バリ島.吉川孝昭のギャラリー内 


寅次郎わが道をゆく
第21作 男はつらいよ


1978年8月5日封切り









仕事と愛に悩む奈々子の不可思議      鮮やかな留吉の存在




花はこぼれて 君想う



これは一人の女性が自分のさだめと恋との狭間で悩む物語である。


SKDダンサー紅奈々子はさくらの幼馴染、
さくらが小さいころから寅のことを「お兄ちゃん」と呼んでいたように同級生の奈々子も寅のことを
「お兄ちゃん」と呼ぶ。(ときたま寅さんと呼んだりもするが)
歴代マドンナの中で寅のことを『お兄ちゃん』と呼ぶのは紅奈々子だけ。特別の間柄なのだ。



奈々子は若い時から踊りと歌の才能が開花し、今や松竹歌劇団、SKDの大幹部、トップスターだ。


さくら咲く国 さくらさくら 花は西から東から
 ここも散りしくアスファルト さくら吹雪に、狂う足取り

 さくら咲く国 さくらさくら 花はこぼれて 君想う
 夢にほころぶ シャンデリア
 さくら吹雪の、晴れの舞い衣(まいぎぬ)

 さくら咲く国 さくらさくら 春の扉の 今日開く
 若さたたえて 八重一重 人か桜か 花か吹雪か

 人か桜か 花か吹雪か




              




しかし、そんな順風満帆に見える彼女も年齢から来る体力の限界と結婚のことで悩んでいる。
10年も付き合っている照明担当の恋人、宮田隆が結婚を迫っているのだ。
SKDは結婚すれば退団する慣例があり、彼女は
結局結婚を選び引退を決意するが、
なぜ踊りまで引退しなければならないのかが不明。これがこの作品で私がもっとも悩んでしまう部分だ。

恋人の宮田隆はSKDの
照明さん、当然ダンサーの踊りに関しては理解が有るはず。
結婚したからってSKDを退団しても、奈々子さんが踊りをやめなくてはならない理由はないはずだ。
日本でも世界でも一線で活躍しているダンサーやミュージカル歌手、俳優のほとんどは結婚している。
あの世界的に有名な森下洋子さんも、倍賞千恵子さんも、ほとんどの人が結婚している。
夫の理解さえあればダンスと結婚生活両立はできるのだ。


悩みぬいた挙句自虐的になり泣いてしまう奈々子に寅もこう言うのだ。

「あんたの踊りがどれほどすばらしいか、あんたはわからないだろうけれども、
あんたの踊りを見て大勢の人がうっとりして、苦しい思いやつらい思いを、忘れようとするんだ。
踊りを続けろよ、な。そのうち、きっとその男もわかってくれるよ
」と。

SKD関係の人間がそんな無理解なはずがない。
規則で結婚したあとSKDをたとえやめても、いろんな舞台やディナーショウやテレビでの活動をしぶとく地道に
模索すれば道はまた開けていくと思ってしまう。
「わが道」を「ゆく」でなく「行っていない」ではないか。
山田監督はスターは散りぎわが大事、「結婚」という道もまた立派な「わが道をゆく」なんだよと、
おっしゃりたいのかもしれない。…確かにそうかもしれないが、
私はそれでも言いたい。絶対に踊りと家庭の両立は可能であると。

彼女の才能はみんなのものだ。たったひとつの家庭に封じ込めてはいけないと思う。
もちろん奈々子自体が体力の衰えをきっかけに舞台に対する情熱が冷めてしまったのなら別。
それならばもちろん仕方が無い。しかし本編では彼女は最後まで舞台に執着していた。
あきらかに彼女はまだ『現役』のオーラがする生粋のエンターティナーなのだ。



寅もまた旅立つ時にさくらにこう言うのである。

ただ・・・踊りをやめたりしたら後悔するんじゃねえかな。オレだったらそんなことさせねえ



これは私の勘だが、数年以内に彼女は必ず、何かの形で舞台か演劇かの場所に戻ると思う。
そういう運命を持った人のような気がするのである。

その時こそ、まさにあの引退公演で歌った『道』という歌の意味がほんとうになるのだろう。
あの歌はそもそも引退を決意する前に歌うことが決まった歌なのだ。
生涯を歌と踊りと芝居に賭ける歌なのだから。


♪ひとつのセリフも無くて 泣いた日もある
人がきれいに見えて、自分を恨んだ日もある。
でも さあ立ち上がり 夜空の星を見つめて
つらい涙ふいて この道を歩き続ける

あたしを愛してくれた 人たちがいるから

あたしは心のすべてを、
信じたこの歌に託し、生きて来たの。


♪まぶたを閉じれば今も 今よみがえる
遠くさすらう日々の 幾人かの懐かしい人たち
時には叱ってくれた 優しい言葉であなたは

時にはつつんでくれた 温かい腕にあなたは
できるならもう一度 巡り逢いたい
空を流れる雲を見つめ

若い日の夢を一緒に語りたいの




            


           

あたしを愛してくれる 人たちがいるから

もう泣かない あたしは
選んだこの道を歩き続けたいの




         








シリーズ屈指のキャラクター留吉


それゆえこの第21作「寅次郎わが道をゆくの主人公は私にとって紅奈々子以上に、あの留吉である(^^;)
武田鉄矢さんがとてもいい。「幸福の黄色いハンカチのでの初々しい演技はだれることなくことなく、
この作品でも輝いていた。

SKDも奈々子も華やかでいいが、やはり田の原温泉で寅を慕い、いつも女性に惚れ、そしてふられて続けている
あのどんくさく一途な留吉が抱腹絶倒だ。
私はレビューのキップを買う時に「男子1枚
と言ってしまう留吉が好きだ。
寅の反省という文字を見て「力強い見事なタッチですよ!
とさくらに言いきった留吉も好きだ。
そしてなぜか、阿弥陀杉で留吉に言った岡本茉利さんのきつ〜い一言がいつも頭に残っている(^^;)

あんた何くれた?



                






とらや改造計画を企む寅


寅は、実はとらやの7代目の店主である。
おいちゃんたちは、寅の父親から一時的に店を預かっているだけで、
本来の後継者の寅が店を引き継いでくれるのを指折り数えて待っているのだ。
しかし、皆さんご承知の通り、寅はああいうフーテン気質なので全く継ぐ気はない。
そんな彼も時として魔がさしたように、とらやの経営のことを考える時だってあるはずだ。
そんな7代目とらや店主としての心意気を見せたシーンがこの第21作「寅次郎わが道を行く」だ。
寅はずっと前からこのことを考えていたようで、ついに茶の間においてお披露目となったわけだ。

タコの工場を買い取ってビルをぶったてるは、団子はオートメーション化させるわ、チェーン店化させるわ、
年寄り夫婦は隠居させるわ、テレビコマーシャルに進出するわ、もう言いたい放題。

この前半の茶の間でのギャグは数あるナンセンスアリアの中でもとりわけ優れていて、
第21作といえばまず実はこの『とらや改造計画』をひそかに思い出し、ニヤニヤしてしまうのである。



                




豹変する寅の可笑しさ

このシリーズで寅は何度も反省し、改悛する。とらやのみんなも信じ込む。
そしてその直後に事件が起こったり、美しいマドンナが現れたりで、全てがパー、
というパターンは観客が最も望む切なくも可笑しいギャグだ。

その代表格がこの第21作「わが道をゆく
」だ。

熊本、田の原温泉で遠くからさくらに迎えに来てもらい、だらしない自分を反省し、
ついに自主的にとらやを手伝い始めた寅だったが、奈々子に会った瞬間に
180度豹変するさまは渥美さんの独壇場だ。凄い切れ味。もうこれは狂気の世界。

まさに『君子豹変す』である。あ、意味が違うか(^^;)



                





ナンセンスギャグの代表 寅のUFO

数ある夢の中でこの第21作の夢のバカバカしさは絶品だ。
寅次郎は実は宇宙人だったという設定でもうそうとう可笑しい。
まあどれくらいバカバカしいかは↓の本編で味わっていただこう。
倍賞さん、もうずっと笑いっぱなし(^^;)



             





照明チーフ、青木好文さんの冴え渡る光


この第21作のひとつのクライマックスは、奈々子と隆が雨の中抱擁するシーンである。
あのシーンでの雷雨の照明は秀逸で奈々子の決意を象徴的に表現していたが、
あの雷の光は照明チーフの青木好文さんが山田監督の意向を超えたところのタイミングで
当てた技ありの光なのである。
木の実ナナさんの顔に激しく突き刺さる青白き光、こんな劇的な「男はつらいよ
もあるのだ。



               










それでは本編完全版をご覧ください。



松竹富士山



           



今回も夢から。


寅の帽子型円盤が東京にやってくる。


なんと柴又上空へやって来る。

このサイトのマウスポインター(矢印)につけたあの
あの寅の帽子型円盤
が登場!



そして、なんと、谷よしのさん、
この作品のオープニング第一声



谷さん「奥さん!見た!?と空を指差す。

夢のシーンが終わった後の、
本編の最初で谷さんが登場するのは第30作「花も嵐も寅次郎」



八百万のおかみさんやって来て、

おかみさん「近づいてるわね



              







とらや  茶の間


おいちゃん、そうめん食べながらなにごとかと外を見ている。


アナウンサー「臨時ニュースを申し上げます。
      日本の上空に不可思議な飛行物体が近づきつつあります




              



おいちゃん「え?

アナウンサー「日本の上空に不可思議な飛行物体が近づきつつあります




さくらたちみんな浴衣を着てテレビを見ている。



              



社長「たいへんだ、たいへんだ。空飛ぶ円盤だ!

おいちゃん「しー!!

社長「え?なんだって?

アナウンサー「今のところ正体はまったくわかりませんが、
      このまま接近を続げますと、
      東京都葛飾区
柴又方面に着陸かと思われます。
      すべてのテレビ局は番組を中止して、
      今後この報道をお伝えします

         繰り返し申し上げます、…

おばちゃん「
たいへんだ…




一博、庭で大声をあげる。



博「さくら、来てみろ、UFOだ!



              




さくら「え!見えるの!?

博「ほら!あんなにでっかい!」と指を指す。

社長「テレビでもやってたぞ!!

博「あ!赤い色になった

みんな「あー!

工場の工員たちも指を指しておののいている。


さくら、階段の下で叫ぶ。


さくら「お兄ちゃん、たいへん、UFOだって!
  ねえー!早くー!




さくら「…!!!!!


さくら、信じられない顔で上から下りてくる寅を見ている。



               



キラキラ輝くシルバー生地の背広を着ている。
同じく宙に浮いたシルバーのカバン。
腹巻もいつもとは色違い(^^;)


カバンに釣り糸が見える((((^^;)


               



さくら「どうしたの?その格好は?


さくら、振り向いて


                倍賞さん笑ってますね(^^;)
              




さくら「おいちゃん


おばちゃん「ひえー!!と腰を抜かす。



              




博「さくら、今!


寅に気づいて



博「ああ!!兄さん!!

おいちゃん「寅!!

なぜか招き猫が台所にある。この辺が夢(^^;)



寅、片手で一同を制して口を開く。



寅「みなさん、実は、私は、
 寅次郎さんではありません




みんな 唖然&呆然。


おいちゃん「えー!


寅「さくらさん、あなたの兄さんは、
 今から三十年前、
 旅先で妹のことを心配したならこの世を去りました。
 その気持を哀れんで、
 
第3惑星の女王様が
 私を身代わりにこの地球に差し向けたのです



なんのこっちゃ(^^;)



手で不可思議なポーズを取る寅 意味ねえ〜(^^;)



                 




寅「出来れば、私はずうっと車寅次郎として
 この地球にとどまりたいのですが、
 そうはいきません。
 まもなく迎えがくるでしょう
かぐや姫か(^^;)


さくら「お兄ちゃん、ウソよ!、ウソ!。
  お兄ちゃんは本当のお兄ちゃんよ


と、完全に笑いながら言っている倍賞さん(^^;)


                 もう完全に笑ってます((^^;)
              





寅「私もあなたがほんとうの妹だったらと思いますよ




                 





庭では工員たちが

降りるぞ!こっちだ!わああ」などと叫んでいる。




テレパシーで円盤を呼んでいる目をする寅。



             




UF0の近づく音。


題経寺の屋根の上まで来た円盤



奇妙なメインテーマが流れ続ける。


風が強くなり、

大きなエンジン音が鳴り響く。



庭で中村君

中村君「あー!!降りるぞー!!




寅、テレパシーで交信している。

寅「ああ、もういかねばならない



              



窓が真っ白に光る。

さくら「あー!!!

工員たち「降りるぞ!!



              



寅「おじさん、おばさん、長い問お世話になりました

おいちゃん「おい!

寅「社長さん

社長「う!

寅を上から下までまじまじと見て
指差しながら驚いている。

寅「
あなたの友情には心から感謝します


と店先へ出て行こうとする。

おばちゃん「寅ちゃん、待って!!

博、追いすがって

博「兄さん、もっとくわしい事晴を



               



寅「博さん、話したいことは山ほどあります。
 しかし、時間がありません。

 はあ!!
 もう行かなくては!!



ますます強まる異常光線

強烈な光に包まれる。

さくら「あああ!!!



                   









題経寺境内


悲鳴をあげ、逃げまどう町の人たち。



帽子型円盤が題経寺境内に下りて来る。




円盤から源ちゃんはじめ類人猿2人、計3匹が下りてきて、
レザー光線銃を構える。


ピキーン!



                



宇宙語というか猿人語で


ウィ、へ、エ、エ、ウィ…と会話しながら寅を案内する。

源ちゃんだけ猿のマスク無し(^^;)



源ちゃん、「エ、エ」と、ペコペコ寅に頭を下げる。

それじゃ、源ちゃんと一緒だよ(^^;)




                 



さくらたち、走って来て


さくら「お兄ちゃん!


                   
                 



寅、手を高々と上げ


寅、光を浴びながら最後の言葉を吐く。


蛍の光が流れる(^^;)


寅「さようなら、とらやのみなさん。
 たとえこの身は第3惑星の彼方に消え去るとも、
 心はいつもみなさんと一緒です




                  



ドアが閉まっていく。



さくら「お兄ちゃん!ほんとに行っちゃうの?


        


と言いつつ微妙に笑いをこらえている倍賞さん。

寅、ついに窓を全部閉めてしまう。


        


なぜか源ちゃんは外で円盤を誘導している。

乗らないの??


         


やっぱ源ちゃんだけ取り残されてしまい、
必死に飛び乗ろうとするが、
無情にも置き去りにされ、


地元の消防団にタモで生け捕りにされてしまう

バカ&弱すぎ(TT)




博「なんだかチャチだなあ…、
 あれで飛んでいけるんですかねえ?



社長「予算がねえんだろ、
  アメリカ映画みたいにはいかねえよ


楽屋落ち(^^;)



                  



さくら「ほんとにちゃんと飛んでいけるのかなあ…





帽子型円盤、エンストを起こし、
ジグザグ落ちそうになりながらも、
スクーターの音をがなり立てながら
なんとなく飛んでいく。


                


脚本第2稿の段階では、宇宙人の手下は
源ちゃんではなくかわいい娘さんたち。
源ちゃんは、普通の源ちゃん役。
円盤に乗り込もうとする寅を止めようとして、
その娘さんたちにレーザー光線で打たれてしまう。

第2稿ではこうも言うのである。

博曰く「さくら、こんなこと信じられるか、映画じゃあるまいし



ピンクレディの声で「UFO





大分県玖珠郡南山田村菅原  


宮原線  あそづる駅 麻生釣駅



あそづる駅のホームで転寝をしている寅




               





宮原線(みやのはるせん)

大分県玖珠郡
恵良駅から
熊本県阿蘇郡の肥後小国駅まで。

1984年廃線。
駅も廃駅(TT)




ピンクレディの歌『UFO』ラジカセから流れる。






                    UFO
              



♪手をあわせて見つめるだけで
愛しえあえる話も出来る
くちづけするより甘く、
ささやき聞くより強く、
私の心をゆさぶるあなた。






UFO」 作詞 阿久悠 作曲 都倉俊一

手をあわせて みつめるだけで
愛しあえる 話も出来る
くちづけするより甘く 
囁ききくより強く
私の心を ゆさぶるあなた

ものいわずに 思っただけで
すぐあなたに わかってしまう
飲みたくなったらお酒 眠たくなったらベッド
次から次へと さしだすあなた

信じられない ことばかりあるの
もしかしたら もしかしたら そうなのかしら
それでもいいわ 近頃すこし
地球の男に あきたところよ

でも私は たしかめたいわ
その素顔を 一度は見たい
鏡にうつしてみたり 光をあててもみたり
それでもあなたは 普通のあなた
ああ突然 オレンジ色の
 ああ光がわたしをつつみ
夢みる気持ちにさせて
どこかへさらって行くわ
やっぱりそうなの 素敵なあなた

信じられない ことでしょうけれど
嘘じゃないの 嘘じゃないの ほんとのことよ
それでもいいわ 近頃すこし
地球の男に あきたところよ アー




男子高校生がカセットデッキを寅の横において聴いているのだ。

寅、不快感で起きてしまう。


女子高生A「あ、タバコなんか吸ってる」

女子高生B「体に悪くなるから〜」

男子高生、寅の横で長いすに座りながら、タバコを加えて

男子高生「おまえなんか、顔悪くなってら〜」



寅が起き上がっったら、男子高校生が反動で転がってしまう。

男子高生「バカやロー!なにすんだよ!」


横でゲラゲラ笑いまくる女子高校生たち。



                






タイトル はつらいよ 
      
寅次郎わが道をゆく



映倫 19463




             



口上「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
   帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎、
   人呼んでフーテンの寅と発します。


   ♪どおせおいらはヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ妹よ
   いつかお前の喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
   奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
   今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪


今回は間奏が長く入って、もう一度後半部分を繰り返す。

   
奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
   今日も涙の陽が落ちる 陽が落ちる♪




柴又に帰ってきた寅。





今回もコントの帝王、津嘉山正種さん登場。


カメラを手にしたカップルの男役の津嘉山さん、
よりによって寅にシャッター押しを頼む。


       


寅、愛想よく引き受け、カメラをのぞきながら
後退りするうちに、

もう一組のカップルに衝突し引っくりかえる。

カッとして立ち上がり、寅を突きとぼすカップルの男。


       


突きとぼされて頭に来た寅、
カメラを放り出してくってかかる。

放り出されたカメラは
別の家族連れの重箱の中に落ちる。
怒ってそのカメラをつまみ出し、
投げ棄てる父親。

カメラを拾って憤然と父親に
くってかかる最初の津嘉山さん。

収拾がつかなくなりスタコラ逃げ出す寅。











題経寺・二天門


さくら、自転車に買物籠を乗せてやって来る。

後ろに見える貴子さん経営の『喫茶ローク』は健在(^^)



         



柴又 題経寺 境内



東京踊り成功祈願『大入り祈願』のために題経寺に訪れ、
御前様の前に整列している
SKD(松竹歌劇団)の新人メンバー。
生徒(技芸員)の正装は赤い紋付に、の袴。



さくらも、自転車のブレーキをかけ、降りて山門から見ている。
皆様ご存知倍賞千恵子さんは元SKDの新人スター




松竹歌劇団(しょうちくかげきだん)

松竹歌劇団は、宝塚歌劇団、OSK日本歌劇団と並ぶ
日本の三大少女歌劇のひとつとして、存在した劇団。
SKDとは、劇団名であった「松竹歌劇団」(Shochiku Kageki Dan)の略称。

SKDは映画館・松竹座のアトラクションとダブルでの構成で進行。
「松竹楽劇部」として組成。
映画の封切りに歌劇の併演を行っていた。

メインは15間の舞台に
ずらりと並んだラインダンス「アトミックガールズ

そしてなんと言っても精鋭団員8名で構成された
セクシーかつ華麗なダンス「エイト・ピーチェス
が出色。


           



制服を着た数人の少女達が、きちんと並んで礼拝している。




引率者、一同に告げる。


引率者「あの方が、御前様です


一同「おはようございます



               



御前様「いや、みなさん、ご苦労さん

と頷きながらニコニコ顔で挨拶する。


                




見物人の整理をしている源ちゃん。


源ちゃん、ヒヒヒヒ笑いをして、さくらに


源ちゃん「東京踊りの大入り祈願


さくら「もうはじまるのねえ〜


源ちゃん「御前様、ええ機嫌や


さくら「嬉しそうね

源ちゃん「へへ、ええ年して、ヒヒヒと笑っている。



                   








とらや  店




おばちゃん、東京踊りのボスターを
壁に貼っているところへさくらが自転車でやってくる。



さくら「おばちゃん、見た

おばちゃん「あ、見た、見た、可愛いね、レビューの踊り子さん達



               



さくら「東京踊りか…、もう5月なのねえ…


おばちゃん「あんた娘の時分に憧れてたねえ〜、
    SKD(エスケー
ー)に


さくら「フフ…

おばちゃん「入ってたら今頃どうなってるかねえ

さくら「さあねえ」と笑っている。



                




彼女がSKDに入ってたら、
新人のころにすぐに映画にスカウトされて
今頃映画の「男はつらいよ
」で
さくらさん役をやっていますよ、おばちゃん(^^)




                        
SKD時代の倍賞さん
                  




倍賞千恵子とSKD

1957年に松竹音楽舞踊学校首席の
倍賞千恵子が「東京踊り」でバトンガール役で先頭に立つ。
1960(S35) 松竹音楽舞踊学校を首席で卒業し、
松竹歌劇団(SKD)へ13期生で入団する。
(妹の美津子は18期生)
その年の公演で新人賞を受賞するが…、
翌年に早くも松竹映画にスカウトされてしまい、
映画出演やレコード制作が続いていく。







おばちゃん「そういえばあんたの友達でスターになった子いたじゃない


さくら「奈々ちゃん、紅奈々子


さくらは奈々子のことを『奈々ちゃん』と呼ぶ。



                     




おばちゃん「くれない…、あー!この人!


と、店に貼ったポスター見て思い出す。



             



右から、
小月冴子さん、
千草かほるさん、
沖千里さん、
春日宏美さん、
紅奈々子、
千羽ちどりさん、
藤川洋子さん、


この中でも小月冴子さんは当時のSKDの大スター。
右に行けば行くほど大御所。
この後、春日宏美さんや千羽ちどりさんの時代が来る。










とらや  台所


さくら、茶の間を見る。


奥の座敷に蒲団が敷いてあり、
寝巻姿のおいちゃん、縁側で植木鉢をいじっている。



実は、おいちゃんは、心臓の発作で寝込んでいたが、
なんとか持ち直し、床を上げようとしていた。




さくら「おいちゃん、具合どう?


おいちゃん「うん、もういいんだ。
     昼から床あげちゃおうなんて言ってたんだけどね



さくら「よかったね、大したことなくて


おいちゃん「心配かけたなあ



                

           




と、茶の間に来る。





とらや 茶の間


さくら「夜中におばちゃんから電話もらったときは
   どうなるかと思っちゃったわ



おいちゃん「オレもあの時はもうだめかと思ったよ〜


さくら「いやあね〜。おばちゃん、これ、お見舞い


と、紙包みを渡す。


おばちゃん「
すまないねえ


さくら「お茶いれようか


とお茶を入れ始める。


おいちゃん「その時な、さくら、ふっと、
    寅のことを思い出したんだよ




                     



さくら「へ〜

おいちゃん「あの四角い顔が目の前に浮かんでな、
    こいつはいけねえ、
    まだ死ねない、
    あいつがまともになって
    この店継いでくれるまで
    オレは死ぬわけにいかねえ〜!
    そう思ったら気分がしゃんとしたよ、フフ




                  





さくら「どうもすいませんと、頭を下げる。


さくらが頭下げる必要はまったくない。


おばちゃん「大丈夫だよ、寅ちゃんだってもういい年だもの
      そろそろ考えてくれるよ。


おいちゃん「根はいい奴なんだからなあ…

おばちゃん「そうだよ

おいちゃん「そうだ、今度帰ってきたら、
     真剣に話し合ってみるか、あいつと


さくら「お兄ちゃんと?

