映画「男はつらいよ」の核  家族の原風景


第32作「口笛をを吹く寅次郎」
感動のラストシーンを
現地因島の同じ場所で完全再現しました。






     1984年 正月 因島大橋が見える工事現場の飯場で風にたなびく家族3人の洗濯物

       




動画
http://youtu.be/XCG6rqgj65k

youtubeの画質は「高画質モードHD」で。








この長いシリーズの中で、私が感動の4大ラストシーンと主張しているのは



第2作「続男はつらいよ」で母親と並んで歩く京都三条大橋とその二人の後姿を見つめる夏子さんの表情。



             





第8作「寅次郎恋歌」の甲州での大空小百合ちゃんとの再会。



             





第17作「寅次郎夕焼け小焼け」の龍野でのぼたんとの再会と青観への感謝。



             





第25作「寅次郎ハイビスカスの花」の上州でのリリーとの再会。



             







しかしそれ以外の作品でも心にいつまでも残るラストシーンはたくさんある。



第1作で別れたはずの登とやっぱり一緒に旅をする天橋立での寅の姿。


第34作で、盟友ポンシュウと薩摩の線路無き道を歩いてゆくあの二人の背中。




そして実は私にとって忘れがたいラストシーンがもうひとつある。


それが第32作「口笛を吹く寅次郎」のラストの風にたなびく洗濯物のシーンだ。
このシーンは最後が物干し竿の3人の洗濯物しか映らない。
なんという地味なラスト!



奥さんに逃げられ悲しみに明け暮れるレオナルド熊さん。
かわいい残された娘さんと二人っきりで暮らす日々。

「オレの命よ」

寅にそうつぶやく父娘家庭の熊さん。

そんな熊さんに仕事現場の飯場で心の温かなあき竹城さんとの出会いがあり
娘さんも彼女によくなつき、3人の新しい生活が始まって行く。


風にたなびく3人の下着。

人生の辛酸をなめたその後で、
ささやかな幸せをようやく手にいれたこの新しい家族の
門出を祝福するような初春の風だった。





そしてあれから30年以上経った2014年5月7日のあの再現撮影の日も
見事な快晴で洗濯日和の風が吹いていたのです。




なにか事件や出来事がおこるわけでもなく
全く平凡な日常。昨日と同じ今日がある。

風にゆれる洗濯物。

そこに確かに家族が暮らしている。
そのこと以外に人間の幸福があるはずもない。

この映画は、家族がただ平凡に暮らし、
ご飯を食べ、洗濯をし、子供を育て、
寝かしつけ、洗濯物を干す…。
そのような日常をさりげなく、
そして丁寧に描いている。

いつの日か、子供が家族のもとを離れ、
それぞれの人生を旅するときがきても、
幼き日の、風にゆれる洗濯物の原風景を
心の奥にいだき続けていくのだろう。



山田洋次監督が
この長い長いシリーズで
最も言いたかった「家族」というものの原風景が
あの第32作のラストシーンの
「風にたなびく洗濯物」に ひっそりと託されている。

このシリーズの象徴ともいえる風景が
完全に同じ場所、同じ風同じ天候において
30年後の今、私たち寅仲間4人の手で今ここに蘇ったのです。
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「男はつらいよ」第32作「口笛を吹く寅次郎」
因島ロケ 
ラストシーン
風にたなびく洗濯物

小手寅
ちびとら
龍太郎
そして私

4人の汗と涙の結晶をご覧ください。

動画
http://youtu.be/XCG6rqgj65k
youtubeの画質は「高画質モードHD」で。