http://www.yoshikawatakaaki.com/lang-jap/setouti3.html
からの続きです



   


   





  
  誰もいない暗い小屋の中に誘導する亜矢ちゃん。

         



    



    


    

    



 
   誘導されていることもわからず、必死で追いかける満男。

    





  
  畑と畑の分かれ目は今も同じ!白いパイプも同じ!

    



  
 前々からおそらく知っているであろう無人小屋に入っていく亜矢ちゃん。


   実はここからが大船撮影所のセット

   


 
もともと本当に小屋の通路はあったようだ。山田組のスタッフさんは
 忠実に大船撮影所でセットを作ったことがよくわる。


   



 この扉の手前はもうなにもない。草が生えているだけ。
 本編のような小屋は今はもう無い。
 外の道から4メートルでこのフライパンが掛けてある扉



 あのフライパン扉の向こうにKiss小屋がある。カメラの設定はこのあたり。
 しかし草がぼうぼうで向こうのKiss小屋がはっきり見えない。



   



 踏み込んで中に4メートルほど入って行くと、Kiss小屋の入り口が見えた↓

  








 映画本編とよく見比べていただきたい。
 土壁のあり方がぜんぜん違う。
 入り口の柱の太さや仕上げ方、ひさしの支え棒も太さが違う。
 そしてスタジオ独特の光の当て方・・・
 これで本編は山田組の大船セットだったことが証明された。


   


    





    


 小屋の前の入り口に大きな籠が置いてある。黄色い花も生えている。
 しかし、この直後の、外から前の入り口を見たシーンでは
 なにも置いていないし、黄色い花も生えていない。
 これによってもこの小屋の中と中から見た前は通路も含めて
 すべて大船セットであることがわかる。


   


  前に出たときには中から見えた籠も黄色い花も無い↓

   



 
 冷蔵庫などやフライパンがあったので
  ここは人が住居としても使っていたことがわかる。


   
   
   


  階段も本編とは違う。

   



    本編のセットの階段はホゾ(溝)が見えている。実際の階段は差込み二箇所

   



    







 「
好き・・・・」  亜矢ちゃんついに告白。

  そして流れ的に当然Kiss。

  この流れを自制できる男は世界にはまだ一人もいないはず^^;





 ところで・・・

 この亜矢ちゃんとのKissは、
 本当にはKissしていないのがすぐわかるくらいみえみえだったが
 前作の第45作で泉ちゃんの東京駅シーンでは本当にKissをしていた。

 そういう意味では満男は泉ちゃんを思い、
 ギリギリでは奇跡的に自制したのかもしれない。



  あ・・・・・んなわけないかヽ(´〜`; ォィォィ




  よね子おばちゃんの声・・・


  「
満男ちゃああああああ〜〜〜ん!!」


  この声は亜矢ちゃんには無情の声

  揺れ動く満男には・・・救いの声





  びっくりして 満男は小屋の前に飛び出る。



    ここからは再びロケ

   


  小屋の表はこうなっている。
  20年経ってもドアの上の蛍光灯や茶色いトタン壁などの面影は残っている


   


    



  ここからは再びロケだから、私も満男同様小屋から離れて階段を下り始めた。

  本編時のカメラの位置に近づいていくと、今やうっそうとした茂みの中に
  Kiss小屋が隠れていることがわかる。凄いことになっているのいだ。


    





    




決定版

Kiss小屋の中とその前までを動画で紹介

動画 
https://youtu.be/Es2fHQjnvqo





  今はお化けアロエ(守護神)がこの家を守っている。
  その証拠にここの小屋に表から入ろうとした私は、
  このお化けアロエの棘が2箇所すれて頭皮が流血してしまったのだった。
  まこと、あっぱれな守り神アロエだった。


      


  この繁みの向こうにKiss小屋がある.
  ここからでは小屋は見えないが高羽アングルがジャストこの位置なので
  ここから撮影した。



    



    




  そしてくるっと左へ向けばよね子おばちゃんの路地が目の前。

  ということは

  山田監督は、利益院からKiss小屋の前のよねこばあちゃんまでは
  一切トリックは使っていないことになる。



   


  この画像↓だけ、小手寅さんの写真を使いました。
  (私の撮ったものは手前右の土壁が本編と比べてさほど多めに写っていなかったため)