おいちゃん「案外ちゃんと考ているかもしれんぞ、んー…




満男の声店先で「バイバイ


満男「ただいまー!!

おばちゃん「あ、お帰り



満男ランドセルをはずし、茶の間に置く。

さくら「お帰り


おばちゃん、ふと顔をあげ、


おばちゃん「あら、帰えるよ、レビューの踊り子さん達


店の表を、制服の娘さん達が賑やかに歩いて行く。

おばちゃん「若いねえ〜





娘さん達の最後尾にくっついて、
寅がひょこひょこと通りすぎて行く。



あちゃ〜〜〜(−−;)



じろじろ見る寅に、娘さんたち露骨に嫌がっている。


               



寅、目がハートで道に背広を落とす。



小学生たち「おじさーん!おっこったよー!かわいい(^^)




                



おばちゃん「あら!!、寅ちゃん!


おいちゃん、外を見ながら情けなく思い、

だめだこりゃの顔つき。



さくら「え?
」と外を見る。



寅、照れ笑いで戻ってきて


寅「フフ、うっかりして通り過ぎちゃった




おまけに通りがかった備後屋に

寅「おう、備後屋相変わらずバカか?

初代備後屋は佐山俊二さん。初期の頃は蓬莱屋だった…


チョビ髭を生やした備後屋こと佐山俊二さん、ムツとして立ちどまる。

備後屋「おう!バカはそっちだろう。訂正しろ!

寅「なにー!

備後屋「バカにバカ呼ばわりされるほどバカじゃねえんだ

寅「てめえ、やるか一!

備後屋「おう、やったろじゃねえか!こい!とかばんを道に放り出す。

寅「よし!」と


背広とカバンをテーブルの上に置くと、

寅「おもしれえ、この!


備後屋、ファイティングポーズ!!

寅「なんだ、このヤロ!」と

たちまち備後屋の顔を手で挟み、首をしめる。

.備後屋「ア、タ、タ、タ、イテテテ



                


おいちゃん、寅を止めようとして

おいちゃん「寅!!!


さくら「お兄ちゃん!


慌てて飛び出すさくら。


                           



一方 おいちゃんは胸を押さえて


おいちゃん「あいたたた…

おばちゃん「あんた!


慌てて駈け寄るおばちゃん。



           



表でもめている寅と備後屋、さくら達。
近くの商店主も必死に仲裁に入っている。


二代目備後屋「
寅がまたやってる!


みんな「誰か!」「やめろ」「やめなさい」

備後屋「バカヤロ!バカ!!

寅「チキショウ!!二度とこんなとこ来るな!

備後屋「てめえがバカだ!

寅「このやろ、チキショウ!なんだこのヤロめー!!


さくら腕をつかんでいる。



初代備後屋と二代目備後屋の競演実現!

               


             



最後は備後屋さん、
おなじみの宙に浮く担がれ芸を披露。
二代目備後屋の露木さんに担がれ宙に浮きながら去っていく初代。


この芸は第9作「柴又慕情でも博とジョイントで見せていた。


物語後半で後に反省した寅が今度は真逆の
「あ、備後屋さん!お利口そうですねえ!
」ギャグを言い放つ。









題経寺  鐘


とらやの夕飯のしたくができたので
二階に呼びに行くさくら。






夕方 とらや 二階



寅がおいちゃんのお見舞いの袋に名前を書いている。


さくら「お兄ちゃん、ごはん

寅「うん



                



寅「おいちゃん、どうだ具合は…?

さくら「大丈夫

さくら「何してるの?

寅「んー、ん…、
 ちっとも知らなかったからね、
 オレ、おいちゃん病気してたなんて…、
 だから…
お見舞いでも出そうかと思って




さくら、喜んで

さくら「へー…、おいちゃん喜ぶよきっと


寅「そうかな…うん

寅「どれくらい入れたらいいかな、五しゃく円じゃ少ないかな

さくら「ううん、いくらだっていいけど、
  私、じゃあ五百円足してあげるから千円にしたら


と、サイフから五百円札を出す。



寅「千円?



              



さくら「うん

寅「千円だったらオレだってあるよ、オレ出すよ


頷くさくら。


寅「当節、物価が上がってるからなと頷く。

さくら「じゃ、すぐ来てね」と階段を下りていく。



寅、お見舞いの封筒に一礼して机の上に置く。

『お見まい』と大きな字。

財布の中身を開けて

あと五百円(tt)

寅、ため息をつく。



まったく、遠くから柴又に帰ってくる時、
汽車賃に何千円も使ってるだろうに。
柴又に帰ってきたとたん急に文無しもないだろ(−−;)






茶の間 夕食



おいちゃんの床上げ祝い。





タコ社長、ジンマシンをかかえてやって来る。

社長「あ〜かゆい、おばちゃん、サバの古いの食ったらね、
  ジンマシンが出ちゃったよ、オレは捨てろって言ったのに、
  カカアのヤツ…




                



さくら、皿にうなぎを盛り付けて茶の間に持っていく。


社長、うなぎに敏感に反応して

社長匂いをかいで


社長「豪勢だな、うなぎかあ

博「これはおじさんの床上げ祝いなんです

社長「あ、そうか

さくら「大丈夫なの、ジンマシン

社長「すぐ治るんだけどね、あ、また、かゆくなってきた


茶箱に『川根緑茶



そこへ寅が、殊勝な顔で降りて来る。

社長「よお、寅さん、お帰り

寅「よお社長、どうだい、景気のほうは

社長「ダメダメ、晩のおかずも買えやしねえよ


よく工員の給料&ボーナスでるね、それで(−−;)


博「兄さん、お帰りなさい

寅「よお、いつもご苦労さんと坐る。


そっぽを向いて新聞を読んでいるおいちゃん。


さくらとおばちゃん、酒を運んで来る。

おばちゃん「社長さんも一杯飲んでったら

社長「




寅、気まり悪げにおいちゃんに口を開く。


寅「おいちゃんよォ、
 さっきはみっともねえところ見せちまってごめんな




                




おいちゃん、新聞を読んだまま

おいちゃん「いや、いいんだ
.
さくら「さ、お酒注いで

博「あ、そうだな



さくら、寅に目配せする。


さくら「お兄ちゃん、あれ、渡したら


寅「なにを?わざとらしい((^^;)


さくら「あれ無声音



                



博「

寅「あ、そうか


博「何ですか?


寅「いや、どうってことないんだけどね


腹巻からモソンモソ封筒を取り出し、

寅「あの、これ遅くたって、恥ずかしいんだけど…


さくら、おいちゃんを見ている。


静かな音楽流れる


おいちゃん、封筒を見て驚くき、寅を見つめる。



               



封筒の上に書いてある下手くそな字。


表は『お見まい


裏返すと『寅次郎



おばちゃん「なんだい?


おいちゃん、そっと封筒を見せる。

おばちゃん「あらあ…と真剣に見入っている。

社長「キャッシュか…相変わらず下品(−−;)

博小さな声で

博「そうです

寅「いや、いくらも入っちゃいねえんだよ。
  ほら、不景気でここんとこ、円高だろ



博「いや、金額じゃありませんよ、
  気持ですよ、気持。-ねえ、おじさん




おいちゃん、大きくうなずくと、封筒を持って
両手で拝み、頭を下げ、涙ぐんでいる。




             



おいちゃんは、おもむろに立ち上がり仏壇に向かうのだった。



さくら、寅に微笑みかけ


さくら「ねえ、おいちゃん、涙ぐんでる



             




寅、おいちゃんの後姿を見ている。



             
              



仏間



勉強しながら満男

満男「何もらったの?

おいちゃん「んー、 んん… と言いながら



仏壇の前に坐り、


チーンと金を鳴らす。



              



寅の父母に報告しているのだろう。



このおいちゃんの「んー…、んん」はいい演出だね。
しみじみ心が落ち着く。



おばちゃん「ありがとうよ、寅ちゃんと涙ぐむ。


さくら「いいことしたわね



              



寅「もっと早く気がつけばよかったなあ


おいちゃん、戻って来て、

おいちゃん「さあ、乾杯しよう

寅「うん

さくら「満男、早くおいで


みんなコップ持って

博「全快、おめでとうございます

社長「寅さん、お帰り

寅「ありがと


一同、微笑みながら乾杯する。


さくらがお酒(日本酒)を飲むシーンはとても珍しい。



                




おいちゃん「んあー、きょうの酒はうまいと、にこやかに笑う。



             



一同、笑う。

おばちゃん「久しぶりだもんねえ、フフフ


満男やって来て

満男「オレ、ウナギ三つ食べるぞ

おばちゃん、ジュースをコップに注いでやる。


社長がずっとウナギを見ている。目でものを言う社長(^^;)


さくら、社長がウナギ好きなのに気づいて

さくら「社長さん、ウナギ食べる?

社長「え、いいんだよ、いいんだよ、高いものをさ

さくら「私、あまり好きじゃないから、
  社長さん、好きでしょう



さくらがウナギ好きじゃないのは
第16作「葛飾立志編
でもおばちゃんが言っていた。



社長「いいんだよ、いいんだよ。悪いなあ、
  何か月ぶりかなあ、ウナギ食うなんて


さくら、ウナギを渡す。


間髪いれず、博も山椒をささっとふってやる。いい演出だ(^^)



               



寅、笑いながら

寅「そのぶんじゃ経営は楽じゃねえな

社長「首くくりてえよまただよ(^^;)

寅「わかるわかる

博「兄さん、とらやだってなかたかたいへんなんですよ。
  この不景気のあおりで


さくら「おいちゃんが病気にたったのは、そのせいもあるのよ


寅「そりゃあ、わかってるよ、オレだって商売人の端くれだからな


社長「そうだよ、そう言えや寅さんだって商売してんだよ


おばちゃん「寅ちゃん、もしも、おいちゃんになんかあったら
     頼むよその時は…



寅「そんなことを言われなくとも、
 ずーっと前から考えていますよ。
 もし、オレがこのとらやを任されたら
 どんなふうにしていくか…




             



おいちゃん、うれしくてしょうがない。


おいちゃん「ま、一杯行こう
ますます上機嫌(^^;)


博「兄さん、話してください、その考えを



                




寅「うん、ま、社長のような専門家をそばに、
 口はばったいけどね




社長「いいよ、いいよ、俺も聞きたいよ




寅「まず最初に
 今の時代は、店に座ったまま団子を
 買いに来る客を待っているようじゃダメ





博「なるほど

おいちゃん「そのとおり


寅「もっと積極的に、たとえば、
 社長のところでビラを印刷して、
 これを新聞に折込み、各家庭に配る




                 



社長「お安くしとくよ


寅「ありがとう


テンポ良く会話が進む。





               




おいちゃん「さ、もういっぱいいこう。それで?

おいちゃんも興味津々((^^;)



               




寅、お酒を手で制して、


寅「あとは、月に一度の値引きセール。
 団子を半値にしちゃう。
 全然儲けはないよ、


            


 しかしそのことによって、とらやの団子は
 こんなに美味しかったのかぁ…っていうことを
 行き渡らせる。





                  



おばちゃん「結局、年寄りの商売ってのは
    そういう思い切ったことができないんだよね



おいちゃん「そうなんだよなあ…

と、しみじみまじめに頷いている。




                





博「兄さんもなかなか考えてるじゃありませんか



                 




寅「まだあるんだよ



博「へえー…と箸でイモをつまんでいる。




寅「そうやって客が増えてくる、
 この店が狭くなるな。

 そこで思い切ってこの店を
ぶっ壊す!

と大声!&手を打って鳴らす。



        



博のイモがぽろっと落ちる。

前田さん上手い!座布団1枚(^^;)


おばちゃん「あら!!おばちゃん驚愕(^^;)


         



寅「そのあとに鉄筋コンクリートのビルをぶっ建てる!


       


 1階が店.

 2階がお座敷.

 3階が老夫婦の隠居所だ


         
 そのころは裏の工場は潰れているから、
 労働者ごと買い取ってこれを団子工場にする。



社長、それ聞いて愕然としておろおろ。


 
もう手でこんな、
 クシャクシャクシャクシャ団子なんかこねない。




           



これはオートメーション。
機械の穴から


コトン、

           



ポロポロポロ、

          



コトン、

       


ポロポロポロ。

(博、団子を目で追う ^^; )



            




もちろんきたない年寄りなんか店に置かない。

       

さくらドキッ!おいちゃんを見る。
おばちゃん ボー…。


寅「若い新鮮な乙女が6人くらい。
 そろいの浴衣をピシッと着て、

 『いらっしゃいませ


 『またどうぞ』





           



支店も増やす。

北は北海道から南は沖縄まで、


      


とらやチェーン』がズラーァッと並ぶ。


もちろんテレビのコマーシャルにも
金はかけますよ。



          


 
例えば

『草団子でお馴染みのとらやが提供の浪曲劇場』





『よおうっ…、、』



          


♪泣くなぁ、よしよぉぉしいっ、

     

 ねんねぇぇしぃなあ、あっ、あ、

博寅を止めようとするが、
寅はその手を払いのけて




 坊やの母ちゃんどこいった。


 …ん?




          



博が寅の肩をたたき、
おいちゃんのほうへ指を指している。



         



一同「……




            



この寅の壮大なとらや改造計画の意見に
対して6代目店主夫妻の反応↓



おいちゃん「頭痛くなってきた、寝るぞ…



            



とヒョロヒョロ立ち上がり座敷のほうへ行ってしまう


おばちゃん「長生きなんかしたって
    いいことないよねえ…グスン…




                 



老人夫婦はもちろん寅の意見の自分たちをないがしろにした部分が
特に気に入らなかったようである(^^;)





2016年7月訂正

私のHPをご覧になっていただいている
埼玉県の今井さんからのご指摘でこの歌『唄入り観音経』が判明しました。



唄入り観音経

歌 美空ひばり

「泣くなよしよし ねんねしな 坊やの母ちゃんどこいったぁ あの山越えて里いったぁ
里のおみやに(お土産の意)何もろた(もらったの意)
でんでん太鼓にしょうの笛 鳴るか鳴らぬか吹いてみな いい子だいい子だ お宝だ
一つ 歌ってやるほどに いえ 泣かずにねぇ ねんねするのだよ さあさ どうした どう よ
いやの ねんぴ観音びいきえ とーちんしたこりゃ え〜だんだんね あありゃせ
あ寝んねせ あこりゃせ 眠るどころお母あ〜眼がさ〜め〜た〜」


動画 https://youtu.be/EWryJozZS4w




類似の歌にあの有名な「赤城の子守唄」がある。

赤木の子守唄

作詩:佐藤惣之助  作曲:竹岡信幸
唄:東海林太郎 (昭和九年)

1、
泣くなよしよし  ねんねしな
山の鴉(からす)が  啼いたとて
泣いちゃいけない  ねんねしな
泣けば鴉が  又さわぐ

2、
坊や男児(おとこ)だ  ねんねしな
親がないとて  泣くものか
お月様さえ  只ひとり
泣かずにいるから  ねんねしな

3、
そうだよしよし  ねんねしな
坊やのとうさん  どこいった
聞くのじゃないよ  ねんねしな
三年鴉も  ないている

4、
にっこり笑って  ねんねしな
山の土産(みやげ)に  何をやろ
どうせやくざな  犬張子(いぬはりこ)
貰(もら)ってやるから  ねんねしな





みんなどっちらけ


博「さくら、飯にしようか


さくら、寅をちょっと睨みながら

さくら「はい


あやしげな雲行きに不機嫌になって
酒をあおっていた寅、徳利をさくらに突き出す。



寅「おい、酒


さくら「もうおしまいよ




社長、立ち上がって大あくびをする。

社長「ああ、うまかった、帰るか

寅、こらえ切れずに大声を出す。

寅、「ケッ!!タコ!てめえは、食い逃げか


 
             



さくら「お兄ちゃん、失礼よ

満男が聞いてるぞ寅(−−)



             




寅「失礼〜?
 どこをつつけばそんなセリフが出て来るんだ。
 失礼たのはてめえ達だろ。
 人が一生懸命話してんのに。
 なにか気に入らねえのか、
 それならそうとはっきり言ってみろ




博、寅の話を無視するように

博「さくら、お茶

寅「この野郎、
 人がまじめにしやべってる時に、なんだ



と博を突き飛ばすのを、社長がとめる。

社長「やめ、やめ、やめろよ、寅さん。
  要するにね、
  お前に経営のことなんかわかりゃしたいんだよ、んー




                    




さくら、寅の顔を見ている。


寅「あ、そうか、お前さんは立派な経営者だよ。
  
夕飯時に他人の家へのこのこ来やがって、
 乞食みたいに余りもんもらって、
 べちゃべちゃ食いやがって、このヤロウ、
 てめえみたいな立派な経営者に使われてな
 博たちは幸せものだ!




                   



社長半泣きになって


社長「表出ろ!!と、カーディガン脱いでいきり立つ。



                



寅「やろうじゃないか!!このヤロウ!



寅、土間に駈けおりる。


博「やめてください。社長!やめてください二人とも!

社長「少しは言わしてくれよ!

社長「いいか寅、てめえなんかにな、
  中小企業の経営者の苦労がわかってたまるか!




              



博が止めるのを振り切る。


寅「この顔が苦労している顔かこのヤロウ!
 風船みてえにブクブクしやがって!


社長「畜生!」と突っ込んでいく。

慌ててとめに入るさくらと博。


おいちゃん、立ち上がろうと体を起こして叫ぶ。


おいちゃん「寅、やめろ!あ、痛!!



社長の顔を持ってひっぱっている寅。

社長「アイタタタタタ!!イタタタ!



                   



博「やめてくださいよ!ちょっと!



                




さくら「おいちゃん、だいじょうぶ!


おばちゃんの声「あんた!だいじょうぶかい




その叫び声に、手を止める寅。



                 




おばちゃん「あんた医者呼ぼうか?


おいちゃん「いやいや…大丈夫…

おばちゃん「だいじょうぶかい?






二階に駈け上がる寅。


おばちゃん「薬飲んでね


さくら、満男に薬渡す。
満男おばちゃんに渡す。


満男「おいちゃん大丈夫ー?

満男はおいちゃんのことを『おいちゃん』と呼ぶんだね。


台所では


社長耳を押さえて


社長「アイタ…


博「大丈夫ですか?



さくら「社長さん、だいじょうぶですか?
   ゴメンなさいね


博社長のカーディガン渡す。

博「これ

社長の背中を抱きかかえるように一緒に工場に戻ってやる。





二階からカバンを手にした寅、ドタドタと降りて来る。


寅「さくら、とめるな、とめるなよ



                 



と店のほうへ行く。


さくら、追いかけない。


寅「


寅、店の出口でさくらを待つが…。



                




おばちゃん、その様子を気にしたがら、


おばちゃん「出て行っちゃうよ。いいのかい



                




さくら「いいのよ



                



寅、店先で振り返り、聞こえよがしに言う。


寅「夏になったら鳴きながら、
  必ず帰ってくるあのつばくろさえも…、
  なにかを境にぱったり帰ってこなくなることも
  あるんだぜえ…


このセリフは第7作「奮闘編」でも出てくる。





                




さくら、ちらちらっと寅を見るが


さくら「…、満男ご飯食べよ…

今回さくらとめません(−−)


              


寅「

              


寅「…!!ちきしょう!
 もう二度と帰ってこねえぞー!!
と走り去っていく。



寅が自ら「さくらとめるなと言っているにもかかわらず、
つまりとめてほしがっているにもかかわらず、さくらがとめないのは
第30作「花も嵐も寅次郎」でも同じ。



                






不穏な音楽




さくら、悲しみの中で耐えている。




                 





みんな沈んでいる。



                





満男、座ってまたご飯食べだす。          


博、台所に戻ってきて


ちょっと店のほうを見て

博「おじさん大丈夫ですか?


