男はつらいよ/予告篇集

 もうひとつの物語 .

No.3




第30作 














もうひとつの「男はつらいよ」  ― 3分間に賭けた映画人たち ― 




 5日に1作品のペース。全48作、順不同気まぐれ選択でいきます 


松竹映画「男はつらいよ」のDVDには実に嬉しい特典が付いている。それは『予告編』だ。この予告編は、たかだか2分から3分だが、
なかなか捨てがたい貴重な映像が入っていたりする。例えば撮影ロケが挿入されているもの。倍賞さんのNG場面が挿入されているもの。
本編では出てこないシーンがたくさん挿入されているもの、等々、興味が尽きないのだ。どのカットも本編採用のカットとは、微妙に
違うシーンがわざと入れられてあるのが心憎い。どちらかというと本編と全く同じカットを使っている方が少ないくらいだ。とにかく
この「3分間の作品」を見て、本編を見ようかどうかお客さんは決めるわけだから編集に携わった人々は常に真剣勝負だったと思う。
それらの方々のセンスと心意気が強く感じられる名作予告編も何作もある。まさにそれは「編集の勝利」だともいえる。

特に、短いゆえに、たったひとつのシーンのインパクトが本編以上に強烈に印象に残ったりもする。そこが実に面白い。
一寸の虫にも五分の魂があるのだ。

しかし、一般的には、この『予告編』たちは、いつも本編の陰に隠れて日陰者扱いになっている。
そこで本日から私が全48作品の『予告編を』このページで簡単ではあるが全48作品紹介していきたい。
ただでさえ、本編解説がダラダラ長いのに、予告編までつきあってられないよ。という方はどうぞ、このページは飛ばしてください。

予告編はたった3分。どの予告編も見るべき重要カットはおそらくたった一つか二つ。しかしそれが燦然と輝くカットなのだ。
そのキラッと光るカットを本日から10ヶ月ほどで全48作を紹介していくつもりだ。

ただ、予告編なので、私の気まぐれ的な選択により、順番に第1作から始めないで、順番は不同、ランダムにその日の気分で
作品を紹介していこうと思っている。だいたい5日に1作品のペースで更新していく予定だ。これもだいたいで、気分が
乗ったら4日に1作品アップしたり、仕事が忙しい期間は6日になったり、日本滞在中(1ヵ月半)はやたら忙しいので7日に一度に
なったりすると思うが、基本的には5日に1作品はアップしていきたい。






本日(2005年8月3日)は、その3回目


第30作「花も嵐も寅次郎」



この作品は、なんといっても倍賞さんのNGの場面!
唯一見ることが出来る貴重な予告編である。

それも渥美さんが階段を上りながら

『ねえ』と言うさくらの声もむなしく闇に消えていったのでありましたという

アドリブを言ったゆえについ、ふき出して笑ってしまう。
その時、監督をはじめスタッフさんに「ごめんなさい」と
お茶目に笑うのである。この表情が絶品なのだ。


隣にいる三崎さんもつい一緒に大笑い。

ちなみに本篇は「『ねえ』と言っても先生は去っていくのであります」である。


本篇のこのシーン、倍賞さんは、普通に見えるが、
三崎さんはあきらかにまたもや笑いをこらえている(このことはまた本篇で)



このシリーズ撮影中いたる場面で渥美さんとの掛け合いで、
共演のキャストやスタッフが笑ってしまい、NGを出したらしいが、
そのことを窺い知ることが出来る貴重な映像である。






汽笛「ボォ〜…

おかげさまで30




               





大分市 大分ホーバーフェリーのりば

空港行き



大分ホーバーフェリーは、1970年に誕生して以来、現在国内唯一の
ホーバークラフト運航会社として、大分空港から大分市内を結ぶ。




三郎「蛍子さん!




               












三郎「僕とつきおうてくれませんか
さすがジュリー、いきなり言うね(^^;)




               








寅「!…


クレジット 車寅次郎 渥美清



               











はつらいよ 花も嵐も寅次郎 予告篇



               






とらや 店先





百枝「寅ちゃーん

クレジット 朝丘雪路

渥美さんと朝丘雪路はプライベートでも仲がいい。


               



寅「おーう!おほほ!おーなんだ百枝じゃないかァ!

百枝「ハハ!


とらやの面々ポカ〜ン。



タコ社長、「もう惚れちゃったのかい?
 早いね、今度は




クレジット さくら 倍賞千恵子

百枝「あら決まってるわよ!アハハハハと寅と笑いあう。

旦那「おい、百枝!おい!