  




    


 まあ、ある意味、満男は、よね子おばちゃんのあの満男を呼ぶ声で
 深みにはまらないですんだとも言える。
 亜矢ちゃんはちょっとつまらなそうだったが、逆に満男は助かった顔を
 していたことを見逃してはならない。

 あのKissから先、次に満男が亜矢ちゃんに会うのは
 なんと朝の船着場。それも満男は会ってしまっただけで
 亜矢ちゃんに黙って行こうとしていたことがバレバレ。

 亜矢ちゃんには置き手紙もなし。

 まあ、なるべく亜矢ちゃんの傷を小さくしたかったのだろうが
 満男ははっきり「逃げた」と考えて間違いない。

 深い仲になる気持ちがない場合は「逃げる」
 古今東西あれが一番なのだ。



 さてこのKiss小屋の近くにもうひとつ世界初登頂がある。


 Kiss小屋の上手の方には高見島ロケだと思わせて
 実は志々島だったという。トリック風景がある。

 あの島内放送のシーンだ↓


    


  亀笠島がはっきり見えるのでここは志々島。
  事前調査でのこの場所の特定はけっこう時間がかかった。



   



     
事前調査での記録↓ 星マークがカメラ位置

     


     



    


  



  さて、最後に難関 山の上のお花畑だ。





  山の上にあるのだが
  果たして畑はまだ現存するのだろうか・・・

  っていうか

  そもそもそこまでの道がまだ現存するのだろうか。


  利益院の上から登ろうとして、散々30分ほど迷い、ロスタイムがあったが
  海岸の埋墓そばの農家の人にお聞きすると
  親切にも山の上まで案内してくださった。
  ありがとうございます。感謝です!

  結局、一番の近道は埋墓の横の路地を通って人の家の庭の横を横切り
  細い坂をずっと上がって行けばいいということだった。

  
もちろん普通の路地を通っても行ける。

   



  
■ お花畑への坂道はここから上がる!!

   



    この細い坂は教えられないと絶対にわからないくらい細い。

   



   歩くこと7分 頂上が見えてきた。

   



 長い坂を上がりきったあと、しばらく畑だった土地を20メートルほど北へ歩くと
 目の前にあの本編にも出てきた
 シンボルの榎(
えのき)の大木がそびえて来た!

   



  
2015年の航空写真に榎の大木の横の
  このビニールハウスの周りに植えてある花々が写っている。

   



 丘の上に上がってしばらくしてからの動画
 おおよその距離感がこれでわかる。

 この榎の大木からよね子おばちゃんの小屋までが
 だいたい50mくらいあることがこれでわかる。



 上がったあと榎の大木まで歩いてきた時の動画

 
https://youtu.be/iTlWLv28bBU





    本編のお花畑のシーンはこの榎の大木から始まる↓

    


   




  漁業も農業も、おそらく無報酬で働く満男。
  3度の食事や寝泊りは葉子さんの父親が面倒見ていると
  思われるので、よね子おばさんは、満男に何をお返ししてるのだろう。
  もちろん満男は見返りなんて思ってもいないのはわかっているが
  やはりよね子おばさんは、それとは別に何か満男にしてあげなくてはならない。
  亜矢ちゃんが「
もう雇われてるやないの、フフフ」って満男に言っていたので、
  ひょっとしてちょっとはよね子おばさんたち複数から報酬を渡されている可能性がある。



 
  榎の大木のちょっと後ろのビニールハウスから12〜13メートル

   


 満男が紐を張っていた場所も今はなにも栽培していない。
 今年からついに花作りはこの丘では誰もしなくなったと言う↓


   



 この大木のあたりは昔から丘の東のてっぺんなので
 「東城(ひがっしょ)」と呼ばれる土地で
 「ひがっしょの榎」と呼ばれ親しまれてきたそうだ。


   



  一方・・・丘の上の方では↓

  亜矢ちゃんが北側から下りてくる。
  亜矢ちゃんはいったいどこからやってきたのだろうか??
  亜矢ちゃんがやってきた向こうはもう森しかない。
  村もないし、本村(ほんむら)への道はない。っていうか逆方向^^;