おばちゃん頷く。


おいちゃん、うつろな表情で毛布をかぶって寝ている。

泣いてしまうおばちゃん。




やはり、さくらにとっておいちゃんは父親のようなもの。
育ててくれた恩と、それに報いたい愛情もある。
しかしほんとうの父親ではない、そこに遠慮と心配りが生まれる。

おいちゃんが病気の時に浮かれたことを言いまくったあげく
社長と大喧嘩し、おいちゃんの病気を再発させてしまった寅を
さくらはとめるわけにはいかなかったのだろう。

第30作の時もそうだったが、さくらが寅をとめない時は、
必ずとらやの誰かへの心配りが存在する。









九州 熊本熊本県阿蘇市・大観峰



             



カッコウの声

今回の旅の音楽が静かに流れる。
なんともやわらかい音楽。




                



寅はあてもなくぼんやり雄大な眺めを見ている。

 
             


大観峰(だいかんぼう)は、
熊本県阿蘇市にある山。標高は935.9m。
阿蘇北外輪山の最高峰であり、
カルデラ盆地の阿蘇谷や阿蘇五岳をはじめ、
九重連山を一望することができる。






上益城郡山都町(旧 矢部町)大字長原


日本最大のアーチ式水道橋矢部の通潤橋のアーチを渡る寅

地元の人と挨拶。


             



         

通潤橋(つうじゅんきょう)

上益城郡矢部町大字長原(現 山都町

江戸時代1854年(嘉永7年)に
阿蘇の外輪山の南側熊本県上益城郡山都町(旧・矢部町)の
五老ヶ滝川(緑川上流に位置する一支流)の谷に
架けられた石組みによる用水の水路橋である。
もちろん今も現役の水路として水を送っている



         




通潤橋の長さ 75.6m  橋の幅 6.3m 橋の高さ 20.2m
石管の長さ126.9m
径間(スパン):27.5m 拱矢(こうし):14.4m


単一アーチ式水路石橋という特異な構造と物理的原理が
見事に成り立っていることから、その貴重さが認められて、
1960年(昭和35年)に国の重要文化財の指定を受けた。

また、農林水産省の疏水百選に選定され、
「通潤用水と白糸台地の棚田景観」として
国の重要文化的景観に選定されている。
またくまもとアートポリス選定既存建造物にも選定された。



あくまで水路のための橋であるため
常時、人が渡れるものの手摺等は一切無いが落ちた人はいない。

の本最初の噴水管(逆サイフォン方式採用)の橋でもある。



通潤橋は、

阿蘇山の浸食が激しい柔らかい凝灰岩に覆われたため、
周りを深い谷に囲まれた水不足が深刻だった白糸台地へ
灌漑用水を送るために五老ケ滝川につくられた水路橋
建設者は矢部総庄屋布田保之助
工事を担当したのは卯助、宇市、丈八ら「
肥後の石工」と呼ばれる名工たち。

延べ27,078人が動員され工事は、嘉永5年(1852)12月から1年8ヶ月を要したという。
使われた石材は約6千個に及ぶ。
原料となる石材は上下流の川底に大量に存在していた。

6km離れた笹原川から水路を引き、
橋の上部に埋設された3本の通水管で水を運ぶことにより、
約100haの新田が開発された。

橋脚のない橋なのは、谷が30メートルと、かなり深いためである。
当時の技術では、先に作られた
霊台橋のように石垣で高さをかせいでも
23mくらいが限度であった。そこで、7mの高低差を補うために
逆サイフォンの原理を使って揚水することにし、
通水管は石管を特別な漆喰でつないで漏水を防いだ。



      
まず、霊台橋が参考にされた。(熊本県砥用町)



橋の上部には3本の石管が通っている。
接着剤の漆喰も、石管も水漏れをしないように試行錯誤の末、
見事な創意工夫が随所に施されている。



             


定期的に行われる『放水』は、
送水管に溜まった塵で詰まるのを防ぐため定期的に行われていたもので、
両側につけたのは、落水時の反作用を防ぎバランスを取るためといわれている。
橋の中央部に1個だけ石樋の代わりに松丸太樋が挿入されている。
3本の通水管に対して3個の取水口が設けられ、
ここで通水の調節をするとともに、ゴミの流入を防いでいる。


         








昔の国鉄の
高森線「阿蘇下田駅



現在の『
阿蘇下田城ふれあい温泉駅



なんとも長い駅名(^^;)
日本で5番目に長い名前だそうだ。

ちなみに高森線には駅名が日本一長い
「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」がある。




現在の駅舎は、下田城をイメージして城郭風の駅舎となっている。
有人駅で温泉浴場を併設している。泉質は中性単純泉。






ホームのベンチに座って母娘の会話を聞いている寅。


             





駅の前の家。



母親が花に水をやっている。

母親「あゆみちゃん、いたずらせんで、
  こっちいらしゃい、こっちいらっしゃい、はい


女の子お母さんのところへ行く。

母親「はいこっちこっちこっち

母親「はい、このお花にかけるよー



ニワトリの鳴き声。

背後は雄大な阿蘇山。




ベンチで座ってそのやり取りを見ていた寅、
汽車が入ってくるので
立ち上がり、背広とカバンを持つ。

 


             




キップ入れの箱


ゆっくりとディーゼルがホームに入ってくる。






竹田市竹田町


広瀬神社で運動靴のバイ。





年に一度の祭りに湧きかえる竹田町の町並。
威勢のいい掛け声とともに山車が行く。
両側をうずめつくした晴れ着姿の老若男女。




              


一露店で賑わう鎮守の一角に、
寅も店をひろげて大声を張りあげている。




広瀬神社と岡神社の分岐点あたり。

岡神社の半被を着ている人たち。



              



寅「さあ、本日は大売り出し、ね!
 だまって立ってないで、
 ほら、手にとって見てちょうだい、
 ねえ!
 どう、気に入ったのがあったら、
 買っていってちょうだい。
 さあ、曲がった数字がほら、二つだ!ね!
 兄さん寄ってらっしゃいは、吉原のカブ、
 仁吉が通る東海道、憎まれ小僧、世にハバカル、
 仁木の弾正(にっきのだんじょう)、
 お芝居の上での憎まれ役、
 さあどうだ!え、よし!
 こうなったら並んだ数字が三つだ!
 三つ三つ三つ三つ!どう、はい、
 三、三、六法で引け目がない。
 産で死んだが三島のおせん、
 おせんばかりがおなごじゃないよ、
 京都は極楽坂の門前でかの小野小町が
 飲まず食わずに野たれ死んだのが、
 これが三十三!とかく三十三というのが、
 おなごの大厄ね!
 お大事にして、はい、……手にしてどうぞ、
 見てやってください!ね!





                 




岡神社のほうに神輿が上がっていく。







阿蘇の麓の小さた山里。

もはや目は西に傾き、

夕餉の煙が静かにたたびいている。


牧歌的な音楽が流れる中




南小国町 田の原(たのはる)温泉



竹田市から国道422号線旧小国街道をバスに長々と乗り、
田の原温泉にたどりついたと思われる。



筑後川の源流である田の原川沿いに湧く田の原温泉


田の原温泉の泉源は
地底から高温の温泉が湧き出ている「地獄元湯」。
この泉源付近からは縄文時代の集落の跡が見つかり、
多くの磨製石器が出土している。
昔から湯治湯として有名であり、多くの人に親しまれてきた。



                   




  
村の中を流れる川のへりに湯煙が立って熱いお湯が沸いている。
この田の原温泉のお湯は熱いので有名。




寅も手をつけてみるが熱くて


寅「あちっち


               



田の原川を渡り、田の原温泉に入る寅。

画像の表面方向に実は大朗館がある。


岡本茉利さんが牛を追って歩いていく。



              



春子「こんばんは

寅「あ、こんばんは

春子「それ行け、しっ!しっ!


寅、それを見て笑っている。

ロケ地めぐりの達人小寅さんのお話によると
実際あの先に牛舎があるそうだ。



寅は村の共同浴場(田の原温泉共同浴場)の横に建っている。





旅館 大朗館  神経痛


寅、ブラブラやって来て、
宿の表に立って子守りをしている親父に声をかける。


寅「ごめんよー

寅「おじさん、ここは温泉かい?


              




主人「はい犬養弘さん出ました(^^)



              



寅「ほう、これはいいなあ。部屋あるかい

主人「はい、お泊まりですか

寅「うん

主人「あ、いくらでもあります!一つでいいんだけどね(^^;)

主人「どうぞどうぞ!

寅「おう

主人喜んで

主人「ばっちゃん!お客さんタイ!、めずらしかね!おいおいおいゞ(^^;)

超久しぶりの客らしい(^^;)

寅「ごめんよー

主人「はいはい、ばっちゃーん!




夕闇迫る田の原温泉。



               



田の原温泉 明蓮寺の鐘。


田の原川 

その向こうにさきほどの共同浴場と大朗館が見える。








柴又4丁目 線路沿い

さくらのアパート 「
こいわ荘




                



台所で仕事をしているさくら。

工場から帰って来たばかりの博、ボケットから月給袋を出し、

博「奥様、月給


                



机の上に置く。


さくら「どうもありがとう


満男自分でタンスから下着を出している。
銭湯にいくようだ。


博「ほら、垣例の慰安旅行さ、
 あれ今年金詰まりだから中止して、
 そのかわり浅草でレビユー見て
 スキヤキを食って帰ることになっちゃったよ


さくら「そお、そんな深刻なの

博「うん、楽じゃないよ中小企業は…

中や小じゃなくて零細企業だねもう完全に(TT)

さくら「満男、バンツ持った

満男「持った

博、手を出して

博「ちょうだいと、お金をもらおうとする。



                 



博、洗面器、タオルを用意する。


博「兄さん今頃どこにいるのかなあ…

さくら「さあ…、北か南か…

と、お金を渡す。


博「あ、いいなあ、オレも旅がしたいたあ」.

満男「お父さん、どっか行くの?

博「風呂に行くの

満男「チェ!

さくら「



               




少し暗い表情で兄を思い出しているさくら。
珍しく、自分が兄を止めなかったのが、
心に今でも引っかかっているのかもしれない。






熊本 田の原温泉


田の原川


宿のそばの橋の上でおばあちゃんとくつろいでいる寅。


子供を背中におぶり、こうもり傘(日光よけ)を差した
旅館の主人がやって来て大声を出す。



              





主人「お客さん!

寅の声「おーう!

主人「お昼は何が食うかねー

寅「んんー…何が出来んの?と、おばあちゃんの出してくれたお茶を飲む。

主人「えー…山菜ソバと玉子丼と、
   あとはインスタント・ラーメンくらいしか出来ましぇん


寅「んあー、朝飯遅かったからまだ腹すいてねえんだよ、うん。

主人「あー…

寅「どっか近く、ぶらっと散歩でもしてくらあ


主人「そんならあ…、こん川下ると、大きな千年杉があるき、
  見て来たらよかたい




寅、立ち上がって大きく手を広げて伸び。

犬が橋を渡っている。




ブラブラ歩いていると、千年杉…。


小国町の阿弥陀杉にたどり着く。

田の原温泉から約10kmもある。

片道歩いて5時間ほどか…。
寅はエイトマンか(^^;)


黒淵地区の田んぼの中にぽつんとたたずむ阿弥陀杉は、
国の天然記念物に指定されている熊本県最大級の大杉で

小国杉を代表する名木。

幹まわりが約12.6mで高さ約38m、枝張りは37.5m、
樹齢は1300年以上。
枝張りの最も外側を結んだ線で覆う地面は約800u。


その阿弥陀杉も、平成11(1999年)年9月24日の
台風18号によって大きな被害を受けた

概観すると全体の約三分の二が倒れてしまい、
現在の変わり果てた姿になってしまった。


               




物語に戻ろう。



杉の向こうで人声を耳にしてふと足をとめる。



木陰で、若い男女がひそひそささやきあっている。

いつか寅とあいさつをした可愛い娘春子と、
村の青年留吉である。



なにげなくその二人を見ている寅。

どうやら春子は逃げて、留吉がしつこく追いかけているようだ。

彼女の顔を触ろうとする留吉。

「いや」と嫌がる春子。


岡本茉利さん演じる留吉の彼女。(シナリオでは春子さん)



                



寅「



興味津々



                




留吉「おかしかのう…まえ触らせてくれたろうがおまえ

春子「

留吉「なんかあったとか?

春子「



               



留吉「ん?


春子、かなり気まずい雰囲気。


留吉「相談のっちゃるけん、なんでも話してん、
  相談のちゃるけんオレが。
  バッチリタイ、言うてみろ



カメラズーム


春子「それじゃ言うけどね

留吉「うんうんうん

留吉タバコ(ハイライトを口にくわえて火をつける。


春子「ウチね、木村さんを好きになったと…



              



牛 モオ〜…


春子「怒らんとってね。怒らんとって…


留吉「木村っておまえ…、
  あげな男のどこがよかかおめえ〜…、
  
男は面かァ〜!?

第30作で、三郎青年もそんなこと違う意味で言ってたなあ…(^^;)


春子「留吉さん、木村さんはよか人よ。
  ウチね、あの人に会うて、
  ほんとに良かったと思ってる。
  あの人はウチに
夢と希望ば与えてくれた…。

    
あんた何くれた!?
キツウゥ〜(TT)



               



留吉「…!「鶴屋」のデパートでネッカチーフとか、
  買うちゃったろーがーァ!



熊本の中心地にある老舗デパート「鶴屋百貨店」



               

                


春子「あとでみんな返す!

留吉「ちょっと待てて!ちょっと待てて、あた!

春子「ね、お願い、うったちのこと美しか思い出にしよ!と駆けていく。

牛 モオ〜〜〜〜



                



留吉「ちょっと待ててぇ〜!…、
  
ツヤつけんな、このバカたれがおまえ!
  おまえと木村の結婚式に
  肥たごにほりこんだるけんね、
  ほんのこってがあ!




一人っきりになった留吉…


留吉「…アタ…またやが…ウウウウと泣きじゃくる。

牛 モオ〜〜〜〜


                 



寅、留吉のそばに歩いて行き、肩を叩く。

寅「青年!


びっくりして顔をあげる留吉。


                 



牛 モオ〜〜〜〜


寅すっと出てきて


寅「青年・・・女にふられた時は、
 じっと耐えて、一言も口を利かず、
 黙って背中を見せて去るのが・・・
 男というものじゃないか?



寅、諭すように言う。


留吉「



                





                


寅、やさしくうなずいて立ち去る。


尺八が流れる中、さっそうと去っていく寅。

ポヨ〜〜〜ン  ポヨ〜〜〜ン

留吉「・・・あのう、どちらさんでしょうかァ〜?


寅「東京は葛飾柴又の車寅次郎、
 人呼んでフーテンの寅。
  ゆえあってこの宿に滞在しています。
…夜分にでも話しにいらっしゃい




                     



留吉「はい!!


寅「♪少ぉ〜年!〜老いやすぅ〜くぅ〜う!
 学ぅ成りぃいいがたぁ〜しぃ♪




                     




五山の僧 観中中諦作 

『青嶂集』から「進学斎」





昔から、この詩は
宋の朱熹が作った漢詩『偶成』と思われてきたが、
現在はこの説は多くの研究によって否定されている。


近年は柳瀬喜世志さん、岩山泰三さん、朝倉和さんらの研究によって
日本の五山文学 禅林の僧の詩だと分かってきた。

今は、
観中中諦の、『青嶂集』の中の「進学斎」という詩
が最も古い資料なので、これが可能性が高いと言われている。

観中中諦(1342〜1406)




少年易学難成
一寸光陰不可軽
未覚池塘春草夢
階前五葉巳秋声




少年老い易く学成り難し一寸の光陰軽んずべからず
未だ覚めず池塘春草(ちとうしゅんそう)の夢
階前の梧葉(ごよう)已(すで)に秋声




留吉気をつけして厳粛に聞いている。







一方…東京では







浅草 国際劇場


         



豪華実演

東京踊り

松竹歌劇団創立50周年記念



         



銀座線田原町駅から国際通りをまっすぐ歩いて7〜8分、
今の浅草ビューホテル↓の所に浅草国際劇場↓があった。

松竹歌劇団(SKD)のホームグランドで、
年3回大踊り(東京踊り、夏のおどり、秋のおどり)が上演された。



     







今回は『東京踊り』



「映画と実演」と言って、昼はレビュー、夜は映画。


当時は小月冴子さんや春日宏美さん千羽ちどりさんらスターがいた。



なんと、今日は朝日印刷の慰安観劇で
みんなで『東京おどり』を見に来ている。



ロビーで朝日朝日印刷の工員たちがジュースとお菓子を買っている。


社長「あと、サイダー6本ね

店員「はい




               






社長「ほかに欲しいもんないか?
  なんでも言えよー、おい

  煎餅でもピーナッツでも、

  いいのか?

  
中村君、頷く。

社長「あ、もういいの?


工員A「あ、いいです


みんな 社長に遠慮してんだから、社長が自主的に
どんどん買ってやれよ。


社長「いくらですか?

店員「はい、2800円

社長「領収書書いてくれる?

店員「はい







紅奈々子の楽屋



奈々子と何人かのスターたち、
振り付けの打ち合わせをしている。




     
藤川洋子さん            千羽ちどりさん
               



奈々子と一緒にいるのは
なんと先輩のトップスター
千羽ちどりさん
と、同じ世代の
藤川洋子さん(^^)






千羽ちどり

本名:吉田 公実子 (福島県出身)

SKDの男役トップスターとして活躍。大スターの華麗な姿には多くのファンが魅了された。
在団中から博品館でのミュージカル「ザ・クラブ」等に外部出演。
ヤクルトホール、ヤマハホールにてリサイタルを開く。
STAS(スタス)を平成4年、松竹歌劇団(SKD)OGとして結成。
千羽ちどり、高城美輝、明石薫、銀ひ乃での4人のそれぞれの頭文字をとって
「STAS」と名付けられた。







千羽ちどりそこんとこがみんなそろわないのよ、
     ちょっとやってみてくんない


奈々子「はい

奈々子「いい?

藤川洋子「うん

二人「一 二 三 四、二 二 三

かがみが浅い。

千羽ちどり「んー、そこんとこね、ちゃんとほら、
     こう、…はいらないと



と、ぐっと腰をつかって手本を見せる千羽さん。


業務アナウンスが部屋に流れている。

「牧さん、潮路さん、しらとさん、…舞台に集まってください…


踊り子さんの招集が始まっている。

奈々子「あらー!!



                



奈々子「さくらじやないのぉ〜!



さくら「しばらく



                    




奈々子「ねえ、嬉しいわ、見に来てくれたの?



               



さくら「うん

奈々子「そう!

さくら「今日ね、彼の工場の慰安会でみんなで来てたの



                



さくらが博のことを「と言う女性の心はなかなか面白い。
奈々子を前にして所帯じみたくないのかもしれない。


 
                




奈々子「ねえ、元気


さくら「うん


奈々子「いつだったっけ、会ったの同窓会で


さくら「5年前よ



                




最終召集のベルが鳴る。



ジリリリリ


奈々子「わー、そうだった、ねえ、
  男の子がいるっていってたでしょう




               



さくら「もう小学生よ

奈々子「いやだ、そう!

千羽ちどり「ごめんなさい」と外に出て行く。

さくら「ごめんなさい」とお辞儀。

藤川洋子「じゃ、言っとくから

奈々子「じゃあね


千羽ちどりさんと藤川洋子さんが出演のために出て行く。




さくら「あんまり長居しちゃ悪いから、私、これで。
  これ、柴又のダンゴ


と大きな箱を差し出す。

奈々子「わあ、嬉しい



富士しのぶ(31期生 梓しのぶ)が顔を出す。


しのぶ「すみません

奈々子「はい

しのぶ「十分前です

奈々子「はい

さくら「じゃ、私

奈々子「なあ、さくら、一度ゆっくり話さない?
    私のほうが遊びに行こうか、今、
高砂にいるのよ私


さくら「あ、じゃあ近くね

奈々子「ねえ、行ってもいい?

さくら「もちろんよ、じゃあ行くわね

と出て行く。



奈々子暖簾を上げながら

奈々子「ほんとよ、ほんとに行くわよ

さくら遠くで

さくら「うん

奈々子「ねえ、話したいことがあるの、いろいろ

さくらの声「うん



奈々子手を振る。











観客席


緞帳に『ナショナルカラーテレビ』


朝日印刷のメンバーが座っている。


さくらがやってきて博の横に座る。



              




アナウンス「みなさま、まもなく開演でございます。お早めにお席にお着きくださいませ」

「 Ladies and Gentleman Welcom to Kokusai Theater. we alway player best...





楽屋通路


黄色い蝶々の暖簾をくぐって通路に出て行く奈々子。


この暖簾上手いねえ〜。



              




暗く狭い廊下を、華やかな衣装をつけた奈々子が急ぎ足に行く

その顔は緊張感でみなぎっている。


若い踊り子が次々にスターの部屋に出番の声をかけている。


踊り子「すいませんお願いします!


若い踊り子が「とちっちゃう、とちっちゃう!

と言いながら階段を駆け下りていく。



奈々子も、階段を急ぐ



              





舞台に集まる団員たち。


カメラは上から下の舞台を映す。


              




口々に「おはようございます」

緞帳の裏で緊張して待つ奈々子たち。

照明のスタッフたちも忙しく動いている。

開演のブザー

ブーーーー

表情をつける奈々子



              





博やさくらが観客席から幕開けを見ている。




踊り子たち『レッツ スタート セブンティ エイト!



         



ライトがパッとついて、真っ暗な舞台が鮮やかに明るくなる。

         
激しい爆発的な音楽とともにめまぐるしく踊り狂っていく踊りたち。

社長とさくらが奈々子のことで『どれだ』『あれよ』って感じで話し合っている。


              






エネルギッシュに踊る奈々子



            










柴又  とらや 店  夜



さくら「ただいまー


博、雷門の模様の入ったお土産紙袋を持ってくる。

さくらただいま。あーくたびれた

おばちゃん「お帰り、楽しかったかい

さくら「うん、とっても。久しぶりに見たわ

満男「おかえりなさーい」と走ってくる。

博「満男、おみやげだ



おいちゃん、封筒を手にしている。

おいちゃん「さくら、寅から速達が来たぞ


さくら「速達?



おいちゃん「オレのサンダルがない

おばちゃん持ってくる。

細かい演出(^^;)


メインテーマが静かに流れる。


おばちゃん「なんだかねえ、
    何かあったんじゃないかって心配でさ。
    ほら、こないだがこのないだだろ




                




さくら、急いで封を切り、便隻を開く。

博も心配そうにのぞき込む。



さくら「『拝啓、この間はオレが悪かった。
   九州の山奥で朝な夕な反省をしている。
   もう二度と柴又には帰らない。
   そうすればおまえたちに迷惑を
   かけずにすむからな。

   遠い旅の空からオレは死ぬ日まで

      おまえたちの幸せを祈り続けている。
   あばよ。妹へ 寅次郎』




              



博「何かあったのかなあ…


おばちゃん「やだよぉ…、心配だねえ…

おいちゃん「

さくら「ちょっと待って、まだなにか書いてある

博「え…

さくら「おい…字が間違っている&汚くて読めない(^^;)

博「追伸じゃないのか?

寅は『追信』と、書いてある。

さくら「…あ、追伸。最後の迷惑だ。
   宿…賃をかしてくれないか。頼む



あ…やっぱりこれが目的か…、
どうしょうもないやつ…┐(-。ー;)┌




                



金銭的なことでは、
第18作「純情詩集
」の別所温泉を思い出した。
あの時もさくらは汽車を乗り換え乗り換え
引き取りに行ったのだ。

また、手紙のシリアスな内容に心配したさくらが
寅を引き取りに行く(探しに行く)のは
第7作「奮闘編」のラストにも似ている。




本来ならそんなの田の原温泉の宿に電話して、
現金書留でお金を送ればいいのに
自分が先月寅を引き止めなかったこともあり、
手紙の内容をついつい信じてしまいどうしても
心配なので、ついにわざわざ遠く九州熊本まで
寅に会いに行ってしまうさくら。

さくら甘いよ…(−−;)

一体費用いくらかかると思ってるんだ。
どうせ寅の分まで汽車賃も出すんだろな…。







夜明けの瀬戸内海

せつなくも美しい音楽が流れる。
これはまさしく名曲!







ブルートレイン 国鉄14系寝台車

警笛 ピーー


東京発熊本行き 『みずほ』



僕のサイトを観てくださっている寅さんファンの「原さん」が
メールで14系のみずほだと教えてくださいました。
ありがとうございます。m(_ _)m




                


          





田の原(たのはる)温泉へ行くために、さくらは
久大本線の日田からバスに乗り、「
下筌(しもうけ)ダム」高さ約100mの
堂々たるアーチダムを通って
日田街道を東へ『杖立温泉』に向かっている。



                


さくらのこのチェックの服は
第17作「寅次郎夕焼け小焼け
」で
青観の家にお金を返しに行ったときのワンピース。
ボタンが大きくて可愛くよく似合っている。





              第21作           第17作

                    







杖立温泉


バスがバスターミナルに着く。

車掌さんの笛の音。

番頭さんたちがそれぞれの旅館の旗を持って迎えに来ている。

泉屋旅館

白水荘


その横からいきなりぬっと留吉が模造紙に
諏訪さくら様』と、書いたものを
持ちながら叫んでいる。



第33作「夜霧にむせぶ寅次郎
でも使われたミニギャグ。


この杖立温泉は第12作「私の寅さん

とらやのみんなで一度宿泊していますよね。
翌日は下城の大イチョウを通って阿蘇に行っていた。



その杖立温泉で留吉がさくらを出迎えて、
あの恐ろしいジープ運転に耐え、
犬塚さんのヌードにも耐えて
ようやく大朗館に着く。

ほんと結構日田からは遠い。





ワンマン 杖立ー日田ー福岡  HITA BUS



昔、とらやのみんなと一緒にここ『杖立温泉』で一泊したことがあるさくらでした。
これを読まれている皆さん覚えていますか?
確か、おいちゃんが女風呂と間違えて入ってしまって大慌て。詳しくは第12作「私の寅さん
」を参照。



田の原温泉へ行くには、久大本線の日田から212号線を
バスで『杖立温泉』へ、杖立で乗り換え小国へ、小国
で乗り換えて442号線沿いの県道を田の原へむかう。
ただし、バスの接続が悪く、半日かかってしまう。
         

留吉がバスの停留所で『諏訪さくら様』と書いたどでかい紙を持って



留吉「諏訪さくら様、諏訪さくら様、
  様諏訪さくら様、諏訪さくら様
ハズカシ…(ーー;)




さくら、降りて来て「はい


留吉「留吉と申します、
   お迎えに参りました。どうぞ!



