2026年10月22日



岡山津山市のコレクターKさんからの注文された水彩画が完成しました。



      









りんどう咲く庭の二人
諏訪ひょう一郎と寅次郎
人間の定めを受け入れることによる幸福について
ひょう一郎は寅に語りました。
寅次郎恋歌の味わいのある
内省的な名シーンです。
2人の表情を描けるかどうかが大きなポイントでした。
普段よりも随分時間をかけましたが
良いものになりました。

寅さんサミットの時にKさんに手渡しする手筈です。

      





      











この名シーンを再現してみよう

↓↓


博の父「
そう、あれはもう10年も昔のことだがね、
   私は信州の安曇野というところに旅をしたんだ
。」


後にこのお父さんこの安曇野に土地を買ったらしい。


寅「
へぇ〜、先生も旅したことあるの?」


寅「
ん…。バスに乗り遅れて田舎道を
一人で歩いているうちに日が暮れちまってね。
暗い夜道を心細く歩いていると
」


寅、横から割り込んで

寅「
狐の話でしょ!ね!
ベッピンに化けた狐が背中なんか叩いて、
『旦那、振り向いてよ』なんて
」茶化すねー!寅(^^;)

博の父「
いや、そんな話じゃないんだ。」←だろうねぇ。


寅「
…」



    





博の父「
ぽつん、と、一軒家の農家が建っているんだ。
   りんどうの花が庭いっぱいに咲いていてね、
   開けっ放した縁側から明かりのついた
   茶の間で家族が食事をしているのが見える。
   まだ食事にこない子供がいるんだろう、
   母親が大きな声でその子供の名前を
   呼ぶのが聞こえる。


  わたしはね、今でもその情景を
  ありありと思い出すことができる。
  庭一面に咲いたりんどうの花。
  明々と明かりのついた茶の間。
  賑やかに食事をする家族達。

  私はそのとき、
  それが、それが本当の人間の生活って
  もんじゃないかと、ふとそう思ったら
  急に涙が出てきちゃってね。
  人間は絶対に一人じゃ生きていけない。
  逆らっちゃいかん。
  人間は人間の運命に逆らっちゃいかん。

  そこに早く気がつかないと
  不幸な一生を送ることになる。
  分かるね、寅次郎君…分かるね…
」



     



寅「
へい、分かります。ようく分かります」




博の父諏訪ひょう一郎は、寅にこのことを伝えながらも、自分の
人生に対して後悔の念も感じているようだ。
学究一筋に邁進するあまり、家庭を
かえりみなかったその半生を回想して
いるのだろう。
常に人はその話す言葉を一番聞かせたいのは
自分自身なのだ。




              



博の父親、ゆっくり立って廊下を去っていく。



翌早朝

   




原稿用紙に万年室で置手紙 傍らにひと茎のりんどうの花



『
よくお休みなので、起こさないでこのまま帰ります。
昨夜のご意見身にしみて感じ入りました。
先生のありがたいお言葉を固く胸に抱いて、
故郷柴又に帰り運命に逆らわずに生きてゆき
ます。先生もどうか御身大切に、幸せになって下しまし。

                       車寅次郎 拝
 』




朝、手紙を読み、
空の彼方に思いを馳せる博の父