  映画ではかなり離れた宮の浦地区がそのあと映って
  亜矢ちゃんが亀井のおばあちゃんをお風呂に入れる。

   


   


    小手寅さんが亜矢ちゃんに扮してくれました^^;

   

 


   
そして雄大な丘が引きで映し出されます。

   



 左側がもう森になってしまっていた。小屋の後ろを道が90度曲がっていく。
 小屋の後ろは
三叉路。下っていく道もある。亜矢ちゃんたちはその下り道を使った。
 映画本編ではそこで滑りそうになっていた。

 2015年、今年撮影の航空写真で見てみると、このよね子おばさんがいた小屋の向こうが
 緑になって、畑がここで南と北に分断されていた。この写真でも、よね子小屋の後ろは草が
 ぼうぼうで航空写真の通りだ。


   



 
2015年の時点ではもう森がかなり押しよせて来てしまっている。
 撮影時のお花畑景色の半分近くは森になってしまった。


   





   



   小屋の後ろは今も三叉路

   





   北の畑群からの遠望。↓


   そして亜矢ちゃんの小屋の付近からの逆風景↓
   よね子小屋が向こうに見える。


   



 ■大事なポイント

 榎の大木と海向こうの山、よね子小屋と手前の道の関係から言うと
 本編カメラ位置と高羽さんのアングルはここなのだが・・・


 現在まったくお花畑がなくなり、すでに右は森になってしまって
 右側の稜線が見えない。↓よね子小屋の後ろから右へ下っていく道も
 今も現存するが草でここからは見えない。

  


  


 
 3人が憧れていた島のてっぺんのお花畑で、ちびとらさんと記念撮影

  






 そこで、最終手段として
 ちょっと上手の畑に上がって
 実際の撮影位置より高いところから、高羽アングルを撮らざるを得なかった。
 こちらのほうが当事の本編の印象に近いと思われる。
 撮影当事、亜矢ちゃんたちが右側に下っていくお花畑が、
 もうすっかり深い森になってしまっているのがわかる。



  


   


  大きくみ見てみるとこうなる↓本編の高羽アングルに左右だけあわせることはできる↓
 


    白い小屋発見

   



   


   



 さらに引いて榎の大木をセンターに置いて撮影するとこうなる。今でもなかなかの絶景だ。↓
   



   



 丘のシンボルである榎の大木から亜矢小屋まで直線で約100m
 
よね子小屋から亜矢小屋まで直線で45メートル
 ちなみにこのグーグールさんの航空写真はなんと2015年今年の航空写真だった^^;


  



   



     手前右に写っている白い小屋が今年2015年撮影の航空写真でも写っている↓

   

 
    





   
ビニールハウスの周囲に生えている花も航空写真に写っている。

   



   



   

  

   



   

      

   




  最終章

  さて、志々島を去る時間がゆっくり近づいてきた。



  満男も亜矢ちゃんにKissをさせられてしまったのを後悔したのか、
  まだ亜矢ちゃんの気持ちが深くなる前に逃げをうつ。
  まあ、王道だろう。当然と言えば当然だ。
  この先責任が取れないのなら逃げるのがベスト。
  その日の夕暮れ時に、柴又のさくらに電話し、島を去ることを伝える。


   



   


   





 この日の夜、寅にちょっとした好意を抱いている葉子さんが
 満男に寅の過去を尋ねたことをきっかけとして、
 満男が軽はずみにも寅の葉子さんへの恋心をしゃべってしまう。

 このことで葉子さんの心も寅の心も傷つけてしまうことになって行く。

 こうして、、寅と満男はそれぞれ奇しくも、違う理由ではあるが
 琴島を去るタイミングが同時に来たようである。



 
翌朝

 
置き手紙を置いて寅と満男はそっと去って行く。


 全シリーズの別れの手紙の中で最もスマートな置手紙が
 この満男の手紙



 
長い間お世話になりました
 またあらためてお礼の手紙を書きます。
 さようなら

 車寅次郎
 諏訪満男




   


 寅と一緒に帰るとは言え、
 亜矢ちゃんのいない間に四国へ渡ってしまう魂胆が見える満男だった。


 さて船着場


   


    



 
亜矢ちゃんを乗せた船がやってきた・・・まあ、本数が極端に少ない連絡船ゆえ、
 何時に診療所に来るかわかっているので、
 満男にとっては想定内ではある。

   