          



と、恥ずかしそうに紙をくしゃくしゃと丸める。


           



番頭さんたち「あ、いらっしゃいませ」「おつかれさまでしたどうも」



ジープで山道をず〜っと駆け抜け、
田の原温泉へ。




田の原川沿いにジープが進む。



それにしても留吉の運転は荒い(−−;)


近くの畑でその運転を.見ていた留吉の母親は、
でました常連
杉山とく子さん

モンシロ蝶々が飛んでいる。

母親「大事たお客さんば乗せち、
   まーあげな、乱暴な運転して。バカたれが



             



杉山とく子さんはこのシリーズでは
絶対欠かせない重要な人。

まずなんていったってあのフジテレビの「男はつらいよ」で
おばちゃん役をした人なのだ。
映画でもおばちゃん役にそのままスライドが
予定されていたが、スケジュールの都合で出れなくなり、
三崎千恵子さんに変更された経緯がある。



杉山とく子さんの出演↓


第5作「望郷編」での浦安の三七十屋の女主人(節子さんの母親)。

第20作「頑張れ!ではパチンコ好きおばさん。

第21作「わが道をゆく」では留吉の母親。

第26作「かもめ歌」では国勢調査のおばさん。

第28作「紙風船」では宿の女将さん。

第29作「あじさいの恋」ではかがりさんの母親。

第35作「恋愛塾」ではコーポ富士見の管理人さん。

第44作「寅次郎の告白」では鳥取の駄菓子屋のおばあちゃん。






ジープが着く。留吉、大声をあげる。

留吉「おばさーん、寅さんおんねー?

二階から婆さんが顔を出す。

寅の背広干しながら

お婆さん「今、お風呂


留吉「あー


留吉が大声を出す。

留吉「寅さーん、さくらさんな今着きなはったー!

大朗館の主人の声「おー!着きなはったな

戸が開いて、まっ裸の主人が顔を出す。おいおいゞ(^^;)

さくらとっさに目を他のほうに向ける。(TT)


主人「おう、先生、今出て向こうへ行きなはった。
   あー妹さんですか。こんな格好で失礼ばしております。
   ほんに遠い所



さくら、主人を見ないで2回お辞儀(^^;)



                



ジーブ、行ってしまう。






田の原川のいつもの橋


風呂上りの寅、
いつものお婆さんと何やらしゃべっている。


寅「あ、そう、

お婆ちゃん「


寅「そりゃよかったねぇ


お婆ちゃん「人に…」意味不明(^^;)



              



寅「何人産んでも…

留君「寅さーん、さくらさんばお連れしましたあー

寅「東京の俺の妹が来たよ

お婆ちゃん「あ…」

寅「うん

寅「あれね、ちょっと眼を離すとすぐ来るんだよ


ひどい…甘えすぎ。
遠路はるばる心配してきたさくらを
何だと思ってるんだ(▼▼メ)




お婆ちゃん「あ、はは」

寅「口うるさいやつでね

婆さん「フフ、口うるさい…」

寅「よう!ごくろうさん!

と手を上げる寅。

よくまあしゃあしゃあと…
さくらは、満男もいるのに、ものすごい苦労して時間かけて
ここまでわざわざ来てるんだぞ(__;)


寅、さくらを指さしながらお婆ちゃんに、

寅「あいさつしてるよ

さくら、ジーブから降りて律儀にお辞儀する。



              




留吉、釣り人に

留吉「おじさん、なんか釣れよんな




田の原温泉 共同浴場

泉質 ナトリウム・炭酸水素、硫酸塩泉
効能 神経痛、婦人病、リウマチ、皮膚病
創傷など
温度 熱い(72℃)
料金 大人200円(休憩なし)
利用時間 8:00〜22:00
風呂 男女別内湯のみ




柴又  とらや 店  (夜)



おばちゃん、電話に出ている。

うしろで聞いているおいちゃんと博。

おばちゃん「人騒がせな男だねえ〜、ほんとうに。
    とにかくね、家に連れてお帰り。
    このまま放っておくとね、
    どこで何やらかすかわからたいから。
    うん、そうだよォ、うん、とにかくね、
    強引に連れて帰っておいで




             




後ろで満男が


満男「母さんなにしてるのォ?

博「おじさん迎えに行ってるんだ





大朗館  寅の部屋


さくら、電話に出ている。

そのうしろでうなだれている寅。



さくら「うん、そうする。………
   そうね、うまく行げば明目の晩か、或いはあさっての朝。;
   うん、はい、じゃあね




                  



さくら受話器を切り、寅に向かう。


寅「なんだって


さくら腰に手をあてて

さくら「怒ってるわよ、みんな。
  どうしてお金もないのに旅館に泊まろうとするの?




                     



寅「うーん…なんとかなるだろうと思って…

結局はさくらをあてにしてるってことだよ。
どーしようもないやつだ。絶対確信犯 ヾ(−−;)



さくら「なるわけないじゃないの。
  お金が空からでも降ってくると思ったの?


寅、首ふりふり
(^^;)


             
そこへ、留吉とお母さんが上がってくる。


母親「ごめんなはいませ

留吉「寅さん

寅「よおお

留吉「家のおふくろが来て、へへ、はずかし、へへ


寅、とたんに態度が犬きくなる。


さくら戸惑いながら、とりあえず愛想笑い。


寅「あ、おっかさん、それはそれはそれは、さあさあ、
 どうぞ、どうぞ、お入りなさい




留吉「よか

母親「お邪魔になります


母親、さくらの前に両手をつく。

母親「留の母親でございます

さくらも正座でお辞儀

さくら「あ、どうもはじめまして

母親「このたびはこのバカたれが
  車先生にお世話になりまして、
  ありがとうございました



さくら、ざぶとんをすすめる。


さくら「どうぞ

母親「ほんにどげんもこげんもならん
  バカタレがでございましたが、
  もう先生にお会いしてから
  もう別人のごつ立ち直りまして、
  ま、まあなんとお礼ばすりゃよかでっしゃろか?




                




留吉、寅にパントマイムで
お土産の地酒や食べ物を見せておおはしゃぎ。


          



母親「あなた様も立派なお兄さんを
  お持ちでほんに幸せだなあ…


留吉の母親洞察力ゼロ(TT)


留吉「ほんなことですね

さくら「おそれいります(TT)

と頭を下げる。




主人の声「お邪魔します

さ<ら「はい

と宿の主人が色紙だのノートだのを抱えて入って来る。


主人「参った参った

主人「先生

寅「よオ」と、手を上げる。



親父「明日お帰りなると聞いて、
  村の者が
サインばいただきたいと、
  まあ、こげんたくさんですがひとつ




寅、指さして照れている。




寅「ハハ!また


留吉「すいません、オレも一枚よかですか、すいません


母親「そうそう、家宝にしますけん

主人「うん



                  



さくら、慌てている。

サイン帳を開けて書こうとする寅、

さくら、真っ青になって止めながら、


さくら「あ、お兄ちゃん、
  あまり字が上手じゃありませんから




                   



寅「そうだな、筆のほうは
 オレちょっと苦手だからな、ま




主人「なんばおっしゃいますか、
  
あげな立派な字書かれて、ほれ



  と床の間を指さす。



                 


        

「反省」と書いた色紙がぶら下っている。

みんな一斉に見上げる。


『反省』 寅次郎


さくら、後ろを振り向いて真っ青になる。


さくら口あんぐり。



                



母親「はあ…!あれ、なんと読むと

留吉「何ば言うとねかあちゃん『はんしぇい』うん

主人「うん、『はんしぇい

留吉「はんしぇい


寅、顔こわばらせて知らんふり。(^^;)


           


さくら、慌てて立ち上がり、裏返す。


        


さくらって結構強引、気持ちは分かるが
ちょっと越権行為(^^;)



留吉「さくらさん、なんばなさるとですか?

さくら「あ、みっともありませんから

留吉「何をおっしゃいます!
 そんなことなかですよ!
 力強い見事な
タッチの字ですよ!



タッチって…((^^;)


さくらの言った「みっともありません」のような言い方は、誤用。
文法的に用法としては間違いだとされている。
「みっともな.い」は形容詞的な言葉なので、
それ自体で完結されている。

             

              


翌朝


豊肥本線  内牧駅

阿蘇市乙姫町


古びた内牧駅舎の表に、さくらと寅を乗せ
留吉が運転するジープが着く。

通学の高校生が五、六人、汽車を待っている。



私はこの駅が最初わからなかった。
脚本には『小国駅』と書いてあるが、
どうも「肥後小国駅
とは違う雰囲気だ。
.

     



あきらめかけた時、留吉のジープの向こうに
路線バスの丸いバスストップの表示が見えた。
拡大してみると、「
内…駅」と読める。

そこで田の原温泉から近い駅で「
」がつく駅を探してみると、
残念ながら
久大線にはない。

そかし、南の阿蘇に近い
豊肥本線に『内牧(うちのまき)』があった。
もう一度画像を見てみると確かに「
内牧」と読める!(画像参照)↓

田の原温泉からも豊肥本線の中では『内牧』は近いほうだ。
もちろんそれでも東京に帰るには遠回り。このへんが不可解?

留吉のジープは国道212号線を、小国町役場から南下して
大観峰の横を通り、阿蘇方面に向かったのだろう。



      
      



それにしてもなぜ??
久大本線の方に向かっやほうが東京へは早く帰れるはず。
あきらかに遠回りだと思うのだが…。
さくらに阿蘇山を見せたかったのだろうか。
ちなみにさくらは第12作ですでに阿蘇山に旅行している。




                                          現在の「内牧駅」
          




寅「何だ、ここへ寄るのか?

さくら「降りて汽車に乗るのよ

寅「あ、そか


留吉の帽子 『川上モーターズ』

農業しながら昼間は川上モーターズに勤めているのかな?


さくらと寅、ジーブから降りる。

さくら「留吉さん、どうもありがとう。じゃあ、私達ここで…

留吉「いえ、汽車が来るまで待ちます



寅、やさしくとめる。

寅「留、無駄なことはよせ。
  お前には大事な仕事がたくさん待ってるだろう。
  牛に草を食わし、畑を耕し、人生は短いぞ、
  ぼやぼやしているあいだ恒歳をとる。オレの歳
  になって気がついても遅いんだぞ。わかるか


偉そうに…(^^;)


留吉、.「はい、わかりました

寅「わかったら行けえ!!」裏声

留吉「はい、行きます!じゃあ、お元気で

さくら「どうもありがとう

さくら「さよなら


留吉、泣き出しそうな顔でジーブに乗り、
発車させ、去っていく。



寅、見送りながら、


寅「みかけはお粗末だが、あの男は見込みがある。
 ああいう若者を見ると、これからの日本も
 けっして暗くはないなあ…。なあ、さくら



あんたを見てると今の日本が心配だよ(−−;)



お気楽な寅を無視して
さくらはとっくに駅舎に入って時刻表を見ている。


寅「なんだよ、お前、あんちゃんが
 一生懸命しゃべっているのに、
  スースースースー行っちゃって、
  どうしてお前は薄情なんだよ、
  人の話ちゃんと聞け。バカ、




寅、地元の学生にちょっかいを出そうとする。
が、この先の映像はカットされている。








柴又 題経寺 二天門




源ちゃんが子供たちに
ピンクレディのUFOの振り付けを教えてもらっている。


子供たち「♪手を合わせて見つめるだけで〜




               



               




               
源ちゃん「♪UFO〜!」 ちゃうちゃう ヾ(^^;)



               



向こうのほうでは男の子二人が「あっちむいてほい」をしている。


もう一度

子供たち「♪手を合わせて見つめるだけで〜愛し合える話も出来る


源ちゃんに誘われて小さな男の子も入って4人で踊っている。


♪くちづけするより甘く  囁ききくより強く
 私の心を ゆさぶるあなた〜〜

 タタタタンタンタン タタタタンタンタン

♪ものいわずに 思っただけで
 すぐあなたに わかってしまう〜…






        UFO                 手を合わせて見つめるだけで             ♪♪〜〜〜
       







柴又 題経寺 境内



御前様とさくらが寅のことで話をしている。



さくら「これが最後よ、今度あんな不始末をしたって
  絶対助げに行かないからって、
  きつく言ったんですよ〜

  
   甘い甘い ヾ(−−;)



御前様「うんうん

.
さくら「兄も少しはこたえたんでしょうか、
  九州から戻ってきてからは来てからは
  真面目にお店の手伝いをし
  てくれてるんですげど


  今だけ今だけ ヾ(−−;)


御前様「近頃寅が生まれ変わったようだという
   もっぱらの噂はそのせいですか…、なるほど


さくら「でも、いつまで続きますか

御前様「まあ、長続きするように
   私からも仏様にお願いしてあげよう


さくら「ありがとうございます

御前様「もっとも寅のことは何度もお願いしたからなあ…、
   聞いてくださるかどうか、難しいなあ…


御前様若干意地悪なギャグ(^^;)


さくら「



                   



さくらはえらいね、寅が改悛するたびに
真剣に信じてやろうとしている。
普通なら『どーせ、すぐに元に戻るだろう』と軽く思うところを、
結構本気で信じてやるのである。

実際、寅という男は、改悛したり、まじめに働く時はほんとうに
誰よりもしっかりやるのだ。ただ、その心の維持が出来ないやつ
なので、長く続かないだけで、
その時その時の集中力はある。








とらや 店



おばちゃんお客さんに

おばちゃん「今すぐお茶入れますからね

お客「ごめんください

寅「はい、いらっしゃいませ

お客「お団子ください」

寅「おいくらの

客「五百円のを一つ

寅「ありがとうございます。
 おばちゃん、五百円のお団子一箱どうぞ



まあ、この変わりようは気持ち悪いくらいだね(((^^;)


                 



おばちゃん「はいはい

と、台所へ。

寅、客に愛想を言う。

寅「きょうはお参りでございますか。いいお天気ですね

頷くお客さん。





備後屋が通る。



寅「あ、備後屋さん、
 いつもおりこうそうですね、どうも


「あいかわらずバカか」の逆バージョン(^^;)

本当に心から改悛した人はそのような逆バージョンすら
言わないので、まだ若干『改悛ごっこ』をしているのが
こういう発言でわかる。



                  




備後屋、びっくりした顔で

備後屋「????」と通りすぎて行く。



                  
                  







とらや  台所


  
博が昼ごはんを食べている。



ご飯を保温するジャーが新しくなった。

前作第20作まで使っていたジャーとは模様が違う。
一年で壊れたんだね(^^;)



      第20作の模様
          





社長が入って来る。

社長「どうだい、寅さん、まだもってるかい


博、店先を指さす。


社長、寅を観察。


寅が客に愛想を振りまいているのが見える。

寅、お茶を注ごうとして中身のお湯がない。


おばちゃんお茶入れるの遅いね。



社長「ほー」っと感心して、

社長「おい、今度は本物らしいじゃないか

と、博の背中をたたく。

その反動で博のご飯が箸からテーブルにこぼれる。



博、困った顔。

でも、拾ってぱくっと食べる(^^)


おいちゃん「いやあ、三日坊主って言うじゃないか。
    そろそろ馬脚をあらわすころだよ



もうあと数分であらわします(^^;)


社長「それじゃ、困るんだよ。
  実はね、もうあちこちで評判でね、
  オレん所にね、
縁談が来てるんだよ


早すぎるってば、まだ1〜2週間だろ ヾ(−−;)



                 



おいちゃん「えっ〜


博と二人でびっくりしているところへ、
寅が急須を提げて現われる。
((((^^;)

寅、たぶん
耳ダンボだったんだね。



寅「おいちゃん、これね

おいちゃん「え?あああ、あいよ

と急須を手にガスコンロのほうへ行く。


博「兄さん

寅「ん?

博「縁談だそうですよ

寅「誰に?

社長「寅さんにだよ

社長「ほら、吉田活版のヨッちゃん


博「おーおー、


寅、わざと冷静なふり。(^^;)



                



社長「いや、もちろん十八、九の乙女…なんてんじゃないよ。
   ん、ちょっと訳ありの出戻りなんだけどね、気立てのいい女なんだよ。
   あそこの社長がね、寅さんの評判聞いてね、
   どうだろうってオレに言うんだよ


おいちゃん「先方は寅のことちゃんと承知なのか

社長「ああ、正直に話したよ

おいちゃん「何もかもか?

社長「ああ、年のことも、職業のことも

おいちゃん「で…と言って寅をチラッと見ながら、社長の耳元で

おいちゃん「見てくれのこともか…?((((^^;)



                   



社長、嬉しそうに、


社長「それがさ、先方の娘さんさ、
  二枚目嫌いなんだって…


   
うん、フフ…。
   情がないから、フフ、いい話だろ
と寅をチラッと見る。



                     

               

             
社長「いい話だろ」とニコニコ。


おいちゃん、思わず笑いながら寅を見る。



                    



博「しかし、兄さん好みが難しいからなァ…


寅「ん…、博。オレがな、
 縁談に対して好き嫌いが言える立場の人間か?
 そのことについて
 いちば〜んよく知っているのはおまえだろ?





                   



博、こっくり頷く(^^;)


寅も二度頷く(^^;)


そして店に接客に行く寅。


おいちゃん「おい、聞いたか」とニッコニコ




                     



博、頷く。


社長「よし!オレこの話進めるぞ!
  いいね!?いいな!?
と嬉しそうに工場に走っていく。



                





とらや 店


お客さん帰る。

寅「どうもありがとうございました。またお近いうちにどうぞ





さくらが店にやって来る

さくら「
あらお兄ちゃん、ごくろうさま


寅「いいえ

おいちゃん「さくら

さくら「え?

おいちゃん「縁談だよ」と小声で。

さくら「え?



                  




おいちゃん「寅に縁談だよォ



                   



さくら「え〜」と驚きの表情で寅を見る。

おばちゃん「ちょッと、ほんとかい


寅、冷静を装う(^^;)



                    




さくら「ね、どういう人、相手は

博「うちの取引先で働いてる人なんだ」.

さくら「知ってるの

博「ああ、知っている。
 あの人なら、兄さんきっと気に入るんじゃないかなあ
」.

さくら「へえ〜〜〜


寅、片付け物をおばちゃんに託し、


寅「博、お前もバカだなあ。
 オレが相手を気に入るかどうかじゃなく、
 相手が俺を気に入るかどうかが、問題だろ




これはもともとは
第13作「恋やつれ」で松村おいちゃんが言った名セリフ。

おいちゃん「バカ!こっちが気に入るかどうかじゃないんだよ。
      向こう様が寅を気に入ってくれるかどうかが問題なんだよ




               



おいちゃん「よく言った!まだ早まるな信じるな、早いぞ。ヾ(^^;)


博「変わったなあ、兄さんは、
 九州でいったい何があったんですか




                



寅「いや、別に。
 ただあの静かな山里で、
 残り少ない己の人生について考えて見ただけです


おいちゃん「えらい!

おばちゃん「よかったねえ、さくらちゃんちょ、ちょっと早いってば ヾ(^^;)

博「わざわざ九州に行ったのも無駄じゃたかったなあ

さくら「そうね

感動している一同。

寅、しみじみと、


寅「
なあ、さくら、考えてみると
 オレももう惚れたはれたの歳じゃなくなったなあ、フフ



と感慨深く店の表を通るカップルに眼をやる。


博「やっばり、兄さんもいろいろとー

さくら「ねえ、その話どっから聞いたの

博「うん、うちの社長がもって来た話だけどな

さくら「うん


おいちゃんも頷く。
おいちゃん気持ちがもう固まってしまったな(^^;)





                

               




★そこへ奈々子店先に走ってくる。


奈々子「確かこのへんだったはずなのにな

と、また題経寺方面へ。



サングラスをかけている。



掃除をしていた寅に、いきなりスイッチが入り、
一緒にツツーっとついていく(^^;)


あ〜〜〜!!!これだよ、
ダメだ…寅の『反省』は早々と終了いたしました。
チーン、ナムナム ┐(-。ー;)┌



博「あら?兄さんどこ行った?

さくら「え?

奈々子大急ぎで戻ってきて



奈々子「ここだわ!あ!さくらァ!!



               



寅も一緒にひっついてくる。

さくら「奈々ちゃん!

さくらは奈々子のことを奈々ちゃんと言う。



奈々子「私ね、本当はもっと早く来るつもりだったのよ、そしたらさ、



                 



寅、横に張り付いて奈々子の表情を見つめている。

さくら「うん

奈々子「家を出てしばらくしてねえ、忘れ物に気がついたの

さくら「ウフフ

奈々子「そいで、慌てて引き返したっかいしたのよね


奈々子「ハ〜!フウ…おばちゃん、
   すいません、お水一杯お願いします



おばちゃん「あ、はいはい


奈々子「すいません、ハー…こんどはさ、

さくら「うん

奈々子「タクシーをろったら、 
  こんどは道が混んで混んで、


寅ずっと横で奈々子さんの顔真似(^^;)

木の実ナナさんは東京下町墨田区向島の出身。
江戸っ子だから『
』が言えないで『』になる。



                    

奈々子さん江戸っ子なんだね。ひろったらをしろったらと言ってた。

               
以下渥美さんの顔真似を御堪能ください(^^)


奈々子「もう途中でよっぽどあきらめようと思ったのよ、



           


   
でも、せっかくでしょう、ちょっとでも顔出したかったの、




    でも、開演一時間前なのよ!




                  





  もう私ってほんとバカだもう




さくら「フフフ



               



水が来て


さくら「と受け取る。



               




寅も横でず〜〜っと顔真似。
     

水が出てきて




                   




奈々子「あ、ありがとう…ああ、あの、
  おだんご!お団子一箱お願いします



                       顔まね(^^;)
                  





奈々子、クーーッと水を飲む。


寅も一緒に飲んでる顔。


                 

                 
        


このように、
奈々子の横でず〜〜っと表情を真似る寅。




もう倍賞さんも笑うしかないです。
笑ってますよ〜(^^)


                倍賞さん笑っています(^^)
               





奈々子「っああ!!、美味しい、…ん?



                   




まだ寅が真横で奈々子の真似をしている。



奈々子「
…!!!!




奈々子「…お兄ちゃんじゃない…



                     



奈々子あまりに懐かしいので寅に抱きついてしまう。


奈々子「うわ!あは!うはは!

      

  やだ、やだやだ!

  昔とおんなじ顔してる!





さくら「フフフ」と受けている。




                        
                     



奈々子「ねえ、お兄ちゃん、
   私のこと覚えてる?


寅頷く。


奈々子「ねえ、よーくいじめられたのお兄ちゃんに




寅、照れながら


寅「覚えてる


奈々子「ほんと!!


寅「覚えてるよ

奈々子「うれしい!ねえ、
  お兄ちゃんに会えるなんて思ってもみなかった



まあ、テンションが高い人(^^;)




                



奈々子は寅のことをお兄ちゃんと呼んだり
寅さんと呼んだり、一定でない。
いつもは『お兄ちゃん』で通すが、時々『寅さん』と呼ぶ。
寅のことをお兄ちゃんと呼ぶのはさくらと奈々子だけ。





奈々子「おいちゃん!おばちゃん!
  ごめんなさい、しばらくです奈々子です




                



おいちゃん「
おばちゃん「

さくら「ほらこのあいだ話したSKDの小さな声で説明

おいちゃんおばちゃん「あ!はあー!


