出た!(^^;)


              


おばちゃん「またあんたはすぐそういうこと気にするんだから
↑確かに!「いい女だなあ!」や「色っぽい!」やら色々言ってる。
博「
おじさん顔の事なんか聞いたらまずいですよ
おばちゃん「何言ってやがんだい大事なことなんだぞ!←おいちゃんにはな。
おばちゃん「
だいたい女っていうとすぐ美人かどうか気にするんだからね
↑ということは、おいちゃんに気に入られたおばちゃんは美人だ。

さくら「
それじゃ、話が進まないわ
写真かなんかないですか、写真があるといいんですけどね
博も『美人か否か』に感心アリ?

さくら「
お兄ちゃん、島根県の人なの?、ねえ

おいちゃん
ほんとは美人だろ!?

おいちゃんの「美人か!?」から、おいちゃんの
「ほんとは美人だろ!」までみんながほぼ一斉に
ごちゃ混ぜで言葉を飛び交わせていた。


寅はずっと黙って、背中だけが映っているのが
なんとも可笑しかった。



社長「
いや〜!ま、待った待ったァ〜!
  それじゃあさ、寅さんも答えようがないよ。
」と割って入る。

寅、うちわで、顔の半分かくして逃げ腰。
社長「
誰か代表を決めて質問しなきゃ。代表…
っと指で見渡して、「
代表だ代表」っと博を指す。
おいちゃん「
そうだ、博おまえやれ
博「
あ、そうですか…、それじゃあ僕から。。

寅、顔隠したまま

まず。。、名前はなんですか?
さくらお絹さん
そう、絹代さんっていうんだよ
あー、そりゃいい名前だなあ…
↑悪い名前ってあるか?
おいちゃん
メモしてメモして
寅、うちわで隠した顔からおいちゃんのほうをチラッと見る。
さくらがメモ帳をとり、おばちゃんが消しゴム付き鉛筆をさくらに渡す。
絹代さんはいくつですか?
そうねえ…三十五か六、そのあたりじゃないかな
初婚ですか、それとも再婚?
子供が二人いるよ
すると死に別れ?

「…違う寅、また顔半分隠す。

社長じゃあ、生き別れか?社長の大好きなネタ「離婚」「失恋」「不倫」・・等
今から三年前に上方に仕事に出たまま行方知れずよ
社長そうかあ…蒸発っていう奴だな
おいちゃんよくあるやつだよ
博、うなずく
社長かわいそうになァ…、残った二人の子を抱えて健気に働いてるってわけか

「そうよ、細い体で薪しょったり、泥をこねたり、なりふり構わず真っ黒けになって
 働いてるんだ。そのくせ、人には優しい心の持ち主だからなあ…。
 誰だって悪く言う人がいるわけやねえ


一同納得して、黙る


兄さん…その人を幸せにしてあげなくちゃいけませんよ

社長、頷く

ありがとう

おばちゃん「
寅ちゃんにピッタリの人みたいだねえ…

さくらほっとしながら下を向いて「うん」と微笑む
さくら、油断するな、まだ決まってないぞ…


なあさくら、オレももうそろそろ惚れたハレタの年じゃねえしなァ。
社長、頷く
ここらあたりで所帯を持つんだったら、まず何よりも、さくらやおばちゃんや
 おいちゃん、博にたちに気に入ってもらえる人が一番だとそう思う。
 それでオレはこのことを一時も早くみんなに知らせようと思って休暇を貰って
 帰って来たんだよ


さくらそうだったの
おばちゃん、感無量で「
よかったね、さくらちゃん。いつかはこういう日が
   来るんじゃないかと夢に見てたんだよ
目がウルウル

おいちゃん
よかった、ほんとによかったよ。みんなで乾杯しよう。それじゃ!
兄さんの幸せのために
ありがとう

一同「カンパーイ」

おいちゃん「あ、そうだ、兄貴に報告しなくっちゃ」っと仏間に。
何かというと兄貴だ、「平造さんが…」とか言って死んだ親父さんのこと言うけど
死んだお母さんのことはどうでもいいのかな?長男さんには報告しないのだろうか?


社長
で、どうする?これから

さくら、一度兄さんと一緒に会いにいったらどうだ?