   



   満男はこれは修羅場・・・


     



   



 ほかにわけがあるんでしょ



 鋭い発言の亜矢ちゃん。

 ■満男には他に好きな人がいる と考えてもいいし、
 ■責任を取れない満男は早めに逃げて行く気だ、と考えてもいい。


   


   



 満男の突然の「逃げ」で、
 知らされなかったショックと別れの悲しみとがダブルになって襲ってくる亜矢ちゃん。

   




    さすがの小手寅さんもあの亜矢ちゃんの悲しみは演技に出せない模様だった( ̄∇ ̄;)

   


  
 寅の向こうを泣きながら走っていく亜矢ちゃんが小さく映っている。

   


   






   この別れの俯瞰構図の高羽アングル。 

   なんと!亜矢ちゃんが堤防を走っているのが小さく小さく映っている!
(小手寅さんが発見(^O^))

   いせや商店さんのちょっと上手の大きな家の庭先からの俯瞰映像は
   この第46作の中でもとりわけ美しい映像だったので、完全再現をしてみた。


  


  高羽アングルのほぼ100パーセント完全再現写真

 



   


   




そして、最後の別れの時が来た・・・


  
亜矢ちゃん・・・
  なぜそんなにお早く診療所から
  トレーナーを取ってこれた!?




   城山美佳子さん、渾身の演技。

  超最新版 本編小窓付き再現動画

  https://youtu.be/uGH6VSUuP6o




   走る亜矢ちゃん!

  



  




   



  
満男の持つポールも意識して撮影時に入れてみた。

  もちろん 一連の別れのシーンは世界初登頂

   





    満男さんーーーーーーーー!!!

    さようならーーーーーーー!!!



  もう人生で再びは会うことはない 満男と亜矢ちゃんだった。






  城山美佳子さんのこの集中力のある演技が第46作のクライマックス。

  



  



  向こうに見える家々が同じ  全て世界初登頂

  




  絶望が押し寄せ、ついにしゃがんでしまう亜矢ちゃん。

  



      これも本編撮影時の船のポールを意識して入れてみた↓

   



まこと城山美佳子さんのラストの演技は初々しく輝いていた。
第46作はこの亜矢ちゃんの存在が全て。

葉子さんは残念ながら脚本的な弱さもあって印象が薄い。





最後に・・・

昨年11月下旬の準備と処理と編集に100時間近くを費やした沖縄ロケ地めぐりは、
今までの私のロケ地めぐりの中でも
最大級の労力とそれに比例する画像と動画だったが
今回もカット数ではほとんど変わらない枚数になった。
事前調査やまとめに約2週間以上30時間ほど、事後の画像映像処理と
編集、そしてホームページ作成におそらく合計40〜50時間はかかっている。
結局本番の2日間は勘定に入れなくても前後だけでも80時間前後は費やしたことになった。

同じシーンでも、方向が変えてあれば、私もその違う方向からも
本編どおりの高羽アングルで撮影すると言う
完全無欠のロケ地めぐりだったと今回も沖縄同様満足している。


事前調査で約2週間以上一生懸命知恵を出し合った小手寅さんとちびとらさんには
いくら感謝してもし足りない。
全カット完全高羽アングル踏破というある意味異常な試みを理解してくださり、
時には親身に協力してくださったのだった。
また、再現動画も労を惜しまず出演してくださり感激した。

強くしなやかな精神力と優しい慈愛の心  さすがは寅さんプロだと感服した。

やはりいつも思うことだが、持つべきものは「真の寅友」である。





  夜に龍野に戻って・・・
  龍野で最も料理が旨い「りょう」にて打ち上げ。
  みなさん、パーフェクト達成の異様な開放感・・・が顔に出ています( ̄∇ ̄;)

  


  夜に龍野に戻って・・・
  龍野で最も料理が旨い「りょう」にて打ち上げ。
  みなさん、パーフェクト達成の異様な開放感・・・が顔に出ています( ̄∇ ̄;)

  


おまけ動画 打ち上げタコの踊り食い 
https://youtu.be/kr0DHExu1Jo





      
おまけその2  山田監督もあのお花畑が大好き

      
            




おわり