寅、それ聞いて大急ぎで貼ってあるポスターを見て、
SKDの紅奈々子だと知り。驚いている。



                  



さくら「主人よ


博、ちょっと緊張して


博「あ、…こんにちは、博です



                  




ちょっと、緊張して…


奈々子「こんにちは、…はじめまして


寅、ポスターと同じ顔なので目をぱちくり(^^;)



                  




寅、しきりにポスターの顔と実際の奈々子を比べて
感動している様子。




奈々子腕時計を見ながら

奈々子「ああ…さくら困っちゃった時間がないの



                 



さくら「じゃあ、行きなさいよ早く

奈々子「ほんとごめんねー、
  私ってなんてバカなんだろ。
  あんたに話があったの



さくら「なに

奈々子「じゃ、次はさ、次の休みの日に来る

さくら「うんわかった

奈々子「きっとよ

さくら「わかったわかった

奈々子「ね!

さくら「うん



                 



奈々子「ほんとにみなさんごめんなさい、さようなら



奈々子駅のほう指差して、寅に聞く。



奈々子「駅、あっち!?と指差す。

さくら「

寅「あっちあっちと、ほうきで指す。



奈々子「電車のほうが早いわよね!


寅「早い早い


奈々子「うん!じゃあ!



おばちゃん「お団子!
奈々子「
はい?
さくら「
あら、お団子
奈々子「
いけない、いくら?
さくら「
いいのいいの
奈々子「
いいって…
さくら「
いいの
奈々子「
じゃあこの次払う
さくら「
はい
奈々子「
ごめんね
奈々子「
ありがと、さよなら!!
さくら「
さよなら

            




さくら「
気をつけて


駆け出しながら


奈々子の声「
はーい!



もちろん寅は、ほうき放り投げて
一緒に走ってついていったのだった。




                



さくら「あーびっくりした、フフフ


おばちゃん「よくしゃべる人だねえ〜と呆れている。

おばちゃんとっても素直な感想(^^;)


さくら「昔とちっとも変わってやしない、ねえ、

と、寅を探すが…



さくら「あら、お兄ちゃんは?




博、呆れた顔で


博「一緒にくっついて行っちゃったよ

と、何もかも悟って、スゴスゴ工場へ戻る。





おいちゃんも指差して、全てをあきらめた顔で



おいちゃん「…いっちまった…




下を向くおばちゃん…。



                   



さくら「え?


さくら、驚いて駅のほうを見る。




               









帝釈天 参道



駅への道


奈々子が走る横を
今まさに上野行きの電車がホームに入らんとしている。



奈々子「お兄ちゃん、あの電車間に合うかしら



                 




寅「間に合う間に合う間に合う、
 どこまで?
 オレ、買っとくからよ!




                 




と、走っていく。


奈々子「浅草!


寅「浅草な!よし!








京成柴又駅前 




自動販売機



寅、自動販売機の前で大声を出す。


寅「おい、浅草二枚くれよ、おい!..せい!

それ機械だってば ゞ(^^;)


奈々子走って改札通過しながら

奈々子「あとね、あとあと!


寅も走って通過しながら

寅「あとね、あとあと!



            




次に通過する客に改札の駅員が


駅員「あと2枚ね


客「あと2枚??

この客の演技、なんか味がある、誰だろう?スタッフさん?(^^;)


               

            

           




全ては短く淡い夢でした。ああ…(TT)












浅草 国際劇場




国際劇場 SKDレビュー


奈々子と一緒に踊っているのは
春日宏美さんと藤川洋子さん
かな。



                




              






あまりにも刺激が強くて多くて、
目があっちこっちに飛んでいる寅。



                





レビューをかじりつくように観る寅


            



見て分かるようにみんなパワフルでよく訓練されているが、
若干踊りが洗練されていないような部分もがあるかな…。

しかしこの下町のエネルギーと泥臭さ、舞台の派手さ、
セクシーさ、そしてなによりもあふれる『覇気』。
これが当時のSKDの真骨頂だったようだ。
ステージを見ていて分かるように宝塚歌劇団と比べるのは
土俵違いで、イメージとしては
東宝のNDT(日劇ダンシングチーム)と実は同じ土俵だった
といえる。








柴又 帝釈天参道  深夜


シャッターを下ろす店々


寅、夜の柴又を歌い踊りながら戻ってくる。



                     


寅「♪さくら、さぁくぅらぁ〜、
 さくら咲く国ィ〜、さくぅら、さぁくらぁ〜…


♪音符間違ってるよ ヾ(^^;)


第1作の参道の夜の寅↓を思い出す。


                        第1作で喧嘩辰を歌う寅
                    




寅、酔っぱらった備後屋とすれ違って


寅「よ!備後屋!相変わらずバカかおまえは!


頭がすっかりいつもの寅に戻りました(^^;)


備後屋「なんだと!おーい、こっちこい!



               




寅「♪さくら、さぁくぅらぁ〜、
 さくら咲く国ィ〜、





この歌は、OSK日本歌劇団、松竹歌劇団(SKD)、NewOSK日本歌劇団のテーマソング
1930年(昭和5年)大阪松竹座公演「春のおどり さくら 」で発表。



これは名曲です。

第30作「花も嵐も寅次郎」でも歌われていた。



さくら咲く国

岸本水府  作詞
松本四良  作曲

さくら咲く国 さくらさくら
花は西から東から
ここも散りしくアスファルト
さくら吹雪に、狂う足取り

さくら咲く国 さくらさくら
花はこぼれて 君想う
夢にほころぶ シャンデリア
さくら吹雪の、晴れの舞い衣(まいぎぬ)

さくら咲く国 さくらさくら
春の扉の 今日開く
若さたたえて 八重一重
人か桜か 花か吹雪か
人か桜か 花か吹雪か












とらや 店


寅、戸を開けて

寅「おばちゃん、ただいま

おばちゃん「あ、帰ったのかい、カギ閉めといてくれ

寅「あいよ

と、カギを閉める

寅「なんだい、さくら達帰ったのか


寝巻姿のおばちゃん、
羽織をひっかけたがら眠たそうた顔で現われる。


おばちゃん「ああ。ご飯食べるかい

寅「ん、ん、あ、ま、いいよ、ちょっとお茶だけ入れてくれよ

おばちゃん「あいよ

寅「


と茶の仕度をはじめる。






とらや  茶の間



寅、手にしたブ回グラムやブロマイドを取り出して
うれしそうに見つめる。



寅「おばちゃん、オレ、レビュー見て来ちゃったよ

おばちゃん「

寅「よかったよ〜


おばちゃん「どんなふうに?



寅「どんなふうに?

 全部だよ!、何もかも!

 そのなかで特に紅奈々子、
 この娘はいいなあ〜!




                   



寅「スタイルがいい、
 声がいい、
 踊りがうまい、




                  



   三抽子揃ってるんだから、
 うっ…とりさせられちゃう。
 踊りだって、一っや二つだけじゃないからね。
 衣裳だってとっかえひっかえだ。




   最初は赤いタイツをはいてたかと思うと
 ぱっと浴衣姿、
 そのうちに、こんどは真白いドレスでもって
 舞台に立っている。ねえ、
 サーチライトがチカチカチカチカチカしてさァ、


                



  最後には全員踊るフナーレ、
 ぱーっと踊り子が並ぶだろ、
 オレもう涙が出てきちゃった、よくって!!うん!



リリーへのアリアと似てるね(^^)


                 




おばちゃん「ふわあ〜…よかったね。
    悪いけどね、私眠いから、あ…、おさ〜きへ…


おばちゃん無関心((^^;)



                 



とあくびをしながら座敷に引っ込む。

寅、溜息をつきながら、



寅「なんだい、ちっ、
 まあ、可哀想に、
 年寄りにはこの良さはわかりはしない。

 よし!

 オレ明日も行く!
と頷き、



                



立ち上がり、


寅「よし!

              

と、土間に降りる。



あ〜あ、
お茶飲まないんだったらおばちゃんに入れさせるなよ。





寅、勢いよく階段を駈け上がり、




寅「一、二、三、四ィ〜 二、二、三!



と両手を広げ、



              








寅「三、二、三、四ィ〜 四、二、三!



と座って足を上げる。




スクリーンの端に足の指先が見える↓のが
たまらなくいい(^^;)



             



寅「♪ラ、ラ、ラン、ラン、ラン、ラリリーン……


と軽快に駆け上がっていく。



             






上手いねえ!
渥美さんのこのテンポ、このポーズ!最高です。











とらや 二階



床の上にゴロンと横になった寅、パンフレットを広げ、
月明かりに奈々子のブロマイドを照らして見つめている。



寅「
あー…と感嘆の声。(無声音)




暗闇の中で紅奈々子の華やかなポートレート。



             




寅、思いをこめて静かに小さくつぶやく。






寅「紅奈々子…、


無声音で

 待ってました





ごろっと布団に転がって、


寅「はあー…



大きな声で掛け声





寅「日本一!



寅「チュ!


プロマイドにキスをするポーズ!


いやああ、相当入れ込んでるねえ!



                

遠くで京成電鉄の電車音が聞こえる。





せっかくの熊本での改悛もあっという間に水の泡。
恋ととらやの仕事を両立できないのが寅の哀しいところ。
始まりますよォー、寅の熱烈恋物語が。

♪ さくら吹雪に、狂う足取りぃ〜



前編はここまでとさせていただきます。

次回第21作「寅次郎わが道をゆく」完結編は
2009年1月15日前後にアップの予定です。




そして、後編(完結編)です↓




翌日 江戸川土手




さくら自転車で土手を走っている。


さくらのアパートは京成電鉄沿いなので、そこからとらやに
行く時は江戸川土手はまったく関係ないのだが、まあ映画なので
「そんなの関係ねえ…」でしょうね(^^;)


さくら自転車にブレーキかけて、止めて、

遠くを見る。

なんと留吉が金町方向から土手を歩いてくる。




           


この土手はよくこのシリーズに出てくる場所だ。
有名なところでは第19作「寅次郎と殿様
」で
殿様と鞠子さんが手をつないで帰っていくシーンなど。

           



さくらあら

留吉「さくらさーん!!

遠くからお辞儀。

さくら「まあ!


尺八入りコミカル音楽

徐々に近づいてくる。

留吉「電車乗り間違えまして、ちょっと下(しも)の方で
  降りてしまいまして


さくら「えー

留吉「人に道ば聞いたら、この川ばどんどん上っていけば
  柴又に出るって聞いたもんですか


さくら「あらー…



ようやく二人近づく。





留吉「あち…、広かですねえ…東京は。
  歩いた歩いた!



さくら、笑っている。

留吉「かかとの靴はいてますもんですから、
   指がしまりまして



と、わざわざ靴を脱いで指し示す留吉。



           



さくら「大丈夫?

留吉「はい…いて…





一方とらやでは



とらや 台所



おばちゃん、庭で工員たちに洗濯物のことを言っている。

おばちゃん「不精だねほんとに。
     たまには持っておいでよ、遠慮しないで、フフフ




おいちゃん、草団子を箱詰めしている。



そこへ、寅、急いで階段下りてくる。

時計を見て

寅「あー、遅れちゃったよ。
 じゃ、おいちゃん行ってくら



と、そそくさと出て行く。


           



おばちゃん「レビューかい?ごくろうさんうわ、皮肉(><)


寅、すっと戻ってきて、


寅「なんだよ、そのものの言い方、
 いつオレがレビュー行くって行ったよ


このパターンは第1作や第8作、第14作をはじめ、
このシリーズの数々の作品で使われるおなじみギャグ。


おばちゃん「あら?行かないのかい?行く(^^)



           




寅「いや、行かないとは言わないさ、
  ただそれはだ、商売で儲かって、
  『ちょっと時間があるけども、.レビューでも見てみるかな』と、
  そういう気分になったらそら行くかもしれないよ。
  だけど今オレはね、
  レビューを見るために今出て行くんじゃないんだよー





           



おいちゃん仕方なしに


おいちゃん「あー、あー、わかってるわかってる。行っておいで


寅「ったく…じゃ、行っ.てくらあ


出て行こうとするのを、
社長が庭から大声で呼びとめる。


社長「寅さん!

寅「なんだよ〜と心底嫌がっている。



           



社長「写真だよ、写真写真



と、走ってくる。

寅「なんだい写真って?

杜長「ほら、昨日話しただろう、縁談の。
  写真と履歴書持って来たんだ。ちょっと見てくれ



寅「あ、その話な。うん。
  それだけど、オレ、夕べいろいろ考えたんだけどさ、
  商売が商売だし、歳もあれだろ、ね、
  正直言って水もしたたる美男子じゃないしさ、
  相手だってオレのこと見りゃ二の足踏むんじゃないの?


もうとっくに心ここにあらず(TT)



           
    


社長「なに言ってるんだよ、
   ちゃーんと何もかも向こうに話してるんだよ、
   それでもいいって言ってるんだから





寅、時間を気にし、外を気にして


寅「会えばね、がっかりするよきっと。
 早い話がさ、オレの娘がオレみたいな男と
 一緒になるって言ったらオレ絶対反対すからね。
 おいちゃんどう思う?


もんのすごい説得力(^^;)


おいちゃん「あー、オレだって反対だな

もう見捨てました寅のこと(^^;)




寅「ほら見ろ、だからこの話は無かったこととして、
 わかったね。

  
じゃ、おいちゃん、
 オレちょっと
レビュー観てくるから


レビューって言っちゃってるよ結局は(−−;)



           



社長「おい!


その時、


さくら店に入ってきて、

さくら「ね、お兄ちゃんと留吉が来たことを告げようとする。


寅「なんだなんだオレちょっと忙しいんだ」」

さくら「ちょっと、ほら、

寅「え?なに?

さくら「この人


懐しそうに立っている留吉を指さす。



           



寅「あー、いらっしゃい…。
 おおおー!おまえか!出てきたのか!?


留吉「はい!



留吉「はい、いつぞやはいろいろ教えていただきまして、
   どうもありがとうございました!


寅「うんうん

留吉「実はですね、今回、私4Hクラブ主催の
   農村の未来を考えるシンボジウムがありまして、
   熊本代表として出て来たとです




           




寅「あ、そうかそうか、そりゃよかったよかった

心ここにあらず、
どうでもいいから早く行かせてくれと言わんばかりの言い方&表情(^^;)
この表情笑えます(^^)



           







4Hクラブ(フォーエイチクラブ)

全国農業青年クラブ連絡協議会


よりよい農村、農業を創るために活動している組織。
アメリカから発したクラブ。


日本では「青少年クラブ」と名付けているところも多い。
4Hとは、Hands(手)、Head(頭)、Heart(心)、Health(健康)の4つの頭文字で、
四つ葉のクローバーをシンボルとする。

およそ30歳以下の農業後継者の団体

日本では、全国青年農業者クラブ連絡協議会(全協)を主体とした組織である。




おばちゃん「まあ、ちょっと、おかけになって

留吉「どうも、どうも恐れ入ります。私、留吉と申します。
   車先生にはたいへんお世話になりました



寅、ひたすら駅のほうを見て、時間を気にしている。


           



おばちゃんに説明するさくら。


おばちゃん「さあ、さ、どうぞ

さくら「ねえ、お母さん、お元気


留吉「はい、くれぐれもよろしく申しておりました。
   あ、そうだそうだそうだ、これを


と、カバンの中を探り始める。



           



寅、あせりながら

寅「何何、食べよ食べよと急いでカバンを覗きだす。


留吉「つまらんもんですけど

さくら「何やってんのお兄ちゃん」と、さくら止める。



留吉カバンからから大きなビニールの袋を取り出す。
干ししいたけがたんまり出てくる。

おまけにトイレットペーパーまで転がる。

おばちゃん、とっさに拾う。

さくら「あらあ!しいたけ!


           



寅、すっと興味をなくし、また時間を気にし始める。

このあたりの渥美さんの動きは妙に笑える。


留吉「おふくろから、差しあげてくれと言われました

さくら「どうも、ありがとう

留吉「これ、お袋がこさえたとです。形は悪かですが香りはよかですから

さくら「そう

おばちゃん「まあ、どうもすいません。はい、これ

と、トイレットペーパーもしいたけの上に乗せる。



留吉あせって

留吉「あ、これはオレのです。すいません

と、ペーパーを巻く。

さくらたち「



そわそわしていた寅、たまらず声をかける。

寅「まあ、ちょっと、まあ座れちょっと。
  さくら、ぼさっとてないで、ダンゴかなんか旨いもんご馳走してやれ



さくら、うなずく。


寅、限界が来て…


寅「オレはちょっと行ってくる…

さくら「あ、お兄ちゃん、ちょっとどこへ行くの

寅「オレ商売だよ〜

いや
おばちゃん「まあ嫌だ。このかたわざわざ九州から
     お前に会いに出てきたんだよ。




           



留吉さみしそうに

留吉「いえ、ひと目だけお会いできればもう…

寅「な、もうひと目だけ会ったもんなひでえ(TT)

と、また出て行こうとする。

さくら「お兄ちゃん、ひどいわよ。
   東京に来たらいろいろ案内してやるって約束したんでしょう。
   留吉さん、それあてにしてここまでいらしたのよ



でもまあ、留吉も、アポくらい事前にしろよな(−−)



           



おばちゃん「半日くらいどうにでもなるだろ

おいちゃん「忙しいのはおかるけとさあレビュー見るだけ(^^;)

留吉「いえ、よかです、私一人で歩きます

みんな「


さくら「お兄ちゃん、ほら」無声音



寅、全てをあきらめた目になって…振り返り



           


寅「ん…、じゃあしょうがないなあ、
 じゃあいいよ、オレ案内するから。な、
 一緒に行こう。どこがいい?
 国会議事堂か?靖国神社、な




           



さくら「やっぱり東京タワーじゃない?

おばちゃん「東京はじめてだったらさ、上野の西郷さんなんか、ねー

中学生の修学旅行か(((^^;)

寅「あー、そりゃいいな、決めろ決めろ


留吉「実はどうしても行きたかとこがあるとです

寅「ふーん、どこ、キャバレー?ト、トルコ?おいおいおい ヾ(^^;)



             




留吉「寅さん、どうしてオレが
 そんなとこ行きたかですかーん。恥ずかしかぁ〜



寅「怒るなよおまえ、で、どこ行きたいんだよ


留吉「それじゃ言いますけど、実はオレ…

  一ぺんでよかけん
  
国際劇場のレビューば見たかあー!




             



シーーーン



おいちゃんおばちゃん思わず寅を見てしまう。



           




寅、目の玉を上にやって、



           




くるりと背中を向ける。



           




わざと気の無いふり(^^;)


留吉「柄にもないこと言うて恥ずかしかぁ〜と下を向く。

さくら「
いいえ


           


寅「へー。なに?レ、レビュー?


寅「へえー、お前もまた変なもの見たがるね、
 そのツラでぇー



さくら、あいた口がふさがらない感じで、唖然…


寅「困ったなあ〜、しかしなあ〜…

と、ワザとらしく困ってみせる。

さくらもわざとらしく頷く。

寅「と、言ってさ、おまえが見たがるものを、
 オレがいけない、って言うのもおかしいしなあ


さくらたち、笑いを我慢。

おばちゃん隠れて笑っている。



           



寅「いいよ、オレ浅草行くからさ、一人で見るんだぞ、おまえ。
  
オレ見ないから
  早く行こう、早く早く!時間無いぞ!早く!早く!



留吉「どうもすいません!
   寅さんお急ぎのようですから、じゃあどうも失礼しました!




           



さくら「またいらしてね

寅「早くしろ早くしろ!

留吉「はいはい!はい!


走りながら


寅の声「もう幕開くよ!詳しいねえ(^^;)

留吉の声「何時からですか



おばちゃん「帰りに寄ってくださいね





暖簾から首を出したままの社長が大声を出す。


社長「よお、さくらさん、いったいどうしてくれるんだよー!。

さくら「え?


社長「写真まで持って来たのに、
   大事なお得意さんなんだよ




おいちゃん、もう一度見合い写真開けて
その写真を除きこむ。 
おいおい ヾ(^^;)


社長見合い写真を開いて



社長「ねえ、いい人だろ


絶妙の演出。山田監督冴えています。



             



              








浅草  国際劇場




レビュー



前の席で、かぶりついて必死で観ている留吉。

寅は、ちょっと余裕で見ている。




           






           








アトミックガールズ 登場!(AG)


           

           


エプロンステージいっぱいに広がる
アトミックガールのラインダンスは、
東京名物として海外にもその名をとどろかせた
タップシューズを履いているので、
足を降ろすたびにタップの音がとどろく。

舞台は一見宝塚と同じで、
両側に花道、オーケストラボックスの前にエプロンステージ(宝塚で言う銀橋)がある。
しかし舞台は宝塚より大きい。
それとエプロンステージの真中に、さらにはり出しステージがあった。


食い入るように見続ける留吉。
ものすごい集中力。

留吉をマジマジと見る寅

           



梓しのぶさん(役名:富士しのぶ)が映る。

           


そのあと、和もの。
日本舞踊のアレンジ。

           


そして…
バレーダンス
『ラ.プリマべーラ  春 』

バックミュージックはヴィバルディ『四季 春 』


           


そしてお待たせ妖艶!『
エイトピーチェス!

ゴールデン.フェザーズ

孔雀の羽根。


           


           

そして次は、

小月冴子さんと紅奈々子による
日本の民謡「
刈干切唄(かりぼしきりうた)



こういう和のものは意外にも外人観光客に受ける。

小月さんの風格と踊りのキメはさすが。




           


             小月冴子さん
        






リズムオンラインソウル

千羽ちどりさん、紅奈々子、春日宏美さん


           




     千羽ちどりさん         春日宏美さん

          

 





奈々子は寅のほうに
目線を合わせながら微笑み踊る。





           






寅、その視線に気づき、びくっとする。



      



そして嬉しそうに微笑む。


           





リズムオンラインソウルの後、
急いで楽屋に戻り、

様々な扮装をこらした娘達の行き交う廊下を、
息を切らせて奈カ子が走る。
奈々子の楽屋
駈け込んだ奈カ子、かぶり物をはずし、タオルで汗を拭く。



             












そして…フィナーレ 『さくら咲く国




          










左から紅奈々子 春日宏美、小月冴子の豪華メンバー。



                   




♪さくら咲く国さくらさくら
ここも散りしくアスファルト
さくら吹雪に、狂う足取り

さくら咲く国 さくらさくら
花はこぼれて 君想う…






           






梓しのぶがバトンを持ってバトンガールをしている。


間近で彼女を見て心底しびれる留吉。



                





国際の舞台装置はものすごかったらしい。
まさに東洋一の豪華絢爛。









全てが終わり…




観客がぞろぞろ帰っていく。

『本日千秋楽』の看板。



           




観客席で座ったままの二人。


観客が帰った後の静寂…




寅も留吉もいまだ放心状態…。


ポカ〜ン…。




           




掃除のおばさんがをほうきを持って掃除をしにくる。


寅とはっと気づき

留吉をつつく。

留吉我に帰り、

留吉「入れ替えですか

寅「

眼がさめたように立ち上がる二人。


留吉「あ、誰もおらん






ちなみに、木の実ナナさんは、この後、
『キネマの天地』でもエンターティメントな歌と踊りを披露していた。
そのときの画像を紹介しましょう。

『会議は踊る』の中から『唯一度だけ』をドイツ語で歌う木の実ナナさん。



         









国際劇場・楽屋 入り口


華やかな笑い声をあげスター達が休憩時間のひと時を
過ごすべくゾロゾロと出て来る。




ファンたちが取り巻いている。



『香月さん』と、声をかけられる香月淳

香月「あーら

花束を持って待ち受けているファン2人。

ファン「こんにちは」



ブログラムを片手にキョロキョロしている留吉。


そのうしろに遠慮がちに立っている寅。



スターの千羽ちどりがサングラスで出てくる。


留吉「千羽さんですか



           



千羽ちどり「はい

留吉「わあ〜、ほんものやがな…

留吉「すいません、サインよかですか、黒のほうで黒で


頷く千羽さん。

かっこいいい(^^)


留吉「よかったですねえ〜今日のステージ、ダイナミックで


どうやら留吉はレビューの内容やスターの名前は
事前に予習していたようだ。


寅、そんな舞い上がっている留吉を冷静に眺めている。


横のビル
坂本香料 東京都 東京都台東区西浅草3丁目20-12




奈々子が出てくる。


奈々子の声「あら、お兄ちゃん!