おいちゃん、仏壇の戸開けながら「
そうだ、それがいい。そうしろ
社長そうだ、オレも行けるんだよ、近く大阪に行く用時があるんだから
そうでしたね

おばちゃん社長さんが一緒だったらさくらちゃんも心強いよ

さくらそうね

社長、いろいろとすまねな。
社長いや、いいんだいいんだ。
 でね、
式のさ、日取りなんかはどうなってる?
手帳をひろげて、黄色いめがねをかける。

何の式?

結婚式ですよ


              


…?…あ、式? ああ、そんなのはまだだよ

社長
「あ、そうか結納が先か、おばちゃん、消しゴム1ランクダウン(^^;)
さくら
絹代さんとはどんな相談してるの?そういうことは
いや、別に…←とらや一同に暗雲が…
さくらでも…約束はちゃんとしてるんでしょ
社長婚約か..」と手帳に書く。2ランクダウン(--;)
約束って?
さくら結婚のよ
あ〜…、それは、まだだ…
一同唖然。3ランクダウン(_ _;)

博、気を取り直し

博「
しかし、なんというか、お互いの間に
暗黙の心の触れ合いとでも言うか…


形式にこだわらず、心の内面を探る博。粘るねえ〜


              


???なんだいそれは?←だろうね。
社長
早い話しがさ、暗い所で手を握るとかさ分かりやすすぎ(^^;)
バカヤロウ、てめえじゃあるまいしそんなことするかい
バシッとうちわで社長を叩く。


しかし、例えば、第三者を通しての
好意の確認とか…
←分からんってそれじゃ(^^;)

わかんないわかんないよ」と首をふりふり

さくらでも二人っきりで散歩くらいはしたことあるんでしょ…?
↑もうこうなると『最低ライン』だけは確保したいさくら(TT)


二人っきりで会ったことなんかないよ
あ〜あ〜あ〜(T T;)/~~~

↑最低ラインを遂に切った・・・

じゃあ、なんですか、絹代さんとの
間にはなにもないんですか、まだ!?

さすがの博も声のトーンが変わる。


当たり前だろ、おまえ←よく言うよ…

さくら、愕然として
ほんとに!?なんにも!?

さくら超ショック。。。。(T T)

みんながついに事実を知った瞬間だった


うるせえな!しつっこいんだよ、おまえたちは
とまわりを睨みつける。


寅、社長のほう見て「
なんだよ」っとそっぽむく。

間があって

社長、
手帳放り投げて、「なーんだぃ、ちっと脱力
               



              



おいちゃん、仏壇の前で、「
お粗末な重大発表だったね…

さくら、うつむいて頭抱えている。(T T)
さくら可哀想…

なんだよ、何が気にいらねえんだよ

さくらそうじゃないのよ、あの、絹代さんとの間にね、
もう少し進んだ話があるんじゃないかって
私たちが勝手に思い込んでたもんだから…

そうなんだよね。超希望的観測がこの場を支配していた。

だから、オレが言ったじゃねえか、まず何よりも
お前たちが気に入ってくれるかどうか
それを確かめるために帰ってきたんだって

↑まず何よりも絹代さんの
 気持ちだよ普通は!(^^;)



さくら
うん

おいちゃんだから、早い話がお前のいつもの岡惚れなんだろ、
   そんならそれと最初から言ってくれりやあね、
   別の相談だってあったんだよ。

  っと満男のおもちゃの青い刀を持って自分の肩をトントン。

おいちゃん、当たらずとも遠からず。


社長
うん、そうそう

そうそう?何だお前他人の家へノコノコ上がりこんできて
お前どこのどなた様なんだ。え?

↑寅逆ギレ!

社長
何を言うんだよ

あっ、なんだお前さんタコ
さくら「お兄ちゃん」
社長タコとは何だよタコとは

何でい!

おいちゃん寅!お前が悪い謝れ

冗談言っちゃあいけねえ何で俺がタコに謝るの

社長この野郎!

おばちゃん寅ちゃんちょっとあんた、そら言いすぎだよ
「何だよ」
おばちゃんいつだってね、このタコちゃんは
  あんたのことを
出た〜!おばちゃんワールド!

社長タァーコちゃん!?
おばちゃんまで俺のことをそんな!

おばちゃん慌てて、口を手で隠す

アハハハ!こらおもしれえや!