百枝「何よ?

旦那「何やってんだ?俺待ってるのに」とカギをチャラチャラする。

百枝寅に舌を出して
百枝「ごめんごめん。じゃねェ〜寅ちゃん」と寅に手を振る

百枝は幼馴染みなのでお千代さん同様「寅ちゃん」という。



タコ社長「もう振られちゃったのかァ〜出た〜(^^;)








大分 湯平温泉  


 


クレジット 九州の温泉地で―




               







ゆのひら駅 ホーム



               







クレジット めぐり逢った恋の花



               








帝釈天参道


寅と蛍子手を繋いで歩いている。


寅「あ、御前様どうもごぶたさいたいたしまして

御前様「お前はどうしておる?

寅「ハイ、毎日深く反省しております…
 源ちゃんお元気ですか?



つつつ…と蛍子をつれて歩いていく。


御前様「なんも反省しておらん

源ちゃん、ぽけ〜っと、蛍子を見ている

御前様「困ったもんだ




クレジット なんたって経験がモノを言うのよ!





               









湯平温泉  旅館湯平荘  

三郎青年の母親、おふみさんの法要



               




寅、お祈りしようとして

寅「あっちち!あちち!間違って火つかんじゃった!


火の粉が入って殿山泰司さん扮する坊さん転げ廻る。


蛍子と友達が大笑い。






             




とらや 茶の間




満男「これがマツタケだね!
さくら「そうよ
寅「どれどれ…あ!いい女…いい女うそ(^^;)

満男振り向く。おばちゃんも…博も振り向く(^^;)

その隙に満男のマツタケをぶん取る

満男「あ、ずるい!返してよ!

寅「卑しいマネするんじゃないよ!おまえだよ(−−;)






               

            




蛍子の行きつけのスナック




寅、「ちょっと付き合ってみねえか?えっ?
 いや、大丈夫大丈夫、
 あいつはね、いきなり襲ったり
 噛み付いたりはしないからさ。
 それはオレが保障する






               





クレジット 寅さんが取り持つ縁が
 あだなのか?






蛍子「だめ…、断る



クレジット 蛍子 田中裕子




寅「どうして?


蛍子「だって…


寅「嫌いか?


蛍子「あんまり二枚目だもん…



寅「ええ?






               







とらや


三郎「寅さん…



クレジット 三郎 沢田研二




寅「ん?


三郎「男は顔ですか?






               






寅「フフ、そおなんじゃないかなあ〜

この時の渥美さんの表情がいいね〜。



クレジット 天下の二枚目を相手に




               









大分 臼杵 福良天神

啖呵バイの寅



クレジット ますますガンバル寅次郎




               





寅の活ベンふうのセリフ


寅「
 哀れ母を失った三郎青年の

 運命やいかに。

 そのカギを握る人

 それは誰あろう…




              江戸川土手でギクシャクする三郎と蛍子

               









とらや  階段下



さくら、上にあがっていった寅に向かって



さくら「ねえ





寅「『ねえ』と言うさくらの声も

 むなしく闇に消えて

 いったのでありました




お馴染みの面々のクレジット


                      「ねえ」
               






おいちゃんの方を見ながら、笑うのを我慢する倍賞さん


                      「……」
               






我慢できなくて、顔がフニュッとなる。

三崎さんもそれを見て顔が崩れる。


                






倍賞さんついに噴出してしまう。

三崎さんも限界を超える


               






笑いながら目が垂れて、口に手を当てる
倍賞さん「ごめんなさ〜い」(^^)

三崎さんも、もう大笑い。



                      「ぷっ!」
                








もう完全にスタッフ全員で大笑い(だと思う)

                     「ごめんなさ〜い」
                









男はつらいよ 花も嵐も寅次郎(白)

バックは 大分 臼杵の田園風景



               







クレジット 山田洋次監督作品



大分ホーバーフェリー乗り場での
撮影風景が映る!
これもお宝映像。





               







12月28日(火)当劇場大公開



               




やはり、倍賞さんと三崎さんの大笑いNGが出色。よくぞこのNGを
採用してくれたと、編集スタッフさんたちの英断に感服!
渥美さんの
『ねえ』と言うさくらの声もむなしく闇に消えていったのでありました
は渥美さんの傑作アドリブ。もしあの時倍賞さんが笑わなければ本編採用
だったこと間違い無し。



予告編 終わり



予告編 上映時間:2分37秒 





                 

次回作品アップは5日後の8月7日頃です。




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