寅、奈々子を見つけて



           




寅「よお!!

奈々子「見てたでしょ、私ちゃんと分かったわよ!

走ってくる。

ファンに花束をもらって

奈々子「ありがとう

他の待ち構えていたファンに、

奈々子「ごめんなさい、あとでね


留吉は後ろからついて来た梓しのぶにサインを求める。

留吉はこのあと梓しのぶさん演じる
若手の富士しのぶちゃんに恋をすることに。




寅「なかなかよかったよ舞台

奈々子「お兄ちゃんが見てるからはりきっちゃった!



           



寅「またまたあ〜、フフフ

奈々子「ほんとよー

寅「今暇か

奈々子「うん、次の回まで

寅「なんか食いにいくか、精のつくもの

奈々子「ほんとー

寅「うん

奈々子「うれしい



途中段階の『脚本第2稿』では奈々子のほうから食事に誘っている。



後ろで留吉と話しているしのぶちゃんを呼ぶ。

奈々子「しのぶちゃん、おいで

しのぶ「はい



留吉、びっくりして


奈々子と一緒に歩く寅に

留吉「わあー!寅さん、

寅「ええ?

留吉紅さんとお知り合いですか?

寅「幼馴染よ!

留吉「うわッ、よかああ〜


電柱  西浅草3-12



            



留吉「サインばしてもろてよかですかね

寅「ま、いいだろあんたの許可要らないよ(^^;)

留吉「じゃ、すいません、サインば


奈々子笑いながら

奈々子「あ、はい


留吉かばん落として、しのぶちゃんが拾ってやる。


留吉「すいません

しのぶ「いいえ


後ろから別グループで

香月淳とファンが歩いている。




奈々子留吉のことを寅に聞く。

奈々子「この人、連れ?

寅「うちの若い衆よ




近所のとんかつ食堂『河金』でみんなで食事


浅草5丁目


名物 100匁とんかつ




トンカツ屋・店内




畳敷きの部屋の一隅に陣どった寅と奈々子、
留吉としのぶの一行、食事を終え、談笑している。




奈々子「ほんとよ、いくらお客さんがいっばいいてもね、
   誰も知った人がいたいとなんだか物足りないの。
   例えお客さんが少なくともそのうちに知ってる人がいてさ、
   私を見てくれてるな、と思うとね、
   とっても気持がはずんで来ちゃうの。

   だからき今日はね、私、お兄ちゃんのために
   バッチリ踊っちゃった、ほんとうよ




           



寅「へへへ、そんなこと言われたら、
 これから毎日来なきゃいげねえじゃねえかフフフ




           


奈々子「そうよ、来なきゃ駄目よ。
   あー、おなか、いっばいなっちゃった


寅「そうか

奈々子「うん


留吉、恐る恐るしのぶに声をかげる。

留吉「やっばり、あれ、踊っててお客の顔なんか見える訳?

しのぶ「はい、見えます

奈々子「ねえ、あなたがね、
   一生懸命見てるのとってもよく分かった



           



寅「こいつのツラはね、
 客席からレビュー見るツラじゃないんだよ



留吉「キツか〜


寅「
見世物小屋で
 
ろくろっ首見るツラだよ

笑いました。座布団2枚!




           



留吉「いやあ、キツかキツか〜

しのぶ「ひどいわねえ〜、フフフ


奈々子、大声をあげて笑う。



寅「留吉よ、お前これで一応満足したか


留吉「はい。とっても。
  あのう、二人ともアーチストのわりには、
  ほんなこと気さくかですね。
  庶民的でですね



奈々子、再び大声をあげて笑う。


男子店員募集


しのぶ、小声で時間を告げる。

しのぶ「紅さん、時間が…

奈々子「あら、そんな時間

しのぶ「はい

寅「もう行くのか


奈々子「うん、じゃ、もう行かなくちゃ。
   楽しかったわお兄ちゃん


と財布を取り出そうとする。



           


寅「あ、いいよいいよ

奈々子「でもさ、お兄ちゃん


寅「いいって


寅「貧しいファンのおごりです上手いね〜(^^)


と、札入れを前に出す。




           




奈々子「そう、うれしい

寅、パンと手で札入れをはたいて


寅「留、勘定して来い


と留吉に財布を渡す。



留吉、かしこまってレジのほうへ行く。

留吉「あ、はい

奈々子「じゃご馳走になります。どうもありがとう


しのぶ「ご馳走さまでした


奈々子「さくらによろしくね。
   明日からしばらくお休みだから、
   今度はちゃんと時間をとって、
   まえもって電話して行くって言っといて。
   話があるんだ、いろいろ




寅「いつでも来いよ

奈々子「ほんと

寅「じゃあね

寅「

奈々子「じゃ




留吉レジで払おうとしている。

店員「はい、3500円です」



しのぶ「失礼します

寅「ねえちゃん、あんた一生懸命勉強してな、早く先輩みたいにたれよ

しのぶ「はい、頑張ります





一方留吉、
寅の札入れに500円しか入っていないのを見て愕然とする。



           



留吉「3500円ね…、あと3000円か

仕方なく自分の財布から3000円を出す。


このサイフにお金無しっていうパターンも第2作をはじめ
今までに実に良く使われるギャグ。
このあとの第27作「浪花の恋の寅次郎」でもこのギャグを採用。




奈々子「じゃ、さよなら

寅「お!

しのぶ「さよなら

奈々子「さよなら


留吉「あ、さよなら、さよなら



留吉、寅の処へ戻り、


留吉「じゃ、これ」と札入れを渡す。

寅「あ、ごくろう



           





留吉「この辺で…失礼します

寅「そうか

留吉「はい

寅「じゃあ、おまえ、田舎に帰ったら、おふくろにくれぐれもよろしくな

留吉「はいはい、はい




           


寅「それとオレの言った教えを守り、百姓に励めよ

留吉「はい

寅「よし、行け

留吉「じゃ、失礼します



           


寅「

ベコリと頭を下げ、急ぎ足に出て行く。

ホッと溜息をついて窓の外を見る寅。


この一瞬はロケで、店の窓枠が緑になる。



真向かいでは踊り子が稽古をしている。



           






★ 留吉はこのあともう一度国際劇場に舞い戻って、
  なんと再度指定席の券を買う!

分かるなあ〜、その気持ち。のめり込んだんだねえ(^^)






国際劇場 当日券キップ売り場


留吉「すいません、指定席ください。
  一番前、
男子1枚

男子一枚!いいねえ〜(^^)



あまりにも急いでいるので、千円札を口にくわえて

留吉「まだ間に合うね、急いで

と、券を受け取り走っていく。



            



かぶりつきで見ている留吉。



国際劇場 場内



かぶりつきで口を開けて異常な集中力で見上げている留吉。


キューティーズの四人の娘達が
歌と踊りを披露している。

その中に梓しのぶさんの姿もある。




♪スキンシップで〜、教えちゃおう、ちゃおう、
 キュートなあ〜〜〜、ラッキーソング〜〜、




           



パッと服を早変えでシルバーから赤に早変わり!


           



留吉びっくり。



♪誘惑された〜〜〜い、誘惑してえ〜〜〜、
もうもうもう我慢の限界線〜〜〜




           












留吉の故郷 田の原温泉



尺八の音


はるか彼方に、小さた部落が霞んで見える。


           



留吉の母親が田んぼの畦の草を刈っている。


母親の声「拝啓、留吉様、お前は何ばしよっとか。
    村を出てからもう二週間もたったというのに
    電話一つせんで、母ちゃんは心配で
    いてもたってもおれんばい。
    あつかましう車先生のお宅に
    お邪魔してると思うてこの手紙ば書いてます。
    一刻も早く帰って来なさい。
    そして田んぼの草とりをしてください。母より









とらや 店




表はシトシト雨が降っている。

葉書を見ているさくらとおいちゃん。




           


さくらとおいちゃん、顔を見合わせているところへ、

SKDのパンフレットを片手にした寅が二階から降りて来る。

さくら「お兄ちゃん、たいへん。
  留吉さんまだ田舎に帰ってないんだって


寅「へえ

さくら「浅草で別れたとき、何か言ってなかった


と、母親のハガキを見せる。


.
寅「いや別になにも言ってないよ。
  これから田舎に帰って百姓やりますって、そう言うからさ


さくら「うん

寅「よし、それじゃあ、まじめにやれって言ってやったんだ

さくら「あれから二週間たつのよ。何かあったんじゃないの?

寅「だいじょうぶだよ。おまえ、
  ガキじゃあるまいし、どっかでちゃんと生きてるよー、


さくら「だって心配してんのよ、お母さんが

寅「うるさいねー、おまえもー、
 それでなくたって雨が降ってうっとしいんだからさ




           




さくら、不満そうに台所へ行く。



寅「はあーあ、早く『夏のおどり』でも始まんねーかな






電話 リーン リーン


寅、パンフレットを読んでいる。

寅「ほら、電話だ、電話

おばちゃん、客の片付けものしながら、

おばちゃん「自分で取んなさいよ!

と怒っている。

寅「なんだよー、うるせーなー

と、超いやいや電話を取る。

寅「はいはい、こちらエイトピーチェス

ちゃうちゃうそれレビューのメインの出し物だよ ヾ(^^;)



           





寅「え?とらやですけど



寅「私です


パッと顔色変わって

弾んだバカ声で

寅「奈々ちゃん!?



           



寅「うん、んん!うん、
 今、どこにるの?どこに










浅草 国際劇場  稽古場




奈々子「今?楽屋。

   もう『夏の踊り』の練習が始まってるの、そう。

   


           
           








留吉「紅さん、これ」と出前を見せる。


電話中失礼だぞ(−−)


奈々子「あっち」と指を指す。



           



留吉、稽古場を通り過ぎながら踊り子に

留吉「
マーヤさん、太ーりましたね〜〜〜

マヤ「ひどいわねえ!」

と留吉を押す。

笑いながら逃げていく留吉。


奈々子「暑くてー! そう。

   さくらいる?

   あのね、今日の午後暇なんだけど、
   遊びに行っていいかな?







とらや 電話口



寅「うん!い、いいよ、うん、来いよ!
 え、いや、もうそろそろね、
 来るんじゃないかってオレ待ってたんだ。
 うん、うん、
 いやあ、店なんていつだって暇だから。
 うん、じゃあオレ待ってるからすぐ来いよ。
 え?迎えに行こうか?
 分かる?うん、うん、じゃ、道間違えるなよ、
 うんうん、はいはいはい、ん!よし!




電話を切って


寅「さくら!あの子来るってよ!したくしたくしたく


さくら暖簾のところで聞いている。

さくら「し…


『支度っていっても…』と言いたいのだろう。



           



寅「あ、おばちゃん、あの子ね、
 いつも踊りの稽古して
 腹すいているからさ、
 栄養で身になるものちょっと作ってやってくれ



おばちゃん「じゃあ、枝豆かなんか?なぜ枝豆になるんだ??

寅「バカ!そんなもんじゃないよ、
 もっと高級な、こう…
フランスの料理だよ



寅、そわそわしなくって自分でも混乱している。



           




お客さんが入ってくる。

おいちゃん「あ、いらっしゃい



寅、おいちゃんにぶつかりながら、8マンのように店先に走ってきて


寅「あ、いらっしゃいませ、
 取り込みがありまして、また明日どうぞ!


と、追い出す。



           




おいちゃん、唖然。




寅、道に立って駅のほうを向き

寅「おい、こら、そんなとこへ何で立ってるんだよ!
 道開けろ道!バカ!




江戸家に自販機『雪印』




           



なにもそこまで、あせらなくたって… ヾ(^^;)


この大騒ぎは、
第13作「恋やつれ」の歌子ちゃんがとらやにやってくる時の
アレンジバージョン。

また、いやいや電話を寅が取ってマドンナだったというギャグは
第40作「サラダ記念日」でも使われたギャグ。





数時間後



朝日印刷 工場内


奈々子にサインをしてもらった源ちゃんは、
シャツの背中に書かれたサインを見せながら



源ちゃん「目がパッチリしてな、
   体がピーッとして、体がボイン


源ちゃん、ポーズ付きで解説(^^;)



工員たち「ハハハ!

中村君「源公

源ちゃん「なに

源ちゃんの背中のサインを指でなぞりながら

中村君「これが、くれない

源ちゃんくすぐったくて

源ちゃん「ちょっと、ちょっと、やめろ、こら

中村君「動くなよ

みんなでわいわい。



           








とらや 茶の間






みんなで大笑いしている。


寅「おばちゃんみたいなタイプのね、
 踊り子50人ぐらい集めてさ、
 ラインダンスやったらいい、ハハハ


悪趣味な会話((^^;)


おばちゃん「やめなさいよねえ(^^;)


奈々子大笑い。



           



工員や社長たちサインをもらいに来ている。


奈々子「嫌だ、笑ってるうちに食べ過ぎちゃった。
   どうしようさくら私太るわ、フフフ


結局、草団子とところてんと枝豆を食べたのかな??


さくら「なに言ってんの、ちっとも太ってやしないじゃない


奈々子「そうとう無理してるのよ、30過ぎたらもうだめね、
   お腹なんか、こうよ、
   あら、いやだ、またお肉ついちゃったわ〜


さくら「ハハハ

奈々子「舞台が終わって、楽屋のお風呂に入るでしょ。
   若い子の体見るとさ、キラキラ輝いてるの。
   さみしいのよそういう時って



社長「楽屋のお風呂…下世話(^^;)



枝豆を社長に投げる寅。



           



博「じゃあ、失礼します

奈々子「あら、仕事

博「どうぞ、ごゆっくり

奈々子「はい

博「さあ、さあ、仕事仕事


工員たちしぶしぶ帰っていく。


工員a「社長はいいなあ…

おばちゃん「サインしてってと、工員たちの色紙やノート持ってくる。


さくら、サイン帳手渡しして、


さくら「ごめんねえ、どこ行ってもサインばっかりしてるんでしょう

奈々子「いいのよ



           





おばちゃん「そういえばあなたは
    中学の学芸会の時からスターだったわねえ



奈々子「でしゃばりの、目立ちたがり屋だったのよ。
   要するに




奈々子「ほんとのスターは、このさくらよ


さくら「え?


みんなニコニコ




           

            


奈々子「美人で、勉強ができて、気立てが優しくて、
   まるでお姫様みたいだった。



さくら「うそよぉ〜フフフ




           




奈々子「ほんとよー、私なんかずいぶん
   ヤキモチやいてたんだからァ、
   男の生徒にもててもてて



寅「へェ〜

もう当時すでに家出してたから寅は何も知りません(^^)

奈々子「だから、私ねェ、
   さくらはきっと王子様みたいな男性と
   結婚すると思ってたの。
   そしたらねえ、あんな、あの、庶…、
   ごめんね、あの、そういう意味じゃないのよ。

   つまり…



さくら、首を小さく振って笑っている。




           






寅「つまり!あのような貧しい職工と
 結ばれてしまったというわけ





            




さくら、クスクス笑っている。



寅「さくら、おまえ失敗したぞ


奈々子「いや、違うのよ、お兄ちゃん!

寅「


奈々子「
あの、もちろんね、意外は意外だったけど、
   私…羨ましいな…、どんなふうだった、ね、
   もちろん
熱烈な恋愛だったんでしょ?





           




社長「そりゃあもう…



確かに二人は相思相愛だったが、
熱烈だったのはどちらかというと博のほうで、
さくらは、その心を受け入れたという感じ。




実際脚本第二稿では、↓

おばちゃんが「まず博さんが恋をして、それはもう死ぬほど恋をして、
        その想いがようやくさくらに通じて、うんと言ったんですよ。
        そうだね、寅ちゃん


と、なっている。


しかし、そのおばちゃんの発言も微妙に間違っている。



奈々子「どうだったの?お兄ちゃん


寅「さあ、忘れたなァ、昔のことだから。
 お見合いでしょ、あんたたち





           




みんな大笑い。


おばちゃん「何言ってんのよぉ、あんた邪魔したくせにィ


みんな「フフフ」


奈々子「羨ましいな…、さくら



           




さくら「そんな…私なんかァ、フフ



           



奈々子「どうして?


さくら「だって羨ましいのは私のほうよぉ、
  中学の時から、あなたは踊りも歌も全校一で、
  私たちは奈々子は
  必ず舞台のスターになる人だって信じ込んでいたし、
  あなたもそうなりたいと願って、
  そして、その通りに生きてきたのよぉ、
  素晴らしい人生じゃない




           




寅「素晴らしい人生だよ。…な


さくら「ホント言うとね、私もレビューに憧れたり、
  歌手になりたいって真剣に
  思ったりしたことあんのよ。
  そういうささやかな夢ってだれもが
  一度は持つんじゃないの?ね


    と、寅にふるさくら。


倍賞さんが言うと、なんだか変な気分だね(^^)



           



寅「そうそう、うん。おいちゃんだってな、
 まあ、若い時は
 こんなケチな団子屋のオヤジに納まろうと
 思ってなかったよな。そうだろ?




おいちゃん「そりゃおめえ、
    オレは
満州で馬賊になるつもりだったからなあ


おおお…バ…馬賊?((@_@)



満州馬賊

当時の治安悪化に対する対策としての自衛組織の中の遊撃隊的な組織。
時として非倫理的な盗賊行為にも及ぶこともあった。
後に国家の機動工作部隊としての色を帯びていく。






               





おばちゃん「私はね、日本橋の大〜きな呉服屋の女将さん
     なりたかったのよ、フフフ



おばちゃん、口輪ゴム(^^;)




          




みんな「ハハハ」

おいちゃん「なあに言ってんだい…

おばちゃん「なによと、おいちゃんを睨む。


二人とも同じ次元だって…ヾ(^^;)




           




寅「博の奴はね、学者になりたかったんだ


奈々子「へェー…

寅「それが今どうだい、
  こんあ倒産寸前の工場の職工だよ。もう一生ダメ!





           




奈々子「フフフ

社長「何言ってんだい、オレだってねェ、
  
弁護士になりたくて夜学に通ったもんだよ。
  あの時もっとがんばってりゃなあ…





           




寅「な、みんなこのように、若い頃の夢とは、
 程遠い現実生活を営んでいるというわけだ。んー





           






ちなみにさくらは確か第12作「私の寅さん」で
小学校の時は絵描きさん。
中学校では声楽家。
高校では芸術家のお嫁さん、だった。

博は他の話では、確か弁護士になりたかったり、
テストドライバー、バイク店のオーナーに
なりたかったりしてた。





           



さくら「奈々子のように、
  理想どおりに真っ直ぐに生きてきた人ってほんと少ないわよ


寅「そう、そら、少ない少ない

さくら「ねえ



おばちゃん社長にサイン渡してやる。


奈々子「お兄ちゃんにも夢があった?

寅「そらあったよ

奈々子「どんな?

寅「オレャ、鼻垂れ小僧の時は
 
チンドン屋になりたかったんだ




おばちゃん「そうーそう、そうだったよねえ



寅「ね、チンチンドンドンってね、あーあ、



                   



寅「それで、小学校に入ったら、
 オレ、
サーカスに入りたかったんだ。
 あの三角テントさ、んー



さくら「覚えてる

ほとんど覚えてないだろ、さくらはまだ幼児だよ(^^;)



おばちゃんがそんな幼児だった頃の寅のディテ−ルを
知っているということは、かなり初期の頃から
とらやとの付き合いがあったんだねきっと。



寅「中学校ではテキヤに憧れてね



           



奈々子「へェー


寅「四谷赤坂麹町、ちゃらちゃら流れる御茶ノ水、
 粋なネエチャン立ちションベン、白く咲いたが百合の花、




           



奈々子「ハハハ

寅「ヘへへ…、ま、
 オレはオレなりの貧しい小さな夢を持ってたわけよ



奈々子頷く。


寅「結局今はこうやって…、あ、

 ずっとオレそれやってんのか…



奈々子「え?ハハハ、じゃあとにかく、
   
寅さんは理想どおりに生きてるんじゃない?




寅「まあ、ギリギリそういうことにあんるかな、ハハハ



ここで奈々子は『お兄ちゃん』ではなく『寅さん』と言っている。なぜ?
このあともちょくちょく『お兄ちゃん』と『寅さん』が入り乱れる。
使い分けがどうも明確でない。
『寅さん』の時は男性としてとらえている時かといえばそうでもないようだし…。




           



おいちゃん「そうだ、お前の場合、
     まわりも遊び人にしかならないと思ってたし、
     そしてそのとおりになちゃった…



と、ビシッとリアリティを持って締めくくっていた。



           



社長「じゃあこの中で理想の生き方を貫いているのは
  奈々子さんと寅さんだけだよな?
皮肉(^^;)


寅「そうそう

みんな「ハハハ


奈々子「でも、私とお兄ちゃんは違うわよ

寅「え?



           



さくら「どこが?

奈々子「だって、私は結婚してないもん…



みんな、シーン


寅、下を向いて「もじもじ…(^^;)


奈々子「え…違うの??



            



さくら「お兄ちゃん慎重だから、ね優しいねえ…(TT)


奈々子「…慎重に、選んだの?座布団一枚(^^;)



           



寅「…バカバカしいことだよ…」と照れている。



おいちゃん「慎重すぎてまだ独りなんですよ


奈々子「あら!



           





社長「上手い上手い!ハハハ



           



奈々子「そうなの!?

奈々子、寅の手を握り

奈々子「じゃ、私とお兄ちゃんは本当に仲間ね。ごめんね

寅「まあ、そういうことになるか、ハハハ



           





奈々子「でも。。。寂しくない?独り暮らしって…



と、寅を見ないでポツリと言う。



奈々子の意外な潜在意識が垣間見れるいい演出。





           



寅「そうねえ、まあ、傍目にはとても
 気楽そうにみえるらしいけどもさ、
 例えば冬の寒い夜なんかねえ…、
 妙に寝つけない時があるだろ



奈々子「あるある…



           



寅「そういう時は、なんかこう…、胸の中をね…、
 冷たい風ぴゅーっと
 吹き抜けていくような気持ちがするよ



奈々子「…わかるな…



           



寅「でも、すぐ寝ちゃうけどね





さくら、クスッ…



           



寅「奈々ちゃんたちも、旅をした時は方々へ泊まんのかい?

奈々子「うん、あちこち泊まるわよ

寅「そういう時はやっぱり一人?

奈々子「フフ




柱時計が鳴っている。

奈々子「あら!いけない、私行かなくちゃ



           



さくら「あ、どうして、今ご飯の支度してんのに

寅「そうだよ

奈々子「ごめんね、レッスンがあるのよ、30分で着くかしら?大変だ



上がり口に行きながら

奈々子「お兄ちゃんごめんね

寅「あ、待てよ!オレもそのへんまで送っていくから


土間に下りながら

寅「どけよ、タコおい!