おばちゃんごめんなさい

おいちゃん笑ってる

社長
うるさいなてめえ!社長、寅を突き飛ばす。

満男ハッハー!
おばちゃん「ちょっとおよしよ」
博「社長社長やめて下さい」
寅「
畜生!てめえ!」っと殴りかかろうとするが
寅、博とさくらに止められる。
さくら「やめてねえやめてみんなやめてよ!
私がねお兄さんと一緒に絹代さんに会いに行くわ。

ね?お兄ちゃんそれでいいでしょ?

おばちゃんそうだよ
うるせいてめえなんかに世話になるかい!この野郎!
と手をほどこうとして
さくらを押し倒す(><;)
おいちゃん
よくもさくらに手ェかけやがったな!
寅、うちわをお膳に叩きつける!
さくら「
きゃあ!何すんのよおにいちゃん
何だよ!
兄さんやめてくださいよ
おいちゃん「よっし!!」っと
おもちゃの刀抜いて3回寅に面を打つ!
みんな入り乱れての大乱闘。




              




兄さん!
さくらお兄ちゃんやめなさい
おばちゃんちょっとあんたおよしよちょっと

あ、てめえ!結婚前の体に傷つけやがったな!
ダアアー!

っと、刀をもぎとり一発おいちゃんに胴を打つ
ダァー!」と博にも胴!

あっ痛っ!

大立ち回り
寅社長の方を向き、「
ダアア!」と肩を打ち、
その後おいちゃんに再度「
ダアア!」 胴!

おいちゃんも鞘を使って応戦!
寅「クアア!」と羽交い絞めの博を振り落とす!

さくらとおばちゃん庭へ出ていく。


庭先
おばちゃん
ちょっと!誰かー!誰か来てよ!
さくら、社長が廊下から落ちそうになってるのを見て、走って行って
さくらあ!あー!ああ!あ〜!!うわあ!
っと前のめりで社長を押さえるが落っこちてしまう。

場外転落


              


おばちゃん「ちょっと誰か〜〜〜!早くー!
社長庭に落ちる。障子に穴が開く。




山陰線 車内

メインテーマ曲が流れてる

「よ、ねえちゃんよ。カニ弁三つくれよ お茶も三つな。ここのカニ弁うまいんだよ
もっとも向こういったらよ新鮮な魚たらふく食わしてやるからな
社長、夜はいいとこ案内するよ俺開拓しといたからへへへ
気楽だねえ〜、旅行じゃないんだからさ。さくらの気持ちも考えろよな。

車内販売員「はい」
「あいよ」


              


販売員1,290円です」とお茶を渡す。←口を開けずにしゃべってる!(腹話術!!
「あいよ1,290円ね・・」と指をなめて財布を見るが500円札しか入ってない。
さくら達を気にしながら腹巻の中を見る。←どこにもないって(^^;)
さくら、ちょっとあきれてハンドバックかからお金を出そうとすると
社長が代わりに出すと手をふる。

さくら、悪いと思い、遠慮しようとするが
社長、いいからいいからって言う意思表示。
←こういう時は太っ腹。さすが。
社長「いくら?」

いつもいつも500円札しか入っていないって、普通ないよな(^^;)


温泉津駅

「よ、駅長しばらく。あっ、これね、俺んちの裏の社長なんだ。こちら駅長。いつも世話になんてんだ
よろしく頼むよ、な。」

駅長さん本物だ!

社長「始めまして」
寅「あ、おい、さくらこれにいつも世話になってるからなよろしく言っといてくれ、たのむぞ」
社長「よろしくお世話様になります」と
名刺を渡す←駅長に名刺渡してどうするんだ?
駅長、恐縮して敬礼
さくら「あ、どうも兄がお世話になってます」
駅長、また恐縮して敬礼(
堅気の人っていい味出すよな
寅「おいおいいいだろいいだろその辺で来い来い」


タクシーが町なかを走ってる。


メインテーマ曲流れる


さくら「静かでいい町ねお兄ちゃん」
寅「そう思うかお前」


さくら「うん」
寅「それよりよとりあえずあの旅館についてひとッ風呂浴びてくつろぐかなッ。じゃ、な・・」と指を刺して
行き先を言おうとする。
さくら「いや、でも絹代さんって言う人に会わなくちゃ」
社長「そうだよ」
寅「会う?そらまあ会ってもいいけどさいるかなあ」
寅「おおあれあれほら左手に見えるの俺の旅館よそれそれそれだよ。へへ・・
芸者が通る。タクシーの寅を見て)」
芸者「
寅さーん
寅「よオ!へへへ」

