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この名シーンを再現してみよう
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博の父「そう、あれはもう10年も昔のことだがね、
私は信州の安曇野というところに旅をしたんだ。」
後にこのお父さんこの安曇野に土地を買ったらしい。
寅「へぇ〜、先生も旅したことあるの?」
寅「ん…。バスに乗り遅れて田舎道を
一人で歩いているうちに日が暮れちまってね。
暗い夜道を心細く歩いていると」
寅、横から割り込んで
寅「狐の話でしょ!ね!
ベッピンに化けた狐が背中なんか叩いて、
『旦那、振り向いてよ』なんて」茶化すねー!寅(^^;)
博の父「いや、そんな話じゃないんだ。」←だろうねぇ。
寅「…」

博の父「ぽつん、と、一軒家の農家が建っているんだ。
りんどうの花が庭いっぱいに咲いていてね、
開けっ放した縁側から明かりのついた
茶の間で家族が食事をしているのが見える。
まだ食事にこない子供がいるんだろう、
母親が大きな声でその子供の名前を
呼ぶのが聞こえる。
わたしはね、今でもその情景を
ありありと思い出すことができる。
庭一面に咲いたりんどうの花。
明々と明かりのついた茶の間。
賑やかに食事をする家族達。
私はそのとき、
それが、それが本当の人間の生活って
もんじゃないかと、ふとそう思ったら
急に涙が出てきちゃってね。
人間は絶対に一人じゃ生きていけない。
逆らっちゃいかん。
人間は人間の運命に逆らっちゃいかん。
そこに早く気がつかないと
不幸な一生を送ることになる。
分かるね、寅次郎君…分かるね…」

寅「へい、分かります。ようく分かります」
博の父諏訪ひょう一郎は、寅にこのことを伝えながらも、自分の
人生に対して後悔の念も感じているようだ。
学究一筋に邁進するあまり、家庭を
かえりみなかったその半生を回想して
いるのだろう。
常に人はその話す言葉を一番聞かせたいのは
自分自身なのだ。

博の父親、ゆっくり立って廊下を去っていく。
翌早朝

原稿用紙に万年室で置手紙 傍らにひと茎のりんどうの花
『よくお休みなので、起こさないでこのまま帰ります。
昨夜のご意見身にしみて感じ入りました。
先生のありがたいお言葉を固く胸に抱いて、
故郷柴又に帰り運命に逆らわずに生きてゆき
ます。先生もどうか御身大切に、幸せになって下しまし。
車寅次郎 拝 』
朝、手紙を読み、
空の彼方に思いを馳せる博の父