奈々子靴を履いている。

奈々子「さくらごめんね、また来るから

さくら「騒々しいばかりで悪かったわね

奈々子「ううん





さくら上がり口で




さくら「ねえ、あなた、
  なにか大事な話があったんじゃないの?
とひそひそ。



奈々子「ん?ん。実はね、悩んでんの。
   結婚のこと
ひそひそ。



           



ヒールを履いている奈々子。



さくら「やっぱり…



寅のことを思い、ちょっと複雑な気持ちになるさくらだった。
.



           



奈々子「もう年だしさ、かと言って踊りはやめたくないし、
   どっちにしていいかわかんない…
と悩んでいる様子。



           



寅、やって来て

寅「よ、行こ行こ行こ

奈々子おいちゃんに

奈々子「ごめんなさいどうも


おいちゃん「いつもお忙しそうですねえ、ハハハ

奈々子「すいません


おばちゃん「あ、これ、お土産

寅、お土産をさっと手にとって

寅「あ、いいよいいよ、こっちでもらう

奈々子「じゃあね、さよなら

さくら「さよなら

奈々子「あ、お兄ちゃん駅こっち?


この前来た時も同じこと聞いてたぞ ヾ((^^;)

寅「あっち、まっすぐ


二人で柴又駅に急いでいく。


ガラス戸に『夏のおどり』のポスターが貼ってある。


おっと、谷よしのさん
、夢のシーンに次いで、今作品2回目の登場。
とらやのお客さん役でサングラスかけて店頭に。





           




奈々子の上の一連の発言により、
一人暮らしが身にこたえ始めていることと、
年齢から来る体力の衰えを実感していることを垣間見ることができる。







さくらのアパート 夜




博との会話


博「そうか…結婚したら
  今の仕事続けるわけに行かないのか…



           



さくら「大部分の人がそれでやめていくのよ。
  だけど奈々子は踊りを踊るために生まれてきたような人だから、
  そう簡単にはやめられないんでしょ…。
  なんだか可哀想…


と、裁縫をしている。(糸を歯で噛んで切る)

さくら「満男、もう寝なさい

満男「おやすみなさい

さくら「おやすみ

博「いずれ、兄さんがふられるのは
 時間の問題じゃないかな…




相手に恋人がいるのだから当たり前…。

      

           










浅草六区映画街  東京クラブ 裏



           






松竹映画『事件』のポスター



東京クラブ裏で布生地のバイをする寅。



寅「見てやってよ、これ〜…、ね、
 もういい、もう安く、よし!
 もうこうなったらね、ヤケのヤンパチ日焼けのナスビだよ、ね!

 皆様よくご存知の神田はキリン堂というあの有名なラシャ殿が、ね!
 気の毒なことに、このたびの不況でもって倒産しました!
 後に残った従業員の退職金まとめとして投げ出されたのがこの品物!
 手にとってみてやってちょうだいよおばさん、えー




同じ方向から見た、現在の同じ場所。
ROX3横のスーパーマルチコートとバッティングセンターの
間の細い路地の中ほどで寅はバイをしていた。




           
      







寅、向こうで留吉を発見!




           





とんかつの「ヨシカミ」の前で、
しのぶにアタックし続けている留吉を垣間見る。


留吉「ね!しのぶちゃん!」と追いかける。


ちょっといやがっているしのぶ。



                     






寅「ちっ!あのヤロウ、なに何やってやがんだい!
 ふられるのは時間の問題です!




昭和38年の航空写真を見てみると、
あの昆虫の背中のような東京クラブの建物が見える。
赤い四角で囲んだ場所が寅がバイをしていたところ。



           
     




寅「さああどうぞ!ねえ!
 角は一流デパート、赤木屋、黒木屋、白木屋さんで、
 紅白粉つけたお姉ちゃんにくださいちょうだいで
 お願いしますと
 一万が二万三万は下らない品物、
 今日はそれだけくださいとは言わないよ、ねえ、
 どうお姉さん、手にとって見てやってちょうだい









国際劇場 稽古場



手をたたきながらダンスの稽古を指導している講師、と先輩

「ホザンナ」(Hosanna)「ホザンナ」(Hosanna) 
 「ホザンナ」(Hosanna)「ホザンナ」(Hosanna)
 「ホザンナ」(Hosanna)「ホザンナ」(Hosanna)
 「ホザンナ」(Hosanna)「ホザンナ」(Hosanna)





           


ミサなどに出てくるヘブライ語「ホザンナ」(Hosanna)は、
ミュージカルの『ジーザス・クライスト・スーパースター』
か何かの稽古なのかな…??






先輩「はい!


みんな休憩。


奈々子、ぜえぜえ息を切らしている。



春日宏美さん、心配そうに


春日さん「具合でも悪いの?

奈々子「え?ううん大丈夫



          




春日さん「そう


奈々子、やはり日々体力の衰えを実感しているようす。





ぼんやり階段から外を眺めている。





恋人である照明係の隆がやって来る。





奈々子の首に
すっと冷えたジュースをつける。



           



奈々子「うわ


はっとし、隆を見る奈々子。


隆「冷たいぞ


奈々子「ありがとう


隆「うん



              





隆は何か言いたげだったが、

そのまま…階段を下りてゆく。



奈々子は悲しい気持ちで
隆の後姿を目で追いかけている。







奈々子「隆!



           




立ち止まる隆。

奈々子を見る。



奈々子、決意したように、



奈々子「
簡単に言うね。


           



   私、どうしても踊りを止めることができないの。

   ごめんなさい。


           




   一生忘れない、隆のこと…





           





奈々子のテーマが静かに流れる





隆「




奈々子を見つめながら、




           





少し動揺し、…

手袋をはめ…

そして去っていく。





踊り子たちの通る稽古場への通路を降りていく隆。


先輩の踊り子「あら、隆(タカ)ちゃん、まあ、お珍しい、
      こんなところで、なにごと?




           




外では、若い踊り子たちが
にぎやかに奈々子の下を通っていく。



踊り子「暑いのよもう、汗びっしょり」

踊り子「牧原さーん」

わいわいがやがや。




奈々子風に吹かれながら、

実は…まだ迷っている。




           




さきほどの奈々子の「踊りをやめることができない」という発言に対し、
隆は動揺し、何も言わなかった。

これは、結婚したらいわゆる家庭を守って欲しいという
隆の気持ちがちらっと見えるシーンだった。

もし、結婚してからもSKD以外のどこかで踊りや歌を発表することを
能動的に隆が応援する気があるのなら、この場面で、なんらかの反論なり
発言があったと思うからだ。

とても残念だ。
隆はやはり、奈々子に結果的には踊りをやめて欲しがっていると考えられる。

隆が応援すれば、結婚して共同生活をしながらも新天地を求めて
奈々子は次なる世界に足を踏み入れることができるはずなのに…。




奈々子のテーマが流れ続けている。



照明の仕事に戻る隆。


先輩「おい隆、このマシン具合悪いぞ


隆「はい


同輩「油切れてるんじゃないか


隆「ああ



           




奈々子のテーマが流れ続けている。


風に吹かれて、

若い踊り子たちを見ている奈々子。




このセリフのほとんど無い静かなシーンは
奈々子と隆の内面の葛藤と哀しみを描いた
すばらしい演出。
このようなタメのあるシーンがこの物語の懐だ。







常磐線の通る日暮里あたりの歩道橋



奈々子が実家に向かっている。


この画像のように常磐線は、
全国で唯一エメラルドグリーン塗装の
103系が投入された路線。






           




脚本では『田端』となっている。



奈々子の実家



雑貨屋を営んでいる母親。



奈々子の妹が夫に愛想をつかせて実家に戻ってきている。






おしめを干している妹。

背中で赤ん坊が泣いている。

妹は左時枝さん。

妹「よしよし、泣かない泣かない



奈々子部屋に入ってくる。

ばさっとぞんざいにカバンを置く奈々子。
ちょっと疲れている。

上手い演出。



妹「あ、お姉ちゃんか

奈々子「また帰ってたの?

妹「しょうがないじゃない、こんどこそ別れてやるの


泣いている赤ん坊

妹「私に黙ってサラ金から10万も借りてたのよ

泣いている赤ん坊に対して

妹「うるさいねえ、この子は。この暑いのに

と居間に上がってきて、赤ん坊を下ろそうとする。

妹「こんな子産まなきゃよかったわよキツすぎ(−−;)

奈々子がだっこをする。


母親、奈々子を見つけて

母親「あら、帰ってたのかい

奈々子「母ちゃん、…お金

とちゃぶ台に封筒を置く。

毎月お金実家に入れてんだね…。


母親「すまないねぇ

母親「お昼まだなんだろ

奈々子「うん

母親「勝子、姉ちゃんにラーメンでもとったら

客に応対。

母親「どうもすいません」



赤ん坊をあやす奈々子。

妹「この暑いのにラーメンだなんて

妹「お姉ちゃん…、私ウナギ食べたァ〜い

奈々子「食べればいいじゃないの

妹「本当?

頷く奈々子。



           



電話帳見ながら

妹「お姉ちゃんは?

奈々子「いらない

妹「いらないの?


妹を見て、赤ん坊のおもちゃを持ち、
…いろいろな思いをいだいている奈々子。


           





妹「もしもし荒物屋の小島ですけど、あのー、うな重一つ持ってきてくれる?
  うん、ん、『並』でいいの、すいませんお願いします




うちわで扇ぎながら、考えごとをする奈々子。


           


妹を見て、夫婦の有り方をいろいろ考える奈々子だった。



ところで、小島っていうんだね。


ということは本名は『
小島奈々子


山田監督はとらややその周辺では
お人良しで善良な幸せ家族を演出することが多いが、
こと、マドンナの環境や家族となると、このように
結構容赦なくシビアな現実を突くきつけさせることが多い。
          


ちなみに、脚本第二稿では、

■奈々子の父親は体が悪くて
 今日も病院に行っていることになっている。

■『うな丼』ではなく、『冷やし中華』を勝子が注文し、
  奈々子のぶんも注文する。










とらや 茶の間  夕方


店には『夏の踊り』のポスター。


豆腐屋のラッパ


店でおいちゃんが新聞を読んでいる。

ほうれん草のおひたし。


寅が、茶の間で寝転がっている。



           




博が工場から戻ってくる。


おばちゃん「お帰り

さくら「ごくろうさま



さくら、寅が置いたお膳のお金を見せて

さくら「これね、今日のお兄ちゃんの稼ぎなんだって

博「大丈夫ですか兄さん



           



寅「うん、まあ、借りた銭に比べりゃ、ほんの僅かだけどよ、
 オレたちの商売もどうも不景気でな


博「じゃ、受け取りますと、あえて寅のために受け取る。

本気で返そうとしていることがわかって、
さくら、ちょっぴり嬉しそう(^^)

ちょっとは返す気があるんだね。


社長やって来て

タコ社長「あーダメダメ、全くダメ、ほんとうにダメ。
     なんかいいことないかねおばちゃん。
     ヘへへ、

   寅さんまだふられねえかな





寅、むくっと起き上がる。



社長、あわわわ!



社長「
あー!!いたのか!!
  ごめんごめん!!違うんだ違う…
違わないだろ(ーー)




みんな真っ青


寅「タコ!!!



           





おいちゃん「今のはおまえが悪い!!」と指差す。


博「兄さん、勘弁してやってください、
  なにしろあんまり不況が酷いんで口がすべったんでしょう



社長「そ、そうなんだよ!
  ごめんごめん、この通りこの通り!ごめん!
」と拝み倒す。


寅、睨んでいる。


博も口が滑って


博「社長も社長ですよ、兄さん、
 まだふられてやしないじゃないですか



さくら「あ!!」無声音


さくら、びっくらこいて口ポカン。

脚本第二稿では博はこのボケた発言はない。



           


博も自分で気づいて、しっまたという顔。


寅も片目つぶって、怒りながら



寅「ちっ!


           



さくら「お兄ちゃんどこ行くの?

寅「こんな気分で飯が食えるか、どっかで酒でも飲んでくらい!

と、帽子を持って店のほうに歩いていく。

社長「申し訳ない






とらや 店


で、寅が出て行くその時


奈々子がやって来る。



寅「…よう!



           



奈々子「こんばんは

みんなにも

奈々子「こんばんは


さくら「あら!いやだ奈々子じゃない

寅「なんだい、今頃急に

奈々子「お兄ちゃんの顔見たくなったの



              



ハハハ、そうかい、よく来たな、さ、上がれ上がれ上がれ

奈々子「いいのここで

寅「ん?


さくら「ちょうどこれからご飯なのよ


奈々子「いえ、ほんとうにいいのよ、
   家に用があったもんだからね、ちょっと顔出して
   その帰りなの


寅「
ほー

奈々子「
お茶一杯飲んだらすぐ帰る


なんだか元気が無い。



           



寅、短く頷いて、

寅「ん。…おばちゃん、団子とか煎餅、いろいろ持って来いや

おばちゃん頷いて

おばちゃん「あ、あいよ


台所で社長が覗いている。


奈々子「お兄ちゃん」

寅「ん?

奈々子「
この間はごちそうさま

寅「あ、あれ、うまかったか

奈々子「おいしかった

寅「よし、今度なんか別のものご馳走してやるよ、うん

他人に払わせたくせに、お金持ってからにしろよ(−−;)


奈々子「うん

寅「もう、夏の踊りの稽古でたいへんなんだろう



奈々子「…うん、私ね、今度歌うたうの

寅「ほう


さくら「へえー



           



奈々子「私のために作ってくれた歌でねえ、


さくら「
うん

奈々子「とっても気に入ってるの

寅「
へえ

奈々子「『道』…って言うんだけどさ


寅「


奈々子「つまり、…私の歩んできた道のこと。
   私が今までいろんな人達に、やさしいこと…



奈々子、寅を見て…、

ふと声をとぎらせる。

下を向き、ついに泣いてしまう。


寅「…!


寅、何が起こったのか分からなくて動揺している。



この、『道』の話は脚本第二稿では書かれていない。



           




さくら「何かあったの?



           



奈々子、堰を切ったように


奈々子「ねえ、さくら、聞いてくれる?


さくら「い、いいわよ


奈々子「私ね、もう十年近く付き合ってる人がいるの


さくら頷く。


奈々子「大好きなのよ



奈々子「お互いにもう年だし、
   このへんで結婚してくれって彼が言うの




さくら頷く。



寅、椅子を立って沈んだ気持ちで奥にゆっくり引っ込む。



さくら、奈々子の話しを聞きながらも寅をちらっと見て気にする。



奈々子「散々苦しんで、ようやく決心したの



                           






社長やおばちゃん耳ダンボで聞き耳をたてている。



              




社長たち、寅が近づいてきて、急に平静を装う。


社長博にタバコを差し出す。



              






寅、暖簾のところで止まり、背中で聞いている。



       



奈々子「それは彼は優しい人よ。
   私を大事にしてくれると思う。


大事にするなら、なぜ奈々子に踊りをやめさせるのだ。



奈々子「でもねさくら、
   私どうしても踊りをやめるわけにはいかないの



さくら、何度も頷きながら


さくら「そうね…」無声音


奈々子「だから…彼とは別れたわ…


       

さくら「…そう…

寅、奈々子の言葉を聞いている。
心なしか目に力がわく。


                      



なぜか撮影カメラの音が聞こえ続ける。

さくら「そんなことがあったの。辛かったね奈々子

奈々子「でも、…これでいいと思ってる。
    こうなるしかないと思ってる。でも…




            




奈々子「
でも…



            



奈々子、急にさくらの膝で泣きながら


奈々子「私、寂しい…うううう


さくら、どうしていいかわからなくて、寅を見ている。



            

              





泣き続ける奈々子。

背中に手をやるさくら。

背中を見せて立ち尽くす寅。

なんとなく聞いていないふりを
しているとらやの人たち。




                    






間が悪く、団子を買いに来る客

客「お団子ください」

寅、パッと店先に来て

寅「
はい!いらっしゃい、すいません…、
  今日はお隣で買っていただけませんか


客「ちゃんと、ここにあるじゃないか

寅「
団子なんてどこで買ったって同じだよ!バカ!!



           





奈々子、泣きながら


奈々子「私、帰る。


さくら「ねえちょっと、いいじゃないの


奈々子「
恥ずかしいの…。ごめんなさい




と、お辞儀をして出て行こうとする。





           



寅「オレ、ちょっと送っていこうか


さくら「そうね、そうして


奈々子「あら、雨


寅「よ!傘!


奈々子のテーマがテンポよく流れる。


寅「おばちゃん、傘!
 早く早く、早く早く早く、はいはいはい




          



傘を受け取って、帽子をかぶり


寅「よし!おい、行こう



博「兄さん!!

急いで追いかける博。


寅「はい

寅、急いで振り向いて


寅「なんだい?




博、寅に一万円札を渡す。博って凄いね(−−)


寅「こんなに?
 すまねえな、
 あとでまとめて返すから




頷く博。




           




おばちゃん「気をつけてね


寅、番傘を広げて


寅「おう!行こ!

と、一つの傘で二人入って駆けて行く。




奈々子振り向きざまに


奈々子「さよなら


さくら「またね




           




とらやの番傘をさして二人が駆けていく。



『夏のおどり』のポスター







社長、目を輝かせて


社長「どういうことだい?え?

  好きな男がいたけど別れた、
  確かそう言ったな。
  大逆転だなこりゃあ〜!




        



おいちゃん「おい!寅はな、
     おまえの楽しみのために、
     惚れたりふられたりしてるんじゃないんだぞ、
     このタコ!




           

           



社長「楽しんじゃいないよ…



博「楽しんでますねと茶の間に戻る。



           




社長「そんなことないよたじたじ

おいちゃん「楽しんでる顔だよ、そりゃと、茶の間に戻る。

社長「ち、ち、違うよたじたじ

おばちゃん「なにが逆転よと、茶の間に戻る。



           



社長「もののはずみだよたじたじ


う〜ん上手い演出(^^)





雨空を見て、

そしてふと、哀しい予感がするさくら。






           













高砂  奈々子の部屋





浅草のおでん屋で飲んできたようだ。




寅、奈々子の部屋の窓から外を眺めている。


いたるところに奈々子のポスターや写真が飾ってある。

自分が自分の写真を自分の部屋にたくさん貼るだろうか…。



雷が鳴っている。


奈々子向こうの洗面所から声


奈々子「はあー、ねえ寅さん

寅「ん?

奈々子「今夜蒸すねえ〜

寅「んー

奈々子「暑くない?窓開けていいわよ

寅「ああ



奈々子部屋に入ってきて

奈々子「あー、ウチに着いたら急に酔いが回ったみたいよ寅さん




ここから、またもや呼び方が「お兄ちゃん」ではなく
「寅さんに」になっている奈々子。




寅「うん、そうかい、
 それじゃ今日は早く寝たほうがいいよ。な、
 オレはまた来るからよ



奈々子「ダメ、ゆっくりしてってよぉ


寅「んー…、でもなあ…


奈々子「いいの、かまわないのよね、
   私もっと話しを聞いて欲しいの、お願い、お願い、お願い!




           



と、寅を無理やりソファに座らせる。


洋酒と、グラスを取り出して、


奈々子「私後悔してるんじゃないのよ。
   これでいいと思ってるの。

   だって私から踊りを取ったらなにが残るの?
   一日踊りを休んだら
   体がウズウズしてくるのよ。
   私ってそんな女なの…。

   結婚なんかできるわけないじゃないの。
   ね、寅さん



奈々子の飲んでいるのは
CAMUS カミュ ナポレオン コニャック 700ml』
 


         




           



奈々子さん、結婚と踊りは配偶者の応援さえあれば両立できるよ。
世界で活躍している人々はみんな両立している。SKDをやめたって、
第二の舞台が始まるんだよ。
これであなたが踊りや芝居や歌をやめたら天分を粗末にしすぎ。





寅「ん、分かるよ。あんたの気持ちはよーく分かる






奈々子「恋なんかするんじゃなかった…





            



奈々子「どうして私なんかに惚れたんだろあいつ…


と、また酒を飲む。




                   




寅「男が女に惚れるのは、
 理屈なんかじゃねえよ…






奈々子「好きだったら、
   なんでそっとしておいてくれないのさ…。
   どうしてこんなに苦しめるのさ…


と伏して泣く。







奈々子のテーマが静かに流れる。





寅「もう忘れろよ、え、済んだことだい、な。
 あんたには踊りがあるじゃねえか




                   



奈々子「大した踊りじゃないよ…



寅「そんなことはないよ。

 あんたの踊りがどんなに素晴らしいか、
 あんたは分からないんだろうけども、

 大勢の人が、…、オレだってそうだよ、
 あんたの踊りを見て、大勢の人がうっとりして、
 苦しい思いや、辛い思いを忘れようとするんだい。


      


 踊りを続けろよ、な。
 そのうちきっとその男も分かってくれるよ




奈々子、寅を見て、小さく頷く。



いいこと言うねえ寅は。
芸術文化の本質の一端を語りきった凄い感覚だ。




           



寅「な。…それじゃあ、
 また明日稽古で大変だから、
 オレ、これで帰るから、な



奈々子「ダメ

寅の手を握って、

奈々子「行っちゃダメ

寅「ん?


奈々子「今夜私につき合って、
   ね、一緒に飲んで寅さん、ね…



すがるように寅を見つめる奈那子。




           







寅「…、そうだな、



           





寅「じゃ、まァそうするか、フフ





           




奈々子安心して


奈々子「ありがとう…、
   今日お兄ちゃんがいてくれて
   ほんとよかった…




寅「うん



ここから、奈々子はまた
『お兄ちゃん』と呼び始める。


脚本でもここからまた『お兄ちゃん』である。


奈々子が兄のように甘える時は
『お兄ちゃん』なのかもしれない。




      



奈々子「気分変えて、パーっと陽気にやろうよ!ねー!

寅「
そうだな

奈々子「ほら、雨も降ってるしさー




奈々子、喜んで、窓に行き、
雨の降る外を見る。

奈々子「私ねー、雨がザーザー降ってると、
    表に飛び出したくなるの


寅「へえー

奈々子「びしょぬれになってさ、大きな声で歌歌ったりして、フフ


寅、頷きながら、奈々子のこぼした酒をさりげなく拭いている。



           





ふと…

窓の外にいる人影に気づく奈々子。


じっと一点を凝視する。



そこには雨に濡れながら立っている隆がいた。



           




隆を見つめながら涙が零れ落ちる奈々子。



            





隆も気づいて奈々子を見つめる。



             







奈々子、振り向いて寅を見つめ




奈々子「



           



寅「どうした?


奈々子「



           




意を決したように



奈々子「私……、

   お兄ちゃんちょっと待ってて




           





と部屋を飛び出し、外にかけていく。




           




何が起こったか分からず、
奈々子の走る背中を見ている寅。




                   






奈々子のテーマが流れる。



奈々子のマンションの外の道


雨の中走ってくる奈々子。



      




雨の中、立ち止まり、隆を見つめる奈々子。



           



寅、窓から下を見る。

寅は下の道に奈々子以外に
誰かがいることに気づく。




ギョッとする寅。


寅「…!



激しい雷鳴

          


           







奈々子を見つめる隆。

そして

背中を向けて奈々子から離れていく。




奈々子、引き返そうとする隆を追いかけ







奈々子「隆!