駅長さんや芸者さんの反応から寅がこの町で実に
馴染んでいたことがよくわかる。




              


さくら「ねえ絹代さんの働いてる窯場って遠いの?」
寅「すぐそこだよ・・でもいるかなァ・・いないんじゃないかな・・いないよ」
寅すでにもうかなり弱気

タクシー窯場に入ってくる
タクシー止まる



絹代が働く窯場


社長車から出て「
いい所だねこりゃあここで働いてるのか?絹代さんは

ほんとなかなか雰囲気のある場所。ロケハンの人頑張ったね

寅、窯場の坂の上を見る

絹代の息子「ね、ねえ母ちゃん・・」
絹代「ダメダメ」
息子「母ちゃん・・」
絹代「母ちゃん疲れてんだから」
息子「ねえ・・」

絹代のテーマ流れる

絹代の方へズームイン


絹代
いつまでもグズグズ言ってる子だゃーい嫌い
と前掛けで汗をぬぐってあげる

↑この言い方気に入りました。いつまでも耳に残る。

寅、遠くから見て
さくら、あ、あの人だよ・・

絹代「さ、家に帰ってな」と息子に。

ふと、寅に気がつく


お絹さん
絹代、眺めて、驚いてああー!寅さん!
絹代「ウフフフ!」と笑いながら背負ってた蒔を
落として急いで嬉しそうに走りよってくる!

さくらもタコ社長も絹代の
過激な行動にこれは!?っと
少し驚いて見ている。


絹代
寅さん!
うん!
絹代あのね
うん
絹代主人がね
うん
絹代主人がおととい帰ってきたですよ!ハアハア・・
あんまり突然で私もビックリしてしもうて。
でも思うたより元気にしとうてね。
あ…、いろいろご心配かけてすみませんでした。


と頭を下げる。

寅、一瞬「…」ちらっとさくらを見て…


              



そうか・・そりゃ本当によかったな
絹代すぐ寅さんに知らせよう思うたら、なんか東京の方に
帰っとんさるとかで


寅「うんうん、うん、あのちょっと用事きたもんだから」
絹代「ええ」
寅「あの、妹のさくらだい」
絹代「あれ妹さん。まァ…どうも」
さくら「兄がお世話になりました」
絹代「いやー、あこっちこそ
寅さんには大変お世話になりまして
寅「いやーお世話だなんてそんなもんとんでもねえ」
絹代「あもこっちには何か御用でも」
寅「うん温泉場行っていみてえって言うんで連れてきたんだけれども
何にもねえだろここは」

タコ社長、取り出した名刺をまたしまって、
まったく寅たちのほうを見ないで、
下を向き、ハンカチで汗を拭いている。

分かる分かるその気持ち



              


絹代「マア・・ハハ」
さくら「いい所よとっても」
絹代「アハハ・・あの、お茶でもどうぞ」
寅「いやいや」
絹代「すぐしたくしますけん!」


絹代のテーマ流れる。


さくら
良かったねお兄ちゃん…
良かった…フフ…良かったよなんともいえぬ寅の顔

さくら、そんな寅のことを気遣い、複雑な気持ちで
向こうに歩いていく寅を見ている。辛いね…



この絹代さんは、なぜ、こんなにも明るく笑えるのだろうか?
おととい帰ってきた3年蒸発夫をたった2日間で許し、
何のわだかまりもなく一緒に住んでいるのだろうか。
その夫が別の場所で過ごした空白の3年間を
どう思っているのだろうか?




とらや

博、電話で
そうか・・見事にふられたもんだな・・で、兄さん今何してるんだい?



旅館 さくらの部屋

さくら「うん社長さんと夕方お酒のみに行ったヤケ酒でしょ」
遠くからドンチャン騒ぎが聞こえる
社長、さくらの部屋に入ってきて「さくらさん」
さくら「ちょっと待って・・はい」
社長「あー酔っ払っちゃったもう」
さくら「もう終ったの?」
社長「まだまだ財布とりにきたんだよ。すまないけどね家に電話してね
変わったことないか聞いといてくれよ」
当たり前だがタコ社長の家にも電話があったんだな。



              



さくら「はい」
寅、遠くから「
社長!こら早く来いよ 何してんだよ
社長「ああ!今行くよ!」
さくら「すいませんね」

社長「
覚悟してます今夜は
社長優しいよね。何だかんだ言っても心が大きい。こういうとこ大好き

早く来いよおい!飲むぞー!今日は夜明し飲むからな」
もうそうとう出来上がっている。

寅、いい飲み屋を開拓したって言ってたけど
まさかこんな使い方をするとは…


さくら「聞こえた?」
博「うん大体想像はつくよそれで明日帰るのかい?」

列車の汽笛「ピーー・・・ゴトゴト・・」

博「それじゃあこっちで時間調べて迎えに行くよ。うん、気をつけてな」

おばちゃん
やっぱりダメだったのかい…?哀しい.…
社長に借りが出来ちゃったなァ…
おばちゃん満男に服着せてる。
おばちゃんハァ・・・(T T)
とらやさん、源ちゃんの夫婦茶碗どうするんだろう…



温泉津 早朝


雀の声が鳴いて、薄く霧がかかってる。船のエンジン音

さくら寝ている。←さくらの寝顔は珍しい!

倍賞さんって寝る演技も上手い!!
なかなかこういう風には寝れませんよ。

置手紙。亀の置物で止めてある。



              



さくら、俺は一足先に旅に出る。お前気をつけて帰れよ。
わざわざ遠くまで引っ張り出してわるかったな  兄より


簡単な言葉だが寅の気持ちが伝わってくるね。(T T)


温泉津駅 ホーム


社長「
しかし絹代さんって人よさそうな人だったな
   
あんな人が寅さんの嫁さんなら(アーア・・・とあくび)
  さくらさんも安心なんだろうなァ・・・アーア・・・



              


さくら「
疲れたでしょうごめんなさいね社長さんには何と・・・

社長「
それを言うなって大阪にどうせ用があるんだから
   もともと俺だってそう期待はしてねえんだよ

と錠剤を飲む(二日酔いの薬か胃腸薬?)

社長って、心が温かいね。どうして博がこの社長の工場を辞めないのか分かる気がしたよ…。


駅向こうの中学校の校庭からブラスバンドの演奏が聞こえてくる



                    




ドイツのマーチ「旧友を演奏。


マーチを100曲以上作ったドイツのカール.タイケが作曲
旧友 Alte Kameraden』と名づけられたこの曲は
彼が25歳の時、1889年の楽曲。

行進曲《旧友》は、タイケの代表作であるだけでなく、
世界的に最も有名なドイツの軍隊行進曲だ。
日本でも野球中継や、パレード、コンクールなどで頻繁に使用される。

第38作「知床慕情」のラストにもこの『旧友』は使われている。
岐阜第一高校のブラスバンドが演奏し、行進していた。



      
さくらぼんやり黙って見ている。


さくらがじっとブラスバンドを見ている横顔が長く映し出される。



列車が入ってくる。

列車に乗る直前にもさくら、ブラスバンドの音楽をちらっと見る。


発車の合図「ブゥーー・・・」


ブラスバンドの演奏が続く

さくらはなぜ、ブラスバンドの演奏をあんなにも見、そして聴いていたのだろうか。

柴又でのすったもんだの大騒動のあげく、タコ社長にも手伝ってもらっての、
温泉津入り。そしていきなりの失恋。寅の置手紙。
過去、色々な場所に寅を迎えに行き、気疲れしたさくらだが、このような失望感を
感じて現地を離れることはなかった。
心の置き所がないのは寅ばかりではない。さくらも今回ばかりは心をどう整理して
いいのか分からないのである。

なにをやっても上手くいかない兄の恋愛。虚脱感を伴ないながら空白の時間を
さまよう心にふと、拙いが穢れのない子供達の演奏が入ってくる。自分もその
幼き日々、音楽が好きで、歌うことが好きで、無心に好きなことだけを考えていた
時代があったことがふと蘇ってきたのだろう。兄のこと、自分たちの幼き日のこと、
かつての自分の夢、そのようなものがあの音とあの子供達の姿ともに頭の中を
駆け抜けていったのかもしれない。そして、僅かだが心が潤い、慰められて
いったのだろう。

これがプロの演奏ではダメなのである。
無心で演奏する子供達だからこそ心に入り込んでくることもあるのだ。
あのしばしの空白の時間はさくらには意味のある時間だったと思う。


山陰の海岸

絹代のテーマ曲ゆっくり流れる

波打ち際で海をぼんやり見ている寅の横顔が寂しい。

海沿いの寂しい道を歩く寅


縁日での啖呵バイ


ピンク色のうさぎ型の風船が空に飛んでゆく。
お面が売られている。
花火

寅、傘を売っている。

寅「
泥棒の始まりが石川の五右衛門ならバクチ打の始まりは
熊坂の長半ね!どう!
続いた数字が二だ!日光結構東照宮、憎まれ小僧が世に
ハバかる、日揮の弾正お芝居での憎まれ役!
ねっ!はい!まかった数字が三だ、ほら、ね!