振り向く隆


奈々子「好き…




            




隆の胸に飛び込む奈々子。


奈々子を抱き上げるように抱擁する隆。



           




激しい雷鳴





二人は強く抱き合いキスをする。



           










ちなみに、脚本第二稿では、
先ほどの奈々子の部屋のシーンで

奈々子「私に踊りをやめろなんて、よく言えるもんだよ

寅「やめろって言ったわけじゃないだろう

奈々子「同じことよ、私に結婚しろってことは
     踊りをやめろってことだもの



というやり取りがある。
このやり取りから分かるように隆は踊りをやめろとは言っていないが
SKD以外の新たな新天地で踊りを再開して欲しいとも助言していないようだ。

彼女を家庭という籠の中に入れたらだめなことを、
結婚した後、隆はいずれ知ることになるだろう…。








柴又 とらや 茶の間


博「あー、やんだぞ、今のうちに帰るか



博たち雨が上がったので帰ろうとしている。


おばちゃん「寅ちゃん帰るまで待ってたら…、
     なんだか心配だよ。
     もし、
朝まで帰ってこなかったら…




           



博「兄さんに限ってそんな…

おいちゃん「その手の間違いだけはしたことないんだよあいつは

それもなんだかなあ…(TT)

第29作「あじさいの恋」でもみんなでそんなこと言ってたが、
何もしないからといって決して褒められたことではない…。



博「その点だけは大丈夫なんですがねえ…

みんな確信があるんだねえ…ううう(TT)





さくら、外を見て

さくら「あー、帰って来た

おばちゃん「おかえり

博「おかえりなさい

さくら「濡れなかった?

寅「うん



           



寅「浅草のおでん屋でな、一杯やって、
 それからウチへ送り届けて帰ってきたよ



さくら「奈々子、元気になった?


寅「うん、ま、いろいろ慰めてやったから大丈夫だろ


さくら「そう…よかった…




寅は二階へ…





そんな時奈々子から電話



電話に出るさくら。



さくら「はい、とらやです。
  あら、奈々子。
  …いいのよそんなこと気にしなくても



電話口で泣いているらしい奈々子。


さくら「…どうしたの?
  ね、ちゃんと最初から話して…。
  うん、聞いたわよ…うん…





           






一方台所では


悩みぬいた社長がやって来て


さっきのことを野球のことをたとえにしてまた言い訳する。


社長「博さん、さっきのことだけどね、
   オレ気になって眠れやしねんだよ。
   楽しみだなんて言われちゃ、立つ瀬がないよ


博「もういいですよ、すんだことは

社長「
逆転なんて言って悪かったけどね、
   ほら、
ジャイアンツが逆転ばかり
   されるだろ?だからつい出ちゃったんだよ


源ちゃん同様ジャイアンツファンのタコ社長でした(−−)


おいちゃん「おまえなにか?寅の恋愛と野球と一緒にするのか?



           



社長「そうじゃないけどさァ


博「兄さんは真剣なんですよ


社長「野球だって真剣だよ、逆転されて降ろされた時の顔見ろよ、
   失恋した時の寅さんの顔なんてもんじゃないよ


そういう意味じゃないんだけどなあ…。
懲りないねえ〜…いつまでも  ┐( -"-)┌


博、手で、階段を指す。


社長「え?  はっ!!!!と、声を裏返らせる。



お口ぽかん。



           




目の前に寅が立っている。


寅、きつい目をして、静かに



寅「社長……おまえ野球好きか?



           



社長びびりながら…


社長「ああ、好きだよ…


寅、頷いて



             



寅「楽しみがたくさんあって幸せだな…



社長、泣きそうな声で


社長「ああ…とても…幸せだよ…



寅「おいちゃんおばちゃん、オレゃ今回長居をしたぜ…

そういえばいつもより長めにいたね。


寅「旅に出るよ


みんなびっくり



           



おいちゃん「どうしたんだ突然…


おばちゃん「何かあったのかい



寅「いや…、別に厳しい表情。


このきつい言い切り、
渥美さんの凄さが出た短いセリフだった。


           





暖簾をくぐり出て行く寅。




さくら、電話を切り、
電話口で下を向いて考え込んでいる。



             



寅「さくら、オレ、
 ちょっと商売思い出したんで旅に出るよ…




            




さくら「今、奈々子から電話があった

寅「へぇー…

さくら「お兄ちゃんにとっても悪いことしたって…



           




寅「なに言ってんだい、どうってことないよ。
 あの子が幸せになりゃそれでいいんだから





さくら「







寅「ただ…、




           





さくら「ただ……、なあに?




             








寅「踊りをやめたりしたら、
 後悔するんじゃねえのかな。
 オレだったらそんなことさせねえ…






             



さくら「……!



             




兄のそんな気持ちに打たれ、
さらに悲しみが押し寄せてくるさくらだった。





            






クラリネットでメインテーマがゆっくり流れる



寅「そうだ、あの、これだけでも返しておくよ

と、おつりを博に渡そうとする寅。


博「いいんですよ、そのうちまとめて返してもらいますから


寅「そうか。すまねえな



           




店の出口まで来て




寅「さくら、『夏の踊り』の初日にだけは行ってやれよ




           



さくら「うん

寅「じゃあな


さくら「お兄ちゃん…



旅立って行く寅。




           






博「どうしたんだいったい?」 
 

さくら「あのね…、奈々子やっぱり結婚するんだって…




           



博「え?



さくら「急に決心変わっちゃったんだって



           





その場に立ち会ってしまった兄の
惨い悲劇を思い、涙してしまうさくら。





             






自分が神様から与えられた才能は完全に開花させて
人生を終わらせなければならない。

これは配偶者であり、
奈々子をもっとも大事にしたいであろう隆の最大の使命でもあるはずなのだ。
奈々子は隆の所有物ではない。
奈々子の才能は舞台を見に来るみんなのものだ。

結婚して踊りも歌もやめてしまった個人の鳥かごに入った奈々子を
隆はどのように感じるのだろうか…。

一時、家庭に入っても奈々子は必ず舞台やステージの道を
再度模索するような気がする。


しかし、これだけは言える。
とりあえず、今度のこの決意は隆でもSKDでもなく、
最後は奈々子が自分の意思で踊りとの別れを決めたことなのだ。

やはり…
やめたくないと言っている口とはうらがらに踊りに対する情熱が
肉体の衰えのこともあって僅かに冷めてきているのかもしれない…。











浅草 国際劇場

 

夏の踊り SUMMER DANCE  

松竹歌劇団50周年公演



本日初日

映画も併映  雲霧仁左衛門



           




           




雲霧仁左衛門

非情な武家組織に追われて盗賊と化した男と、
彼に熾烈な闘争を挑む火付盗賊改めの姿を描く、
池波正太郎原作の同名小説の映画化。仲代達也 松本幸四郎




宇宙時代に送る惑星大ロマンス!

スペースファンタジー







留吉はまだ、性懲りも無く、しのぶにアタックするため、
国際劇場に出前を繰り返していた。



楽屋の通路を注文取りにまわる留吉

今日は「特別大サービス」

踊り子たち「すいません」

留吉めげずに楽屋に入っていく。


留吉「どうもおめでとうございます。今日は特別大サービス



           






小月冴子さんの楽屋



この映画では「夕月静香」



           



奈々子「おはようございます


           



小月さん「おはよう


奈々子「今度の夏の踊りが最後の舞台となります。
    一生懸命やりますから、どうかよろしくお願いします





小月さん結婚するんだって?



           



奈々子「はい



小月さん「あなたがいなくなると痛手だけど、
    仕方が無いわね。

    ま、お幸せになってね





奈々子…はい、ありがとうございます




           



この、高羽さんが暖簾のわずかな隙間からの
小月さんを狙うアングルは絶妙だった。
          
奈々子「失礼します

と、出て行こうとする。

小月さん思い出して

小月さん「あ、ちょっと

奈々子「はい

小月さん「あのー、伊那節で、あなたが竿をだすとこあるでしょ

奈々子「はい

小月さん「あそこちょっと遅らして

小月さん「あの…私がトン

奈々子を指差し

小月さん「トン



           



小月さん「トントン。この間ね

奈々子「はい

小月さん「気をつけてね

奈々子「わかりました

小月さん「お願いします」と微笑む。



           



奈々子「失礼します



奈々子の去った後、化粧を整える小月さん。
彼女の凛々しく集中力がみなぎるその顔は『現役』そのもの。
エンターティナーそのものだった。



           







国際劇場  稽古場



留吉「やっぱりここか


しのぶ微笑んで

しのぶ「あー


           





留吉「近頃あんまりトンカツ注文しないからさ、
   何かあったんじゃないかと思ってさ、
   誤解でもしてるわけ?



しのぶ、首を横に振る。


留吉「じゃなんだよ、話しなよ、オレ、なんでも相談に乗ってやるからさ

しのぶ「あのね

留吉「うん

しのぶ「これ返す


と、手にした包みを差し出す。



           





留吉「…!これ、オレがプレゼントしたものじゃない


しのぶいろいろありがとう。
   あなたのこと、きれいな思い出にするね




           



留吉じゃあ、恋愛より踊りを選ぶわけ?


当たり前でしょが。…っていうか、
最初からしのぶには『恋』が始まってない気もする ヾ(^^;)




           



しのぶ「
私、勉強しなくちゃいけないことがいっぱいあるの。
   さよなら
と行ってしまう。


アトミックガールズ80回記念写真展の看板。



留吉、呆然…


           




留吉「またか…


ピヨヨ〜ン





           












奈々子の楽屋


ファン「おはようございます」

ファン「紅さん、初日おめでとうございます」

奈々子「さっきどうもありがとう」

ファン「がんばってください、失礼します」


楽屋は花束でいっぱい。


             



奈々子が歌う時に着る白のドレスを
大事そうに持っている梓しのぶ。








さくらが奈々子の楽屋にやって来る。




奈々子「さくら…来てくれたのね


さくら「しっかりね、思い出の舞台になるように




             




奈々子「寅さんは?」 


「お兄ちゃん」とは言わないで、また「寅さん」


さくら「それがね…楽しみにしてたんだけど…、
  仕事の都合で急に旅に出ちゃったの



奈々子「…そうと、失望の色を隠せない。



            





さくら「ね、これお兄ちゃんからあなたにって


赤とピンクの花束を渡す。



奈々子「ありがとう…。

  さくら、私ね、

  寅さんに悪いことしちゃったの




            





さくら「そんなこと気にするんじゃない。
  じゃ、私行くから。
  がんばってね





頷く奈々子。




次々にやってくるファン

ファン「紅さんおめでとうございます」

ファン「がんばってくださいね」と花を渡す。

奈々子微笑んで

奈々子「がんばるわ

ファン立ち去りながら

ファンの声「素敵ね、そばで見たほうが」









国際劇場入り口




くれない奈々子の美しいポートレート



紅奈々子

今回の公演を
持ちまして
引退いたします
 

の看板



           




ファン、花束を持ちながら

ファン「紅奈々子さんやめちゃうのね」

ファン「惜しいわね」










そして…




舞台が始まっている。





よさこい節 よさこい鳴子踊り



みなさん鳴子を両手に持って鳴らしながら踊っている。



♪土佐の高知の播磨屋橋で、

 それそれそれ ほい
 坊さんかんざし買うを見た。


よさこいよさこい ほいほい!




隆が照明を照らしている。



           




さくらも、客席から観ている。



                    




よっちょれよ よっちょれよ
よっちょれ よっちょれ よっちょれよ
よっちょれ よっちょれ よっちょれよ よっちょれよ
よっちょれよ よっちょれよ よっちょれよ
よっちょれ よっちょれ よっちょれよ よっちょれよ
よっちょれよ よっちょれよ よっちょれよ





           




高知の城下へ 来てみいや
じんばも ばんばも よう踊る 
鳴子両手に よう踊る よう踊る ほい!



よっちょれよ よっちょれよ
よっちょれ よっちょれ よっちょれよ
よっちょれ よっちょれ よっちょれよ
よっちょれよ よっちょれよ 
よっちょれよ
 よっちょれ よっちょれよ



よっちょれよ よっちょれよ よっちょれよ
よっちょれ よっちょれ よっちょれよ
よっちょれ よっちょれ よっちょれよ 
よっちょれよ よっちょれよ よっちょれよ






よさこい節


 土佐の高知の はりまや橋で 坊さんかんざし買うを見た
  よさこいよさこい
 御畳瀬見せましょ 浦戸を開けて 月の名所は桂浜
  よさこいよさこい
 言うたちいかんちゃ おらんくの池にゃ 潮吹く魚が泳ぎより
  よさこいよさこい  ほいほい!



 よっちょれよ よっちょれよ
 よっちょれ よっちょれ よっちょれよ
 よっちょれ よっちょれ よっちょれよ
 高知の城下へ 来てみいや
 じんばも ばんばも よう踊る よう踊る
 鳴子両手に よう踊る よう踊る ほいほい!







いよいよ奈々子が『道』を歌う瞬間がやってきた。





舞台の袖


待機している奈々子と春日宏美さん。




奈々子、急に落ち込み…

涙がとめどもなく流れ始める。





春日さん「どうしたの?


奈々子「私やめたくない!やめんのいやだ!



春日宏美さんにすがりつく。



           





春日さん「
だめよ!泣いたりしちゃ!

   さ、しっかり!
と頷く。



           




春日さん、頷きながら、奈々子の髪の毛をなでてあげる。

ハンカチで涙をふき取ってやる。



よさこい節が終わる。



舞台が暗くなってみんな走って去っていく。




春日さん「さ、出よう。大丈夫ね




奈々子頷く。


奈々子「うん、大丈夫…大丈夫よ



春日さん「さ、しっかり!



奈々子ゆっくり歩きながら、

春日さんを見て、もう一度頷く。



暗闇の中でスポットライトが奈々子の顔に当たっている。



そして…奈々子は舞台のセンターに歩き…




          



『道』を歌いはじめる。


フアンの掛け声「紅!

ファンの掛け声「ナナちゃーん!




脇で踊ってくれるのは
春日宏美さん 千羽ちどりさん。




               







♪ひとつのセリフも無くて 泣いた日もある



             




人がきれいに見えて、自分を恨んだ日もある。



奈々子を万感の思いで見ているさくら。



            



でも、 さあ立ち上がり 夜空の星を見つめて


            



つらい涙ふいて この道を歩き続ける



なんと……

寅が最後部座席で奈々子さんの歌を聴いている。



            



あたしを愛してくれた 人たちがいるから


あたしは心のすべてを、


信じたこの歌に託し、

生きて来たの。






               





ファンたちのかけ声「紅!




          

国際劇場 前


TODAYS BOOKING

ロマンの旅

雪ん子



奈々子が気丈夫に舞台に立っているのを見届けた寅は
歌の途中で国際劇場を出て旅に出発する。


国際通りに架かる歩道橋を渡っていく寅。





            






そして…




再び 奈々子の舞台




♪まぶたを閉じれば今も 今よみがえる




 遠くさすらう日々の 幾人かの懐かしい人たち


しのぶが悲しみの中に沈んでいる。



                          





時には叱ってくれた 優しい言葉であなたは


隆が照明を照らしている。


           



時にはつつんでくれた 温かい腕にあなたは


           



できるならもう一度 巡り逢いたい


空を流れる雲を見つめ




スタッフたちが舞台の袖から見守っている


山田監督の美しく堂々たる演出。



         



若い日の夢を


一緒に語りたいの




            



あたしを愛してくれる 人たちがいるから


                    


もう泣かない あたしは



さくらも悲しみの中に沈んでいき…。



                 



奈々子の引き裂かれるような悲しみを思い、
顔を見続けることができず目をつぶる…。



                 



選んだこの道を歩き続けたいの





ついに涙を潤ませるさくら。



                 




次々に掛け声が続く。


われんばかりの拍手。


さくらも精一杯の拍手。






この奈々子が『道』を歌う長い場面は
山田監督渾身の演出だった。

スタッフ、後輩、観客、そして寅…、
すべての想いがあの歌に込められていた。
ある意味、ここはこの作品のメイン。

この映画で木の実ナナさんは疲労骨折で
肋骨を2本折っていたのだが、必死で演じ通したと、
彼女自身がインタビューで答えていた。







夏真っ盛り とらや 店





SKDの若い団員たちがトコロテンやカキ氷を食べている。
さくら留吉の暑中見舞いを読んでいる。




おばちゃんが例のごとくカキ氷を作っている。



           

           




がやがや笑っている
梓しのぶ(役名:富士しのぶ)や姫路濤希たち。


みなさん、なにゆえわざわざ柴又とらやまで??


さくら、うちわで扇いでやりながら

さくら「いつまでお休みなの?

しのぶ「今週いっぱいです。来週から北海道巡業なんです



           



さくら「まあ、北海道!いいわね涼しくて


ところてんを食べるしのぶちゃん。



           




おばちゃん「はい、おまちどおさま

と、カキ氷を持ってくる。

団員「すいません」

おばちゃん「はい」と置いていく。

おばちゃん「たくさん食べて〜、一生懸命勉強して、
     今に、紅奈々子さんみたいにスターにならなくちゃねー



しのぶ「あと十年かかります年月の問題じゃないんだけどね((^^;)



団員B「十年でなれるかしら

団員C「才能があれば

団員B「食べる才能〜

みんな「フフフ

団員C「それなら十分だ!

みんな「フフフ






とらや台所


社長が青ざめた顔でやってくる。


社長「もうダメ、今度こそほんとうにダメ、
  あー…、この夏は越せないかもしれねえな




           



おいちゃん「あーあー、金魚じゃないがパクパクか

と、金魚が入った水槽を見ているおいちゃん。


社長「今朝な、銀行に金借りに行ったらな、

おいちゃん「断られたかあ…

社長汗拭きながら

社長「うん

おいちゃん「気の毒にナァ…

社長「支店長がね、つまりその…

おいちゃん「もういいよいいよもう、
     おまえのその顔見ただけで汗が出るんだ
     やめてくれもう


と水槽を窓際に置きに行く。

とらやはこのシリーズで夏に時々茶の間で金魚を飼っている。


社長「おい、もっと真剣に親身になって聞いてくれよ、おい〜〜





さくらテーブルの上においてあった
留吉からのはがきを見つけ驚き、




読み始める。



           





留吉の声





拝啓 車先生

東京ではいろいろご心配をかけました。
先生のお教えにそむいて勝手な行動をとりましたことを
深く反省しております。

熊本へ帰ってからは心を入れかえ、
農業に打ち込んでおりますのでご安心下さい。

なお、私は今、結婚を前提(じぇんてい)として、
ある娘とまじめにつきあっております。
本当の田舎娘ですが、私の青春遍歴は、
このへんで終わらしたいと思っております

    



           













熊本  田の原温泉




田んぼの端っこで留吉が女性にアプローチしている。



           



留吉「あけみ、こげな…こげな暑か日に
  ブラジャーしとったら暑かろうねー



と、腕にに手をかける。



           



あけみ「いやー、なんばするとね、いやらしかことばしてぇー

と、飛びのく。

留吉、そのままつんのめる。


留吉「ここのところ、蚊が止まっとったろうがあ、
  オレがはろうてやろうと思うてからくさ〜


と見え見えの言い訳(^^;)



あけみ「あんたくさ、誤解しとっちゃないとね〜


留吉「オレ…、オレ真剣ぜえ…



            




あけみ「知らんやったと?うちには決まった人がおるちゃけん


ポヨ〜〜ン




留吉「



           




あけみ「農協の鈴木さんたい、体まで許したとよ…


留吉「




尺八が流れる。



ポヨ〜〜ン



留吉「そんならお前、オレば手玉にとったとやーと愕然。



女の子「あんたとはくさあ、
   ただの友達やろがァ、
   もう二度と電話せんといてね、
   家のもんが変に思うけん、バイバ〜イ〜


と、そそくさと、去っていく。




           






留吉「またか…



           




留吉「電話しんしゃんなげな、
  オレが何回あの女とこ電話したかあ〜?
  あ〜くらくらこいた〜!




           



たぶん「くらくらするぐらい腹たった」という意味なのかな??



ふと、気配を感じると、なんと
そこに寅が立っている。



留吉「あ、…寅さん!




           





寅「あっああ〜、嫌だ嫌だ。

 真面目にやっているかと思って、
 熊本くんだりまで来て見りゃ、このざまだよ


寅がラストで最初のロケ地に戻るのは
いつもの暗黙のお約束事(^^;)



           



留吉「見られちゃった!


オレはもうおまえのツラ見たかねえよ、あばよ



と、歩いていく。




メインテーマが流れ始め、盛り上がっていく。



留吉「違うとですよ寅さん、違うとですよて!
  あの女はほんなことずっとまじめに交際しとったですよ。




           


留吉またコケル。


留吉「あた!

留吉「いや、寅さん聞いてくださいて、
   母も喜んでずっとうまくいきよったですよ、
   ばってん、あの女に好きな男がおったとですよ。



           


   だけん私は夢ば覚まさせてやろうと思うて、
   ちょっと懇々と話しばしよったとです。
   しょばってつまらんとですよ。
   夢にスポーっとはまってしもうて、

   
(またコケて『あた!』)




           





寅「おまえはね、結婚には向かないから諦めろってオレが言ったろ!





どんどんあぜ道を歩いていく寅。



留吉「寅さん、寅さんって!そんなオレ真面目な男ですよ〜と追いかけていく。






カメラは夏真っ盛りの田の原温泉を遠くに眺めていく。







           










奈々子はあのあと、結婚してどうなったのだろうか。
隆との間に子供がいて、
空いた時間に、時々踊りを教室などで
教えていたりするのだろうか…。

それとも、再び踊りの情熱が蘇ってきて、隆の応援の元に
違う場所での現役の踊り手として
活路を見出しているのだろうか。

それとも隆とは数年の後に離婚して、
再び一人で踊りを活かせる場を模索しているのだろうか。

山田監督が奈々子のその後を今どう考えているのか、
伺ってみたい気がするのだ。










出演

渥美清    (車寅次郎)
倍賞千恵子 (諏訪さくら)
木の実ナナ
 (紅奈々子)
武田鉄矢  (後藤留吉)

下絛正巳   (車竜造)
三崎千恵子 (車つね)
前田吟    (諏訪博)
中村はやと
 (諏訪満男)
太宰久雄   (タコ社長)
佐藤蛾次郎
 (源公)

犬塚弘    (温泉宿主人)
杉山とく子  (留吉の母親)
左時枝    (奈々子の妹)
岡本茉利   (春子)
佐山俊二   (備後屋)

梓しのぶ (SKD)(富士しのぶ)
小月冴子(SKD) (夕月静香)
千羽ちどり(SKD)(千羽ちどり)
春日宏美(SKD) (古城ゆかり)

竜雷太       (宮田隆)


笠智衆    (御前様)




スタッフ

監督: 山田洋次
製作: 島津清
企画: 高島幸夫 、小林俊一
原作: 山田洋次
脚本: 山田洋次 朝間義隆
撮影: 高羽哲夫
美術: 出川三男
編集: 石井巌
録音 : 中村寛 松本隆司
照明: 青木好文
スクリプター: 長谷川宗平
音楽: 山本直純
助監督: 五十嵐敬司
製作進行 : 玉生久宗 鞠子政巳
制作補 : 峰順一
 

公開日 1978年(昭和53年)8月5日
上映時間 107分
動員数 189万7000人
配収 11億1000万円





これで第21作「寅次郎わが道をゆく」は完結しました。

次回は
第22作「噂の寅次郎」です
早苗さんの麗しきオーラに
みなさんへロヘロに参ってしまう作品です(^^;)


第22作の『前篇』アップは2月中旬頃になると思います。




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