              



寅「
三三六歩で引け目がない産で死んだか三島のお千
お千ばかりがおなごじゃないよ京都は極楽寺坂の門前で、
かの有名な小野小町が・・・


遠くに蒸気機関車が煙をモウモウと出しながら走っていく

山口線は今でもSLを走らせていることでも有名。

囃子や太鼓が響く。



長い長いつり橋 を寅がゆっくり渡って行く。



津和野 

津和野町つわのちょう
島根県の南西に位置し、津和野藩城下町。
SL山口号の終着駅のある町で、美しい町並みで有名

津和野川に掛かる橋の上を列車が通っていく。

味自慢 御食事所 食堂 すさや

うどんを食べる寅の寂しい背中 


店のおばちゃん「はい お茶」
うなづく寅「うん」



テレビから流れてる桜田淳子の『三色すみれ』
この歌は桜田淳子の初期の中ではしっとりとした歌。


    


三色すみれ
作詞:阿久悠、作曲:中村泰士、編曲:あかのたちお
1974年2月25日発売。


手を出せば散りそうなそんな花びらを
大切に胸に抱く愛の三色すみれ

忘れませんあの日のこと
はじめてのくちづけにめまいがしたわたし

そして聞いたあのささやき
「この花の思い出は二人だけの秘密」
「この花が届いたらすぐに駈けておいで」と


何日か過ぎたのに届けられないの
待ちこがれ泣いている愛の三色すみれ

忘れたのねわたしのこと
いじらしい片想い誰に言えばいいの

信じてるあの約束
「この花は君のため咲いている」と言った
「この花を見かけたら思い出す」と言った

忘れませんあの日のこと
はじめてのくちづけにめまいがした私
そして聞いたあのささやき
「この花の思い出は二人だけの秘密」
「この花が届いたらすぐに駈けておいで」と




なると巻きを箸で「ペッ」っと端に寄せる。
嫌いなんだねえネリモノと渦巻き模様。


              



店先から女性(歌子)の声、店の中に向かって「
こんにちは

寅、箸を持った方の手でそのままお茶を飲む

歌子寅気づかず、寅の後ろを通り過ぎ調理場へ向かって
歌子「
こんにちは、図書館の鈴木ですけど

店のおばちゃん、調理場から声だけ「はーい、なんかね?」
歌子「
いつもすいませんけどこのポスター表に貼らして下さい

寅、近くでちょっとうるさいと思いながら、
しかし、どこかで聞き覚えのある声。
寅、ふと食べる動きが止まる。


店のおばちゃん「はーん、どうぞどうぞ、今度のはなんかね?」
歌子「
文化講演会なんです。お店の中にも貼っていいかしら?

寅、歌子のほうを何気なく見る。
はっとして…
あの懐かしい面影がそこに。


店のおばちゃん調理場から声だけ「どうぞどうぞどこへでも貼ってゃんさい」

歌子、店を見渡そうとして、寅に目が行く。

じっと見つめている寅。

寅を見つめる歌子。



                



しばし、見つめ合う二人。
寅、だんだん
確信と喜びの表情に変わっていき、
遂に、寅「
はー!
と、笑って歌子を見る。

歌子、微笑み、感動を押さえきれないようすで、
目をじっと合わせたまま静かに横に座る。



寅、
満面の笑みで、軽く唾を飲み込み
寅「
歌子ちゃんじゃねえかぁ
歌子、
静かに,優しく 寅さんね…
寅、最高の笑顔で「
うん


                



歌子、信じられない顔で、そして感動しながら
歌子「
どうしたの?どうしてこんなとこにいるの?
歌子は微笑みながらも寅への視線は眩しいほど強い。
会いたかったのだろう。誰よりも寅に会いたかったのだ。


寅「
どうしてって、オレは旅の途中よ